全国「精神病」者集団ニュース 2004年12月号

2004年12月発行の「ニュース」抜粋です。 一般定期購読は有料(年6回程発行1年分5000円)です。(会員の購読は送料も含めて無料となっております。)

全国「精神病」者集団
ニュース


= ごあいさつ =

2004年も終わろうとしております。私たち「精神病」者にとっては厳しい季節の到来です。忙しく街を行き交う人々から取り残されたような思いを重ねておられる仲間も多いと思います。また家族そろっての行事の続く年末年始を一人暮らしのアパートで、あるいは精神病院で迎える仲間も多いのではないでしょうか。一人でも多くの仲間によいお年をとお祈りいたします。

今月号は二つの署名を同封しております。ひとつは精神科外来公費負担制度32条の存続を求める署名。今ひとつは大田区の身体障害者鈴木敬治さんが呼びかけているもので、大田区の障害者に対する移動介護の一律32時間/月の要綱の撤廃要求の署名です。いずれも一名でもかまいませんので、それぞれの集約先にお送りください。もちろん余裕のある方はコピーをして通院先あるいは通っている作業所などにおいていただければ何よりです。

多くの仲間の声を集め、私たち精神障害者を口実としてすべての障害者への福祉を切り捨てようとしているグランドデザイン案を阻止しましょう。これは単なる障害問題ではありません。この国の姿として、誰もが安心して生きられる社会をめざすのか、あるいは弱者を切り捨て徹底した競争社会をめざすのか、国家は治安と防衛以外何もせず、分配の責任を放棄するのか、が問われている問題です。

全国「精神病」者集団の今後のあり方も含め皆様のご意見ご投稿をお待ちしております。

(略)

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北から 南から 東から 西から


(略)


私の精神病院入院体験

埼玉 H

僕は埼玉県在住の青年です。最近埼玉の西熊谷病院でとんでもない事件が起きましたね。大変な事件ですが、よく調べればもっとひどい事が見つかる気がします。犯罪者達(医療側)も色々弁解したり、それほどの悪意はなかった旨を言っていますが、僕もF市の、評判の、冷たい病院に10年程前入院した事があるので、僕の体験からおそらく予想される病棟のひどさが伝わらないもどかしさを覚えます。

(略)

(このご投稿で触れられている事件は以下 編集部 注)

西熊谷病院で入院患者に暴行 男性医師、書類送検 県、月内にも指導

埼玉県熊谷市の財団法人、西熊谷病院で平成十四年四月以後、看護職員による精神障害の入院患者に対する暴行が複数あったことが二十三日までに県の調べで分かった。この間、入院患者の自殺、事故死など不自然死が少なくとも七件あり、うち一件の処理に不備があったとして、県警熊谷署が男性医師を医師法違反の疑いで書類送検した。事態を重くみた県は同病院に対して業務改善指導を行う方針を固め、今月中にも実施する。

西熊谷病院は大正十三年の創立で、精神科、神経科、内科がある。ベッド数は五百三十五床、精神障害の患者が入院できる病院としては県内で最大級。今年夏、「入院患者に対する暴行が多発している」との内部告発を受け、県が調査したところ、男性看護職員が鍵で女性患者の頭を殴って負傷させたことや、別の男性看護職員が別の女性患者の頭を壁に打ちつけたことなどについて、病院側も大筋で認めた。

また、同病院では平成十四年四月以後、少なくとも七件の不自然死があり、このうち、平成十五年七月十八日、菓子をのどに詰まらせて死亡した男性=当時(51)=について、担当の男性医師(45)が医師法の規定に違反して、二十四時間以内に所轄の警察署に届け出なかったとして、熊谷警察署は今月初め、同医師を医師法違反の疑いで書類送検した。

県の医療整備課と障害者福祉課は、調査結果を受けて、入院患者の医療安全を守るため、医療法と精神保健福祉法に基づく業務改善指導を行うのが適切と判断し、近く同病院に通告する。

同病院の吉田則昭院長は産経新聞の取材に対し、「暴行事件は誠に遺憾。当該職員に対し、その都度、休職、減俸などの処分をした。現在、病院内には暴力行為はない。今後は職員の指導を徹底し、患者の人権を重視していきたい」と話した。

また、書類送検された医師は「遺族から、届けなくていいといわれ、そのままにしていたが、別の医師からの指摘で遅れて届け出た。今は反省している」と語った。

……後略……

(産経新聞) – 11月24日3時1分更新


死刑執行をさせないために要請葉書を南野法務大臣に集中を!!

国会が終わり年末までにまた死刑執行の恐れがあります。法務大臣に死刑執行をするな、という要請はがきを集中してください。

あて先

*東京都千代田区霞ヶ関1-1-1 法務省内 南野千恵子法務大臣殿

(略)


心神喪失者等医療観察法来年7月施行阻止に向けて

長野英子

11月20日、心神喪失者等医療観察法(予防拘禁法)を許すな!ネットワーク全国集会が東京戸山サンライズで開かれた。

集会には九州、関西関東一円からも「精神病」者の参加が見られ66名の参加者があった。

19日は法務省と厚生労働省に心神喪失者等医療観察法施行阻止の申し入れをした。20日午前中にはネットワーク総会が持たれ、今後のネットワーク運営についての議論がなされた。

集会ではメアリー・オーヘイガン氏の講演の後基調報告、行動提起、各地からのアピールは中島医師、大杉弁護士、大田区で支援費削減に対し戦っている鈴木敬治さん、そのほか九州、大阪、の仲間、山谷の仲間などからなされた。

以下決議文を採択すると同時に心神喪失者等医療観察法への協力拒否の申し入れを各都道府県にすることが確認された。詳しくはぜひネットワークに参加し、ネットワークニュースをお読みいただきたい。

12月8日にはすでに特別施設が着工している国立武蔵病院への申し入れが行われ、毎日新聞多摩版にも記事が掲載された。

決議文

精神障害者差別に基づく予防拘禁法・保安処分制度である心神喪失者等医療観察法の施行を阻止するために、私たちは本日全国から集まった。

4回にわたる政府当局と私達が出席した交渉(厚生労働省のみ3回、法務省と厚生労働省の朝日俊弘議員のヒアリング参加)やこの間の政府発表、報道によって以下の問題が明らかになっている。

(1)同法においてでは対象になるか否かを判断するために強制的に鑑定入院が行なわれるが、これらの鑑定入院中の処遇その他について同法には何の定めもなく、医療内容も、処遇内容も、そして誰がそれに責任を持つのかもまったく決められていないことが明らかになっている。厚生労働省・法務省は「強制医療はされるのか、弁護士はじめ面会は立会人なしでできるのか」という質問に対しても明確に回答できないという実態であった。

(2)7つの国立病院を入院施設に指定したものの着工が決まったのは国立武蔵病院と花巻病院の二つだけである。その他は地元含めた反対のため着工のめども立っていない。

(3)指定入院施設について、都道府県の協力が得られず、目標が達成できないため、厚生労働省としては大幅に施設基準を緩和していく考えであると報道されている。また、10月に明らかにされたガイドライン案でも30床を半分の15床、新築ではなく改築でも可、集団療法室、作業療法室等は既存の病棟施設と共用可、とされている。政府は、ゆとりのある開放感のある施設、手厚い人手、という同法の建前すらかなぐり捨てている。

(4)報道によれば、奈良県担当者は保護観察所との意見交換会で「個人情報を当事者の同意なしに他機関に知らせることになる」と難色を示し、「サービス行政機関である保健所が、知り得た情報を保護観察所に知らせることはできない」と具体的な意見を述べている。現在ある保健所精神保健センター等があくまで精神障害者自身の利益のためのサービス機関であろうとするならば、こうした姿勢を貫くのは当然であり、そうでなければ、これらの機関はすべての精神障害者にとって恐怖の的となり、どんなに苦しくとも助けを求められない機関となってしまう。

同法の保護観察所による対象者の地域処遇に、既存の精神保健福祉サービスからの協力を得られないのは当然である。

(5)さらに指定入院施設が作られようとしている地域での地元説明会では、厚生労働省担当者は3メートルの塀をめぐらせる、と名古屋尾張旭市の説明会で発言、またガイドライン(案)によるとある地元では参加者から「収容者が逃げ出したときには警察に通報では間に合わない、サイレンでも鳴らしてはどうか」などという意見まで出ており、同法が精神障害者への差別と偏見を広め強化していることは明らかだ。

以上のように、同法の施行を巡り明らかになったのは、同法が現在の精神医療・福祉と齟齬を来たしており破綻しているということである。

私たちは政府に対し、直ちに心神喪失者等医療観察法施行準備を中止し、法そのものを白紙撤回することを求める。

2004年11月20日

11・20差別と拘禁の予防拘禁法を許すな!

全国集会 参加者一同


グランドデザイン(案)を批判する

山本真理

多くの精神障害者仲間にはまったく知られていないことと考えるが、今厚生労働省社会保障審議会障害者部会で厚生労働省が出してきた「『今後の障害保健福祉施策の改革』-「グランドデザイン(案)」が議論されている。

そもそもの発端は知的・身体障害者の支援費(介護保障の制度)が、発足後すぐに「財政的に破綻」したということで、厚生労働省は全国で一律に介護時間の上限を押し付けようとし、障害者の反対により見送られると、今度は介護保険を20歳から保険料を取り、若年障害者も介護保険で介護保障しようという方向を出してきた。財界等の負担増を理由とした反対からこの統合の方向はいったん先延ばしとはなっているが、それゆえにこそ支援費はじめ障害者福祉政策全体を徹底的に削減することを厚生労働省は今求められている。徹底削減の上で介護保険との統合を行おうとしているのだ。

ここで私たち精神障害者が口実として利用されている。精神障害者は支援費の対象ではないのが問題という口実のもと、精神障害者への福祉拡大を掲げ知的・身体・精神を対象とした「障害福祉サービス法」(仮称)を制定するとしているが以下に述べるように重大な問題点がある。

前提として

グランドデザイン(案)作成過程において私たちは意見すら聞かれていないし、障害者部会においても組織の参加はない。また介護保険と支援費の統合問題についても他障害者団体とは意見を交換しているが、「精神病」者本人団体は一切無視し、家族会のみを対象としてきた。また厚生労働省の開いている「精神障害者の社会復帰の明日を語る会」も発足そのものが秘密裏になされメンバーにも「精神病」者本人はいない。

これらからそもそもこのグランドデザイン案そのものになんら正統性がないことは明らかで、これが審議会を通ったからなどといって政策化されることはあってはならない。全障害者組織がその会員間で十分討論し対応できる時間を保障し、全障害者組織と丁寧に議論を積み重ねることがまず必要である。

誰でも街で生きる社会をめざし、権利としての介護保障、脱施設化・精神病院退院促進を図るのか否かが今問われている。

介護保険は高齢者施設への隔離収容をなくしたか? 減らしたか?痴呆性といわれる老人の精神病院収容を減らしたのか?いずれもノーである。介護保険制度こそ今根底的に問い直されるべきである。

参考資料

「国連障害者の機会均等化に関する基準規則」

規則14.政策形成と計画立案

2、政府は、障害を持つ人に関係する、もしくは障害を持つ人の経済・社会的地位に影響を与える計画の決定には障害を持つ人の組織を関与させるべきである。

グランドデザイン案の問題点

1 私たちの求めてきた全障害者福祉法、という要求とはかけ離れていること

すなわち遅れた精神障害者の福祉を他障害並みにという要求であったが、今回のグランドデザイン(案)は精神障害者福祉の低い水準、さらに専門家に支配されている精神障害者福祉の中身に、他障害を引きずり下ろす、という内容と判断する。さらに私たち精神障害者は支援を受けて、支援を受けずに働き生活できることを「自立」とされ、できないことを「支援」や「介助」を受け街で自分なりの暮らしを作ることは「自立」でないと否定されてきた。

こうした障害をひたすら個人のものとする障害の「医学モデル」「個人モデル」のもとにわれわれはおかれてきたが、こうした「医学モデル」が全障害者に押し付けられようとしている。ひたすら訓練・矯正により就労をめざすことのみが強調され、それができないものはともかく生命維持以上の介護保障はしないという方針である。

