全国「精神病」者集団ニュース 2003年10月号

2003年10月発行の「ニュース」抜粋です。 一般定期購読は有料(年6回程発行1年分5000円)です。(病者である会員の購読は送料も含めて無料となっております。)

全国「精神病」者集団
ニュース


ごあいさつ

朝晩肌寒い季節となりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。夏の疲れの出る時期でもあり、秋風とともにうつの季節の予感におびえる方もおられるのではないでしょうか。

9月末に日本精神障害者リハビリテーション学会に行ってきました。世界精神医療ユーザー・サバイバー・ネットワークの初代議長であるニュージーランドのメアリー・オーヘイガンの話を聞きました。現在精神保健協会(政府からは独立した組織で、精神保健サービスの立案、調査、などを行う組織で3人のメンバーの一人がメアリー)の委員として活動しています。「精神病」者でありレズビアンでもある彼女が3人の委員の1人、他の2人も精神保健の専門家はいません。顧問組織としては「精神病」者団体が正式に位置づけられています。彼我の格差にため息が出るばかりですが、メアリーの説明の中で精神保健の改革に、ニュージーランドの先住民の権利獲得闘争の成果が大きく影響していたことが触れられていました。そればかりではなく、最近ニュージーランドの前国防副長官が来日しましたが、ニュー人ランドでは戦闘機を廃止、文字通り専守防衛の武器しか持たないという話です。ソ連亡き後米国に次ぐ世界第二の軍事大国であり、海外派兵する日本で、人権や精神保健の改善などありえないということでしょう。 精神保健だけがよくなるはずはない、と私たち全国「精神病」者集団が主張してきたことの正しさが立証された思いをしております。

(略)

全国「精神病」者集団の連絡先が変更となりました。お手紙ニュースなどのあて先変更をよろしく。
なお窓口の電話番号も変更しました。

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〒210-8799 川崎中央郵便局私書箱65号
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http://www.geocities.jp/bshudan/ 携帯電話でも見られます。

北から 南から 東から 西から


(略)


心に響く、精神障害者当事者バンドハルシオンの3枚目のアルバムが9月にリリースされました!
「僕たちの未来」 9月中旬発売!

「月灯りに照らされて」 「夜明けの船」 「きしむ心に」 「Low」 「ルート26」 「僕たちの未来」 「雑草の唄」オリジナル全7曲を収録
定価1800円

☆この秋あなたは新しいハルシオンに出逢う!
1’st「フナの唄」定価1500円 2’nd「心の花」定価1800円 絶賛発売中!

お問いあわせ
☆生活支援センターすいすい
FAX 06-6975-9955


11月3日予防拘禁法(医療観察法)を許すな!全国ネットワーク結成集会へ参加を

私たちは「精神病」者本人そして、精神医療従事者、法律家、市民、労働者のそれぞれの立場から「心神喪失者医療観察法」の廃案に向けてこの2年間闘ってまいりました。力及ばず、法成立を許してしまいました。施行は2005年までにという状況でもあり、すでに東京の国立武蔵病院と佐賀の国立肥前療養所にこの法の下での特別施設が建設されることが決まっております。
各地でこの法の施行および施設建設を阻止し、法の運用を監視していくために全国的なネットワークの結成が求められていると私たちは考え、下記要領で全国ネットワークの結成集会を開催いたします。
多くの方のご参加を訴えます。

と き 11月3日(月:休日)午後1時から4時まで
ところ 文京区民センター 2A会議室
都営地下鉄三田線「春日」すぐ上 営団地下鉄「後楽園」徒歩5分
内容 記念講演 八尋光秀弁護士 各地からのアピール
参加費 資料代300円
手話通訳を用意いたします。

集会終了後場所を変えて、2時間ほど全国ネットワークの打ち合わせ会議を行います。
呼びかけ
予防拘禁法を廃案へ!共同行動
「精神病」者・障害者の参加者については、交通費自己負担1万円超過分を補助いたします。お問い合わせは「病」者集団窓口までお願いします。


国連障害者差別禁止条約関連情報

WNUSP 山本真理

前号でお知らせした国連での動きですが、すでに条約草案を作る作業班ができております。作業班には政府のみならず障害者のNGO(非政府組織)、人権関係のNGOも参加することになり、精神障害者団体としては世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワーク(WNUSP)もティナ・ミンコウィッツが参加することになっております。政府代表としてはアジアでは中国、インド、日本、韓国、レバノン、フィリピン、タイが参加することとなりました。

来年1月にも作業班の会議は入り、またこの10月にはESCAP(国連アジア太平洋経済社会委員会)条約をめぐる専門家会議(WNUSPからはメアリー・オーヘイガン出席)が開かれ条約草案が作られ、また11月にはそれに基づきESCAPの政府間会議が北京で行われます。

あらゆる強制の廃絶に向けWNUSPは主張し続けます。まだ翻訳のできていない文章ですが、10月のESCAP会議にもその立場からの意見が出されています。

今後も情報を提供していきますので、この問題に多くの仲間が注目なさることを訴えます。今WNUSPはわかりやすいパンフQ&Aを準備中です。これもまた翻訳掲載していきます。


シンポジウムのご案内
高齢者や障害者の人権と生活支援を考える集い

日時 2003年11月15日(土) 午後1時半から4時半
会場 ビッグシップ(米子コンベンションセンター)小ホール JR米子駅から徒歩3分

シンポジスト

長野英子(全国『精神病』者集団会員)/塩冶かをる(知的障害者の家族)
森田多賀枝(高次脳機能障害者の家族)/吉野立(呆け老人をかかえる家族の会)
オブザーバー 前田悦子(鳥取県人権局長)
コーディネーター 井上徹(地域(まち)でくらす会)

主催:「高齢者や障害者の人権と生活支援を考える集い」実行委員会

構成:米子市,呆け老人をかかえる家族の会鳥取県支部,

高次脳機能障害者家族会,障害のある人の仕事場『しえすた』家族会,

社会福祉法人地域でくらす会
連絡先:ファックス(0859)35-5648
〒683-0834米子市内町122
E-mail machi-01@chukai.ne.jp


パンフの紹介

WNUSP関連資料
目次
・精神保健サービスにおける強制 ――国際的ユーザー・サバイバーの観点から
メアリー・オーヘイガン
・障害者の権利と尊厳を強化し守る包括的かつ完全な国際条約についての第2回国連特別委員会への提言
世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワーク
・「精神疾患を有する者の保護及びメンタルヘルスケアの改善のための諸原則に関する国連決議」(1991年12月17日国連総会決議 46/119)に関する見解
世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワーク
B5版 24ページ 300円

メアリーの論文は、強制を実践的になくすために有効な指針です。

告発 日精協政治資金と「心神喪失者医療観察法」
B4版 20ページ 300円

長野英子参考人意見 配布資料つき
2002年12月の衆院法務・厚生連合審査での参考人意見
100円


(略)


☆窓口入手資料

(略)


☆日本病院地域精神医学会総会

10月23日、24日に島根県松江市で、学会総会が開かれます。「心神喪失者医療観察法」のビラまきのため参加します。

ともかくこの法律のことそのものが知られていない現状を何とか打破していきたいと考えています。お近くの方よろしかったらお顔をお見せください。

詳しくは以下にお問い合わせください。

松江市民病院地域医療室内

電話0852-32-8200


キャンペーン
厚生労働省社会保障審議会、検討会委員へお手紙を

長野英子

現在社会保障審議会障害者部会および、厚生労働省の精神保健福祉対策本部中間報告で、開催するとされていた

①病床のあり方、
②地域生活支援体制、
③普及啓発、

の3つの検討会が開かれております。そのうち病床のあり方検討会のメンバーのお一人、精神障害者本人の山梨さんから意見募集のメールが来ております。この検討会に限らず、多くの方が訴えたい内容をお持ちと考えます。ご希望の方にはそれぞれの委員名簿をお送りします。

審議会検討会は公開で傍聴可能ですが、現実に傍聴できる経済的体力的余裕のある方は例外だと考えます。せめて訴えたい内容をお手紙なさることを呼びかけます。

それが取り上げられるかどうかは、今までの審議会等が、単なる厚生労働省と日精協の作文で終わって審議会はその作文正当化のための儀式と化してきた事実を考えるとむなしいともいえますが、こうした意見と注目が集まったという事実を残しておくことは無駄ではないでしょう。

お手紙を出した方は長野にも送ってくだされば、サイトに掲載し、まとめて記録として残すことができますので、ぜひ長野までお送りください。

社会保障審議会が、「心神喪失者医療観察法」下では対象者の不服申し立て受付機関となります。どのような運用がされるかはまだ不明ですが、精神障害者本人が、仲間の不服を受け付け裁くというおぞましい事態だけは避けたいと考えます。

以下は山梨さんのお手紙

精神障害者 山梨(略)が構成員をしている検討会が開かれます。

前回 9月9日開催の時は、思ったより、精神医療ユーザーしとして戦えませんでした。みなさん、すみませんでした。

いろいろ、皆さんのご意見や、現実をお伝えするのが役目と私は考えていますので、山梨(略)pia_net@ybb.ne.jpまでお知らせください。また、仲間の傍聴による応援をお願いします。

精神病床等に関する検討会(第二回)

と き 10月27日(月)17:00~19:00
開催場所 中央合同庁舎第5号館(厚生労働省)5階共同第7会議室 (東京都千代田区霞ヶ関1-2-2)

議 題

(1)論点整理
(2)学識経験者からの意見聴取
(3)その他

<事務局>
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉課医療施設係
電話03-5253-1111(内線3058)


2003.9/9

意見書 「精神病床の現状とそのあり方について」

1.入院の一歩は病院のベットと歩む、自己決定のない人生のスタート。

・病院のサービスは、すばらしい。三色昼寝つき、上げ膳すげ膳、遊びつき。

反面、一度入院をすれば、私たち精神病者は、自己決定を認められなくなる。

入院中は、治療と保護の名目の中で何するにも、許可が必要になる。何をするにも相談し示唆.支持、または選択肢を与えられるが、その繰り返しの中、自己決定や自己判断は失われていく。

そして、毎日のライン仕事の中で、自分ひとりでは何もできない精神病の患者

が過剰に生産されていく。

2.ゆりかごから墓場までの病院にささげる患者生活

・子供デイケア、子供クリニック そして以前は、少なかった未成年の入院者は近年多くなってきた。また、社会的入院者は高齢化し、老人病棟も増えている。

3.薬物療法と生活療法のなか、社会的能力は失われていく。

・全体的に入院中の色々な療法の中、秩序を重んじ、患者は次第に幼児化していく。

・病棟は療養中心であり、施設化しは、治療などはあと回しになっている。

一般病院にくらべ医者もスタッフも少ないために、管理中心型になりなっている。

病棟の秩序を破る問題行動者は、病原菌のごとく、排除の原則に従い、特別観察室に隔離され、両手にもあまる薬物療法と個室生活によって、「おとなしい管理上、良い患者」にかえられる。

問題行動をするといわれる多くの患者は、社会性が残っているために自己表現をしていることを、治療者も理解しているが、なにしろ手がたりないので、ごく当たり前になってしまっている精神病床の基本である。

4.精神病棟の檻の中の生活で友人や親族を失う。そして社会性も欠損する

・入院中は外界(社会)との遮断をされる。私自身の友人が入院しても、「守秘義務」を名目に面会もできず、電話をかけても取りつないではくれない。

病院の実態調査をした精神医療ユーザー会の文献にもあるが、面会の自由、通信の自由は(信書はのぞく)ほとんど認められていない。

・また、精神病院の多くは檻がついている。そして、さらに厚い鉄の扉に鍵がかかっている。その中に入ったというだけで、社会からは悪いことをしたように思われ、人間として社会での信頼はなくなってしまう。

5.スタッフや医者の少なさからくる、二次的発病(障害)

・私たちが地域で生活していると、退院した仲間は、ほとんどある傾向が強く、再入院を繰り返す。

・入院中は、入院者の担当医と担当看護者が決まるが、下記表は「参考資料1 精神保健福祉士養成セミナー精神保健福祉論より」から抜粋したものだが、一目瞭然に精神病床では、治療らしきものが欠けている。

医者一人当たりの病床数は、
一般病床は8.0人 精神病床は、48.3人
看護者一人当たりの病床数は、
一般病床1.9人 精神病床は、4.0人

(1999年10月1日現在)

それら人員のたりなさから、病床職員の業務はなぜか、カルテによる申し送りが主になり、病棟の全患者の状態把握を余儀なくされる。また、カルテ書きにおわれ、ナーススティーションから出る時間は少なくなり、患者は手じかにいるスタッフに相談などをするようになる。

・申し送りが、毎日おこなわれているので、どのスタッフも対応することができる。

患者にとってはいつ誰に話してもわかってくれるとても充実したサービスである。ままた、「いつも私は見守られている」との良い意識も生むが、退院してからは、反対に、「いつも見守られていなければ、安心できない、だから見守れて生きている」と勝手に内的真実が作られがちである。

・結果的には、状態が不安定になれば内的真実はこわれ、監視妄想となり、被害妄想がひどくなり、急性期に変わっていく。

6..精神病床で、たらいまわしされるカルテと患者の人生観

・色々と施設が整った良い病院とは、調っている。
・近年、病院敷地内に援護寮や、グルーブホーム、福祉ホームが乱立している。

「福岡県社会資源リストより 参考資料2」

色々と整った良い病院のように見受けられるが、施設のニーズも多様化している。精神病院が多々な法律上の規制の対策にそれらを活用している面もある。

・また新規病棟を退院準備の病棟と言う名目で、慢性期病棟から年間一回の転床が実施されているところもある。(精神療養病棟入院料は、支払いに保証人は困難している)

・そのたらい回しされている患者自身は、どんな心境かを自分自身でも味わい、書き表すと、「病気は、治すものだ」「ステップアップしなければ」「リハビリしなくては」との心が芽生え、病気の入り口と出口を探し、いったりきたりする。

・希望を周囲から持たされ頑張り、病院敷地内の施設退院に向かって歩くが、結局は挫折感にあふれ、地域に生活することを諦めていく。

「資料参考3 福岡県がおこなった入院者、通院者のニーズ調査より抜粋 」

7.医療は治療を、人生設計は自らおこなうもの

・こんな状態での精神病床の中では、病床では治療を施工されていないに等しい。

治療、療養や保護の社会的大義名分で、患者のお世話計画を人生設計に変えてしまいし、病院の病床や、病院デイケアに長年縛り付けておくことは、精神病を抱えた一人間の人権侵害につながる。

福岡県精神障害者連絡会
事務局長 山梨


資料
第1回厚生労働省との面会
メモ (加々見、補足山本)

日時:2003年10月15日(水)14時~15時
場所:参議院会館 第五会議室

出席者

・厚生労働省
精神保健福祉課課長補佐三好氏、渡辺氏
企画法令課 田中氏
・法務省 欠席 物事が決まる前に団体と会うことはしていない。前例はない
・朝日俊弘議員 山本真理 加々見 他6名

1 「心神喪失者医療観察法」の施行はいつか?

