全国「精神病」者集団ニュース 2003年8月号

2003年8月発行の「ニュース」抜粋です。 一般定期購読は有料(年6回程発行1年分5000円)です。(病者である会員の購読は送料も含めて無料となっております。)
プロバイダから課されている帯域幅制限の関係で今回の号は特に抜粋する割合が高くなっています。

全国「精神病」者集団
ニュース


ごあいさつ

「寒さの夏」でしたが、皆様いかがお過ごしでしたでしょうか。体力の消耗は少なく楽に過ごせた仲間も多かったのではないでしょうか。

今年は「心神喪失者医療観察法」という私たち精神障害者のみを差別的に予防拘禁する保安処分立法が成立し、35億円をかけて東京国立武蔵病院と、佐賀県の国立療養所に保安処分施設が建築されようとしています。その一方では、年金や生活保護の物価スライドによる減額、さらには生活保護の最低生活基準見直しまでなされようとしています。まず高齢者加算と母子加算のカットそして次は障害加算のカットかもしれません。

今国連で障害者人権条約が作られようとしていますが、私たち先進国の障害者はいわば衣食住を保障してやるから、人権はガマンしろ隔離に耐えろとされてきました。発展途上国ではそれ以前の状況でまさに生命維持そのものが脅かされています。

この国でもこれから私たち障害者の生存そのものが脅かされる時代が来るのかもしれません。最後の安全網といわれる生活保護の見直しは、それ以上にすべての人の生存権の否定、すさまじい競争社会からこぼれ落ちたものには死ね、という時代がすでに来ているといっていいかもしれません。

WNUSPが国連で、私たちも人間だと宣言したように、「心神喪失者医療観察法」廃絶に向け、そして生き延びるため、人権を回復するため、今後も共に闘っていきましょう。

(略)

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(略)


心神喪失者医療観察法に反対の声を

心神喪失者等医療観察法案とは、一度罪を犯した精神病者を「再犯防止」目的で、犯罪を犯す前に捕まえ、隔離病院へ拘禁してしまう法律です。

5月25日の『毎日新聞』に一ページ使って、反対の意見広告を載せましたが、6月3日、参議院で強行採決されました。新設する精神病院のために、障害者年金など福祉を削り、さらに税金を何十億も投入するということが起ころうとしています。(障害者年金は今年度より削減されました。)

また、この法案を成立させようとする「日本精神科病院協会」から、この法案の成立に力をいれてきた多くの自民党議員に対して、政治献金がなされていた事が明らかになり、「法案が金で買われていた」のではないかとの疑惑が出ています。日本精神病院協会というのは、「精神病院は牧畜産業(つまり、飼っていたら金になるいうこと)」と言ったような金儲けが目当ての医師たちの集団だと思われます。

有事法制が通った今、「反戦」「非戦」の声をあげることも犯罪となろうとしています。予防拘禁法が進んでゆけば、政府の敵と見なされると、精神病者に仕立てあげられ、一生「特別病院」で薬漬けにされてしまう危険性を含んでいます。今、憲法違反のこの法律に反対の声をあげていただきたいと思います。


2003年6月6目

「医療観察法案」参議院法務委員会における強行採決に対する緊急抗議声明

大阪精神障害者違絡会代表 塚本

去る6月3日「心神喪失者医療観察法案」が参議院法務委員会において、政府―与党の賛成多数で可決されました。与党側の動議で一方的に審議が打ち切られ、野党委員や傍聴する仲間たちの怒号の中で、強行採決されたのです。

「精神障害者の生命と人権」に深く関わる法案であるにも関わらず、参議院法務委員会での審議時間は29時間30分というありさまです。社会的弱者である「精神障害者の生命と人権」に深く関わり多くの問題点が指摘されている法案であるにも関わらず、十分な審議も尽くさず強行採決を行った事は、私たち「精神障害者の生命と人権」が与党議員によっていかに軽視されているのかを明らかに示しています。

今回の強行採決は精神障害者に対する多くの人権侵害や人生に傷を負わせてきた「精神科特例」をはじめとする誤った国の施策に対する政府―与党による何の反省もない事、また精神障害者が医療施設に隔離されるのではなく、地域であたりまえの市民として暮らしていく施策を推進する政策

内容も判断ももたない事を赤裸々にしています。

また、この法案を成立させようとする「目本精神科病院協会」から、この法案の成立に力をいれてきた多くの自民党議員に対して、政治献金がなされていた事が明らかになり、「法案が金で買われていた」のではないかとの疑惑が出ています。今回の強行採決は、こうした疑惑隠しの目的もかねているものと私たち精神障害者は受け止めています。これら一切の所業は、精神障害者に対するさらなる人権侵害や人生に傷を負わせようとするものです。