私たちは精神保健福祉法撤廃を要求してきたが、少なくともまず精神保健福祉法を強制収容法としてその手続法に純化し、福祉に関する部分は全障害者を総合した福祉法とすることが必要。そしてそれ以前に遅れた精神医療の改善のために財源を投じる特別の時限立法「精神障害者復権法」の成立も必要である。

そうでなければ、現行のいわゆる精神障害者福祉のあり方、すなわち常に強制収容法の影響下、そして医療の影響下から逃れられず、障害の治療・矯正という目的あるいは社会防衛の色合いを否定できず、監視管理からの解放がありえないことになる。

とりわけ手帳制度については、少なくとも全障害者同一の根拠法の下、外観も同一、開くと級だけ書いてあって障害名がわからないという形式が必要。

都道府県によっては、現在も外観の統一を行っているところがあるが、開くと根拠法が書いてあるため障害名が分かる形となっている。

2 32条の撤廃と対象者制限、作業所福祉工場の利用料徴収

サービスの応益負担(得たサービス料に応じた負担)の導入については、本来介助介護は個人が受ける特別な「益」といえるのかどうかが問われるべきで、健常者すなわち援助の必要がない人のみが道路や電話や鉄道を使え、障害者はそこから排除されているとき、それを使えるようにするサービスは当然特別な「益」ではなく障害者が自己負担なく無料で使えなければならない。最悪でも応能負担(収入に応じた負担)であるべき。さらに同一世帯にある家族の収入をその能力とすることは障害者の自立を著しく妨げるものであり、たとえ応能負担でも障害者個人の収入を基本に計算されるべきである。ましてや応益負担を導入するのであればあくまで本人の収入を基準とすべきである。

医療費の公費負担についても、11月26日に厚生労働省の出してきた案によると、医療費の公費負担制度は、精神障害者に対しては外来のみが対象であり、しかも5%から10%への自己負担増、さらには住民税非課税世帯(本人ではなく世帯)以外のものは公費負担が使えなくなる。

32条の出自(ライシャワー事件による地域監視網の一環としての新設)の問題はあるが、この制度が初診から使える医療保障制度として利用者が増大していることはむしろ喜ぶべきことであり、精神障害者への偏見の除去のひとつの成果ともいえよう。もっとも差別されようが背に腹はかえられないという経済的切迫状況が利用者を増やしているともいえよう。

その意味でも自殺予防を施策化している政府方針から言っても守り続けなければならない制度といえる。公費負担の制限により親元にいるもの、専業主婦あるいは休職手当て受給中のものなどの受診抑制が進めば、自殺、病状悪化による入院などが生じ、長期的に見れば経済的にも負担増となる可能性は高い。

またILOがすでに勧告しているように作業所などの保護的就労の場でも最低賃金等労働法の適用が必要であるが、グランドデザイン案ではこうした場を福祉サービスと位置づけ何と利用料を応益負担としてとるということになっている。許せない方針である。


11月27日全国「精神病」者集団会員交流会報告と12月・1月の交流会へのお誘い

全国「精神病」者集団窓口係 山本眞理

(略)

@久しぶりに参加した。大変な世の中だが、ニュースを読んで、「まだここに良心がある」と思った。

@多摩精神保健センターに都精連、全精連、全国「精神病」者集団ニュースの3種類がおいてあった。自殺未遂、その後どうやって生きていき、何ができるのか考えていた。多摩地域で交流の場があって、作業所の情報もある。

それらの中で、一番生きた言葉があるのが全国「精神病」者集団ニュースだと思い、それで窓口に連絡をした。

@入会して2,3年たつ。

絆社のメーリングリストで少し討論に参加している。発病後16,7年あいかわらず通院中。

発病する以前から反精神医学運動に共感をおぼえていた。

全国「精神病」者集団は「精神病」者の立場として反精神医学運動をやっていける集団である、と思う。仲間からいろいろな貴重な意見がえら得るのではないか。

全国「精神病」者集団は運動体としてやっている印象が強かったし、面白そうだと思った。

リハビリテーションと芸術的な実存主義、生きるということが狂気ではないか。聖なる狂気ということも考えている。


窓口から

(略)

♪♪ 精神保健福祉法撤廃を主張してきた身としては、32条存続署名集めは複雑な心境ですが、でもともかく所得保障がない中で、強制に結びつかない、唯一の医療保障、福祉ともいえる外来公費負担制度は代替策のない中では存続を要求せざるを得ないと判断します。

♪♪ 窓口へのメールでも32条はそもそもその根拠はあるのだろうか。撤廃は当然ではないだろうか。自分は今32条を使ってはいるが、果たして存続を求めるべきだろうか、というご意見もいただいております。皆様はどうお考えでしょうか。ご意見を窓口までおよせください。

(略)

♪♪ 厚生労働省はともかく金がない、の一言で障害者の生存権すら奪おうとしていますが、仮に心神喪失者等医療観察法を施行すれば、拘禁施設の費用だけで、一人当たり1200万円かける30床かける24箇所で、140億円(毎年の精神保健予算の15%近く)近い予算毎年かかり、それに審判費用やら、地域処遇の費用がかかります。支援費の不足分などすぐ出るのではと私は考えます。心神喪失者等医療観察法施行阻止をこの意味でも訴えていかなければなりません。厳しい年の瀬ですが皆様いいお年を。


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「予防拘禁法を廃案へ」闘いの軌跡 (2002年から2003年)

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発行 予防拘禁法を廃案へ共同行動

☆「なぜ武蔵病院に心神喪失者等医療観察法施設を作らせてはならないのか」 岡田靖男 10月9日三多摩集会での講演報告

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この2つのパンフ売り上げ収益は「心神喪失者等医療観察法(予防拘禁法)を許すな!ネットワーク」の収入となります(後者はネットワークと小平の組織へ半分ずつ岡田さんが寄付してくださいます)。現在「心神喪失者等医療観察法(予防拘禁法)を許すな!ネットワーク」は財政危機にあります。会計残高は1万円ほどで、このままではニュース発行もおぼつかない状態です。ぜひネットワークにご入会を、そしてこのパンフのお買い求めを。

(略)


各地の仲間に訴えます。

心神喪失者等医療観察法施行阻止に向け、都道府県政令指定都市そして精神保健担当部署に、県立病院での入院施設建設、通院指定を拒否し、保健所・精神保健福祉センターの地域処遇における保護観察所への協力を拒否するよう申し入れてください。

文案例

現在政府は心神喪失者等医療観察法施行準備を進め、都道府県立病院に対して指定施設を受け入れるよう要請中です。また保護観察所は各都道府県において精神保健担当者との意見交換会を開き協力を求めています。しかし反対のため各地で施設建設は進まず、年内に着工できるのは国立武蔵病院と花巻病院だけです。

心神喪失者等医療観察法は精神障害者差別に基づく予防拘禁・保安処分立法であり、あってはならない法律です。私たちはこの法律の施行を阻止しなければならないと考えております。

厚生労働省が10月に出した心神喪失者等医療観察法のガイドライン(案)によると、都道府県の協力が得られないため、施設基準を緩和までして都道府県にこの施設建設を押し付けようとしています。心神喪失者等医療観察法の手厚い人手、開放的な空間という建前さえ政府はかなぐり捨てています。

すでに心神喪失者等医療観察法は破綻しているといわざるを得ません。

また報道によれば、奈良県精神保健担当者は保護観察所との意見交換会で「個人情報を当事者の同意なしに他機関に知らせることになる」と難色を示し、「サービス行政機関である保健所が、知り得た情報を保護観察所に知らせることはできない」と具体的な意見を述べています。現在ある保健所・精神保健センター等があくまで精神障害者自身の利益のためのサービス機関であろうとするならば、こうした姿勢を貫くのは当然であり、そうでなければ、これらの機関はすべての精神障害者にとって恐怖の的となり、どんなに苦しくとも助けを求められない機関となってしまいます。

同法の保護観察所による対象者の地域処遇に、既存の精神保健福祉サービスからの協力を得られないのは当然です。

○○県におかれましても、保護観察所への協力を拒否し、心神喪失者等医療観察法の入院および通院施設指定を拒否なさるよう要請いたします。


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アメリカのナショナル・エンパワーメント・センターの自分らしい生活を取り戻す回復=リカバリーの研究成果をまとめたPACEという実践的マニュアルの翻訳です。著者はいずれも精神医療サバイバーの心理学者と精神科医です。

「人は“精神病”と知られている深刻な感情的苦痛から回復できるし回復する」

「回復に関する研究によると、理解ある態度と支援があれば、人は精神病から完全に回復する」 本書より

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(略)


全国「精神病」者集団ニュース 2004年10月号

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ニュース


= ごあいさつ =

朝晩肌寒い毎日となりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。夏の疲れが出てくるときでもあり、うつの仲間は毎年恒例のうつ状態に陥っている方も多いのではないでしょうか。

そうした中で介護保険の財政的破綻からもっぱら保険料を支払う年齢を20歳に繰り下げることを狙って、身体・知的障害者の介護制度である支援費と介護保険の統合が打ち出されています。10月12日には社会保障審議会障害部会に対して、障害者施策グランドデザインなるものが提出されました。大部なものでありまったく読み込めていませんが、ともかく知的、精神、身体の支援については一本化すること、そして介護については厳しい査定がされることだけは確かなようです。

さらに精神障害者については通院医療費公費負担制度精神保健福祉法32条の原則撤廃と身体障害者などの更正医療の見直しで、通院医療費の自己負担が増える層が確実に出てくるようです。また通院医療費の公費負担については指定医療機関が作られることになっています。どの程度の制限がなされるか医療供給側とのせめぎあいがこれから始まるのでしょう。長期入院患者については病院系列の施設に移動させていく方向は固まっているようです。

暗澹たる思いがしてうつがますます深刻化します。

明るい話題はメアリー・オーへイガンさんの全国ツアー(12ページ参照)、そして来年春からは大精連の塚本正治さんと写真家井上廣子さん(精神病院の窓を中から取った写真の連作を発表された方)の共同ツアーも準備が進んでいます。興味のある方は窓口までお問い合わせください。

(略)

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袴田巌さん 再審請求への東京高裁棄却に抗議する

声明

現在、再審請求中の袴田巌氏に、本日高裁は「再審請求棄却」の判断を示した。

逮捕以降すでに38年の時の経過がありながら、今回の審理も充分行なわれなかった高裁の判断を私達は厳しく批判する。

袴田さんに罪を着せた「味噌漬けの5点の着衣」は、弁護団の懸命な努力によって鑑定書が出されその捏造が暴かれた。これは誰の目にも、明々白々な事実である。また、再審要件に必要な「新らたな証拠」「明らかな証拠」を示す数々の証拠をも切り捨て、事実に目をつぶった裁判所の態度に、卑怯さと卑屈さを感じざるを得ない。裁判所は、一旦決定した袴田巌さんへの「死刑判決」に対し、次元の低いプライドと面子だけにすがり、再審請求の全面的な見直しを怠ったと考えられる。

真実を見極めるべき裁判所が、そうした態度を示したことで、司法への信頼の失墜と、袴田さんには更に苦悩を強いるもので、断じて許せるものではない。

現在、袴田さんはこれらの重圧によって重篤な「病」に陥っておられる。

残念ながら、この棄却で袴田さんの拘禁の長期化は更に進み「病」の悪化は避けられない。

長期拘禁と「棄却」の犯罪的行為を重ねる司法当局に、私達は次の要求を突きつける。

法秩序より、病気治療が先行する大原則に対し、まずは、袴田さんの治療条件を整え、その上で即刻身柄釈放を行なうよう要求したい。

当局が、「獄中にも医療施設が整えられている」と強弁するのであれば、約20年間前の「病気発症の兆候時」から、今日までなぜ治せないのか?その理由を示すべきである。

それに加えて、「獄中の医療は杜撰である」と告発する元収容者たちの声に、監獄行政と司法当局は、どう応えるのか。現在も監獄行政は、袴田さんの治療内容を後見人にさえ伝えていないではないか。