回答(三好氏)

2年を越えない範囲で、遅くとも平成17年7月には。周知期間が必要であるから、施行前に省令が出される。

法務省が審判手続きと、保護局で社会復帰を担当し、社会復帰調整官が携わる。厚生労働省が医療領域を担当することになる。

Q.施行について、各都道府県の担当部局への説明がなされるのか。

A.具体的なことを連絡調整している。厚生労働省からの説明文も出されている。

2 新法施設はまず8箇所と聞くが、その設置場所は、武蔵、肥前を含む旧療養所なのか?

国府台などその他の国立病院も考えられているのか?

その指定についてはいかなる手続きで決定するのか?

回答(三好氏)

まだ決定していない。入院先は国・都道府県立、独立行政法人立を指定する。

これから、厚生労働省が基準(建物、人員等)を定める。施行されてから法の発動後、施設指定をする。全体で定常的に800~900床が必要と考えられ、30床/1施設の割合で 全国で30施設が必要。全室個室で司法精神医療を行う。既存の施設敷地内に新しい建物を敷設していく。

3 通院のための指定施設についてはどこを指定するのか?

各都道府県立病院を考えているのか?

その指定についてはいかなる手続きで決定するのか?

回答(三好氏)

民間も含め幅広く通院先を確保する。厚生労働省が基準をつくり、医療内容についても検討する。

4 新法の特別施設は精神病院の一部か?

精神保健福祉法はどこまで適用されるのか?

新法と精神保健福祉法の関係はどうなのか?

両法の合体は将来考えているのか?

新法の施設に措置入院の人が入ることは可能か?

回答(三好氏)

精神保健福祉法と医療観察法は全く別物で合体することはない。

医療観察法は、重大犯罪者でかつ、心神喪失等の限定された人が対象となる。

それ以外の人が対象になるという心配よりも、病床数が足りるかどうかが課題にある。

通院処分中の対象者が精神保健福祉法により精神病院に入院することは妨げない。

施設は、医療法上にあり責任者については病院と同じ、精神保健福祉法は及ばない。医療法医師法は当然及ぶ。あくまで医療施設であるから。

精神保健福祉法上の指定医の義務同様のものは法に規定してある。

5 法対象者への通信面会の権利について

法92条で指定入院施設の行動制限については「信書の発受の制限・弁護士及び行政機関の職員との面会制限・その他の制限にあって、厚生大臣があらかじめ社会保障審議会の意見を聞いて定める行動の制限については行うことができない」となっているが、精神保健福祉法と同等レベルは保障されるのか

鑑定入院については法の指定入院施設となるのか?

鑑定入院中および入院中の通信面会権については精神保健法同様原則自由とするのか?

面会は立会人なしでできるのか?

手紙の検閲および電話の傍受は禁止されるのか?

通信面会については弁護士資格等制限はないのか?

現在の刑事施設のような接見禁止というのはありうるのか?

日本語を母国語としない人についての通訳保障、翻訳保障は無料で保障するのか?

回答(三好氏)

あくまで医療施設である。

通信面会権については制限をしない。面会についても立会人なしでも可能とする。例えば、刃物、薬物などの封入されている可能性のある手紙などは、本人の目の前で開封する。つまり刑事施設ではないので、ベースは精神保健福祉法と考える。普通の精神科で行われるような医療判断で行う制限はあり得る。(松沢HPなどの最近記事になったような、画一的な面会制限をもうけるのではない)

あくまで常識の範囲で、たとえば深夜に面会させろということであれば断るということはありうる。

Q. 朝日議員

精神保健福祉法と同様の内容ならば、精神保健福祉法でやればよいのではないか?

A. 法体系上、医療観察法で行う。

6 外部からの差し入れについて

外部からの差し入れについての制限はあるのか?

刑事施設のような制限を考えているのか?

書籍等の制限および検閲はあるのか?

外国語文献についてはどうか?

食料あるいは衣服の差し入れについてはどうか?

回答(三好氏)

あくまで医療施設であるから、差し入れなどという言葉が出てくることがおかしい。

刑事施設でないのでその点制限されるものではない。もちろん常識の範囲で大量の食料などということになれば医療的判断で制限もありうるそれは一般科の病院でもあることだろう。

Q.鑑定をするための病院についてはどうか?

A.法務省が決める。

Q.鑑定の時、医療機関に入っているときの通信面会処遇の基準はどこが決めるか。国会審議では鑑定中に関しては「通信面会の権利を最大限保障」となっており、制限がどうなるか心配。

A.一義的には法務省か?しかし、医療機関は厚生労働省管轄。また、鑑定をする場所は指定医療機関とは限られていない。

Q.鑑定中は何法上に基づかれるのか?

A.精神保健福祉法上ではない、医療法上にはある。鑑定中は手続き上のことなので医療観察法で行う。

(5.6の質問事項について、まだ不明確な点が多くあり、両省の検討が必要と言うことだった。特に鑑定中の通信面会の保障は、本人の処遇決定を左右する重要な要素となる。今後、両省で検討したことについて朝日議員を通じて回答をもらうことになった。)

7 対象者に対する医療について

医療内容については従来の精神病院のものに比べて特記すべきものはあるのか?

ECTを行う際、麻酔医の管理のもとで、また受ける人の同意を受けて行うという原則は守られるのか?

対象者には治療拒否権(治療を拒否することにより不利益のないことの保障も含め)はあるのか?

治療拒否権があるとすれば、治療拒否権の例外は認めるのか?

本人の希望する治療保障は可能か? さまざまな代替療法も含め、本人の望む外部の医師の医療は保障されるのか。その費用の公費負担は考えているのか?

精神外科手術の禁止は明文化されるのか?

外科内科は当然、耳鼻科、眼科、歯科その他精神科以外の合併症の場合の医療保障についてはどう考えているのか?

定期健康診断についてはどうか?

各国の保安処分施設では、人体実験例が多々あるが、人体実験についてはどのように考えているのか?

回答(渡辺氏)

精神外科手術というは何を言っているのか不明

Q. 精神疾患の治療としての外科手術を言っている。一般的脳外科手術を言っているのではない。ロボトミーなどのことである。10年以上前に風祭医師の研究班「精神科の治療指針に関する研究」が精神外科の廃止を言ったが、いまだ厚生労働省の「治療指針」には掲載されたままで廃止されていない。行わないと明言はできないのか。

回答(渡辺氏)

手厚い医療を用意する。医療は一般的なルールの上でインフォームドコンセントが前提にある。現在、精神疾患に対する脳外科手術の有用性を主張する精神科医はいない。現在行われていないと思う。またこの施設でも行われないと思う。

ECTについては有用性も精神科医が主張しているケース有り。

(脳外科手術は実施しない、との明言は厚生労働省で出来ない様子、ECTも含め、現状把握を厚生労働省はしていない?)

費用について、精神科は公費で、一般科は健康保険で診るので自己負担有り。

Q.医療の中身について法、政省令にも何も書かれないものか。手厚い医療とはなにか、治療拒否権ともかかわる問題がある。法の審議中に人格障害を対象とする治療内容があったが、医療内容はどのようなものになるか。また、医療内容についてのチェック機構がもうけられ機能するのか。インフォームドコンセント等の保障のための手段をどうもたせるのか。カルテ開示、外部の医師の関わり等が可能かどうか。

A.ガイドラインをつくる。施行前、医療スタッフ側に周知させる。(公表についてははっきりとした回答なし。ガイドラインはできあがり次第公表をして欲しいと要望。)

Q.合併症の問題について。実際どこが受け入れるのか。現状で単科の精神科が合併症の患者さんの受け入れ先に困っている状況がある。

A.合併症の治療は法的な制限はなく、普通の精神科と同様の対処をしていく。指定施設以外の病院への入院を妨げないことになっている。

15分ほどオーバーし1回目の話し合いはここで終了した。

次回は、選挙後、朝日議員が場の設定を行ってくれる予定。


本の紹介

赤堀さんに関する本が出版されましたのでお知らせいたします。

赤堀さんは1954年(昭和29年)5月24日岐阜県の鵜沼で不審尋問を受け不当な殺人者」として逮捕されました。

私が不当と呼ぶのは、赤堀さんと事件を結びつける確かな証拠はなく、ただ浮浪生活を強いられていた赤堀さんに目をつけた警察の「全国指名手配」があっただけだからです。

それは事件発生の3月10日の殺人事件が発生から2ヶ月余のことでした。

新聞は最初から「犯人囚わる」と報じ、赤堀さんの過酷な拘置所生活、確定死刑囚生活がはじまりました。

そのでっち上げ事件に、まるで伴侶のごとくより添い事件の不当性と闘った一人の弁護士がおられます。

その方がご紹介する弁護士「鈴木信雄 弁護士」です。私はその先生の事務所をお尋ねし「島田事件に赤堀中央闘争委員委員長」として挨拶に伺ったことがあります。

私の緊張する自己紹介に対して、先生は机から名刺を出され「何かあったら昼でも夜でも電話してきなさい」と受け入れてくださいました。

とかく支援者への偏見(精神病者であること、左翼的な傾向の強い人々が多い集団であること)強い中でそれらを一切問いただすこともなく、共に闘う同士として受け入れていただいたことを、いまも鮮明に思い出す憧れの弁護士です。

その方のご令嬢鈴木清子様が「父鈴木 信雄」を書かれました。

皆様、一般の書店にも置かれていますので、是非購入くださいますようご紹介申し上げます。

『父 鈴木信雄』鈴木清子著 文芸社
定価1,200円プラス税

皆様、弁護士の生活、特にフレームアップの事、明治生まれの気骨、政治家 元無実の死刑囚赤堀政夫さんの闘いの伴侶とは? 多角的な人物像が描かれています。

2003. 10. 1.5 大野萌子

「法律のひろば」10月号 「心神喪失者等医療観察法における保護観察所の役割」より


編集後記あれこれ

☆15日の厚生労働省との面会のとき、精神外科をめぐる話、入院中の人権保障の件などについて、どうにも厚生労働省の方たちに私たちの言葉が伝わらない場面がありました。

朝日俊弘議員が見かねて、「厚生労働省の方たちは善意に捉えて手厚い医療といっているけれど、当事者にとっては手厚い医療が即いいこととはとらえられず、余計なことをされるんじゃあないかというおびえがある。そのことを理解してもらわないと」と解説してくださいました。

厚生労働省の方たちはおそらく「手厚い医療」といって警戒されるなどということ自体が理解のほかなのか、あるいは意図的に理解できないふりをしているのか。

☆「法律のひろば」10月号の「心神喪失者等医療観察法と精神医療の課題」(精神保健福祉課長補佐 田中剛)によると、この法の下での専門治療プログラムは

1他害行為の問題を認識させる
2自ら他害行為を防止する力を高める
3さまざまな問題を前向きに解決することを促す
4被害者に対する共感性を養う
5重大な他害行為を行ってしまったことによる患者のトラウマを和らげる

といった精神医療を実施することが必要なのだそうです。

国会審議中に散々言われたことですが、これっていわゆる「反社会的人格障害」とレッテルを貼られた人への矯正プログラムそのものではないでしょうか?

心神喪失状態で家族に手をかけた人、たとえば子殺しの母親が「他害行為を防止する力のない人」であり、「被害者への共感性のない人」なんでしょうか? そう「人」つまり「人格」を問題にしているとしか見えません。

それとも精神疾患というのは「被害者への共感性を奪い」「他害行為を防止する力を奪う」病気なんでしょうか?

私たちはそうした病気の病人なんでしょうか?