この法案が成立すれば、私たち精神障害者にとって国会は、憲法の重要な柱である基本的人権を尊重するための機関ではなく、「差別と偏見を助長し強める反人権・反民主的機関」に成り下がったと断言できます。

昨年の札幌におけるDPI世界大会において確認された「障害者の権利条約」「障害者差別禁止法」づくりの国際的潮流の中にある私たち精神障害者は、「精神障害者は何をするのかわからない」という杜会的偏見にもとづく新たな「隔離法案」である「心神喪失者医療観察法案」に対して、廃案を求め続けるとともに、「医療観察法体制」―「新たな隔離体制」を廃棄する戦いを全国の仲間とともに障害種別をこえて、自らの人生を賭けて行う事を明らかにし、「医療観察法案」づくりの口実にされた「池田小事件報道2カ年」の時、緊急の抗議声明とします。


日本精神障害者リハビリテーション学会でのビラまき支援の訴え

東京 長野英子

長崎で日本精神障害者リハビリテーション学会が開かれます。9月25日から27日です。

この学会は以下の要望書を出しているところです。各地の精神保健センター長も参加しているところだそうですが、肥前療養所に特別施設建設も予定されているところですし、私はここに法廃止と協力拒否を訴えるビラまきをしようと考えております。行政関係の医療従事者も結構集まると思いますが、法律そのものについても知らないという程度の認識が一般会員のようです。 実際法が運用されたら何をさせられるのか、精神医療がどう変わるのか、そういったことを訴えていきたいと考えています。

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触法心神喪失者等に対する精神医療の改革にあたっての要望書

平成14年2月10日

厚生労働省精神保健福祉課長 殿

日本精神障害者リハビリテーション学会

会長 江畑敬介

学会事務局住所:

112-0012 東京都文京区大塚3-29-1

筑波大学教育研究科カウンセリング専攻リハビリテーションコース内

電話:03-3942-6830

当学会は、精神障害者のリハビリテーションを研究し、それによって精神障害者の社会参加を促進するよう努力しているものである。当学会としては、精神障害者のリハビリテーションを進める立場から、触法心神喪失者等の処遇の改革にあたっては、次の点を十分に配慮されるよう望むものである。

1)触法心神喪失者等の地域リハビリテーションと社会参加を円滑に促進するためには、大規模な施設を少数つくるのではなく、例えば、一病棟30床以内とし、可能な限り開放的な環境を提供する司法精神医療施設を各都道府県につくることが必要である。

2)司法精神医療病棟の運営にあたっては十分な施設と人員を必要とするので、現行の医療法と診療報酬体系に基づかないものでなければならない。高度の精神科治療とリハビリテーションを提供できるようにするためには、例えば、看護職員数は患者一人当たり、少なくても二人は確保するように配慮願いたい。また、入院中より再発の防止には格別の取り組みが必要であり、高度の心理教育及び認知行動療法を実施するための作業療法士、精神保健福祉士、臨床心理士の配置に特段の配慮を願いたい。

3)入院措置および通院措置の有効期間には期限を設け、その必要性の判定は1年毎に裁定することとする。

4)精神障害者が心神喪失等によって触法行為に至ることを予防するためには、今後、地域精神医療と地域リハビリテーションをより一層充実しなければならない。司法精神医療体制だけが突出することによって、精神障害者は危険であるとの差別と偏見を助長することのないように万全を図られたい。精神医療と地域リハビリテーションの今後充実すべきことについては別の機会に意見を述べる。

5)司法精神医学の発展と精神医療従事者に対する司法精神医療の研修を充実するために司法精神医学研究機関を設置する。

6)触法心神喪失等に対する精神医療に関する法案については、その運用にあたり、わが国では、臨床的にも法律的にも,知識、技術、経験が乏しい現状を踏まえ、新法は5年の期限をつけて見直しを行うよう要望する。

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ビラまき自体を拒否される可能性もありますが、ご一緒にビラまきをしてくださる方いらっしゃいませんか? 共闘してくださる方は全国「精神病」者集団窓口気付長野まで直接ご連絡下さい。