私達はこれらの批判と要求をもって抗議声明とする。

2004年8月27日

元無実の死刑囚赤堀政夫 同介護者 大野萌子


11/20 心神喪失者等医療観察法(予防拘禁法)を許すな全国集会

日時 11月20日(土) 午後1時から5時

場所 戸山サンライズ 大会議室

〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1

FAX 03-3232-3621

資料代 300円

内容 基調報告 心神喪失者等医療観察法反対闘争は続く 龍眼

講演 「精神医療サービスにおける強制 国際的ユーザー・サバイバーの観点から」 メアリー・オーヘイガンさん

メアリー・オーヘイガン氏はWNUSPの創立者の一人で初代共同議長、現在はニュージーランドの精神保健政策のモニター機関である政府から独立した精神保健委員会の3人のうちの1人。

邦訳著書『精神医療ユーザーのめざすもの――欧米のセルフヘルプ活動』解放出版

全国各地からの報告・アピール等

主催 心神喪失者等医療観察法(予防拘禁法)を許すな!ネットワーク

来年施行に向け着々と準備が進められています。医療観察法施行阻止に向け全国からご参加を

前日の19日には厚生労働省に向けた抗議要請行動を予定

19日午後 厚生労働省に向けた行動

19日 夜 交流会 新宿区障害者福祉センター 2階 第一会議室

(戸山サンライズとなり)

20日午前 ネットワーク総会戸山サンライズ

19日夜は戸山サンライズに全国から参加する仲間への宿を若干とってあります。宿泊代は障害者には無料、若干の旅費カンパも考えておりますので、ご連絡ください。

連絡先

心神喪失者等医療観察法(予防拘禁法)を許すな!ネットワーク

e-mail kyodou-owner@egroups.co.jp


2004年秋 全国5箇所

メアリー・オーへイガンさん講演ツアー

東京

日時 11月21日(日)午後1時から5時まで

場所 中野サンプラザ 7階研修室

JR/地下鉄中野駅北口から徒歩1分

〒164-8512 東京都中野区中野4―1―1

講師 メアリー・オーへイガン氏

内容 ニュージーランドの精神保健政策への当事者参加とそれに至る当事者運動の過程

資料代 500円

主催 RAC研究会

お問い合わせは

電話 080-1036-3685(土日を除く13時から16時まで)

この講演会はキリン福祉財団からの助成金を得て開催されます。

その他各地の日程

青森

第3回北日本研修会in青森 生活支援活動はまちづくりの拠点

―当事者と市民を結ぶ実践を考える―

主催 NPO法人全国精神障害者地域生活支援協議会

第3回北日本研修会in青森実行委員会

2004年11月24日(水)・25日(木)

■アウガ(全体会・分科会)

(駅前再開発ビル5F:男女共同参画プラザ カダール)青森市新町1丁目3―7

11月25日【木】10:00~11:45

講演Ⅳ 講演:精神障害者が社会で活躍する時代へ

講師:メアリー・オーヘイガンさん

どなたでも参加できます。

問い合わせ先 第3回北日本研修会in青森 実行委員会事務局

〒030―0801 青森県青森市新町2丁目6―24 TEL/FAX 017―732―7741

NPO法人 SAN Net青森 (担当:根本俊雄) e-mail sanaom@cocoa.ocn.ne.jp

久留米

メアリー・オーへイガンさん平松謙一さん講演会

日時 11月28日(日) 午前10時~午後4時(受付は午前9時30分~)

テーマ ~精神障害者が社会で活躍する時代へ~

場所 久留米市役所 2階くるみホール

* 参加費無料、お申し込みはいりません。

* 関心のある方なら、どなたでも参加できます。

主催・お問い合わせ

久留米市障害者生活支援センター「ピアくるめ」(担当 新開)

久留米市長門石1-1-32 総合福祉会館2階

TEL0942-36-5321 FAX0942-36-5322

沖縄

日時:11月30日、午後1時~3時30分

場所:教育福祉会館(3階大ホール、300名)

電話:098-885-9621 住所:那覇市古島1-14-6

主催 問い合わせ (社)沖縄県精神障害者福祉会連合会 高橋年男

〒901-1104 南風原町字宮平206-1 TEL 098(889)4011 FAX 098(888)5655

大阪

大阪市精神障害者地域生活支援ネットワーク発足集会

明日への助走のために~地域生活支援の再考~

日時:2004年12月1日(水) 午後2時~5時

場所:クレオ大阪東 入場無料

・記念講演:メアリー・オーヘイガン氏 「明日への助走のために」 ~地域生活支援の再考~

主催:大阪市精神障害者地域生活支援ネットワーク

問合せ:NPO法人 東淀川ふれあい市民の会事務局 〒537-0013東淀川区豊里5-22-3

fax6990-2710


坂口力厚生労働大臣への申し入れ

全国「精神病」者集団会員 世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワーク理事 山本眞理

厚生労働省の「精神保健福祉対策本部」(本部長=坂口力厚労相)は9月2日に会合を開き、精神障害者の社会的入院の解消をめざすため、今後の精神保健施策の改革ビジョンをまとめる方向で調整している、とのことですが、緊急に解決すべき問題として以下を提起いたします。

1 閉鎖処遇中の入院患者の人権問題

国連被収容者の処遇最低基準においては、被拘禁者は1日1回1時間の屋外での運動の保障が求められています。

国連被拘禁者最低基準規則

第21条(1)

屋外作業に従事者ない被拘禁者は、天候が許す限り、毎日少なくとも1時間、適当な屋外運動を行うものとする

この基準はほとんどすべての精神病院閉鎖病棟で守られておりません。重大な人権侵害が日常化し、こうした処遇は日本政府も批准した拷問禁止条約にも違反しているといわなければなりません。

拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約

第1条

この条約の適用上、「拷問」とは、身体的なものであるか精神的なものであるかを問わず人に重い苦痛を故意に与える行為であって、本人若しくは第三者から報若しくは自白を得ること、本人若しくは第三者が行ったか若しくはその疑いがある行為について本人を罰すること、本人若しくは第三者を脅迫し若しくは強要することその他これらに類することを目的として又は何らかの差別に基づく理由によって、かつ、公務員その他の公的資格で行動する者により又はその扇動により若しくはその同意若しくは黙認の下に行われるものをいう。「拷問」には、合法的な制裁の限りで苦痛が生ずること又は合法的な制裁に固有の若しくは付随する苦痛を与えることを含まない。

さらに病棟近代化予算等の病棟の施設基準において、鉄格子をはずし強化ガラスの窓とする条件をつけたことが、この問題をさらに深刻にしています。少ししか開かない窓のために換気が悪く、療養環境としては重大な問題が生じています。

医療上の観点から言ってもナイチンゲールの『看護覚書』を引くまでもなく換気は重要な問題であり、調査と問題解決が必要です。

病棟の改善も必要ですが、それ以前に閉鎖病棟の処遇基準において、被拘禁者の最低基準だけは守るよう即急に改革を求めます。

2 行動制限の最小化について

行動制限の最小化についてはまず1の最低基準の遵守と共に、本来あってはならないと私は考えますが、隔離や身体拘束の際に必ず、ひとりの看護職員が常時付き添うことを求めます。この条件により、行動制限の最小化は必然的に生まれると考えます。隔離や身体拘束の際の事故防止、そして何よりその弊害を最小限にするために私たちは私たちに常に寄り添う看護を求めます。隔離に関してはすでにイギリスで実践されていることです。ちなみにイギリスでは身体拘束は行われていません。

3 精神病院入院患者の現金管理料について

精神病院入院患者に対して、現在1日100円から200円の現金管理料が請求されています。精神病院入院患者の現金所持禁止というのは精神保健福祉法上の行動制限でもなく、これはあくまで本人または家族と精神病院の契約によるものとされているようですが、以下の点で重大な問題がありますので解決を求めます。

1 前提として現金管理能力がないあるいは落ちているという判断は個別にどのようにされているのか

本人あるいは家族の希望によって管理を代行しているという建前ではあるが、現実には精神病院側の一方的判断が押し付けられている場合が多く、それに対するチェックは全くなされていない。また「規則です」ということで入院患者全員から一律に現金を取り上げ、現金管理料を取っている精神病院もまれではない。

2 仮に本人に現金管理能力がないあるいは落ちているとして、さらに本人の依頼で現金管理を精神病院側がしているとしても、そうした障害に対する援助は個別の患者一人一人に対して多様な形で用意されるべきであり、本人と共に計画した個別の援助が必要である。そうした援助を用意せずに一律に現金を預かるという選択肢しかないのは、患者の能力を否定し奪う結果を生み、退院後の生活に重大な支障をもたらす。

3 現実に一番問題なのは月額にすると3千円から6千円にも及ぶ高額な管理料が、何を根拠にして計算されているのかも不明であり、また選択肢もないままに徴収されていること

仮に本人の現金管理能力がないあるいは落ちているとしても、それに対する支援にかかる費用を生活保護や貧しい患者が自己負担しなければならないというのは問題。たとえば生活保護受給者が入院中に使える金額は月額2万円程度であり、さらには無収入でも生活保護すらとれず、家族からもこれ以下の金額しかもらえない入院患者も存在します。その中で月額3000円から6000円というのは法外な金額といわなければなりません。

障害に対する支援や介護は私たちの権利であり、公に保障されなければならない。

2004年8月29日

厚生大臣 坂口 力様


私たち自身の声を上げていこう私たちが生き延びるためのサービスを

全国の「精神病」者の仲間の皆様、入院中の方そして町で暮らしている方、一人暮らしの方、家族と暮らしている方、さまざまな暮らしの中で、それぞれ工夫をしながら、生き残る闘いの日々を送っておられると思います。今私たちの求めるサービスを勝ち取っていくために以下のようなご意見を募集いたします。全国「精神病」者集団窓口まで皆様の声を集中してください。

*入院中に困ったこと、必要なこと 役に立って助かったこと、退院するに際し役立ったこと、退院後の生活を作っていくうえで困ったこと、必要なこと、逆に役立ったこと

*毎日の生活で困っていること、必要なこと。毎日の暮らしの中での工夫として仲間にも勧めたいこと。たとえば限られた経済で上手に暮らす知恵、買い物の情報の得方その他買い物の工夫、食事や片付けものの工夫など。体調が悪くなったときどういうやり方でしのいでいるか、ご自分の工夫、あるいはもっとこうしたサービスがあれば、という提案。

たとえば買い物はできるだけ通販宅配で済ますという方もおられます。

あるいは休日に野菜を切ってゆでておき冷蔵庫に保存しておく。ラーメンでもなんでもそれを使えばすぐ野菜たっぷりで栄養バランスがよくなる、などというメールもありました。

*ヘルパー制度を使っておられる方は、どのように使っているか、使い方の知恵、あるいは使っている上で困っていること、もっとこのように改善してほしいなどの点。

*地域のサービスたとえば作業所や地域生活センターを使っている方はどのように使っておられるか、そしてどのように役立っているのか、あるいはもっとこのように改善してほしいなどの点。

その他なんでも皆様の声を集めたいと思っております。はがき一枚でもかまいませんのでよろしくお願いいたします。メール、ファックス、手紙を窓口までお寄せください。

全国「精神病」者集団窓口 山本真理


精神保健福祉法見直しに向けて申し入れ(案)

私たち全国「精神病」者集団は1974年に結成された全国の「精神病」者個人団体の連合体です。現在世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワーク(WNUSP)に参加し、国連の障害者人権条約作成過程にもWNUSPの仲間、そして国内の日本障害者フォーラム準備会とともに積極的に参加しています。

さて精神保健福祉法の見直しが来年に向け準備されていると漏れ聞きますが、今回もまた一切私たち精神障害者本人は排除されたままで作業が行われています。

こうしたやり方に私たちはまず抗議します。私たちにかかわることを私たち抜きに決定しようとするやり方を直ちにやめるよう求めます。

私たちは一切の強制医療強制入院に反対する立場から、精神保健福祉法の撤廃を求め、またさらに私たちのみを差別的に予防拘禁しようとする心神喪失者等医療観察法の施行阻止を求めています。現在国連で作成中の障害者人権条約作業部会草案においても強制医療強制入院は拷問として禁止されています。