国民への啓発啓蒙などいう前に、こうした偏見を強化する法をまず廃止するのが国の責務でしょう。厚生労働省精神保健課長補佐自身がこんなことを言っていて、いったい誰が啓発啓蒙など受け入れるでしょう。

(略)


全国「精神病」者集団ニュース 2003年8月号

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全国「精神病」者集団
ニュース


ごあいさつ

「寒さの夏」でしたが、皆様いかがお過ごしでしたでしょうか。体力の消耗は少なく楽に過ごせた仲間も多かったのではないでしょうか。

今年は「心神喪失者医療観察法」という私たち精神障害者のみを差別的に予防拘禁する保安処分立法が成立し、35億円をかけて東京国立武蔵病院と、佐賀県の国立療養所に保安処分施設が建築されようとしています。その一方では、年金や生活保護の物価スライドによる減額、さらには生活保護の最低生活基準見直しまでなされようとしています。まず高齢者加算と母子加算のカットそして次は障害加算のカットかもしれません。

今国連で障害者人権条約が作られようとしていますが、私たち先進国の障害者はいわば衣食住を保障してやるから、人権はガマンしろ隔離に耐えろとされてきました。発展途上国ではそれ以前の状況でまさに生命維持そのものが脅かされています。

この国でもこれから私たち障害者の生存そのものが脅かされる時代が来るのかもしれません。最後の安全網といわれる生活保護の見直しは、それ以上にすべての人の生存権の否定、すさまじい競争社会からこぼれ落ちたものには死ね、という時代がすでに来ているといっていいかもしれません。

WNUSPが国連で、私たちも人間だと宣言したように、「心神喪失者医療観察法」廃絶に向け、そして生き延びるため、人権を回復するため、今後も共に闘っていきましょう。

(略)

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北から 南から 東から 西から


(略)


心神喪失者医療観察法に反対の声を

心神喪失者等医療観察法案とは、一度罪を犯した精神病者を「再犯防止」目的で、犯罪を犯す前に捕まえ、隔離病院へ拘禁してしまう法律です。

5月25日の『毎日新聞』に一ページ使って、反対の意見広告を載せましたが、6月3日、参議院で強行採決されました。新設する精神病院のために、障害者年金など福祉を削り、さらに税金を何十億も投入するということが起ころうとしています。(障害者年金は今年度より削減されました。)

また、この法案を成立させようとする「日本精神科病院協会」から、この法案の成立に力をいれてきた多くの自民党議員に対して、政治献金がなされていた事が明らかになり、「法案が金で買われていた」のではないかとの疑惑が出ています。日本精神病院協会というのは、「精神病院は牧畜産業(つまり、飼っていたら金になるいうこと)」と言ったような金儲けが目当ての医師たちの集団だと思われます。

有事法制が通った今、「反戦」「非戦」の声をあげることも犯罪となろうとしています。予防拘禁法が進んでゆけば、政府の敵と見なされると、精神病者に仕立てあげられ、一生「特別病院」で薬漬けにされてしまう危険性を含んでいます。今、憲法違反のこの法律に反対の声をあげていただきたいと思います。


2003年6月6目

「医療観察法案」参議院法務委員会における強行採決に対する緊急抗議声明

大阪精神障害者違絡会代表 塚本

去る6月3日「心神喪失者医療観察法案」が参議院法務委員会において、政府―与党の賛成多数で可決されました。与党側の動議で一方的に審議が打ち切られ、野党委員や傍聴する仲間たちの怒号の中で、強行採決されたのです。

「精神障害者の生命と人権」に深く関わる法案であるにも関わらず、参議院法務委員会での審議時間は29時間30分というありさまです。社会的弱者である「精神障害者の生命と人権」に深く関わり多くの問題点が指摘されている法案であるにも関わらず、十分な審議も尽くさず強行採決を行った事は、私たち「精神障害者の生命と人権」が与党議員によっていかに軽視されているのかを明らかに示しています。

今回の強行採決は精神障害者に対する多くの人権侵害や人生に傷を負わせてきた「精神科特例」をはじめとする誤った国の施策に対する政府―与党による何の反省もない事、また精神障害者が医療施設に隔離されるのではなく、地域であたりまえの市民として暮らしていく施策を推進する政策

内容も判断ももたない事を赤裸々にしています。

また、この法案を成立させようとする「目本精神科病院協会」から、この法案の成立に力をいれてきた多くの自民党議員に対して、政治献金がなされていた事が明らかになり、「法案が金で買われていた」のではないかとの疑惑が出ています。今回の強行採決は、こうした疑惑隠しの目的もかねているものと私たち精神障害者は受け止めています。これら一切の所業は、精神障害者に対するさらなる人権侵害や人生に傷を負わせようとするものです。

この法案が成立すれば、私たち精神障害者にとって国会は、憲法の重要な柱である基本的人権を尊重するための機関ではなく、「差別と偏見を助長し強める反人権・反民主的機関」に成り下がったと断言できます。

昨年の札幌におけるDPI世界大会において確認された「障害者の権利条約」「障害者差別禁止法」づくりの国際的潮流の中にある私たち精神障害者は、「精神障害者は何をするのかわからない」という杜会的偏見にもとづく新たな「隔離法案」である「心神喪失者医療観察法案」に対して、廃案を求め続けるとともに、「医療観察法体制」―「新たな隔離体制」を廃棄する戦いを全国の仲間とともに障害種別をこえて、自らの人生を賭けて行う事を明らかにし、「医療観察法案」づくりの口実にされた「池田小事件報道2カ年」の時、緊急の抗議声明とします。


日本精神障害者リハビリテーション学会でのビラまき支援の訴え

東京 長野英子

長崎で日本精神障害者リハビリテーション学会が開かれます。9月25日から27日です。

この学会は以下の要望書を出しているところです。各地の精神保健センター長も参加しているところだそうですが、肥前療養所に特別施設建設も予定されているところですし、私はここに法廃止と協力拒否を訴えるビラまきをしようと考えております。行政関係の医療従事者も結構集まると思いますが、法律そのものについても知らないという程度の認識が一般会員のようです。 実際法が運用されたら何をさせられるのか、精神医療がどう変わるのか、そういったことを訴えていきたいと考えています。

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触法心神喪失者等に対する精神医療の改革にあたっての要望書

平成14年2月10日

厚生労働省精神保健福祉課長 殿

日本精神障害者リハビリテーション学会

会長 江畑敬介

学会事務局住所:

112-0012 東京都文京区大塚3-29-1

筑波大学教育研究科カウンセリング専攻リハビリテーションコース内

電話:03-3942-6830

当学会は、精神障害者のリハビリテーションを研究し、それによって精神障害者の社会参加を促進するよう努力しているものである。当学会としては、精神障害者のリハビリテーションを進める立場から、触法心神喪失者等の処遇の改革にあたっては、次の点を十分に配慮されるよう望むものである。

1)触法心神喪失者等の地域リハビリテーションと社会参加を円滑に促進するためには、大規模な施設を少数つくるのではなく、例えば、一病棟30床以内とし、可能な限り開放的な環境を提供する司法精神医療施設を各都道府県につくることが必要である。

2)司法精神医療病棟の運営にあたっては十分な施設と人員を必要とするので、現行の医療法と診療報酬体系に基づかないものでなければならない。高度の精神科治療とリハビリテーションを提供できるようにするためには、例えば、看護職員数は患者一人当たり、少なくても二人は確保するように配慮願いたい。また、入院中より再発の防止には格別の取り組みが必要であり、高度の心理教育及び認知行動療法を実施するための作業療法士、精神保健福祉士、臨床心理士の配置に特段の配慮を願いたい。

3)入院措置および通院措置の有効期間には期限を設け、その必要性の判定は1年毎に裁定することとする。

4)精神障害者が心神喪失等によって触法行為に至ることを予防するためには、今後、地域精神医療と地域リハビリテーションをより一層充実しなければならない。司法精神医療体制だけが突出することによって、精神障害者は危険であるとの差別と偏見を助長することのないように万全を図られたい。精神医療と地域リハビリテーションの今後充実すべきことについては別の機会に意見を述べる。

5)司法精神医学の発展と精神医療従事者に対する司法精神医療の研修を充実するために司法精神医学研究機関を設置する。

6)触法心神喪失等に対する精神医療に関する法案については、その運用にあたり、わが国では、臨床的にも法律的にも,知識、技術、経験が乏しい現状を踏まえ、新法は5年の期限をつけて見直しを行うよう要望する。

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ビラまき自体を拒否される可能性もありますが、ご一緒にビラまきをしてくださる方いらっしゃいませんか? 共闘してくださる方は全国「精神病」者集団窓口気付長野まで直接ご連絡下さい。

詳しいことは長崎学会のサイト以下をご覧になるか直接下記連絡先にお尋ね下さい。なお同時に26日には九州ユーザーネットワークの集会も開かれます。

http://www.nwjc.ac.jp/~japr11th/index_japanese.htm
大会事務局 長崎ウエスレヤン大学
〒854-0081 長崎県諫早市栄田町1057
TEL 0957-26-8369 / 0957-26-1234
FAX 0957-26-8339 / 0957-26-2063


(略)


資料

生活保護制度の抜本見直しへ
最低生活費減額も視野

厚生労働省は最低生活費引き下げも視野に入れた生活保護制度の抜本的な見直しに乗り出す方針を固め、今月下旬、社会保障審議会に専門委員会を設置する。

不況で厳しさを増す一般国民の生活水準と照らし合わせた上で、保護基準額や高齢者・母子世帯に対する加算引き下げなどが検討される見通しだ。05年度の改正を目指すが、引き下げの一部は早ければ、04年度から実施される可能性もある。

生活保護は社会保障の「最後の安全網」といわれるが、景気低迷などで受給者数は急増。3月時点で国民の100人に1人にあたる129万2千人に達した。

03年度当初予算の生活保護費は前年度の約10%増の約1兆5200億円で、社会保障関係費(約18兆9900億円で対前年度約3.9%増)の8%になる。

具体的な検討対象と見られるのは、最低生活費に含まれる高齢者と母子世帯への加算。70歳以上に上乗せされる老齢加算(月額1万7930円)は廃止・減額を検討。一般母子世帯との所得の逆転が指摘されていた母子世帯への加算(児童1人で月額2万3310円、金額はいずれも東京23区)も対象になる見通し。

現行の生活保護の基準額(生活扶助)は、東京23区の標準世帯(親子3人)で16万2490円、消費支出で一般世帯の70%弱とされている。この基準額も論点になる。

生活保護は今年度、1950年の制度開始以来初めて物価下落などを反映し生活扶助が0.9%切り下げられた。04年度予算編成で、財政制度等審議会は先月、「水準によってはモラルハザード(倫理の荒廃)を生じかねない」と、老齢加算や母子加算をあげ、引き下げや廃止を求めていた。

ただ、低所得世帯が消費を切り詰める余力は乏しいとの意見もある。厳しい資産、扶養調査により、本来、保護が必要な人が断念しているとの批判もある。保護基準引き下げに対しては反発も予想される。(07/13 03:02) 朝日新聞

厚生労働省では社会保障審議会福祉部会「生活保護制度の在り方に関する専門委員会」を設置、8月6日に第1回会合を開いた。

この専門委員会は傍聴が可能、傍聴希望の方は以下へお問い合わせ下さい。第2回日時は未定。

厚生労働省社会・援護局保護課

TEL:03-5253-1111(内線2827)

担当:企画法令係 江口


障害者の権利条約
国内法の整備必要に 実現めざし活発議論を

大学で障害者福祉の講義を受けた大輔さん(20)は、国連で「障害者の権利条約」を作ろうという動きがあることを知った。妹の愛さん(16)と一緒に、詳しく調べてみることにした。

松井 亮輔 相談員 法政大教授。専門は障害者福祉、リハビリテーション論。国際リハビリテーション協会副会長も務める。著書に「障害者の雇用と就労」(共著)など。63歳。

大輔 国連で結ばれた「権利条約」というと、「子どもの権利条約」が有名ですね。

松井 「権利条約」は、世の中で弱い立場に置かれている人々の権利を守るための国際的な約束事で、「人権条約」とも言います。「子どもの権利条約」や「女性差別撤廃条約」などを6大人権条約と呼び、「障害者の権利条約」は、実現すれば7番目の人権条約になります。

愛 障害者の人権は侵害されやすいのですね。

松井 はい。身近な例で言えば、車いすの人はアパートを借りたくても、車いすで生活できる部屋の造りになっていないため、借りられないことがあります。耳が聞こえない人は、字幕放送がないテレビ番組を十分に楽しむことができません。障害のない人には当たり前のことが、障害を持つ人には当たり前ではなく、不利益を被っているのです。

大輔 そういう状況は、日本だけではないのですね。

松井 世界には人口の約1割、6億人の障害者がいると言われています。国や地域によって状況は様々ですが、貧しい国ほど深刻です。発展途上国で義務教育を受けている子どもの割合は、障害のない子の場合、70%以上ですが、障害児は2%から5%というデータもあります。

愛 それで権利条約が必要になってくるのですね。国連では、どこまで話が進んでいるのですか。

松井 2001年12月の国連総会で28か国が共同提案し、その後、条約について検討する特別委員会が2回開かれました。今年6月の第2回委員会で、条約を作るための作業部会を置くことが決まり、いよいよ本格的に取り組むことになりました。

大輔 いつごろ条約ができるのですか。

松井 5年後とも10年後とも言われ、見通しははっきりしません。国連には191か国が加盟しており、国によって意見が様々で、合意を得るには時間がかかるからです。子どもの権利条約も、作るのに11年もかかりました。条約を結ぶと、国内では、条約の内容に合った法律を作ったり、今ある法律を改正したりしなければなりません。たいへんな労力が必要なので、条約に消極的な国も少なくありません。

愛 日本政府はどうですか。

松井 残念ながら、今のところ積極的とは言えません。日本には、障害者の権利を守る障害者差別禁止法がありません。もし条約を結ぶと、新たに法律などが必要となるからです。

大輔 権利条約は、どんな内容になりそうですか。

松井 国によって「障害」の意味が異なるので、まず、「障害」とは何かということを明確にします。そのうえで、何が障害者の権利侵害に当たるのかを決めます。条約を結んだ国が、きちんと条約の内容を守っているかどうか監視する機関の設置も盛り込まれるでしょう。

愛 条約の実現に向け、日本は何をすべきですか

松井 政府はもっと前向きな姿勢を示さなくてはなりません。関係省庁の垣根を超えて議論し、条約の内容について国連で積極的に提案すべきです。障害者団体などの民間組織(NGO)も結束し、政府とともに、権利条約の必要性について

国民の理解を得る努力をすべきです。人はだれでも、病気やけがで障害者になる可能性があります。ひとごとと思わず、障害者の権利について考える機会を持ちましょう。

(安田 武晴)

2003年8月1日 読売新聞

6月の国連障害者権利条約特別委員会では、条約に向けての作業班が作られることになり、いくつかの政府代表とNGO代表により校正されることとなりました。

日本はこの作業班にはいることとなりましたが、作業班にはいる以上作られた条約を日本政府が批准することは確実とはなりました。しかし日本国内法規をなんら改正する必要のない、非常に低い水準の条約となる可能性もでてきました。

発展途上国と先進国の利害の対立もあり、この先もこの条約制定がどう動いていくかは難しいところのようです。(注;長野英子)


窓口から

@夏季カンパにご協力いただきありがとうございました。以下カンパに寄せられた一言から。

*暑中お見舞い申し上げます。元気に暮らしています。外来に、デイケアに、作業所に通っています。暇を見つけてそろばんをはじいたり、本を読んだりしています。カンパとして使ってください。

*法案阻止の闘い、本当にお疲れ様でした。いろいろとお世話になりました。ありがとうございます。まずは九州でゆっくりと身体と精神を休めますよう。これからも戦いは続くことに。今後ともどうぞ教えてくださいますよう。少ないですがカンパです。

*少ないですが、「クイナの会」よりカンパです。無理なさらないで下さい。

*お世話になっております。社会復帰施設整備費の件で、私の地元でも授産施設の予算が不採択となりました。体調も不調でしんどいです。でも良い話もあって、同じ病気の人とお見合いをしました。

*いつも貴重な労力も大変なニュースをありがとうございます。遅くなりましたが、03,04年分の購読料を送ります。

*いつもニュースを送っていただいてありがとうございます。「観察法案」と8割予算カットには開いた口がふさがりません。精神保健福祉法でうたっている、病院から地域へという流れに反し、国はこの法律違反をしています。当事者は声をあげていかなければなりません。

*要請のありました03年夏季カンパです。4年半以上にわたる解雇攻撃と闘っているため、小額で申し訳ありません。

*健康を!