詳しいことは長崎学会のサイト以下をご覧になるか直接下記連絡先にお尋ね下さい。なお同時に26日には九州ユーザーネットワークの集会も開かれます。

http://www.nwjc.ac.jp/~japr11th/index_japanese.htm
大会事務局 長崎ウエスレヤン大学
〒854-0081 長崎県諫早市栄田町1057
TEL 0957-26-8369 / 0957-26-1234
FAX 0957-26-8339 / 0957-26-2063


(略)


資料

生活保護制度の抜本見直しへ
最低生活費減額も視野

厚生労働省は最低生活費引き下げも視野に入れた生活保護制度の抜本的な見直しに乗り出す方針を固め、今月下旬、社会保障審議会に専門委員会を設置する。

不況で厳しさを増す一般国民の生活水準と照らし合わせた上で、保護基準額や高齢者・母子世帯に対する加算引き下げなどが検討される見通しだ。05年度の改正を目指すが、引き下げの一部は早ければ、04年度から実施される可能性もある。

生活保護は社会保障の「最後の安全網」といわれるが、景気低迷などで受給者数は急増。3月時点で国民の100人に1人にあたる129万2千人に達した。

03年度当初予算の生活保護費は前年度の約10%増の約1兆5200億円で、社会保障関係費(約18兆9900億円で対前年度約3.9%増)の8%になる。

具体的な検討対象と見られるのは、最低生活費に含まれる高齢者と母子世帯への加算。70歳以上に上乗せされる老齢加算(月額1万7930円)は廃止・減額を検討。一般母子世帯との所得の逆転が指摘されていた母子世帯への加算(児童1人で月額2万3310円、金額はいずれも東京23区)も対象になる見通し。

現行の生活保護の基準額(生活扶助)は、東京23区の標準世帯(親子3人)で16万2490円、消費支出で一般世帯の70%弱とされている。この基準額も論点になる。

生活保護は今年度、1950年の制度開始以来初めて物価下落などを反映し生活扶助が0.9%切り下げられた。04年度予算編成で、財政制度等審議会は先月、「水準によってはモラルハザード(倫理の荒廃)を生じかねない」と、老齢加算や母子加算をあげ、引き下げや廃止を求めていた。

ただ、低所得世帯が消費を切り詰める余力は乏しいとの意見もある。厳しい資産、扶養調査により、本来、保護が必要な人が断念しているとの批判もある。保護基準引き下げに対しては反発も予想される。(07/13 03:02) 朝日新聞

厚生労働省では社会保障審議会福祉部会「生活保護制度の在り方に関する専門委員会」を設置、8月6日に第1回会合を開いた。

この専門委員会は傍聴が可能、傍聴希望の方は以下へお問い合わせ下さい。第2回日時は未定。

厚生労働省社会・援護局保護課

TEL:03-5253-1111(内線2827)

担当:企画法令係 江口


障害者の権利条約
国内法の整備必要に 実現めざし活発議論を

大学で障害者福祉の講義を受けた大輔さん(20)は、国連で「障害者の権利条約」を作ろうという動きがあることを知った。妹の愛さん(16)と一緒に、詳しく調べてみることにした。

松井 亮輔 相談員 法政大教授。専門は障害者福祉、リハビリテーション論。国際リハビリテーション協会副会長も務める。著書に「障害者の雇用と就労」(共著)など。63歳。

大輔 国連で結ばれた「権利条約」というと、「子どもの権利条約」が有名ですね。

松井 「権利条約」は、世の中で弱い立場に置かれている人々の権利を守るための国際的な約束事で、「人権条約」とも言います。「子どもの権利条約」や「女性差別撤廃条約」などを6大人権条約と呼び、「障害者の権利条約」は、実現すれば7番目の人権条約になります。

愛 障害者の人権は侵害されやすいのですね。

松井 はい。身近な例で言えば、車いすの人はアパートを借りたくても、車いすで生活できる部屋の造りになっていないため、借りられないことがあります。耳が聞こえない人は、字幕放送がないテレビ番組を十分に楽しむことができません。障害のない人には当たり前のことが、障害を持つ人には当たり前ではなく、不利益を被っているのです。

大輔 そういう状況は、日本だけではないのですね。

松井 世界には人口の約1割、6億人の障害者がいると言われています。国や地域によって状況は様々ですが、貧しい国ほど深刻です。発展途上国で義務教育を受けている子どもの割合は、障害のない子の場合、70%以上ですが、障害児は2%から5%というデータもあります。