こうした立場から以下申し入れます。

1 心神喪失者等医療観察法を直ちに白紙撤回すること

2 精神保健福祉法は撤廃し、私たちを含めた全障害者を統合した障害者福祉法を制定すること

3 精神保健福祉法の対象者として精神病院に入院しているすべての患者について、公費で弁護士をつけること

4 私たちは一切の閉鎖処遇・隔離・身体拘束を否定し、すべての精神病院において出入り自由になることを要求する。

しかし即それが困難であれば、以下を求める。

*保護室収容および身体拘束の際は、24時間最低一人の看護が寄り添う、一対一の看護を法定化すること

*保護室に入れられたとしても携帯電話所持を認めるあるいは保護室内に電話を設置して、外部との電話連絡を可能とすること

*保護室内においてトイレの水を流すレバーを保護室内に設置し、いつでもトイレ使用後水を流せるようにすること

*とりわけ閉鎖処遇においては、冷暖房および照明の明るさを入院患者自身がコントロールできるようにすること

*閉鎖処遇・保護室監禁に際しては国連被拘禁者処遇の最低基準である、1日1回1時間の屋外運動を保障すること

*精神病院入院患者に現金所持の権利を認め、現金とりあげを行わないこと。そのための設備や支援の保障をすること。なお本人の希望により現金預かりをする場合があったとしても、現金管理料の自己負担が生じないようにすること。

*入院手続きの一環としての顔写真撮影を禁止すること

*看護師その他精神病院スタッフの暴力を禁止し、厳しく罰すること

5 私たちに対する所得保障や介護保障のない中で、代替の医療保障が準備されないままの32条の通院医療費制度の制限ないしは撤廃をしないこと

6 障害年金のみで生活が成り立つように、年金額を設定し最低限の所得保障と位置づけること

さらに無年金者についても同額の所得保障をすること

7 私たち精神障害者の求める介護を権利として保障すること。

2004年9月25日


☆朝日俊弘議員の法務省厚生労働省のヒアリングに参加しました。

医療観察法の審判にかけるための鑑定入院中について、その処遇あるいは医療については何も決められていない、逆に言えば一切権利保障もないという実態が明らかになりました。

法務省は地域処遇に際して、保護観察所に協力する民間組織・人(作業所、地域生活支援センターなど地域資源、あるいは地域住民自治体大家さんに至るまで)について謝金まで出して協力を求める予算をつけていることが明らかになりました。密告社会の誕生です。

☆奈良県担当者の見識

(略)

実にまっとうな担当者の見識であると考えます。奈良県ではこの後は保護観察所との交換会は開かれていないそうですが、各県担当者がこうした対応を取れば、実質的に心神喪失者等医療観察法は施行できない状態になります。各県担当者への働きかけが必要です。


(略)


全国「精神病」者集団ニュース 2004年8月号

2004年8月発行の「ニュース」抜粋です。 一般定期購読は有料(年6回程発行1年分5000円)です。(病者である会員の購読は送料も含めて無料となっております。)

全国「精神病」者集団
ニュース


= ごあいさつ =

酷暑が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

暑さの中で体調を崩している仲間が多いようです。精神病院への入院者も多くなっているようで、私自身も2週間ほど休息入院いたしました。

ニュースの発行が遅れたことお詫びいたします。

お手紙やお電話にも対応できずご迷惑をおかけしております。少し余裕を持ってお待ちいただけますようお願いいたします。

この4年間ほどの嵐のような保安処分攻撃とそしてさまざまな闘いの中で多くの仲間が傷つき倒れております。そうした中で全国「精神病」者集団も事務局員がほぼ全員倒れ、事務局が機能しない状態が続いています。

今一度初心に帰り、全国「精神病」者集団に何を期待するのか、誰のために何のために存在するのか、そしてそのために会員としては何ができるのか、そういったことを一つ一つゆっくりと討論していく必要があると痛感しております。

10ページ掲載したWNUSP総会のバイル宣言なども参考にしながら、何年かかけて討論をしていけたら一番と考えております。多くの方のご意見を募集したいと思います。手紙、ファックス、メールなどでご意見をお寄せください。

(略)

涼しくなるまで少し夏休みを取って、英気を養いましょう。

皆様お大事に。

全国「精神病」者集団の連絡先が変更となりました。お手紙ニュースなどのあて先変更をよろしく。

なお窓口の電話番号も変更しました。

★お手紙、各地のニュース、住所変更、ニュース申し込みはすべて

〒210-8799 川崎中央郵便局私書箱65号

絆社ニュース発行所

E-mail

電話 080-1036-3685

(土日以外午後1時から午後4時まで)

ファックス03-3738-8815

★会員の運営している私設ホームページ

http://www.geocities.jp/bshudan/ 携帯電話でも見られます。


北から 南から 東から 西から


(略)


障害者人権条約ってなあに その1
精神病院入院中の現金管理費徴収をめぐって

東京 山本眞理

すでにお伝えしているように、今国連で障害者権利条約制定に向けて議論が行われております。

障害者人権条約? 国連? 私たちの毎日の生活には関係ない、雲の上の話、という感覚の仲間が多いと思います。

しかしこの条約は国連の歴史でも初めて障害者の当事者団体がその作成に中心的にかかわっており、障害種別を越えた議論の過程は非常に大きな意義があります。残念ながら言葉の問題がありまた全国「精神病」者集団の資源のなさもあり、その過程を仲間と共有する翻訳能力がありません。

そこで具体的な例を障害者権利条約の思想の下で検討してみたいと思います。

私は8月2日から16日まで都内の民間精神病院の閉鎖病棟に休息入院しました。そこで前から気になっていた入院中の現金管理の手数料について大変な問題であるということ感じました。現在民間精神病院では(公立については?)入院患者の現金を預かった場合、1日当たり100円から200円の手数料を徴収しています。月にすると3000円から6000円にも上ります。

貧しい入院患者にとっては大変な金額であり、負担です。生活保護を取っている人でも月に使えるお金は2万円くらいですが、その中から3千円から6千円が取られてしまうということになります。

これには二つの問題があると考えます。

まず第一に、現金を管理する能力がない、という障害に対してどう対応するか、という問題です。

私たち障害者団体が条約に取り組む前提として障害とは何かを考える際、私たちは障害の社会モデルをとっています。障害の社会モデルは障害をその個人の問題ではなくて社会にあると考えます。目の見えない人の障害はその人個人ではなく、眼の見えない人が使いにくい用具建物などしかない社会の側こそに障害があるという考え方です。障害は障害者にあるのではなく社会にあるのです。

この考え方で現金を管理する能力がない、という障害を考えれば、それは入院患者に障害があるのではなくて、精神病院のシステムあるいは大きく精神保健システムそして社会に現金を管理する能力障害があるということになります。

条約草案9条では人はすべてどんな障害があろうと法律上の能力があるということがかかれてあります。つまりどんな障害があっても自分のお金を自分で自由に使えなければならない、ということです。仮に現金を管理する力がないあるいは一時的に能力が落ちているということがあったとしても、それを支援するシステムさえあれば、誰でも自分のお金を自由に使えることになります。成年後見法では本人に代わって後見人が判断し決定することになりますが、そうではなくて、本人自身の自己決定そして管理能力を支援するシステムが必要なのです。これが私たち障害者団体の主張であり、それが草案に反映しています。(注 これについては国連の第3回特別委員会のさいに平行して開かれた国際障害者同盟のサイドイベントで報告された、カナダの知的障害者の支援団体のレポート邦訳があります。後見人制度の廃絶と具体的な意思決定支援システムの提案です。必要な方にはコピー代送料実費でお送りいたします。会員外の方は翻訳料がかかっていますので若干のカンパをお願いします)。

入院患者も精神障害者としてその障害が社会の側にあるとすれば、社会の障害を除去するためにどういう支援を用意していくかが問題となります。本人が選べる選択肢もなしに、一律に現金を預かるというやり方は根本的に間違っており障害者差別です。それぞれの入院患者に合わせた、現金管理能力を支える援助が個別に本人と共に計画され、提供されなければなりません。そしてそうした援助こそが退院後の生活へと結びつくのです。

第2にそうした支援には当然費用がかかりますが、その費用を誰が負担すべきか、という問題があります。

この現金管理料が生まれた背景には悪徳精神病院告発のたびに入院患者からの預かり金が横領されていた事態が明らかになったことに対し、国が精神病院に対して、入院患者の預かり金を適正に個別に管理し、その帳簿を本人に明らかにできるよう指導したという歴史があります。

これに対して精神病院側は入院患者本人または保護者と契約書を交わし、現金を預かり、そしてその管理料を本人あるいは保護者から徴収するという対応をしました。

障害者が必要な援助に関してその費用を障害者あるいは保護者から取るという結果になったわけです。たとえていえば身体障害者に介護者が必要としても、その介護者を雇う金は身体障害者や家族が払え、払えないやつは一切介護保障しない、ということと同じです。現実には身体障害者に対しての介護保障は本人および家族に金がなければ税金で支払われています。また一部の障害者施設で現金管理をしているところでも、その管理料を施設入居者から取っているところはないそうです。

障害の社会モデルの考え方から言えば、社会の障害は当然社会総体として除去すべきでありその責任は行政にあります。

ところが精神病院入院患者に対しては生活保護受給者であろうが、どんなに貧しかろうが、一律に現金管理料が徴収されています。これこそ精神障害者差別です。

私たちに必要な援助は身体障害者同様に公費で保障されなければなりません。

長い間私たち精神障害者は障害者の仲間に入れてもらえず、私たちの障害はあげて精神病という疾病にありその個人に原因があるととらえられてきました。それゆえに私たちはひたすら精神科医はじめ専門職の指導と管理の下で個人の障害の除去の努力を強いられてきたのです。これが障害の医学モデルです。

こうした医学モデルから私たちを解放し障害種別を越えて私たちの権利を守る条約を制定していこうとするのが、私たちWNUSPおよび国際障害者同盟そして障害者NGOの立場です。国内でも障害者フォーラム(JDF)準備会として障害種別を越えた初めてといっていい共闘関係が生まれています。今回の条約制定過程で、私たち精神障害者が排除されることなく、同じ障害者として団結して闘っていることの意義は非常に大きいといわなければなりません。

精神病院入院患者に対する現金管理料徴収問題を障害者条約の視点から考えて見ましたが、現実にこの問題は非常に大きな問題ですので、即急に国及び地方自治体への働きかけが必要と考えます。協力者を募り今後この問題の解決に向け闘っていきたいと考えております。具体的対応としては現金管理というより本人の意思決定を支えるサービスに関しての専任の外部の組織職員が各病院に配置される(=障害者権利擁護官)などというやり方がベストかななどと考えておりますが、とりあえずは現金管理料の公費負担でしょうか? 皆様のご意見を募ります。


WNUSP(世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワーク)総会の報告

東京 山本眞理

先にお知らせしたように全国「精神病」者集団の参加している世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワーク(WNUSP)の総会が7月17日から21日までデンマークで開かれました。日本からは私も含め3名の「精神病」者と私の介護者が参加しました。

報告書は改めて制作いたしますが、とりあえずのご報告をさせていただきます。

参加者は50カ国あまりから約200名。さまざまな刺激的な出会いや議論が繰り広げられました。

山本は引き続きアジア太平洋地区選出のWNUSP理事となりました。ほかにはインドから理事会互選ということで理事が選出されましたが、私の再任も実はアジア太平洋地区の運動の弱さのためでもありますので、今後この地区でどういう運動を作っていくかが大きな課題です。

総会で採択されたバイル宣言をご紹介します。

バイル宣言

2004年7月21日 WNUSP総会決議

お互いにどのように付き合っていくのかについての提案

私たちは全ての組織で以下のようにすべきである:

*建設的で、誰をもが友好的に迎え入れられる、魅力ある雰囲気を作り上げよう。

他の人のすべての意見を尊重し、他人に対して本人にとって何がいいことかを決定しようとせず、そしてお互いに個人の創造的な能力を高めるために支えあっていこう

*組織運営にあたっては、透明性、よい運営と財政上の責任を重視しよう。

*出身、性、年齢、障害、貧富、宗教あるいは性的指向にかかわらず、少数者を積極的に包摂しすべての差別と闘おう。

*お互いに忍耐強くなろう。レッテルや感情的問題、肉体的問題の後ろに隠れているその人全体を見るよう努力しよう。他者を裁かないよう努力しよう。

*代表を選ぶ際は彼らの経験を考慮して慎重に選ぼう。そして自分自身やほかの仲間が燃え尽きて組織を去ってしまうことを避けよう。

*精神医療に代わる別のやり方を作り上げようとするすべての人々の業績を評価すると同様に、良心的に社会精神医学的治療を改善しようと努力するすべての人の業績を評価しよう。そして私たちはいかなる形であれ精神保健上の問題理解への一面的なアプローチに抵抗しよう。

*無報酬のボランティアの仕事を尊重しよう。そして私たちは膨大で複雑な任務に直面しているのだから、有給の職の必要性を認識し同時に支援者・協力者を求めていこう。

*民主的社会において市民として平等の私たちの権利が尊重され、私たちの影響下でユーザー/クライアント/サバイバー/回復しつつある人のために社会精神医学的サービスが作られるよう要求しよう。

訳 長野英子

原文は以下に掲載中

http://www.enusp.org/congresses/vejle/declaration.htm

セルフヘルプグループの倫理的基準を議論する分科会からの提案による宣言です。

こなれた日本語になっておりませんが、私たち日本の運動にとっても、参考になる内容であると思います。

なお総会旅費カンパは19万円集まり、期日と金額の問題があって日本人参加者の希望がなかったため、全額発展途上国からの参加費用カンパとしてWNUSPにカンパしました。ご協力いただいた多くの皆様に感謝いたします。


集会案内

~ひとりじゃなかったい in九州~

大会テーマ:当事者による当事者のための活動

1.事業名 全国精神障害者交流事業

2.大会名

第8回 NPO法人全国精神障害者団体連合会 福岡大会

3.開催期日

平成16年9月3日(金)~9月4日(金)

4.会 場 福岡国際会議場

(懇親会福岡国際会議場隣接・福岡サンパレスホテル)

5.参加者対象 特に資格は問いません。

6.参加予定人員 1,200名

「大会実行委員会から一言」

NPO法人全国精神障害者団体連合会は、「一人ぼっちの仲間をなくそう」というテーマのもと精神障害者の生活と権利を守り、豊かに発展させていくことを通じて精神障害者の人間的尊厳の回復と白立にむけ活動することを目的として設立され、これまで7回の全国大会が開催されました。

今回の福岡大会は九州の当事者たちが力をあわせ、精神障害者九州ネットワーク(九州の精神障害者のネットワーク組織)も共催し開催されます。

全国の当事者が集い、日頃考えていることや悩んでいることを提起し合い、交流し共有することで精神障害者が明日に生きる勇気と知恵を得、さらに各精神障害者が市民としての意識の向上を図り、その存在を地域にアピールすることで理解を求め、回復者の社会復帰の活動を活発化することなどのため、分科会、懇親会、及び講演会(シンポジュウムを含め)などを開催するものです。

つきましては、ご多忙中恐れ入りますが、皆様のご参加のほどよろしくお願いいたします。

お問い合せ先

第8回NPO法人全精連

福岡大会実行委員会事務局

〒815-0082 福岡市南区大楠1-35-17

*毎週火・金曜13:00~17:00に実行委員が待機しておりますので、お電話の場合、この時間内にご連絡願います。

「NPO法人全国精神障害者連合会(全精連)」とは、精神障害者の家族会の全国組織が「全国精神障害者家族会連合会(全家連)」とあるように、精神障害者の当事者会の全国組織です。


第47回日本病院・地域精神医学会総会

テーマ「つなぐ」

結ぶ手かよう心人と人との暮らしづくり

日程 2004年10月1日(金)から2日(土)

場所 神戸国際会議場

参加費(事前登録/当日参加)

会員7000円/8000円 非会員8000円/9000円 学生・当事者・家族2000円

お問い合わせ

事務局

〒651-1242
兵庫県神戸市北区山田町上谷上登り尾3
兵庫県立光風病院内
http://www.knt.co.jp/ec/2004/byochi-kobe/

10月1日午前中の「訪問サービス」の分科会では山本眞理が「ホームヘルパー制度の問題点 利用者の立場から」を発表します。また10月2日午後2時からの交流コーナーでは「心神喪失者等医療観察法を撤廃へ」というテーマで討論が行われます。お近くの方はぜひご参加を。


夏季カンパ要請

空を見上げるとすでに秋の雲となっておりますが、相変わらず酷暑が続いております。皆様いかがお過ごしでしょうか。

たびたびのお願いで恐縮ですが、夏季カンパのお願いです。下記の会計報告にありますように、全国「精神病」者集団会計は前年度やっと黒字に転換いたしましたが、すでに残金も10万を切っております。WNUSPの活動のおかげもあり、二つの財団から、人権条約関連とWNUSP総会報告書発行事業として91万円の助成金を頂きましたが、これはニュース発行等の日常活動には使えない性格の資金であり、今後のニュース発行のためにも多くの方のご協力を訴えます。同封の振替用紙でカンパをお振込みいただけますようお願いします。

すでに早々とカンパを頂いた方、そして会員の「精神病」者の皆様にも機械的に振替用紙を同封しておりますが、事務能力の限界としてお許しください。全国「精神病」者集団ニュースは会員の「精神病」者の皆様各地患者会には無料でお送りしております。振替用紙は請求書ではありませんので、「精神病」者の皆様はご無理なさいませんように。

余裕のおありの方は「精神病」者以外の有料読者を拡大していただけると助かります。有料読者は現在100名ほどですが、これが200名となると全国「精神病」者集団の経常会計は健全会計となります。ご協力いただけます方は見本誌をお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。

カンパ振込先

郵便振替口座
口座名義 絆社ニュース発行所
口座番号 00130-8-409131


(略)


全国「精神病」者集団ニュース 2004年5月号

2004年5月発行の「ニュース」抜粋です。 一般定期購読は有料(年6回程発行1年分5000円)です。(病者である会員の購読は送料も含めて無料となっております。)

全国「精神病」者集団
ニュース


= ごあいさつ =

初夏の日差しがまぶしい、気持ちのよい季節となりました。この季節は鬼門という仲間も多いようで、入院した方も多く、体調を崩して引きこもっておられる仲間からの訴えも増えております。ゆっくりと休息できる環境があれば、と願わずにおられません。

世界的な精神保健の反動の中で、イギリスでは精神外科手術すら強制できる法律ができようとしています。イギリスでは毎年50例前後の精神外科手術が行われています。地域での強制医療法も各国で成立しています。そうした中で心神喪失者等医療観察法の施行準備が着々と進められています。すでに4つの国立病院での保安処分施設新設が決まり、自治体病院にも新設のための予算が組まれています。同封した心神喪失者等医療観察法を許すなネットワークへのご参加を訴えます。同封のビラを各地で配布してくださる方は全国「精神病」者集団窓口までご連絡ください。

国連では5月末障害者権利条約制定に向け第3回の特別委員会が始まります。強制医療・強制入院は拷問である、として禁止した条約の成立に向け、WNUSPの仲間は奮闘しています。国内でも日本政府に向けた働きかけを日本障害者フォーラム準備会として行っているところです。こちらもビラを作ってありますので、各地で配布していただければ幸いです。関連資料ご希望の方は窓口までご連絡ください。第3回特別委員会報告は次号に掲載いたします。

精神保健福祉法の見直し、脳死臓器移植法の改悪、介護保険の改悪、などなど私たちに大きな影響のある法律が改悪されようとしています。今戦争中の日本では何でもありということでしょう。私たち障害者はなりふりかまわない攻撃のさなかに置かれているといっていいと考えます。

私たち自身の声を上げていかなければなりません。保安処分そして強制医療への当事者動員をなんとしても拒否していかなければなりません。私たちの生存をかけた要求も必要でしょう。多くの仲間が声を窓口までお寄せくださいますようお願いいたします。

(略)

全国「精神病」者集団の連絡先が変更となりました。お手紙ニュースなどのあて先変更をよろしく。
なお窓口の電話番号も変更しました。

★お手紙、各地のニュース、住所変更、ニュース申し込みはすべて
〒210-8799 川崎中央郵便局私書箱65号
絆社ニュース発行所
E-mail
電話 080-1036-3685
(土日以外午後1時から午後4時まで)
ファックス03-3738-8815

★会員の運営している私設ホームページ
http://www.geocities.jp/bshudan/ 携帯電話でも見られます。


北から 南から 東から 西から


(略)


私たち自身の声を上げていこう私たちが生き延びるためのサービスを

全国の「精神病」者の仲間の皆様、入院中の方そして町で暮らしている方、一人暮らしの方、家族と暮らしている方、さまざまな暮らしの中で、それぞれ工夫をしながら、生き残る闘いの日々を送っておられると思います。今私たちの求めるサービスを勝ち取っていくために以下のようなご意見を募集いたします。全国「精神病」者集団窓口まで皆様の声を集中してください。

*入院中に困ったこと、必要なこと 役に立って助かったこと、退院するに際し役立ったこと、退院後の生活を作っていくうえで困ったこと、必要なこと、逆に役立ったこと

*毎日の生活で困っていること、必要なこと。毎日の暮らしの中での工夫として仲間にも勧めたいこと。たとえば限られた経済で上手に暮らす知恵、買い物の情報の得方その他買い物の工夫、食事や片付けものの工夫など。体調が悪くなったときどういうやり方でしのいでいるか、ご自分の工夫、あるいはもっとこうしたサービスがあれば、という提案。

*ヘルパー制度を使っておられる方は、どのように使っているか、使い方の知恵、あるいは使っている上で困っていること、もっとこのように改善してほしいなどの点。

*地域のサービスたとえば作業所や地域生活センターを使っている方はどのように使っておられるか、そしてどのように役立っているのか、あるいはもっとこのように改善してほしいなどの点。

その他なんでも皆様の声を集めたいと思っております。はがき一枚でもかまいませんのでよろしくお願いいたします。メール、ファックス、手紙を窓口までお寄せください。

全国「精神病」者集団窓口 山本真理


集会案内

☆NPO大阪精神医療人権センター2004年総会・記念講演

~精神医療オンブズマン発足から1年~

日 時:2004年5月15日(土)
13:30~14:00 NPO法人総会
14:10~16:00 記念講演

会 場:アピオ大阪
大阪市中央区森ノ宮中央1-17-5
JR環状線または地下鉄中央線・長堀鶴見緑地線「森ノ宮」下車すぐ

参加費:500円

事前の申込みは不要です。

問い合わせ 大阪精神医療人権センター

☆全国自立生活センター協議会公開シンポ

2004年5月16日(日) 10:00受付開始

会場:沖縄県自治会館
(那覇市旭町116-30 TEL:098-862-8181)
(那覇空港からモノレールで旭橋駅まで約10分下車、徒歩5分)

第1部・報告

「アジアの障害者を取りまく状況~草の根活動の実践から」(*調整中)

報告者朴賛五(ソウル自立生活センター) 他

パキスタン、バングラディシュなど各国からのレポート

第2部・シンポジウム

「地域生活を守るために ~どうなる!?介護保険と支援費制度~」

5月13日(木)までに郵送、またはファックスでお申込ください。

申し込み先

全国自立生活センター協議会担当:西尾・二又

〒192-0046
八王子市明神町4-11-11-1F
FAX0426-60-7746

☆心神喪失者等医療観察法と地域精神医療を考える集い

第100回日本精神神経学会総会 関連行事
日時 5月21日(金) 午後6時半から9時
場所 北農健保会館 大会議室
電話011-261-3270

講演 池原毅和(全家連顧問弁護士)

シンポジウム

資料代 300円
主催 実行委
連絡先 札精作連 電話 011-813-6033

☆日本精神神経学会総会

シンポジウム死刑への精神科医の関与について

日時 5月22日(土)午後1時から午後3時まで

場所 札幌コンベンションセンター

札幌市白石区東札幌6条1丁目

シンポジスト

問合せ先

〒060-8638
札幌市北区北15条西7丁目
北海道大学大学院医学研究科精神医学分野
第100回日本精神神経学会総会事務局
Fax:011-706-5081
E-mail:jspn100@jtbpco.co.jp

☆「脳死」を人の死とするな!