*日頃何もできませんが、ニュースだけでよろしくお願い。

*皆さんの人権奪還に向けた闘いに敬意を表しております。お身体にお気をつけてください。大野さん赤堀さんにもよろしくお伝え下さい。

*ニュースをいつもありがとうございます。お疲れ様です。小額ですみません。食料品を削ってのカンパです。無年金の方は今回回りませんでした。くれぐれもお体留意してくださいませ。

*毎日の活動お疲れ様です。今年も小額ですが、カンパさせていただきます。

*少しお金が残りましたので送金します。カンパとして使ってください。サラリーマン時代の一番長かった勤務が3年9ヶ月なので、今の作業所は4年くらい続いています。私としては今何を言われても仕事を続ける練習を兼ねて、頑張っています。いつかは生活保護を返してひとり立ちしたいです。


全国「精神病」者集団ニュース 2003年6月号

2003年6月発行の「ニュース」抜粋です。 一般定期購読は有料(年6回程発行1年分5000円)です。(病者である会員の購読は送料も含めて無料となっております。)

全国「精神病」者集団
ニュース


ごあいさつ

梅雨を迎えました。うっとうしい毎日が続きますが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。

春先からの不調も少しは楽になった方もおられるといいのですが。

「心神喪失者医療観察法案」は6月3日参院法務委員会で強行採決されました。このニュースがお手元に届く頃にはおそらく成立しているのではないかと思います。

国連では6月16日から27日まで、障害者権利条約制定に向けた第2回特別委員会が昨年に続き開かれています。WNUSPも「精神病」者の国際会議として、参加しています。強制入院制度、強制医療制度撤廃にむけて、そして私たち「精神病」者もまた人であるという主張を掲げて参加しています。

反撃はすでに始まっています。「心神喪失者医療観察法案」廃案に向けて、そして私たちの人権奪還に向けて。

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北から 南から 東から 西から


(略)


私たちはより人間

藤井わらび

ねぇ、お姉さん

そんなに心配することも、そんなに怒ることもないのよ

だって、私たちのそばには神さまがいらっしゃるから

必ず報いられるものなのよ

明日は終戦記念日ね

多くの精神障害者が餓死していったわ

彼らは邪魔者として隅へ追いやられ

「生きる」ことを奪われた

今も光が当たらない

私たちは最期まで生きましょうね

浮かばれない先輩たちの分まで取り戻しましょうね

私たちが「生きる」社会は豊かになる

先輩たちの祈りを実現させましょうね

私たちは人間

より人間

(2001年8月14日)


「心神喪失者等医療観察法案」強行採決弾劾!

「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案」が、6月3日、参議院法務委員会で強行採決された。審議では、この法案が精神障害者の利益にならず治安目的であること、再犯予測可能という根拠は証明不可能であることがますます明らかになってきていた。

一方で日本精神科病院協会(私立精神病院の経営者の集まり)の政治資金問題が暴露され、有事法制など治安強化のために人権の制限をもくろむ政府と、病院経営者の利権が生みだした悪法であることを政府与党は隠しおおせなくなっていた。

日精協会長の参考人出席の引き延ばしが困難となり、木村副大臣ら法案関連の自民党議員の政治献金をめぐる疑惑は決定的に煮詰まってきた。

それにもかかわらず。いやだからこそ6月3日、参議院法務委員会で野党議員の質問終了後、次回の日程を決めるのではなく、突如、自民党・公明党議員のだまし討ちにより採決を強行したのだ。政府・与党は恥を知るべきである。

<精神障害者差別立法を弾劾する!>

ここに再び三度、精神障害者は人間でない、人権はない、という差別立法が採決された。

通常、無罪・執行猶予、あるいは不起訴となれば、その人が拘禁されることはない。しかしこの法案下では心神喪失等を理由に無罪・執行猶予あるいは不起訴となったものを直ちに「鑑定入院」という名目で拘禁し、そして裁判官と精神科医の合議による審判により、特別施設に強制的に収容したり、通院を強制したりする処分が決定されることになる。法案の目的は如何に仮装しようと「再犯の防止」であり、処分の要件は「再犯のおそれ」である。

まさに精神障害者差別に基づく医療の名を借りた実質的保安処分だ。

参院の審議で政府は「法案は対象者に手厚い医療と社会復帰をうながすもの」と開き直り続けた。

医療を保障し社会復帰を促すのであれば、なぜ特別な法律が必要なのか? なぜ特別施設なのか? なぜ退院は主治医だけで決められないのか? なぜ高い塀と堀に囲まれた全室独房の病院が必要なのか? 特別施設そしてこの法律そのものが精神障害者差別を強化していくではないか? 重大な犯罪にあたる行為をして、再犯のおそれのあった精神障害者という三重の烙印を押されたものが社会に戻ることなど可能なのか? そもそも「再犯のおそれ」など予測不可能であり、さらに言えば「再犯のおそれのないこと」など絶対に証明不可能だ。治安的圧力のもと審判は拘禁に傾き、釈放などなかなか認められなくなる。法案は長期の隔離拘禁、そして抹殺しか生み出さないではないか? これらに政府は全く答えていない。

今現在入院治療が不要にもかかわらず、行き場がないため、精神病院を生活の場としている方たちが10万ともそれ以上とも言われている。政府ですら七万二千人を10年かけて退院させるとまで言っている。精神病院からの退院のこの困難の中で、いったん特別施設に拘禁されれば、釈放などありえず、施設は過剰拘禁となりさらなる増床が必然である。法案採決後、政府はなんと各県に特別施設を作るとまで言い出しているではないか。政府自身が被拘禁者の釈放などありえないことを認めているのだ。

<特別施設に措置入院患者も収容?>

恐るべきことに、修正案提出者塩崎泰久議員は、措置入院制度との有機的連携、この法は特別施設への措置入院患者収容を排除しない、とまで答弁している。日精協の精神病院で少しでも「厄介」とされたらここに送り込まれることとなる。日精協の長年の悲願、「扱いやすい患者だけ入院させ儲けたい」「厄介な患者は追い出したい」が達成することになる。

すべての精神障害者は、特別施設送り、という脅迫のもとで精神科医はじめ精神医療・保健・福祉従事者に隷属させられることになる。精神医療・保健・福祉は根底から破壊されてしまう。

一方精神医療・保健・福祉従事者のほうも、「再犯予測ができることを前提」としたこの法律のもとで、「犯罪防止」を任務として科せられ、精神医療・保健・福祉総体が治安の道具とおとしめられ、精神病院の開放化や退院促進、地域での精神障害者の生活はますます困難となっていく。

私たちは法案を精神障害者差別に基づく予防拘禁法であるという立場から、精神障害者、精神医療従事者、法律家、労働者、市民が集まりこの稀代の悪法を廃案にするために闘ってきた。たとえ数の力で強行採決がなされようとも、私たちはそれぞれの立場から精神障害者差別を許さず、共に生きる社会をめざし、今後も廃案まで闘いつづけることをここに宣言する。

2003年6月18日

つぶせ! 予防拘禁法4.20集会実行委員会

連絡先:自律支援センター さぽーと

〒113-0033

文京区本郷3-18-11TYビル501

FAX03-3816-2063


(略)


無年金障害者問題について

長野英子

実現するのかどうか?なのですが、少しは明るいニュース。

年金を14日に受け取った仲間も多いでしょうが、物価を反映した切り下げがあ

りました。将来どうなるか、不安を覚えておられる方も多いのではないかと思い

ます。

でも年金が取れるのはまだましで、発病のとき学生だった方や主婦で未加入だった方など、無年金障害者がたくさんいます。もちろんそもそも加入できなかった外国人も。

黒岩たかひろ議員のページに以下の報告が載っていました。坂口大臣も積極的な発言をしているのですが。

無年金障害者問題について

☆「無年金障害者」とは?

「無年金障害者」とは、国民全員に国民年金制度への加入が義務付けられていなかった時代、いわゆる制度のはざまの時代に保険料を払わなかったため、重度の障害を負っても障害基礎年金を受け取れず苦しむ人たちのことです。

わが国の障害基礎年金(月額1級約8万4000円、2級約6万7000円)は、20未満で障害を負うと20歳になった時から一律支給されますが、20以降に障害者になった

場合は国民年金に加入していなければ支給されません。坂口厚生労働大臣独自の推計によると、20歳以降の学生時代に国民年金に未加入だったり、在日外国人で年金に加入できなかったりして障害を負った無年金障害者は全国で10万人以上いるとされます。

☆「無年金障害者問題を考える議員連盟」

制度の網から洩れていたために不当にも年金受給できないこうした無年金障害者を早急に救済する必要があります。そこで、黒岩宇洋を事務局長とする「無年金障害者問題を考える議員連盟」が半年の準備期間を経て、2002年12月4日に設立しました。会長に八代英太元郵政相、顧問に津島雄二元厚生相、そのほか幹事は全政党にわたるという強力な布陣で、約100名を有する非常に大規模な議連となっています。将来的に年金財政が逼迫する見通しの中、官による弱者切り捨てを防ごうと党派を超えてスクラム体制を敷いています。

☆「無年金障害者問題を考える議員連盟」 第1回幹事会

☆第1回幹事会 開催

「無年金障害者問題を考える議員連盟」第1回幹事会が2003年2月13日(木)、

参議院議員会館の議員第2会議室で開催されました。本議連で事務局長を務める黒岩たかひろは、司会進行役を努めると同時に、冒頭、本問題に対する現在の厚生労働省の対応について説明をしました。その後、出席役員により議連の今後の活動方針について話し合われました。

以下、その決定事項をお知らせいたします。

☆決定事項

一.活動方針

1.基本方針

年金制度枠内での解決を基本とする

2.救済対象

無年金障害者のケースのうち、未加入者・滞納者を除く「適用除外の在日外人」「適用除外の在外邦人」「任意未加入の学生」「任意未加入の主婦」の4類型

*「未加入者」「滞納者」の2類型は、上記4類型救済後、福祉的措置で解決を図る

3.具体策

2004年度年金改正へ向けて骨格を作る

→「無年金障害者救済」項目を入れる

二.活動計画(今常会)

1.「第2回 無年金障害者問題を考える議員連盟」開催

第2回議連総会を3月20日前後に開催する。内容は、①関係者・関係団体からヒアリング、②厚労省担当局長より調査報告と来年度の年金体制についてヒアリング

2.迅速な対応

厚生労働省の調査報告に対し、申入れ書提出等、迅速なアクションを心がける

3.委員会質疑

厚生労働委員会に所属する議連の役員又は会員によって、委員会一般質疑で無年金障害者問題を一斉に取り上げる

4.意見書の提出

今夏発表の厚生労働省による実態調査の結果を踏まえ、坂口大臣と面会し、意見書を提出する 以下略

黒岩たかひろ議員のサイト

http://takahiro.025.ne.jp/kokkai/event.html


資料

障害者の権利と尊厳を強化し守る包括的かつ完全な国際条約についての第2回国連特別委員会への提言

世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワーク

2003年6月10日

条約の必要性

平等な人権を組織的に保障し、そしてそれに焦点を当てた人権条約を障害者は必要としている。現在、ほかの人権条約も障害を理由とした差別を禁止してはいるが、差別禁止を実現するには不十分である。障害者が参加して作られる条約は現実の人権侵害と差別に焦点をあてることが可能となる。

原則

条約は国家の義務について定めるものでなければならないが、また必要な社会的構造的変革をももたらすものでなければならない。条約は障害者のさまざまな権利に焦点をあてなければならない。そしてそれらの権利は平等で自己決定(自分自身で決定を下すという意味において)に基づく社会的連帯のもとで行使されることに焦点を当てるべきである。

はじめに

WNUSPはこの条約で、従来のパターナリスティックな基準に基づいた規定がされるのではないかと案じている。そうした基準はこの条約の解釈に混乱をもたらしかねない。障害に関する世界行動計画と基準規則、同時に障害に関する中米条約、関連するILO(国際労働機関)条約などは障害者の人権条約に先立つものであると認識されなければならない。