愛 それで権利条約が必要になってくるのですね。国連では、どこまで話が進んでいるのですか。

松井 2001年12月の国連総会で28か国が共同提案し、その後、条約について検討する特別委員会が2回開かれました。今年6月の第2回委員会で、条約を作るための作業部会を置くことが決まり、いよいよ本格的に取り組むことになりました。

大輔 いつごろ条約ができるのですか。

松井 5年後とも10年後とも言われ、見通しははっきりしません。国連には191か国が加盟しており、国によって意見が様々で、合意を得るには時間がかかるからです。子どもの権利条約も、作るのに11年もかかりました。条約を結ぶと、国内では、条約の内容に合った法律を作ったり、今ある法律を改正したりしなければなりません。たいへんな労力が必要なので、条約に消極的な国も少なくありません。

愛 日本政府はどうですか。

松井 残念ながら、今のところ積極的とは言えません。日本には、障害者の権利を守る障害者差別禁止法がありません。もし条約を結ぶと、新たに法律などが必要となるからです。

大輔 権利条約は、どんな内容になりそうですか。

松井 国によって「障害」の意味が異なるので、まず、「障害」とは何かということを明確にします。そのうえで、何が障害者の権利侵害に当たるのかを決めます。条約を結んだ国が、きちんと条約の内容を守っているかどうか監視する機関の設置も盛り込まれるでしょう。

愛 条約の実現に向け、日本は何をすべきですか

松井 政府はもっと前向きな姿勢を示さなくてはなりません。関係省庁の垣根を超えて議論し、条約の内容について国連で積極的に提案すべきです。障害者団体などの民間組織(NGO)も結束し、政府とともに、権利条約の必要性について

国民の理解を得る努力をすべきです。人はだれでも、病気やけがで障害者になる可能性があります。ひとごとと思わず、障害者の権利について考える機会を持ちましょう。

(安田 武晴)

2003年8月1日 読売新聞

6月の国連障害者権利条約特別委員会では、条約に向けての作業班が作られることになり、いくつかの政府代表とNGO代表により校正されることとなりました。

日本はこの作業班にはいることとなりましたが、作業班にはいる以上作られた条約を日本政府が批准することは確実とはなりました。しかし日本国内法規をなんら改正する必要のない、非常に低い水準の条約となる可能性もでてきました。

発展途上国と先進国の利害の対立もあり、この先もこの条約制定がどう動いていくかは難しいところのようです。(注;長野英子)


窓口から

@夏季カンパにご協力いただきありがとうございました。以下カンパに寄せられた一言から。

*暑中お見舞い申し上げます。元気に暮らしています。外来に、デイケアに、作業所に通っています。暇を見つけてそろばんをはじいたり、本を読んだりしています。カンパとして使ってください。

*法案阻止の闘い、本当にお疲れ様でした。いろいろとお世話になりました。ありがとうございます。まずは九州でゆっくりと身体と精神を休めますよう。これからも戦いは続くことに。今後ともどうぞ教えてくださいますよう。少ないですがカンパです。

*少ないですが、「クイナの会」よりカンパです。無理なさらないで下さい。

*お世話になっております。社会復帰施設整備費の件で、私の地元でも授産施設の予算が不採択となりました。体調も不調でしんどいです。でも良い話もあって、同じ病気の人とお見合いをしました。

*いつも貴重な労力も大変なニュースをありがとうございます。遅くなりましたが、03,04年分の購読料を送ります。

*いつもニュースを送っていただいてありがとうございます。「観察法案」と8割予算カットには開いた口がふさがりません。精神保健福祉法でうたっている、病院から地域へという流れに反し、国はこの法律違反をしています。当事者は声をあげていかなければなりません。

*要請のありました03年夏季カンパです。4年半以上にわたる解雇攻撃と闘っているため、小額で申し訳ありません。

*健康を!

*日頃何もできませんが、ニュースだけでよろしくお願い。

*皆さんの人権奪還に向けた闘いに敬意を表しております。お身体にお気をつけてください。大野さん赤堀さんにもよろしくお伝え下さい。

*ニュースをいつもありがとうございます。お疲れ様です。小額ですみません。食料品を削ってのカンパです。無年金の方は今回回りませんでした。くれぐれもお体留意してくださいませ。

*毎日の活動お疲れ様です。今年も小額ですが、カンパさせていただきます。

*少しお金が残りましたので送金します。カンパとして使ってください。サラリーマン時代の一番長かった勤務が3年9ヶ月なので、今の作業所は4年くらい続いています。私としては今何を言われても仕事を続ける練習を兼ねて、頑張っています。いつかは生活保護を返してひとり立ちしたいです。




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