臓器移植法の改悪に反対する市民集会

日時 5月23日(日)午後1時30分から4時30分

会場 国民生活センター 会議室
JR品川駅高輪口改札から徒歩5分

呼びかけ団体

脳死・臓器移植に反対する市民会議
「脳死」臓器移植による人権監視委員会ー東京
「脳死」臓器移植に反対する関西市民の会
脳死・臓器移植に反対する会・みやぎ

☆優生手術に対する謝罪を求める会公開講座

/障害学研究会関東部会 第38回研究会

隔離する政策と子どもを産ませない政策

―ハンセン病における断種・人工妊娠中絶から優生保護法を考える―

※当日、「優生思想を問うネットワーク」作成のビデオ「わすれてほしゅうないー

隠されてきた強制不妊手術」の上映も行います。

【講師】藤野豊さん(富山国際大学人文学部教員 著書『日本ファシズムと優生思想』(かもがわ出版)『同和政策の歴史』(解放出版社)『日本ファシズムと医療』(岩波書店)ほか多数)

【日時】5月29日(土)18:00-21:00(17:40開場)

【会場】港勤労福祉会館一階 第一洋室(都営地下鉄三田駅 A7出口徒歩30秒 JR 田町駅より徒歩5分・JR山手線・京浜東北線田町駅西口徒歩5分)

【参加】参加費1000円・参加には予約は必要ありません。

【主催】優生手術に対する謝罪を求める会

【共催】障害学研究会関東部会

※情報・アクセス 要約筆記、手話通訳があります。視覚障害で最寄り駅からの案内が必要な方は5月22日(土)までに、下記までご連絡ください。

【問い合わせ先】「優生手術に対する謝罪を求める会」連絡係

Mail: ttn7paj23z@mx3.ttcn.ne.jp
FAX: 045-893-5536


世界精神医療ユーザー・サバイバー・ネットワーク総会 参加者旅費カンパのお願い

日頃の全国「精神病」者集団および、精神障害者解放運動へのご支援に感謝いたします。

さて、来る7月17日より20日まで、デンマークにおいて、世界精神医療ユーザー・サバイバー・ネットワーク(WNUSP)の総会が開催されます。

WNUSPの発足は1991年(当時は旧称世界精神医療ユーサー・サバイバー連盟)にさかのぼります。WNUSPは各国の「精神病」者組織のネットワークです。現在WNUSP事務局もデンマークの国内組織におき、世界30カ国70団体の正会員がいます。

全国「精神病」者集団は国内唯一の正会員として参加し、会員の山本眞理をアジア太平洋地区選出の理事として出しています。

この初の国際組織の結成により、国連の障害者の機会均等に関する基準規則のモニター委員会への「精神病」者自身の組織としての参加の道も開かれ、初代議長のメアリー・オーヘイガン(ニュージーランド)が専門家委員の1人として参加しました。

今国連で制定されようとしている障害者権利条約制定過程にはWNUSPとして理事ティナ・ミンコウィッツ(アメリカ)が国連障害者権利条約特別委員会、今年1月の作業委員会に参加し障害者とりわけ精神障害者の人権主張のために積極的に活動しています。その活動の成果として、強制収容、強制医療は拷問であるとして、強制の廃絶が作業部会草案に書き込まれるという歴史的勝利を勝ち取りました。

国際的な共同活動とりわけ国連ロビー活動を共同して行うことを目的とした国際障害者同盟(IDA)にもWNUSPは唯一の「精神病」者本人の国際組織として参加しています。IDAのメンバーは世界盲人連合(WBU)、世界盲ろう者連盟(WFDB)、国際リハビリテーション協会(RI)、国際育成会連盟(II)、障害者インターナショナル(DPI)、そしてWNUSP。

WNUSP総会は7月18日から20日までデンマークで開かれます。テーマは「権利と尊厳を求めてネットワークを」プログラムは総会議事のほか、分科会を設け、精神障害者の当事者運動の組織化、人権条約を含めた人権問題、自ら尊厳を取り戻すためのセルフヘルプ活動の紹介などが議論されることになっています。また各参加者が自由に発表できるコーナーも設けております。

ナショナル・エンパーワーメントセンターの回復プログラムPACEの作者ローリー・アハーンも分科会を主催します。『精神医療ユーザーのめざすもの』の作者メアリー・オーヘイガン、そして『精神病者自らの手で』の作者ジュディ・チェンバレンも参加します。

現在WNUSP総会運営に向けデンマーク政府からWNUSPは500,000クローネ(日本

円約980万円)の助成を得ていますが、これは総会運営のみの資金となり、参加者への旅費援助はできない状態です。世界各国どこでも精神障害者は障害者として認知されていない実態があり、とりわけ発展途上国においてはその組織化すらままならぬ状態です。そうした中で、できるだけ多くの地域からの参加を確保するためには発展途上国からの参加者への旅費援助は欠くことができません。もちろん日本からの参加についてもさまざまな民間助成団体への応募等の努力をしておりますが、今のところ旅費援助の助成を得られておりません。

私たちの人権主張、そして精神保健サービスを真に私たちの利益になるものとしていくために、WNUSPの活動は大きな意義があり、そこに参加することは国内の精神障害者運動、ひいては障害者総体の運動に弾みをつけることになると考えます。もちろん発展途上国からの参加者も含めと共に討論し運動を広げていくことの意義ははかりしれません。

厳しい経済状況の中でのお願いで恐縮ですが、日本からそして発展途上国からの参加のために旅費カンパをお願いいたします。多くの方のカンパを訴えます。また余裕のある方は周囲の方にも呼びかけていただければ幸いです。

総会の報告は全国「精神病」者集団ニュースに掲載しカンパをいただいた方々に送付させていただきます。

カンパは同封の振替用紙で下記郵便振替口座にお振込みいただけますようお願いいたします。

郵便振替口座 00170-3-36736 口座名義 山本真理

集まったカンパは国内と発展途上国参加者の旅費として半分ずつ使わせていただきます。

報告の全国「精神病」者集団ニュース発送を持ってお礼とさせていただきます。

なお事務処理負担軽減のため、ご要望のない方には領収書発行を省略させていただきます。領収書の必要な方はその旨ご連絡くださるようお願いいたします。

2004年4月6日

世界精神医療ユーザー・サバイバー・ネットワーク 理事 山本真理

—————
WNUSPに関する情報は長野英子のサイトをご覧ください。インターネットをお使いでない方で総会その他の情報が必要な方は全国「精神病」者集団窓口までお問い合わせください。

長野英子のページ http://popup.tok2.com/home2/nagano2/


要 請 書

“5・22国立武蔵病院に「心神喪失者等医療観察法」拘禁施設をつくらせない集会”の呼びかけ人・賛同人になって下さい

私たちは“国立武蔵病院に「心神喪失者等医療観察法」拘禁施設を作らせない集会”実行委員会です。

“心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律”(「心神喪失者等医療観察法」)」が、昨年7月強行採決のもとで成立しました。この法律は、精神障害によって事件を起こしたとされた人の将来の犯罪を予測し、予防的に特別な隔離収容施設に閉じこめてしまおうとするものです。

しかし、精神障害者による事件の数が多いというデータもなければ、再犯率の統計もありません。国会論議でもはっきりしたように、未来の犯罪の予測を行うことは精神科医にも裁判官にも、誰にもできません。それにもかかわらず、精神障害者だけを“恐れ”という要件で強制的に隔離するというこの法律は「精神障害者は危険だから閉じこめてよい」との差別を更に助長する悪法以外のなにものでもありません。

国はいま、この発動(施行は2005年7月まで)にむけて体制づくりを進めています。

その一つとしてあるのが小平市にある国立武蔵病院(国立精神・神経センター武蔵病院)敷地内での予防拘禁隔離施設の準備です。国はこの国立武蔵病院をこの悪法の主導的病院と位置付け、既に昨年12月に小平市議会に、今年3月20日には地域住民に、それぞれ説明を行い、来る6月の小平市議会への説明を最後に予防拘禁隔離施設を建設しようとしています。

去る3月13日小平学園教会で“心神喪失者等医療観察法と地域精神医療を考える集い”が開催されました。この集いには63名の三多摩地域に住む人びとが集まり、精神障害者差別法によってつくられる精神障害者の予防拘禁施設などは、いかなる差別も許さず地域で共に生きていこうとする私たちにとって、決してあってはならないものであることを確信しあうことができました。この確信を大切にし、私たちは“5・22国立武蔵病院に「心神喪失者医療観察法」拘禁施設をつくらせない集会”を開催し、その集会での決議文を国や小平市議会、 国立武蔵病院、更には関係する諸団体へ提出していきたいと考えます。

つきましては、この集会を成功させるために以下の点にお取り組みいただきたく、ここに心から要請する次第です。


国立武蔵病院に「心神喪失者等医療観察法」拘禁施設を作らせない5・22集会

日時 5月22日(土) 14時から17時
場所 国分寺労政会館
国分寺南口徒歩5分
電話 042-323-8511

講演

患者隔離から見えてくるもの

八尋光秀さん(弁護士 ハンセン病国賠訴訟弁護団)

資料代 300円

*集会の呼びかけ人・賛同人になって下さい。

心神喪失者等医療観察法施行阻止・保安処分施設新設阻止の声を集中してください。参加できない方も含め多くの意思表示を集めたいと考えております。

*賛同費として1口500円(可能な方は1口以上)のご協力をお願い致します。

郵便振替口座 00120-6-561043 <加入者名> 予防拘禁法を廃案へ! 「5・22集会実行委賛同費として」と明記して下さい。

ビラあるいは集会で公表するために、お名前、肩書きをお書き添えください。

なお賛同人のお名前は公開を原則としますが、匿名も可といたします。匿名をご希望の方はその旨明記してください。

*当日の集会にご参加下さい。

2004年4月10日

“5・22国立武蔵病院に「心神喪失者等医療観察法」拘禁施設を作らせない集会”実行委員会

<連絡先電話>心神喪失者医療観察法(予防拘禁法)を許すな!ネットワーク

メールアドレス kyodou-owner@yahoogroups.jp

(略)



(略)


全国「精神病」者集団ニュース 2004年3月号

2004年3月発行の「ニュース」抜粋です。 一般定期購読は有料(年6回程発行1年分5000円)です。(病者である会員の購読は送料も含めて無料となっております。)

全国「精神病」者集団
ニュース


ごあいさつ

気候不順の折皆様いかがお過ごしでしょうか。

体調不調の訴えが各地から相次いでおります。この時期はひたすら辛抱と休息でしのぐ時期かもしれません。皆様どうかお大事になさってください。

こういう時期ですが、私たちをめぐる状況は急激な悪化にさらされています。障害者年金や障害者手帳の級の切り下げが各地で横行しています。なけなしの生活保護の障害加算すら0になったという訴えが相次いでおります。

私たちにはいる金=所得保障は障害年金と生活保護のみですが、その頼みの綱すら危うくなっているといわなければなりません。もちろん地域の施設に対しても補助金の削減が行われています。しかし今こそ私たち自身が声を上げ私たちに必要な生き延びる手段を獲得していかなければなりません。私たち自身の懐に直接入る金を確保していかなければなりません。

このところ会員からのご投稿が余りありません。多くの方のご投稿をお待ちしております。各地でニュースを出しておられる方はぜひご送付お願いいたします。各地のさまざまな動きをできるだけ伝えていくニュースとしたいと考えております。

窓口へのお手紙へのお返事が遅れがちとなっていることお許しください。

(略)

全国「精神病」者集団の連絡先が変更となりました。お手紙ニュースなどのあて先変更をよろしく。

なお窓口の電話番号も変更しました。

★お手紙、各地のニュース、住所変更、ニュース申し込みはすべて

〒210-8799 川崎中央郵便局私書箱65号

絆社ニュース発行所

E-mail

電話 080-1036-3685

(土日以外午後1時から午後4時まで)