基本的条項 すべての規定の上位にあること

条約は、以下に引用する文章によって従来の法律を無効にし確実にそれに代わるものでなければならない。以下は「なにが条約に含まれるべきか?」というメキシコシティーでの専門家グループ会議で出された文書に含まれている。

「条約の条文に違反しあるいは条文の適用を制限する、いかなる国際的国内的法の規定も、いかなる行政上の規則や決定もまず無効とみなされなければならない。」

基本的条項 対象者をどう定めるか

条約の性格が、人権条約であり非差別的なものであること、すなわち障害を理由とした差別からすべての人を保護することは重要である。それゆえ障害にもとづく差別の定義が重要となる。障害者差別撤廃中米条約、人種差別撤廃条約、女性差別撤廃条約、そしてキトにおけるセミナーで参加者による文書による提起に基づき、われわれは以下の定義を提案する。

障害者に対する差別

a 障害者に対する差別とは、障害、障害の記録、以前の障害より生じた状態、予測される障害に基づいた、過去か現在かを問わない、障害者の人権、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的自由の平等な条件での認識・享受・行使を制限もしくは否定する効果や目的を持ったあらゆる区別、排斥、制限を言う。

b 物理的環境の障壁あるいは心理的態度の障壁を除去できないこと、または市民的、文化的、経済的そして社会的生活における諸活動への完全参加と希望するサービスを受けることを不可能にする新たな障壁を作り上げること、これらもまた差別となる。

c 上記のaあるいはbで定義された差別を受けたものは誰でもこの条約による救済を求められる。

障害者及び障害そのものの定義は条約作成過程のいずれかのときに必要とされるであろうが、現在はまだその緒についたばかりで、障害者団体間および障害者団体と政府代表団との間でさらなる議論が必要であると考える。

われわれが最も重要だと考えるの上記の定義がすべての障害者すべての障害の形態を包摂するということである。そして医学的用語と診断によって障害を規定する障害者と、政治的社会的範疇の問題としてのみ障害を規定する障害者の双方に受け入れられる定義が求められている。

障害に関するいかなる定義であってもその拡大に向けた論議、たとえば障害を構成している機能的制限についての拡大と称するような議論、を引き起こすものでないこともまた重要である。

基本的条項 国家の義務とは何か?

条約は国家に対して反差別法を作ることそしてそれ自身が差別を存続させているすべての法律を廃止することを求めなければならない。

条約で保障された権利については国内審査機関で救済を命ずることができるようにならなければならない。また非政府機関による権利侵害からの保護についても国家の義務とされなければならない。こうした規定は人権条約において必須のものであり、すでに採択されたほかの条約における国家の義務と同様でなければならない。

基本的条項 差別撤廃へ向けた積極的(原語はaffirmative アファーマティヴ…長野注)政策あるいは賠償的な政策はこの条約において認められるか?

a 「特別に権利を侵されやすい条件下の障害者」に特別に焦点をあてることに対する懸念

権利を侵害されやすい状況下の障害者への特別な権利保障条項を条約に入れることに関し懸念を表明している人は多い。こうした特別な条項を障害者の中の一定部分を分離したり、その部分に対して低い人権基準を適用するための口実としてはならない。

他方で障害に加え、人種、性、年齢などといった因子をもとにした差別をも重複している場合については焦点をあてるべきこととして明言されなけばならない。

b差別撤廃に向けた積極的(アファーマティヴ)対策あるいは賠償的対策とは何か?

恒久的な差別撤廃に向けた積極的対策あるいは賠償的対策という概念は問題が多い。そうした対策があれば、障害者が完全に社会に統合されることは決してないということになりかねないからである。差別撤廃に向け積極的対策や賠償的対策といった概念に代わりうるものがあるとすれば、ユニバーサルデザイン(訳注1)、障害者への合理的な配慮、そして政策決定のあらゆる面に障害を組み入れること(原語 main- streamingメインストリーミング…訳注2)といった体制変革であろうとわれわれは考える。

あらゆる面で障害者にもそうでない者にも社会は平等に開かれたものとなるには、ユニバーサルデザインという概念が一般的政策決定についても拡大適用されるべきである。

支援的サービスや装置器具への権利は賠償とみなされる必要はない。世界人権宣言にはすでに「すべて人は、……中略……自己の尊厳と自己の人格の自由な発展とに欠くことのできない経済的、社会的及び文化的権利を実現する権利を有する」という条項がある。障害者の権利条約は、障害者自身の専門的知識の光のもとで国家の義務の本質をこの観点から明確にするであろう。

国家の義務は障害者の自己決定(自分自身による選択の権利)といかなる形でも衝突する形で解釈されてはならない。

特別な条項

障害に基づく差別なしに自由である権利は平等な社会参加に向けては重大なことである。施設や病院あるいは家族の家へ拘禁は排外のもっとも極端な形態である。

精神と肉体の自律性の権利、望まない治療の拒否権も同様に重大である。「ノー」という権利は精神と肉体を健全に保つ中心的なものだ。特別報告官は以下の言葉で基準規則に補足されるべき提案として権利を規定している。

国家は他の市民同様の治療への同意と拒否の権利を含む自己決定権を認識すべきである。

国家は医療機関および医療者個人が、インフォームドコンセントの要件、治療拒否権そして施設への強制収容に応じない権利を含む自己決定権について障害者に対し告知することを保障しなければならない。国家はまた望まない医学的あるいは関連した介入そして障害者に押し付けられている矯正手術を防止すべきである。

*障害者権利条約は望まない医療およびそれに関連した介入を拷問、残酷で非人道的または品位を汚す処遇または罰の一形態として禁止すべきである。障害者に対して行われる、尋問、強制、脅迫、罰を目的とした、あるいはいかなる形態であろうと差別を理由とした医療およびそれに関連する介入もまたとりわけて規定され禁止されなければならない。

*条約は障害のみに基づくまたは障害をその一つの理由とした拘禁や留置はいかなる形でも禁止すべきである。

*どのようなものであれ治療やサービスを受けるか拒否するか決定する権利もまた保健と社会サービスの条項で規定されなければならない。決定に必要な情報提供を保障する条項により、そして障害者が自分自身に有益だとみなす形のサービスを適切に提供することによって、この権利は保障されなければならない。

*保健とリハビリテーションの権利についての表現を工夫するなら、表現は疾病や障害の治療という医学用語より広くなければならない、それはあらゆる種類の治療と健康法の選択を許容し、健康志向のものでなければならない。

*条約には障害者の家族を作り維持する権利条項、そして障害者の個人情報のプライバシー権の条項が含まれなければならない。

*障害者の雇用される権利は合理的配慮、雇用のあらゆる場面での非差別と、同一労働同一賃金の要件を含まなければならない。雇用される権利は、能力を過小評価し差別的に固定化する隔離された職場ではなくて統合された経済的参加という取り組みでなければならない。

*住宅は物理的、法的、社会的経済的に障害者が手に入れられるものでなければならない。障害者の一定のグループは公営住宅に入る資格がないと排除されている国もある。これは法的障壁の一例である。多くの国で、住宅費は障害者にとって手の届かないものであり、彼らは他の人の家に住むとか施設にあるいは路上に住むことを強いられている。社会的差別もまた住居を獲得するわれわれの能力を阻害している。すべての障害者に対し生存のための基本的必需品入手の保障を宣言すると同様に、条約はとりわけ住居の必要性を宣言すべきである。施設収容あるいは同じような隔離された住まいは、住居保障に代わるものとして許容されてはならない。

履行と監視

WNUSPは特別報告官と専門家パネルと同時に、政府報告書、不服申し立て機関(団体としてそして個人として)、NGOの参加、そして条約機関の調査権限を含んだ包括的な監視機構を提唱する。また障害を統合するための共同作業を目的で開かれる、その発展と政策決定の政府間の会議においては、NGOをとおしあるいは他のやりかたででも障害者を参加させなければ何の成果もあげられないと確信している。これは他の条約の監視と履行においても有効と証明された方法である。

監視委員会は国内障害者組織の指導者である障害者の中からあるいは障害者の権利の強化と保護に能力と実績のある障害者の中から選ばれた多様な専門家グループによって構成されなければならない。

障害者はまた条約の監視と履行を監督する国内組織に中心的かつ影響力を持って参加する必要があるだろう。

組織紹介

世界精神医療ユーザー・サバイバー・ネットワークは精神医療ユーザーとサバイバーの国際組織である。WNUSPはユーザー・サバイバーの人権の主張し、ユーザー・サバイバーのために国際的に発言し、すべての国でユーザー・サバイバーの運動を強化しそして国際的にユーザー・サバイバー組織および個人を連携させている。

精神医療ユーザー・サバイバーとは、狂気あるいは精神保健上の問題を体験し、また精神医療・精神保健サービスを使ってきたまたはそこから生還したと者と自らを定義している人である。監禁と強制医療を課せられることは有害で生命を脅かすものだという認識しているので、われわれは「サバイバー(生還者)」と自称している。

WNUSPはユーザーとサバイバーが自らの存在の認知を求め、自らの代表を求めていることから生まれ育ってきた。世界精神保健連盟の2年ごとの会議での集会でWNUSPは生まれたが、いまや恒久的な国際組織である。

WNUSPは1991年世界精神保健連盟のメキシコ会議で世界精神医療ユーザー連盟として結成された。1997年には名称を変更し現在の名称となった。1999年にチリ・サンチャゴでの国際集会の計画のために国際障害者基金から最初の基金を得た。2000年にデンマーク・オーデンスに組織事務局が作られ、2001年に34団体12カ国からの参加を得てバンクーバーで第1回総会を開き、WNUSPの規約を採択した。

現在30ヶ国70以上の団体会員がいる。また個人会員制もあり公開のメーリングリストとホームページがある。

(仮訳 長野英子)


(訳注1)ユニバーサルデザイン

障害者非障害者の区別なく、誰にでも利用しやすいデザイン、さらに仕組み。

たとえば建物を立てるときに正面に階段を作り、バリアフリーということで、スロープも脇につけるというのではなくて、最初から、すべての人が使えるように、階段ではない入り口を工夫する。

(訳注2)メインストリーミング

これはとても重要な概念です。現段階での長野の理解を書いておきます。一応「組み込む」という訳をしましたが、すべての差別や人権問題に対応するときに、どう政策を立てるべきかの現段階では最良の概念ではと考えます。

ユニバーサルデザインとも共通のことですが、今ほとんどすべての政策は、健康で壮年の男性を「人である」として立てられています。そしてそこからこぼれる、たとえば女性、子供、障害者、高齢者などは特別の政策で拾っていくという体制と考えていいと思います。日本では外国人も「人」の中に入っていないでしょうが。

たとえば精神保健福祉手帳を巡る議論の中で、権力への登録制度である、所得保障が原則、強制収容法である精神保健福祉法に組み込まれているのは問題などという議論がありました。

なんらかの経済政策を立てるときに、人権と障害ということをメインストリーミング(組み込む)とすれば、弱者と呼ばれる人に対してたとえば、障害者手帳を持つ人には公共サービスの値引きをして救済しようなどという話にはならないはずです。最初から人権と障害を組み込んで政策が立てられるわけですから、弱者に特別の救済措置を作る必要はないはずということになるわけです。

あまりに理想主義的と思われるかもしれませんが、この文章で、アファーマティヴな政策や賠償的な政策への批判をした上で、それに代わるものとしてはメインストリーミングとユニバーサルデザインの原理による、体制変革しかない、というのは上記のような意味だと私は理解しています。


編集後記

@同封の毎日新聞全面広告は5月25日に全国版に掲載されたものです。5月連休明けから、2週間ほどで目標額を超えるカンパが集まりました。多くの方の廃案への思いが集まった広告です。ぜひご覧下さい。

@皆様にご協力いただいた「心神喪失者医療観察法案」を廃案への署名は、73,998名集まり、魚住参院法務委員会議長あてに民主党、社民党、共産党議員のご紹介で請願署名として提出いたしました。多くの方のご協力に感謝いたします。

@法案廃案闘争に追いまくられた2年余り、合同検討会その他の保安処分攻撃との対峙から言えば3年余りの闘争でした。その間に転居まで重なりさすがに疲労困憊。皆様へのお手紙も滞っており恐縮です。いま少しお待ちくださいませ。

@7月18日締め切りで、厚生労働省が「診療情報の提供等に関するガイドライン(案)」に関する意見募集を行っております。詳しい情報が必要な方は窓口までお申し出下さい。インターネットをされる方はこちらから。
http://www.mhlw.go.jp/public/bosyuu/p0617-1.html

(略)

@国連障害者人権条約、そしてそれに対するWNUSPの取り組みなどについての資料をご希望の方は窓口までお申し込み下さい。インターネットをなさる方は長野のページに掲載中です。目次欄のWNUSPのところあるいは原稿欄のWNUSPの取り組みのところをご覧下さい。
http://www.geocities.jp/jngmdp/

全国「精神病」者集団ニュース 2003年4月号

2003年4月発行の「ニュース」抜粋です。 一般定期購読は有料(年6回程発行1年分5000円)です。(病者である会員の購読は送料も含めて無料となっております。)

全国「精神病」者集団
ニュース


ごあいさつ

せかれるような桜の季節も東京では終わりに近づきました。皆様いかがお過ごしでしょうか?

全国「精神病」者集団ニュースをお届けいたします。各地の仲間の息吹を感じていただけたら幸いです。新しい会員が増えております。余裕のある方は短い文章でもどうぞご投稿を。

各地の仲間の声がこのニュースの宝です。

よろしくお願いいたします。

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(略)


精神病院粉砕

愛知 N

電気ショックの歴史は懲罰としての歴史でした。やはり今、電気ショックを施した医師に当事者自身が謝れ!という必要があるでしょう。

まったくそのとおりですね。

精神病棟の閉鎖病棟で拘禁されてる状態では,中にいる者には,ロボトミーも電気ショックももっと怖れられるものでした。病者ばかりが,閉じ込められてる状態で,

それだけでも,わたしには,とても恐ろしい所でした。そのうえに,ロボトミー施行とか電気ショック施行の恐怖と言ったら,言葉では言い表せません。

中井久夫は,患者の回復に最も必要なのは,心身の安全保障感だと,説いていますが,精神病院の中の実態は,正にその対極にある長期にわたる医療による脅かしそのものでは無いでしょうか?,これは、形が代わっても(ロボトミーが行われなくなっても),電気ショックによる,恐怖は,医療とは,まったく言えず,入院患者の暴力による患者支配そのものです!恐怖の有り様は,北朝鮮の社会と変わりはないのです。

中井久夫の指摘する,回復の為の条件と,この事が,一体どこで合致するのでしょうか!、だから僕は,精神病院を解体せよと叫びたいのです・・・が。


2003年3月16日

「福岡県弁護士会 精神保健当番弁護士制度発足10週年記念シンポジウム」にて

福岡 エム

まず最初に、このような場に席を設けていただき、精神病に関する問題を皆様と一緒に考える機会をお与えいただきましたことに感謝申し上げます。また、日頃の皆様方のひとかたならぬご努力に敬意を表したいと思います。

私は、27年前と18年前に入院した経験があります。入院期間は通算10ヶ月くらいで、薬を飲んだのもそんなに長くはなくて、今現在は医療とは全く関わり無く暮らしています。そして、精神障害者も暮らしやすい街をめざすという目的で市民活動を続けて8年目になります。20年も前の事になぜこんなにこだわるかというと、その時の経験が私にとってはとてもショックな出来事だったからです。

たいした診察もなく何の説明もないままに保護室と言われる独房に閉じ込められました。それはとても恐ろしい経験でした。心に大きな傷を受けました。精神病院で受けた心の傷をいったいどこで癒せばいいのでしょうか。

世間では、あるいは「精神病者にも人格というものがあるのかね」というようなことを思っておられる方もいらっしゃるのではないかと思います。精神病と言われる人々は、社会の中で息をひそめて生きざるを得ないような偏見がつきまとい、自由に病者であることを主張できない状況が作られているので、精神病であるとはどういうことなのかが、一般の人々にはほとんど理解されていないように思います。だから刑務所のように拘禁性の強い閉鎖病棟に、罪を犯した人よりはるかに多くの精神病と言われる方々が収容されていることに、ほとんどの人が無関心なのだろうと思います。

そこは一般社会からはあまりにも隔絶された空間です。まさに社会の中の秘境とでもいうべきところで、そのような状況では無関心であらざるを得ないのかもしれません。

20年~30年あるいはそれ以上にわたる入院。しかもそれは、ほとんどが、自分の意思を持つことがゆるされない閉鎖病棟。

その中の人がもし罪を犯した人であって、刑務所の中のような過酷な生活を強いられたとしても、その人は入院していたから罪をつぐなったとは決してみなされません。

その人にとってどれほどその人の人生を侵される事実であったとしても、それはその人の為であると言われ続け、苦しみを苦しみとして認めてもらうことは出来ないというシステムのように思えます、そういう状況に陥った場合、どこに望みをみつける事が出来るでしょうか。果たした社会というものを信じることが出来るでしょうか。

精神病というのは、脳の機質的な欠陥であるとか、訳のわからないものとかと一般には思われているようですが、自分の経験や他の経験者の話しを聞くと、やはりそこには何らかの外的な理由というものもあるように思えます。

病気になりやすい状況と、それを回避できる状況というのはある程度あるように思います。そしてまた、犯罪に走りやすい状況と、それを回避出来る状況というのもあるように思います。

人は、社会の中で誰にも受け入れられなくて、人との信頼関係も自分との信頼関係も築く事が出来ない状況にある時、より犯罪に走りやすいのではないのでしょうか。逆に、社会の中にしっかり根を張ることができて、ゆるぎない自分というものを持つことができれば、あるいは犯罪から遠ざかることが出来るのではないかと思うのです。

精神病者であれば尚のことそうではないかと思います。

私は10ヶ月の入院中に出逢った人たちをどうしても忘れる事が出来ませんでした。その中にいる人達は、みなさん希望をなくしておられました。いつ、そこから出られるという見通しのないままに、延々と毎日同じ日々を繰り返さなければなりません。行動のすべてを制限された中でです。自分のしたい事をするという事はほとんど不可能で、やることもなく、長い廊下を行ったり来たりしておられました。

最近さかんにノーマライゼーションという言葉が語られます。この言葉は、収容所体験をもつ方から最初に発せられたと聞いています。収容所という場所の過酷さを、知的障害者の施設の中で見られたことから発していると聞きました。

日本の精神病院は収容所とどう違うのでしょう。

その中での生活が、どれ程生きる力をそぐものであるのかを、経験した人は知っています。それらの声に耳をふさいだままに、世界一のベット数を維持しようとすることは、ノーマライゼーションの理念からもかけはなれたものと思います。

精神病者はそのような施設でしか生きられない人たちと信じてしまっている人たちは、その施設の中で、どのような苦しい人生をおくっておられるかを、聞こうとされたことがあるでしょうか。

よく心の病ということを言われますが、私には、病院の中で出逢った精神医療ユーザーの心が病んでいるとは思えません。偏見、差別のある社会の中で、過酷な人生を強いられながら、、それがあたかもその人自身の価値のなさであるかに思わされながらも、人としての誇りをなくすことなく、尊敬に値する生き方をしておられる方を私はたくさん知っています。

海外では、精神医療サバイバーと名乗る人たちがおられるようですが、そう呼ぶにふさわしい人たちだと思います。

「私達は犯罪者ではない、犯罪者と一緒にしないで欲しい」と言われるユーザーもあると思いますが、それは、自分の誇りを守り抜いて生きておられる人の矜持であろうかと思います。でももし仮に、病ゆえに罪を犯してしまったとしても、その人が誇りを守り得なかったであろう病の苦しみうを、同じ病の経験を持つ者として、いくらか想像できるようにも思います。

薬で行動を制限することは出来ても、心を入れ替える事は出来ないのではないでしょうか。薬は、一時的に気分をコントロールすることはあっても、人生を創造することはありません。監禁して社会から隔離することによって、薬にたよらなければならない状況が作り出され、自分の人生を自分で選びとって生き抜いていくという力は失われると思います。自立というのは、信頼される人間関係がき築き得た時にこそ可能であろうと思います。あるいは、自分自身の中に信頼感を持ち得ることでこそ可能であろうと思います。

それは医療の充実とは別のものではないでしょうか。

医療という枠の中で訓練を施して社会復帰を促そうとすることに期待を持てないのは、多くの精神医療ユーザーも感じていることではないかと思います。

多くの人が、精神障害者と言われないで、薬も飲まないで、自分の意思で生きることを望んでいます。病院から離れたいと望んでいます。可能であれば。

罪を犯した人であろうとそうでなかろうと、精神病になった人にとって必要なのは、社会の中で認められるチャンス、学問を受けるチャンス、いろんな人と出逢うチャンス、感動できるチャンス等ではないかと思います。

施設隔離は、そのようなチャンスをことごとく奪います。

チャンスさえあれば、自分の力で人生を生き抜くことが出来ると思います。

精神病とラべリングされることによって、人生の可能性を奪われる社会であってはならないと思います。

精神病は、いつの時代にも起こりうる病と言われます。これからも精神病呼ばれる人たちはたくさん出てくるでしょう。精神病になったら希望がないと思わせてきた社会のシステムを問い直して、精神病者にとって必要なものは何なのかを、病気を経験したことのある人を含めて多くの人たちが考えていくことが必要であろうと思います。

精神病といわれる人たちと身近に生きてみて、精神病というものは、周りから思われているように絶望的なものではなく、その中にも豊かな可能性はあると確信を持てるようになりました。

私がもし病気を経験していなかったとしたら、それは知り得ないことだったろうと思います。私は私の人生の中で、このような経験が出来た事を誇りに思っています。


世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワーク(WNUSP)の日本政府に向けた「法案」廃案要請文

世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワーク(WNUSP)は精神医療や精神保健サービス体験者の国際的ネットワークです。私たちの主な任務は全世界のユーザー・サバイバーの権利擁護です。私たちは精神病と診断された人間も他の市民同様の権利を持つべきであると確信しております。それゆえWNUSPはすべての強制医療に反対し、同時二重だな犯罪を犯したことのないユーザー・サバイバーの強制収容にも反対しております。

私たちは日本の「心神喪失者医療観察法案」に反対することを表明するためにこの手紙を書いております。

私たちはこの法案が万一成立することがあれば、以下のような事態が生じると考えております。

*精神病者と診断された人への予防拘禁が公認されることになります。無罪とされた人や犯罪容疑はあっても起訴されなかった人までもその対象とされます。精神病と診断されていない人はこうした場合釈放されるのにもかかわらず、精神病と診断された人の場合は釈放されるとは限らないこととなります。

*精神病と診断された人の拘禁決定にあたり、適切な法的代理人や公正な聴聞が保障されないこととなります。

*重大な犯罪を犯した容疑すらないすべての精神病と診断された人々への差別が強化されます。

*日本の精神保健体制へのユーザー・サバイバーの信頼を損ねることとなります。

WNUSPは日本政府に法案を廃案にすることを強く求めます。私たちは多くの日本のユーザー、精神保健従事者、法律家そしてその他の法案に反対する人々の闘いを支持いたします。

世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワーク

共同議長

ジュディ・チェンバレン、
アイリス・ハーリング、
カールバッハヤンセン


全国「精神病」者集団ニュース 2003年3月号

2003年3月発行の「ニュース」抜粋です。 一般定期購読は有料(年6回程発行1年分5000円)です。(病者である会員の購読は送料も含めて無料となっております。)

全国「精神病」者集団
ニュース


ごあいさつ

春先の体調を崩しがちな時期です。皆様いかがお過ごしでしょうか?

先の見えない苦しみの中でうめいている仲間からの訴えも多くなっています。

青葉若葉の季節が一段落するまでの苦痛を毎年語る仲間もいらっしゃいます。

まずこの時期を皆様が無事に過ごされることをお祈りいたします。

窓口係山本がこの法案廃案闘争、転居という生活実態の中で、多忙を極め疲弊もあり、お手紙へのお返事などが遅れがちになっていることをお詫びいたします。

「心神喪失者等医療観察法案」の参議院での審議が3月末にも始まろうとしています。

衆議院を通ったということはもう成立だといわんばかりに、法案を前提とした予算も組まれています。参院法務委員会では与党は一番にこの法案を審議しようとしているという情報もあります。

今回のニュースは「心神喪失者等医療観察法案」の動きにあわせた号外として、法案関係のみのニュースとなっています。ご投稿もたくさんいただいていますが、掲載できずにおります。いま少しいつものニュースはお待ちいただけますようお願いいたします。なお「法案」関係の資料その他ご希望の方は窓口までご請求下さい。同封の2.9集会報告のうち今後のスケジュールその他のお問い合わせも窓口まで。インターネットをお使いの方は長野英子(http://www.geocities.jp/jngmdp/)のページに随時情報が掲載されます。

注目!

全国「精神病」者集団の連絡先が変更となりました。

お手紙ニュースなどのあて先変更をよろしく。

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北から 南から 東から 西から


(略)


今後の「心神喪失者等医療観察法案」廃案に向けた闘争スケジュール

2月16日の2.9全国集会実行委の総括会議が開かれ、2.9実行委としてはいったん解散するが、参議院での法案審議に向け新たに実行委を広範に呼びかけ廃案闘争を継続使用ということになりました。広く賛同人を募り実行委を作り、とりあえず以下のスケジュールで活動していこうということになりました。未定のスケジュールのお問い合わせは2.9集会実行委連絡先まで。

★第1回実行委会議

多くの方に参加していただき、それぞれのご意見アイディアを取り入れたいと考えております。ぜひご参加を。

日時 3月6日(木) 午後6時半より
場所 文京区シビックセンター 地下2階会議室

交通案内

営団地下鉄丸の内線・南北線後楽園駅 徒歩0分(直結)
南北線からは地下からエスカレータで直結。
丸の内線からは歩道橋か横断歩道を渡ります。1分で着きます。
都営地下鉄三田線・大江戸線 春日駅徒歩0分(直結)三田線では神保町寄り出口が一番近く、地上に出てから1分で着きます。
大江戸線の方は地下からエレベータをご利用下さい。

★署名の取り組み

集会でも配布した「法案」廃案に向けた署名を取り組んでおります。参議院議長と法務委員会委員長あて署名です。

署名用紙をご希望の方は以下連絡先にお申し出下さい。

自律支援センターさぽーと

以下のサイトからもダウンロードできます。

http://www.geocities.jp/jngmdp/

★参議院議員会館での院内集会

廃案の声を集めて国会議員に訴えましょう。多くの方のご参加を!

当日はロビーで集会参加の入館票を配りますので、それを受け取って入館してください。

日時 3月26日 13時から16時
場所 参議院議員会館 第3会議室
地下鉄丸の内線・千代田線 国会議事堂駅前 下車
地下鉄有楽町線 永田町 下車

★4.20全国集会

「心神喪失者等医療観察法案」の参院での審議中と予測されます。全国の仲間の声を集め、予防拘禁法を廃案へ!