ファックス03-3738-8815

★会員の運営している私設ホームページ 変更されました

http://www.geocities.jp/bshudan/ 携帯電話でも見られます。

北から 南から 東から 西から


(略)


各地からの心神喪失者等医療観察法施行阻止の声

下記はDさんが通っておられる作業所の機関紙に投稿掲載されたものです。出塩さんは招かれた講演でもこの法律反対に触れていくとのことです。


心神喪失者医療観察法案"の怖いところ

福岡 D

7月10日。"再犯のおそれ"があるかもしれないという理由だけで、精神障害者を半永久的に拘禁できるという法案が国会で可決されました。いったい誰が将来"再犯のおそれ"があると予測できるのでしょうか。法案では裁判官1人と精神科医1人で判断が下されますが、これでは常に精神病患者が医療機関に観察されるため、もはや気軽に病状や悩みなどを訴える事が出来なくなります。しかも運用しだいでは誰でも精神障害者であれば強制入院させる事ができるおそれのある法案になっています。

似たような法案ができたイギリスでは過去10年間"再犯の恐れ"を判断しなければいけないという「リスクへの恐怖」ゆえに1.5倍にも強制入院が増えていると言う事です。1人の再犯予防の為に3~5人拘禁しなければならないそうです。あれだけ発展したイギリスでさえそうなのですから、世界一入院患者が多い日本ではさらに入院患者が増える事が予測されます。

地域に根ざした今の精神医療の流れに逆行するどころか、精神障害者は危険だから閉じ込めておけという風潮を助長し作出します。障害者も人権があり人間であるという根本的な認識をいつまでも忘れてはいけないと思います。


鳥取の仲間からのメール

12月22日

いかがお過ごしですか?どうも、この時期は毎年、特に調子が悪くなるのですが、それは、きっと、私だけではないのでしょうね。

町中が、クリスマスのイルミネーションで輝いて、なにやら華やかで楽しげで…。そんなムードが漂っているときになると、何故こうも気持ちが沈むんでしょうか? ことさらに私が不幸な訳でもないはずなのに、まるでそうであるかのような気がしてなりません。希死願望が強くなって仕方がありません。

また、京都で不幸な事件が起きました。

今のところ、一般のTV報道などを見る限りでは、イラク自衛隊派遣や、年金制度などが大きく取り上げられていて、量的にはかつての池田小の時ほどのボリュームの大きさはないようですが、新聞各紙も、微妙な違いこそあれ、やはり、容疑者の精神科の入院、通院歴を報道しました。容疑者が精神病の人であることは、やはり、こうして表に出るのですね。容疑者が心臓病や腎臓病であってもそれは全く事件の報道では取り上げられることはないのに、精神病となると、やはり、こうです。今回の事件と、容疑者の病気は関係あるかもしれないし、ないかもしれない。少なくとも、事件発生の初期段階では、なにも確定していないにも関わらず、必ずこうなのだから、ホントにイヤになる。

せめて、『容疑者の男は取り調べで意味不明のことを言っている。』というだけにとどめることはできないのでしょうか。容疑者の精神病を言うなら、取り調べその他が進んだ段階で、病気と事件の関係がはっきりと確かめられた時にはじめて言うべきでしょう。暗澹たる思いです。

私を暗澹たる思いにするのは、もう一つ。

触法精神障害者医療観察法について、多くの一般の人々、フツーの市民、町で暮らしているおじさんおばさん、サラリーマンや主婦、学生やフリーター、あらゆる人々を思い浮かべたとき、その人たちに対して、この法律が何ら合理性のないものであり必要もないばかりでなく精神病者を明らかに差別するものである、ということを、伝える力を私が持っていないということです。

かくいう私も、長野さんと出会うまで、全国「精神病」者集団を知りませんでしたし、この法律も、内容に興味を持って見たのは、あまりに急な成立に驚いてからでした。

それでも情報を効率よく取り出すのは至難の業で、とりあえずはインターネットで情報を集めようとしましたが、煩雑で錯綜していて、かえって理解しづらく、やっと、問題の核心が見えたのは、長野さんの持ってきて頂いた資料に全部目を通してからでした。

遅きに失したという感じですが、長野さんと出会えなかったら、今もよく分からないままで、気になりながらも、自分の立場をどこにおいてよいのか迷っていたでしょう。遅かったけれど、まだ間に合うかも、と、かろうじて自分を慰めています。

実は、今日も、ごく親しい人と会っている時にこの法律のコトを話題にしたのですが、残念ながら共感を得ることはできませんでした。

その人が言うのは、「病のために法を犯した精神障害者が病ゆえに刑罰を受けることがないなら(責任能力がないなら)、しかるべきところで治療を受け、やがて回復し社会復帰することで、刑罰も受けず、治療もなされず野放しになっているより、むしろいい法律ではないか」ということです。

法律のうたい文句と政府の言い分を額面どおりに受け取るならまさにこの人の意見はもっともだということになるのでしょうが、現在のあまりに貧しい精神医療と皆無に等しい地域支援システムを知っている者から見れば、百歩譲っても、うたい文句はまやかしで、そのとおりにはならないと理解できるはずだと思うのですが、精神医療や地域支援の実態を少々説明したところで、病気の当事者でないこの人は、リアルな実感を以て受け止めてくれることはありませんでした。

「それは法の運用面での問題点であって、良心的に正しく運用されるように監視していけばいいのだ。」とも。これももっともらしいのですが、外部の監視の目や当事者の自由を大きく制限することを容認する制度のもとで運用される法なのだから、もともと無理があり、再び犯罪を犯す可能性を強制的な医療と管理の根拠とするのだから、どう運用しようと、そこには正しさ、正義は存在し得ないし、そもそも、再び犯罪を犯す可能性を精神障害者のみに限定して法を制定することそのものが、基本的人権の侵害である、というところまで伝えることができませんでした。

私に、説得するだけの力がないということが、悲しかったし、これ以上この話題を続けると、愛すべき友人と大げんかをしてしまいそうだったので、途中で話題を変えざるを得なかったのですが、苦い思いが後に残りました。

この人だって、良識ある善良なる市民です。私と親交を持っているくらいだから、取り立てて精神障害者に対する差別意識を持っている訳でもないでしょう。しかし、この法律の背筋が凍るような恐ろしさを実感する感覚を持ち得ないのです。

らい予防法廃止後、私はある人との出会いを通してはじめてらいの人々がどのような状況に置かれていたのかを知りました。愕然としました。状況を知って愕然としたというよりも、らい予防法などというとんでもない法律が存在し続けていたこと、それを全く知らずに安穏と私たちが生活していたこと、それに愕然としたのです。

私が多少なりともハンセン氏病について、また我が国の対応について知り得たのは、ひとりの友人との出会いがきっかけであり、それは奇跡的とも言える偶然だったように思います。それほどに「知ること」はそれまでの私にとってチャンスのなかったことでした。それでも、私は『私も彼らをひどい目に遭わせた加害者だ。』という意識を消せません。知らなかったということはそれだけで罪だと思っています。

長島愛生園で会ったおじいさんおばあさんたちは、ただ行きずりの外来者である私を、よく来たね、と、暖かく歓迎してくれました。瀬戸内の海はどこまでも静かに凪いでいて、島を渡る風は穏やかで、明るい光が辺りの小さな島々と海面をキラキラと照らしていました。かつてこの島で行われた残虐な行為の全てを、時間の流れが音もなく降り積もる雪のように覆い隠してしまったかのようでした。島で暮らす人々は、まるで何事もなかったかのように優しくて穏やかで、そして暖かでした。誰からも顧みられず、虐げられ、嵐のような殺戮行為の中を生き延びてきた人たちなのに! 今でも時々思います。彼らのこう縮した指の手を取って、「あなたは私の身代わりになってくれたのですね。」と、泣き伏したい。

長々と書きましたが、このようなことを向き合って話し合える人が私の身近にはありません。共感してくれる人を、未だ見つけられていません。

ひとりで物思いに沈んでいるとなんだかしんどくて、誰かに話したくなって、メールさせてもらいました。すみません。

「精神病」者集団の闘争に、私もなにかの形で参加したいです。しかし、ごく親しい友人すら説得できない私に、一体何ができるのでしょうか。それと気づかず無関心という罪を犯してしまう善意の一般市民を巻き込んでいくことなしに、本当に私たち精神障害者の解放はあり得るのでしょうか。

1月22日

(長野「暮正月は魔の季節」に対して)全くそのとおりで、私もちょうど12月に入った辺りから調子を崩し、うつ病相に入ったまま、年末年始とほとんど寝たきり状態で、やっとここ3~4日前から、うつのトンネルを抜けたようです。

ラピッドサイクラーの私ですから、躁うつはあっても、ひとつの病相が長く続くことはないのが常なのですが(それはそれでしんどいですが)、やはり、この魔の季節だけはどうにもいけませんね。うつがひどくなってしまいました。

加えて、例の法律のことを考えると、余計に気が滅入って、例年以上に魔の季節がこたえてしまいました。

そんな訳で、すっかりお返事が遅れてしまったのですが、やっと、動けなかったためにご迷惑をかけてしまった各方面へのお詫びと後始末、まるで震災直後の神戸の被災地のようになってしまっている自宅の片付けなどを、少しずつはじめたところです。

余りにも未処理の事柄が多く溜まってしまっているし、ウチの中の荒れよう汚れようがハンパでないので、何から手を付けてよいものか訳が分からぬままに、半ばやけくそと開き直りで動いていると言ったところです。ああ、情けない…。

「触法精神障害者医療観察法」について、何人かの友人知人に意見を聞いてみたのですが、専門職でも、本当に内容理解している人は私が尋ねた中で2人だけ。私の主治医と大阪のNさん(フリーのワーカーで、所属しておられる日本キリスト教団の担当部会として反対声明を出した)のみでした。後は、話題に出しても名前は知っているが内容をよく知らない、という反応だったので、意見の聞きようもありません。

昨秋の長野さんを囲む会の時に参加してくれていた、ワーカーのHさんは、私が「どう思う?」と聞いたことで、「実は詳しい内容をまだ把握してないので、長野さんから頂いたパンフをよく読んでみる。」と言って、少し勉強してくれたみたいですので、せめてもの慰めです。

余分に買い取らせて頂いたパンフがまだ手元に少し残っていますので、心当たりの方に「是非読んで欲しい。」と熱意を持って奨めて売っていきたいと思いました。

インターネットは、私も情報を取るために利用しますが、やはり、あのように一冊の小規模な冊子として要点をまとめてあるものの方が、情報を受け取る側も理解しやすいように思いました。

ネットワークには早速、参加させて頂きます。

私が「この法どう思う?」と聞いた当事者の人たちは、皆が皆、ひどく楽観的なのに驚いています。

法の内容をいまひとつ深くは理解してないのかもしれませんが、健常者が楽観するのは分かるとしても、法の対象者となりうる当の精神病者でも、「私は殺人なんかしないモン。」と、まるで自分に関係ないといった風でした。なかには、「その人たち(法の対象となった人)と私たちは違うんだから、そんな人たちはよほどタチの悪い変な人なんだから、あなたもそんなに気に病んだりしないほうがいいわよ。」と言う人までいる始末。これこそが、長野さんのおっしゃる『病者の分断』現象ですね。これでは法を推進した人たちの思うつぼではありませんか。

しかし、この現象、こういった当事者自身の反応は実に多く、同じ病のある同胞から、このような言葉を耳にするたびに、ますます背筋が凍る思いでした。差別の構造は実に巧みです。

強い者は弱い者を見下し差別し、差別を受けて泣いた弱い者は自分より更に弱い者を差別してその不満を解消しようとします。

差別という人権侵害の裏にある構造的な部分にも、鋭く目を向けなければなりません。

私は、たとえ直接私自身が法の対象者とならなかったとしても、誰かひとりでも、それが見ず知らずの誰かであっても、この法によって不当な人権侵害の被害に遭う人出ることがあったら、とても耐えられない気がします。

その人の痛みは、私自身の痛みでもあるからです。


島田事件と赤堀政夫

赤堀政夫 (介護者 大野萌子)