日時 4月20日(日) 午後1時半会場 2時より4時半まで

集会後交流会を予定

4月21日(月) 国会議員に向けた行動(予定)

場所 幡ヶ谷区民会館

渋谷区幡ヶ谷3-4-1 電話03-3377-6203
交通機関 京王新線 幡ヶ谷駅下車 徒歩5分
新宿駅から京王新線二つ目(約5分)京王線ではないのでお間違えのないように

京王新線幡ヶ谷駅北口を出て、左に曲がる。そこから3本目の路地(角がガソリンスタンド)を左に曲がると、6号どおり商店街、その商店街を道なりにすすむと、水道道路に出る、信号を渡って左に曲がったところから約50メートル


「つぶせ!予防拘禁法 2.9全国集会」報告集


各地から参加した精神病者の声

悪法許せない佐賀の四方木屋です。2、9の全国集会は、私は生まれて初めての感激と言いがたい興奮を感じました。前日の交流会は全国の活動家たちが集い、終わるのが残念なほど新鮮さと、新しい出逢いでした。 (四方木屋 佐賀)

いまが時だ。俺達の未来は「法」や「医療」ではなく、俺達自身が決める。

いまが時だ。勝ち負けではなく、ひとりひとりが、いま・ここでやれることを試してみよう。

いまが時だ。システムにつながれた俺達の人生と魂を奪い返そう。

(Y 「心神喪失者法案」の廃案を求めるみやぎ実行委員会)

泉会は、ピアカウンセリングが中心で、対外的には、運動を起こさない方針ですが、今回の呼びかけで参加して、全国レベルの他の患者団体の人達のパワフルさには感激しました。

(C 心の泉会)

「普通」という言葉の思い込みがあると思います。やさしさを考えることはとても大切なことだと学びました。やさしく生きるためには、何か問題があったときには、闘うことも大切なことと全国から集まった、数百人の方から教えられました。

(S 松ぼっくりの会)

「私たちは精神障害者である前に人間である」のアピールが一番心に残りました。私たちが日常的に人権弾圧されている実態に黙っていてはいけない。

(F 松ぼっくりの会代表世話人)

欠格条項、精神科特例はそのままで! ますます偏見差別を助長する悪法断固反対! 国会議員よ! なぜごり押し急ぐのか! 精神病者の目線はるか上にいるからだ! 「一度でも、精神病院に体験入会してみなさい」

(F 松ぼっくりの会)

2.9集会では多くの仲間と意見交換が出来て充実した一日でした。ダメ連の店「あかね」においては色々な障害者対策等が飛び交い勉強させていただきました。

(F・33歳 統合失調症)

ハルシオンの下村です。集会の半ば、30分6曲も僕らの唄に心を傾けてくれてありがとう!

また上京して、抗議運動に全力投球したいので、よろしく!

保安処分・粉砕! 新法・阻止! (S 大精連)

反戦運動が世界で盛り上がってきています。この新法を成立させてしまうことは政治家統制の第一歩となってしまう。ここで「ノー」と主張することが私の反戦運動なのだと思いました。みんなとの連帯感をかみ締めながら、帰途につきました。

(K こらーるたいとう)

2.9集会に参加して、私にとって一番の収穫は「私は一人ぼっちじゃない」ということを実感できたこと。全国から駆けつけた仲間と共に力一杯叫んだ「精神障害者は街で生きるぞ!」というシュプレヒコールが胸にしみます。支えあう仲間がいれば病気も差別も怖くない。 (ペンネーム 大津太郎)

発病から30年、家族を失い一人密やかに悶え、のた打ち回って生きてきた私にとって、カミングアウトという世界があることさえ知りませんでした。交流会で全国から集まってきた多くの仲間の話に目を覚まされました。疲れましたが、私の人生を変えた2.9集会でした。 (S 京都)

私は2・9集会もさることながら2・8,2・9交流集会で全国の仲間と連帯感を持てたことが大きな勇気になりました。全国に散在している病者ですが、自ら奮闘していくことが市民との連帯につながる道だと思います。

(S 「心神喪失者法案」の廃案を求めるみやぎ実行委員会)

2.9 集会はさすが、全国のエンパワメントを得た方達と思って来ました。ただ、力を得たのも、その影には色んな人の力が沢山合っての事と思いつつ帰って来ました。

(K めざめの会・日本てんかん協会宮城支部)

この法案は政府と厚生労働省における精神障害者への棄民政策をもとにしたものであり、現に精神障害者に対する差別・偏見をさらに助長するものであり、地域精神医療に向いていたものが、隔離・収容にもどるのではと危惧する。

(いこいの場ひょうご一同)

参加してくださった多くの仲間のごく一部の方の声です。

メッセージは到着順です。


「つぶせ!予防拘禁法 2.9全国集会」報告

2月9日東京飯田橋のシニアワークセンターで、「心神喪失者医療観察法案」廃案に向けて全国集会が220名の参加を持って開催された。

それに先立ち前日は各地から駆けつけた「精神病」者仲間を中心に身体障害者、「精神病」者家族、精神病院労働者、その他30名あまりで宿泊場所の早稲田奉仕園において交流会。9日当日も午前中はシニアワークセンターで「言いたい放題交流会」と称し、60名余りが参加、法案に関するグループと、精神医療、福祉、作業所、地域について、のグループの二つに分かれ、参加者から日頃の言いたいことが率直に出され、熱心な意見交換がなされた。確実に各地で「精神病」者の運動が根付いてきており、それぞれが独自の多様な動きをしていることが印象に残った。しかし同じ県内ですら、それぞれの動きが孤立して線としてすらつながっていない現状は共通していた。

一方で作業所や精神医療を巡っては当事者というより行政の都合で作業所の建物が作られそこに自治体職員が天下りしている現状や、精神病院内で移動するだけで退院社会復帰となる福祉ホームB型の実態、精神科医や精神障害者福祉など専門家たちこそ差別や偏見がある。作業所などで当事者のやる気を押さえつけているのは家族やスタッフだという指摘もあった。家族に精神病への理解がなく、働けとお尻をたたかれるつらさを訴える「精神病」者参加者もおり、また「厄介者を引き取れ隔離しろ」というニーズは家族も含めて社会一般にあるとも語られた。

法案廃案のためには精神医療従事者家族も含め広範な市民労働者との連帯が必要という前提があるにしろ、現場で日常的に弾圧されている「精神病」者と精神医療従事者、健常者との緊張関係もまた否定することはできない。古くて新しい常に自覚されていなければならない問題である。

今回の集会での成果の一つはこうした交流会で「精神病」者仲間だけでなくさまざまな立場のものが率直に意見交換できたことであろう。初めて「精神病」者の生の声を聞く参加者も多かったと思う。

集会は龍眼さんの経過報告で始まり、参院での闘いに向け幅広い陣形作りが訴えられ、部落解放同盟、自治労などが廃案署名に組織的に取り組むこととなった報告もなされた。七瀬さんからは交流会の報告、その後京都のO弁護士から法案の問題点の講演。修正といっているものの、なんら本質的には変わっておらず、「精神病」者への偏見を強化する法案として廃案しかないことが訴えられた。

カンパアピール国会議員からの檄文紹介の後大阪の「精神病」者のバンド、ハルシオンの演奏。私たち「精神病」者の隔離実態を訴えた春夏秋冬ほか6曲が演奏され感動を呼んだ。

アピールは大阪の山口博之さん、仙台の佐藤宏明さんから当たり前の人として生きたい、私たちは人間だという宣言を、という当事者の声、精神保健福祉従事者懇談会から樋田医師の政府が精神医療の実態差別偏見に対して責任をとらず問題をすりかえていることの告発と、自分たちも国会ロビー活動を再再度行い、連帯して闘うという決意表明、自治労の寺沢さんから、自治体病院ですでにこの特別施設に転用できる病棟が先取り的に建設されていることおよび一方で自治体病院の民間払い下げなど、自治体の精神医療への責任放棄の実態報告、自治労も法案反対に向けがんばっていくというアピール、そしてDPI日本会議、監獄人権センターからそれぞれ、障害者への支援費上限問題に対する闘争報告および獄中者の人権問題とりわけ昼夜独居を強制されている獄中者が精神障害者である可能性が高いことなどの報告がなされた。飛び込みで下獄しようとしている悟道軒圓玉さんから障害者の獄中生活を暴露するホームページ作成への協力要請がなされた。

集会決議採択後、約140名でデモを行い、さらに有楽町でオープンスペース街とハルシオンの演奏とともに70名余りでビラまき署名集めの行動が行われた。

2.9集会実行委はいったん解散するが、参院への闘いに向けさらに広範な仲間を集め運動は継続される。

(文責Y)


集会決議

私たちは精神障害者、障害者、精神医療・保健・福祉従事者・法律家・労働者・市民といったあらゆる立場から本日「心神喪失者等医療観察法案」を廃案にする決意をもってこの集会に集まりました。

この法案は、重大な犯罪にあたる行為(殺人、放火、強盗、強姦、強制わいせつ、およびこれらの未遂と、傷害)を行ったとされた人が、再び同様の行為を行うおそれがあるとされれば、強制的に入院ないし通院させて治療を加えるという新しい制度を定めたものです。

対象とされるのは「重大な犯罪にあたる行為をした」とされ警察に逮捕され検察に送られても、心神喪失あるいは心神耗弱とされて不起訴(ないし起訴猶予)となり裁判にならなかった人、あるいは裁判になっても心神喪失・心神耗弱による無罪・執行猶予などとなり刑務所に行かなかった人です。通院については最長5年とされていますが、入院については期限がありません。

そしてこの処分は裁判官と精神科医によって、通常の裁判では保障されている当たり前の手続きさえ省略され決定されます。

「再犯のおそれ」を要件に「再犯防止」を目的として人を拘禁する法案であり、これこそまさに予防拘禁法です。

もしこの法案成立を許せば、「精神障害者は危険、だから特別な法で予防拘禁してもよい、するべき」という偏見が強化され、精神障害者の退院促進や地域での生活総体はより困難になります。

また法案は精神科医や精神保健福祉士などに「再犯のおそれ」の判断と「再犯防止」の責務を負わせます。こうした責務は当然にもこの法案に定められた機関のみならず、精神医療総体にも押し付けられ、今以上に精神医療は社会防衛の任務を課せられ、治安の道具とおとしめられます。すべての精神医療・保健・福祉関係者はいわば警察官となってしまい、精神医療は医療ではなくなってしまいます。

私たちは法案が人を「将来の予測」に基づいて不定期に拘禁するものであり、とりわけて精神障害者を予防拘禁するという精神障害者差別立法であると考えます。精神医療を治安の道具にしないためにもこの法案は廃案しかないことを改めて確認します。

法案は早ければ3月にも参議院で審議が始まろうとしています。

私たちはこの法案廃案まで闘いつづけることをここに宣言し、広くこの闘いへの参加を呼びかけます。

2003年2月9日

つぶせ! 予防拘禁法2.9全国集会参加者一同


「触法心神喪失者等医療観察法案 絶対つくってはいけない理由!!」

弁護士 O

第1 法案の概要

法案の対象者:殺人、放火、強盗、強姦・強制わいせつ、傷害にあたる行為をして、心神喪失・心神耗弱とされて不起訴処分となって裁判を受けないか、裁判で心神喪失による無罪判決または心神耗弱による刑の減軽を受けて刑務所に行かない人(2条3項)。

本法案は、これらの人に対して、裁判官1人と精神科医1人で構成される合議体が、再犯防止のために、「指定入院医療機関」への強制入院又は精神保健観察下の強制通院を課すものです。

第2 法案の問題点

1 「再犯のおそれ」で強制入通院を課すこと

①「再犯のおそれ」要件は修正案で削除されたのか?

(原案)「(入院をさせて)医療を行わなければ心神喪失又は心神耗弱の状態の原因となった精神障害のために再び対象行為を行うおそれがあると認める場合」(42条1項)

(修正案)「対象行為を行った際の精神障害を改善し、これに伴って同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するため、入院をさせてこの法律による医療を受けさせる必要があると認める場合」

一見、「この法律による医療を受けさせる必要があると認める場合」という医療上の要件に変わったように見えるかもしれません。しかし、「医療を受けさせる」目的である「対象行為を行った際の精神障害を改善し、同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するため」のうち、「精神障害を改善し」「社会に復帰すること」は通常の医療・入院の当然の目的のはずですから、意味があるのは「同様の行為を行うことなく」=「再犯防止」が付け加わっている点ということになります。

とすれば、やはり「再犯のおそれ」の有無を判断せざるを得ず、結局は「再犯のおそれ」要件は削除されていないのです。

②「再犯のおそれ」という将来の危険性に基づいて自由を奪うもの

刑罰は、過去に行った犯罪に対する責任として科せられるものです。将来、犯罪にあたる行為を行う「かも」しれないというだけで、自由を奪うことが許されていいのでしょうか。

③「再犯のおそれ」は誰にも判定できない

人間の将来の行動を100%予測することなど、絶対に誰にもできません。欧米の研究成果をふまえても、「再犯のおそれ」があると判断された人のうち実際には再犯しない人が8割にも上るというのです(「再犯予測について(日本精神神経学会精神医療と法に関する委員会報告)」)。これほど不確実な根拠で人を拘禁することは許されません。

④裁判官による「おそれ」判断の偏り

現在の刑事司法の中で、裁判官は勾留決定や保釈決定の際に「逃亡のおそれ」や「罪障隠滅のおそれ」を判断しています。しかし、その判断は、「独身で無職だから逃亡のおそれがある」といった程度のものです。「再犯のおそれ」を同じ調子で判断したら、「ない」と言えることはないでしょう。

2 法案による処遇~「社会復帰」のまやかし

①修正案における「社会復帰」の強調

修正案においては、「精神保健観察官」を「社会復帰調整官」に名称変更したり(20条)、関係者の「社会復帰」への努力義務を加えたり(1条2項)、付則に「医療・福祉の水準向上」を加えたりして、「社会復帰」を強調していますが、これらは裏付けのない言葉だけのお飾りにすぎません。

②通院期間は上限5年だが(44条)、入院期間は上限なし

入院期間は6ヶ月ごとに更新する(49条2項)と言うのですが、「再犯のおそれ」がなくなるまで一生出られない可能性もあります。

現状でも、33万人の精神科入院患者のうち半分以上の17万人が外から鍵のかかる閉鎖病棟におり、受け入れ体制がないために退院できない「社会的入院」が7万人とも10万人とも言われています。このようは現状で、しかも「精神障害者」「重大犯罪を犯した」という二重のレッテルを貼られた人について「社会復帰」と言っても説得力がありません。それができるなら、今の入院患者を退院させ、地域で生活できるようにできるはずです。

③強制隔離による「人生被害」を生むもの

ハンセン病熊本地裁判決は、強制隔離は単なる居住・移転の自由を制約するだけではなく、「ある者は、学業の中断を余儀なくされ、ある者は、職を失い、あるいは思い描いていた職業に就く機会を奪われ、ある者は、結婚し、家庭を築き、子供を産み育てる機会を失い、あるいは家族との触れ合いの中で人生を送ることを著しく制限される。人として当然に持っているはずの人生のありとあらゆる発展可能性が大きく損なわれる」という「人生被害」をもたらすものであるとしました。

この法案は、新たな「人生被害」を生むものになります。

④特別施設への強制入院(43条1項)

「犯罪にあたる行為をしたか否か」「心神喪失・心神耗弱と判断されて刑務所に行ったか否か」の区別による特別な治療法はありません。154国会で出された「メモ」は人格障害者を想定したものと思われますが、「人格障害者は本法案の対象外」と答弁するなど矛盾しています。

⑤精神保健観察下の強制通院

これは、保護観察所という「犯罪予防」を目的とする機関が関与して、「一定の住所に居住する」などの義務に違反すれば再入院させられる(107条、59条2項)という恫喝によって通院を強制されるという制度です。それは「本人のための医療」とは言えません。

⑥強制医療の問題

この法案により入通院している人に対して、精神科医や「社会復帰調整官」は「再犯のおそれ」があるか否かを常に観察し、必要に応じて報告して、裁判所に審判の申立をする材料を用意しなければなりません。そのような相手に対して、正直に症状を告白することなど、怖くてできないのではないでしょうか。そこには治療者と患者の信頼関係は成り立ち得ません。

3 精神障害者差別であり、差別・偏見をさらに作出・助長するもの

①「精神障害者は危険」という根拠はない

刑法犯検挙人員中、精神障害者とその疑いのある者の割合は0.64%(2002年犯罪白書)。精神障害者の人口比は1.7%と言われるので、精神障害者の犯罪率は低いということになります。

また、再犯率については、11年間の追跡調査の結果として、殺人を行った精神障害者の再犯率は6.8%、殺人を行った精神障害者でない人の再犯率は28.0%という研究があります(「触法精神障害者946例の11年間追跡調査(第一報)」山上皓ら・犯罪学雑誌61巻5号)。

とすれば、精神障害者が特別に危険であるという根拠はないのです。

②「精神障害者は無罪放免」の誤解

精神障害者は犯罪にあたる行為をしても刑罰を受けないと思われている面がありますが、それは正しくありません。

2000年の刑法犯の被疑者のうち、精神障害者の起訴率46%に対して、全体の起訴率は58%とされます(読売新聞2002年7月3日記事参照)。そして、2000年1年間で新たに刑務所に入った精神障害者は1,200人います。

このように、実際に多くの精神障害者が裁判を受けて刑務所に入っているのです。

③法案による差別・偏見の助長

上記①②の通り、精神障害者を特別に再犯予防の対象とすべき根拠はありません。

それにもかかわらず、ハンセン病熊本地裁判決は、「らい予防法」がハンセン病患者の特別に強制隔離することによって「ハンセン病患者は隔離されるべき危険な存在である」という誤った社会認識を作出・助長としたのと同じように、この法案も精神障害者のみを特別に再犯予防の対象として強制隔離するものであり、「精神障害者は危険な存在である」という誤った社会認識を作出・助長することになります。

4 手続き上の問題

①憲法の要請する適正手続に違反している

いったん無罪判決を受けた人に対して同じ事実を根拠として事実上の刑罰を科すことは「二重の危険の禁止」(憲法39条前段)に違反し、執行猶予付きの有罪判決を受けた人に対しても「二重処罰の禁止」(憲法39条後段)に違反します。

また、法案施行前の事件にも適用される点(付則2条)は「遡及罰の禁止」(憲法39条前段)の趣旨に違反します。

②刑事裁判と異なる簡易な手続しかない(職権主義的訴訟構造)

刑事裁判であれば、犯罪事実の認定についてはそれなりに厳格な手続が定められています。しかし、本法案の手続は、警察・検察の作った調書がそのまま裁判官に提出され、反対尋問の権利や証人申請の権利もありません。付添人弁護士をつけることはできますが、本人と付添人との立会人なしの打合せの権利(秘密交通権)や証拠書類をコピーする権利(記録謄写権)すらありません。本人にも付添人にも、争うための権利がほとんどありません。

これでは、裁判官は警察・検察の描いたストーリーを鵜呑みにしてしまう危険性が高く、事実関係を争うことは非常に困難です。

③不服申立はほとんどできない

処遇決定に対する抗告制度はありますが、法令違反や重大な事実誤認、処分の著しい不当などに制限されています(64条2項)。鑑定入院命令に対する取消請求もありますが、「再犯のおそれがない」などの実体的な理由ではできないことになっています(72条2項)。

また、判断するのは高等裁判所の裁判官になるので、医療判断については元の決定を追認するしかないのではないかと思われます。

④再審制度も補償制度もない

刑事裁判や少年審判手続には、後日、新たな証拠によって無実であることがわかれば再審の道があり得ます。また、結果として無実であった場合に、逮捕、勾留、観護措置などの拘束を受けたことに対して補償がなされます。

しかし、本法案にはそのような制度はありません。

第3 法案の本質

法案の目的は、「病状の改善」と「同様の行為の再発防止」=再犯防止による「社会復帰の促進」であり(1条)、医療と関係しつつも再犯防止が主要な立法目的です。

それを実現するため、①重大な犯罪にあたる行為をしたが責任能力の問題により受刑しなかった者を対象とし(2条3項)、②処遇要件として「再犯のおそれ」を考慮し(42条1項等)、③その決定に精神科医のみならず裁判官を関与させ(11条1項)、④「指定入院医療機関」という一般病棟とは別の施設に強制入院させて医療を強制し(43条1項)、⑤保護観察所というまさに「犯罪の予防」を目的とする機関が通院を監督・強制すること(19条3項)になっており、これらによって対象者に事実上の刑罰に代わる制裁を加えるものとなっているのです。

この法案の構造は相互に密接に補完し合っており、その一部のみに手を加えたとしても法案の本質は変わりません。

人は、本来、社会の中で、人との関わりの中で生きていくものです。たとえ病気で入院することがあっても、それは一時的なものであって、社会に戻るためのものであるはずです。ところが、年単位で社会から隔離され、人との関わりを遮断することは、社会の中で生きるための術も居場所も意欲までをも奪い取ってしまうのです。どんな人についても「再犯のおそれ」が全くないなどと言うことはできないでしょうから、この法案の下での入院期間は必然的に長期に及ぶでしょう。

このような法案は、廃案にするしかありません。

(参考)

・全国精神医療労働組合協議会のHP(法案、いろいろな団体の声明、関連新聞記事等々多数あります)

http://www.seirokyo.com/index.html

・京都弁護士会の法案Q&A

http://www.kyotoben.or.jp/siritai/houkoku/3.html

・精神障害者閉じ込め法案反対連絡会メーリングリスト(psy-love-net)

oio@k9.dion.ne.jp(I弁護士)に申し込んでください。

(2.9集会当日の講演レジュメの図は省略)


資料

「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(案)」をめぐる経過

全国精神医療従事者連絡会議事務局

2001年6月8日午前10時過ぎ、大阪府池田市の大阪教育大学付属池田小学校に包丁を持った37歳の男性が侵入し、児童らに切りつけ、8人が死亡、15人が重軽傷を負った。この男性が精神科に入通院歴があり、2年前にも傷害事件を起こしたが起訴されずに措置入院となっていることから、小泉純一郎首相が翌9日に「精神的に問題がある人が逮捕されてもまた社会に戻って、ああいうひどい事件を起こすことがかなり出てきている」と発言したことを始め、政府関係者や「識者」から、いわゆる「触法精神障害者」の問題として捉える発言が相次ぎ、実際にこれを一つの契機に政府や与党を中心に新しい制度に向けての検討が始まった。

この年には、「重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇決定及び処遇システムの在り方などについて」を議題とした法務省・厚生労働省合同検討会が7回にわたって開かれていた。偶然であったが、この第4回がこの事件直後の6月12日にあり、マスメディア等の注目を浴びた。このときは、神弁護士および池原弁護士が、弁護士の立場から、新しい制度ができた場合の法学的および実際的問題点について述べた。

11月9日、自由民主党の心神喪失者等の触法及び精神医療に関するPT(プロジェクトチーム)報告が、次いで同月12日に与党(自民党、公明党、保守党)政策責任者会議・心神喪失者等の触法及び精神医療に関するプロジェクトチーム報告書が出された。「触法心神喪失者」に新たな処遇決定手続きと専門治療施設の新設、保護観察所の指導監督下での通院医療の規定等を提言したものであった。

2002年2月14日、法務省刑事局は、放火、強制わいせつ、殺人、傷害、強盗を「対象行為」とし、これを行った心神喪失者ないし心神耗弱者を「対象者」として、対象者が対象行為を再び行うおそれがあると認められるときに入院等の処遇を開始すること等を定めた「重大な触法行為をした精神障害者に対する新たな処遇制度(案)の骨子」を公表した。

3月15日、政府は、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(案)」を閣議決定し、同月18日、同法案を同日から始まった通常国会に上程した。

この過程については種々の批判が出されている。この時点までに種々の団体で出された声明等は、当連絡会議事務局が編集したパンフレット「『触法精神障害者処遇新法』に反対します」および「『心神喪失者医療観察法案』を廃案へ」にまとめた。

5月末より、衆議院法務委員会で同法案の審議が開始された。短期間で採択されてしまう可能性もあったが、最大野党の民主党が対案を出したこともあり、厚生労働委員会との連合審査などを経、会期が延長されたにもかかわらず採択はなされず、7月末、継続審議となった。

10月より臨時国会が始まった。11月に入り、与党は、野党に対し、法案の対象となるのを原案の「入院をさせて医療を行わなければ心神喪失または心神耗弱の原因となった精神障害のために再び対象行為を行うおそれがあると認める場合」から「対象行為を行った際の精神障害を改善し、これに伴って同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するため、入院をさせてこの法律による医療を受けさせる必要があると認める場合」に改めることを中心とした「修正案」を提示した。この提示は、11月13日の時点で非公式に行われ、同月27日に開始された衆議院法務委員会での審議の場で趣旨説明がなされた。

この「修正」は、種々の批判を受けて行われたものであったが、仔細に検討すれば到底「修正」と呼べるものではないことは明らかである。再犯予防が法の目的であることは変わっておらず、再犯予測が困難であることには一切答えていない。却って対象を曖昧にし拡大させたとの批判もある。例えば、日本精神神経学会・精神医療と法に関する委員会は、11月15日に、これを批判する声明を出している。

臨時国会での法務委員会の審議は、やはり厚生労働委員会との連合審査などの経過を経たが、12月6日、審議の続行を求める野党議員を押し切り、与党議員らにより同委員会で強行採決され、同月11日の衆議院本会議で可決された。

参議院に送られ、本会議での趣旨説明がなされた後、同月13日の臨時国会閉会で継続審議となった。

2003年1月20日、通常国会が始まった。政府・与党は今国会での本法案の可決・成立を目指していると言われており、この法案をめぐる状況は最後の正念場を迎えている。

(精神医療従事者連絡会議ニュースより)


冬季カンパ要請

各地の仲間の日頃の活動に敬意を表します。会員以外の方のご支援に感謝いたします。

全国「精神病」者集団は事務局員全員の体調不調および経済的逼迫のため現在事務局体制が機能せずニュース発行および窓口へのお手紙等への対応しかできていない状況です。

ニュースも昨年は4回しか発行できませんでした。

しかしながら、昨年12月の「心神喪失者等医療観察法案」強行採決に見られるように、私たち「精神病」者が、人間であることを否定し差別的に隔離収容しようとする政策はその頂点に達しております。

そうした中で、各地に点在する仲間をつなぐ「絆」のしるしとしてニュース発行を継続すること、情報提供を継続すること、そして窓口を開けておくことは重要なことと考えます。厳しい差別状況とこの間の弾圧の中で、会員が増えておりますので、ニュースの発行費および日常的な手紙の通信費負担も増大しております。

京都事務所も長らく皆様からのカンパで維持しておりましたが、財政的に維持不可能となりましたので、撤退しました。それゆえ現在財政は慢性的借金財政からは脱しましたが、今後もニュース発行と手紙等での交流を継続していくには自転車操業の状態です。

全国「精神病」者集団の財政は会員およびニュース購読者からのカンパおよび有料読者からのニュース購読料のみで成り立っております。

増税や年金生活保護の減額という中でのお願いで恐縮ですが、冬季カンパへのご協力をお願いいたします。またニュース購読料切れで請求書の入っている方はぜひニュース購読料のお支払いをお願いいたします。

なお「精神病」者会員は会費あるいはニュース購読料は無料です。同封の振替用紙はカンパしてくださる方への便宜のためであり、請求書ではありませんのでご心配なく。

カンパ振込先 郵便振替口座 00130-8-409131 口座名義 絆社ニュース発行所

なお領収書は経費節減のため次回ニュース発送時に同封させていただきますのであしからずご了承くださいませ。

担当者の転居その他によりお約束の2001年度の会計報告ができておりません。申し訳ありませんが、次号までお待ちいただけますようお願いいたします。

2003年1月

全国「精神病」者集団


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