私は無実の死刑囚赤堀政夫と申します。

1954年5月24日岐阜県の鵜沼で不当逮捕され、以降34年8ケ月余を監獄に拘禁され、1989年1月31日に静岡裁判所において再審を勝ち取り解放されました。

逮捕されてからの裁判や、それに加えて再審の闘いは想像を絶する長さで、まさに死闘というべき時間を費やしたとおもいます。

そして、それで私が失ったものは青春のすべてと、殺人者の汚名をませられた私のプライドです。いまもそれらはズタズタなまま、老いを迎えた人生になってしまいました。

私を巻き込んだ「デッチ上げ」の死刑囚生活は毎日が過酷でした。毎朝「お迎え」と称する時間帯に、「今日は私を殺しにくるのではないか」とおびえました。

当たり前のことですが、確定し死刑囚は「死を待つ人」で、それ以外に生きる目的はありません。そして処刑の実態は「即日執行」といわれ、当日いきなり「お迎えだ」と宣告されるのです。

朝はその「お迎え」の時間帯で、予告なくいつ私を迎えにくるかわかりません。

死刑が執行される朝は、場内アナウンスが流され、すべての収容者に「舎房の扉を背にして後ろ向きに座れ」と命令されます。そして監獄の静寂を破り、隊列を組んだ刑務官(警備隊)が「ダッダッダ」と足音を立てて通り過ぎてゆきます。通り過ぎなければその舎房の人が命日となります。

刑務官の足音は「今日は私ではないか?」と 死刑の恐怖をあおりたてます。

そして、「人殺し」の汚名をきせ、屈辱的な扱いを受けた者には35年はあまりにも長く、死刑囚にまつわるさまざまな問題も簡単には語れるわけはありません。

逮捕の不当

私を不当逮捕したのは無論静岡県の島田署の警察官です。

逮捕時、私はどういうわけか「全国指名手配」にされていました。今もってそれは納得ができていません。

なぜなら島田事件と私を結びつけるものは皆無であり、逮捕されるいわれはないからです。

そうして始まった違法捜査は、デッチあげ事件特有の見込み捜査以外にありません。

見込み捜査で人私をしょっぴいたのは、当時「浮浪生活者」の私の不在証明ができないのを、当局はきちんと計算に入れていたものと思います。

そして不当逮捕の岐阜県「鵜沼」から島田へ連衡された私は、マスコミに囲まれるようにして写真を撮られ、翌日には「犯人捕わる」の見出しで私を犯人に仕立てあげました。これは島田署の犯人説にマスコミが加担した典型的なものに違いありません。

無実の死刑囚でっち上げの前哨戦といえるマスコミの犯罪行為です。

そして、いまもロス疑惑の三浦和義さん、松本サリンの河野義行さんにその当時と同様の問題を感じます。私の人権や逮捕の不当性を誰かがかばってくれたでしようか。いまも強い怒りを覚えます。

拷問と強制自白調書

そして、不当といえば、皆様に是非理解してほしいのは「強制的に自白調書」を取られたいきさつです。

センセーショナルな事件(久子ちゃんという6歳児の殺人事件)で社会的関心も高く、留置所に収監されている私を、梯子を掛けて写真に収めることに奔走したマスコミ。

拷問捜査で悲鳴を上げる私の声を聞かれまいとする警察。そのどれもが外部に悟られないために私は島田署の署長官舎が取調室でした。代用監獄の典型です。

殴る、蹴る、手足をねじる、トイレにもいかせない。そして私の手を持って「強制自白調書」へ私のサインを強制的におこなったのです。

代用監獄がデッチ上げの温床といった学者がいるそうですが、まさに私は代用監獄の犠牲者です。

これを許すことは絶対にできませんそれに加えて声を大にしたいのは、日本の裁判は「自白を証拠の王」とすることです。

つまり自白偏重主義ですが、それにはいま多くの人の批判があります。

私のようなケースに持ち込めば、完全に密室代用監獄の強制自白調書となり、私のような犠牲は後をたちません。私は代用監獄の乱用を批判し、即刻廃止することを訴えます。

私の裁判

私の裁判は静岡地方裁判所において開廷されました。弁護士は鈴木信雄先生と大蔵先生でした。

検察側の立証を突き崩す私のアリバイ証明が当初の重要な先生たちの仕事でした。

私の記憶が正しく、無実の確信を深めて行かれた先生方には、検察の証拠とする「殺害順序」に関する司法鑑定の矛盾が暴かれたりしました。所詮でっち上げには「ボロ」がてるものです。

先生方は、このまま裁判の進行があれば「死刑」は免れないと危機感をつのらせておられました。

そうした中で私が「精神病院入院歴」のあることを思い出され、弁護士から「精神鑑定」を申請、それが受理され、私は東京の「松沢病院」に移送され、「精神鑑定」をうけました。

私は精神鑑定医に、「自白は強制されたもの」「無実であること」その上で「アリバイに関する答弁書」を書いて医師たちに提出しています。 その私の「答弁書」に対し、精神鑑定人には、検察官提出の「強制自白調書」が唯一でものでした。

本人の私と検察官の言い分が異なると、医師たちは自白剤といわれる「イソミタール」を私に注射して自白をせまりました。私は何を話したか覚えていません。

かつて獄中から大野萌子さんに出した私の手紙の引用させていただきます。

「警察官ノ人タチガツクリアゲタギサクノ調書ヲバ見ながら、イロイロと事件問題について質問をするのですよ。

その前にマスイヤクノ イソミタールという注射をば、ウデニウチマシタノデス。アタマの方は、ボートナリマス。イロイロト質問をしたが、私の方はクスリガキイテイルノデスカラ、ナニヲハナシタカゼンゼンワカリマセンノデスヨ。

私は人をころしてはいませんのです。犯人ではないのです。ハッキリ先生方に向かってこたえましたのですが、ムダデアリマシタ。ムリヤリ仮自白ヲサセタトキト同じです。ヒドイデス。ヒキョウナヤリ方です。」

医師たちは私の言葉を無効化しました。私への差別性は「精神障害者」ならやりかねないとする予断と偏見です。

鑑定主文では『軽度の精神薄弱者で感情的に不安定、過敏で衝動的な面もある』と結論づけていたのです。

それをうけて、裁判官は判決文では次のようにのべました。

「かかる行為は、おそらく通常の人間にはなし得ない悪虐非道・鬼畜にも等しいものであるといわざるを得ないであろう。(中略)被告人は先に認定したとおり、知能程度がひくく軽度の精神薄弱者であり、その経歴を見ると殆ど普通の社会生活に適応できない」と断じました。私は無実です。

監獄の中で

私はやってもいない「罪」で死刑囚に落としこめられました。いまも悔しくて悔しくていまも、警察、検察、裁判官を一時も忘れることはできません。

死刑囚時代の私はデッチ上げの無念さと、遅々として進まない裁判に幾度となく絶望しました。

いま、確定死刑囚は家族以外の面会を拒否されていると聞きますが、私のような時間との対決を行った者は、死刑囚の面会拒否は社会との接点を失い、人間らしさも喪失します。

それに対しては、外部交通権の「面会と文通」は死刑囚の命綱となります。

「心情安定」のための面会制限を主張する法務当局の狙いは、いつでも「死刑執行」をえるためで、当局のご都合主義にあるでしょうか。諸外国でもこうした死刑処遇はないはずです。

伝聞ですが、フランスでデッチあげられ、その後無実を獲得した「ドレフェス」は、監獄の中にいる時間を次のように言っています。

「一時間が一世紀のように長い、長い、長い・・・・」と嘆いたと聞きます。

それは実感として私に理解できます。皆様には理解の限界を超えている問題だとおもいます。

でも、僕たち元無実の死刑囚には、その途方もない長い時間を、死刑におびえ屈辱に耐え続けてきました。

終わりに

「死刑は何も生み出すものがありません」

「死刑は殺す側の刑務官も傷つき、深い悲しみや、やりきれなさを残します」

「死刑は無実のものを死に追いやることがあります。レプラの藤本さんは冤罪者の可能性のまま処刑されました。」

「死刑は人間の理性をゆがめます。殺しは悪であることを知らしめ、人間の尊厳をおとしめるでしょう」

私は再び訴えます。

無実の死刑囚をこれ以上出さない為、冤罪多発のこの国のデッチ上げを許さないよう、司法当局の監視を強めてください。

いま、とらわれている無実の死刑囚袴田巌さん、名張毒ぶどう酒事件の奥西さんの解放を全力で取り組んでください。皆様にお願いします。

いま、法務省は名古屋刑務所暴力事件を発端とした、「行刑改革委員会」を行っています。

代用監獄のこと、確定死刑囚の外部交通権の禁止を多くの人々に訴えてください。

そして一日も早い死刑制度の撤廃を私は強く訴えます。


裁判所が決めたから外出はできない?!
「心神喪失者等医療観察法」入所施設は監獄?!
「心神喪失者等医療観察法」はやはり保安処分

東京 長野英子

2月27日に「心神喪失者等医療観察法(予防拘禁法)を許すな!ネットワーク」による厚生労働省との交渉が行われた。厚生労働省側は精神保健福祉課の三好課長補佐が出席した。詳しい報告は改めて行うとして、重要な発言がされたことを報告しておく。

交渉の最後に、「この施設は全開放ですよね」という質問が参加者から出たが、なんと三好課長補佐は「裁判所が決めた入院であるから、病棟内はできるだけ開放的とするが、病棟外に自由に外出というわけにはいかない」と発言した。

国会答弁でもあるいは今までの交渉でも厚生労働省の説明は、この施設はあくまで病院であり、行動制限(閉鎖病棟に入れたり保護室に入れたり、あるいは身体を縛ること)はあくまで精神保健福祉法の規定に順ずる」と回答して来た。

実際どう運用されているかはともかく精神保健法で行動制限するのはあくまで本人の医療と保護のためにやむをえないとき、ということであり、開放処遇が原則という建前となっている。だから閉鎖病棟じたい精神保健福祉法違反ともいえる(それゆえにこそまじめに法を守ろうとし、マーク方式を採用し、一人一人外出の基準を決める運用をしているところもないではない)。

当然精神保健福祉法に順ずるなら開放処遇が原則となるはずなのだが、三好課長補佐はさらに「措置入院も都道府県知事が決めているので開放処遇ではないそれと同様云々」とまで発言、精神保健福祉法の今までの建前すらかなぐり捨てた回答をしている。いうまでもなく措置入院であろうと精神保健福祉法の目的はあくまで本人の医療と保護であり、その行動制限もやむをえない場合のみ行わなければならないことになっている。少なくとも厚生労働省の今までの説明ではそうなっているはずである。

裁判所が決めたから、と言い出したのは、やはりこの心神喪失者等医療観察法が実質刑罰の代替、保安処分であるという本音が出たということだ。いかに医療と社会復帰の促進などと言いくるめようとしても実施責任者は保安処分だと認識しているということだ。今までの交渉で厚生労働省がここは病院、一般の医療と同じインフォームド・コンセントだなどと言ってきたことが嘘だということは明白になったと考える。さらには現行の精神保健福祉法の運用ですら、さらに保安処分として強化していくという彼ら決意も明らかになったといえる。心神喪失者等医療観察法施行阻止を改めて確認しなければならない。

この件は朝日議員により宿題ということにあり、今後法務省、最高裁、厚生労働省をあわせてこの間の質問事項への回答を迫っていきたいと考えている。


精神障害者ホームヘルパー制度格闘記 その2

東京 長野英子

引越し荷物の片付けについて考慮する、というままで、漫然と日にちがたち、保健師さんが「モニター」と称して訪問を繰り返していた。ところが自体は何も進展しなかった。彼らの認定では二つある部屋のうち一室は「事務室」であり、患者会の荷物があり、そこは一切手を触れないということらしい(ともかく説明がないので正確には理解できていないが)。荷物が片付くまで1日4時間を月4回といっていたがどうにもしようがないので、1日2時間4回と要求水準を下げてはみたが、どういうわけか1回1時間半、月4回と値切ったケアプランが立てられてきた。ケアプランの根拠を示してほしい、ケア会議に出席したいといったところ、要綱に「必要があれば本人出席」とかかれているにもかかわらず、出席は認めない、理由は「やっていないからやっていない」だそうだ。

ともかく何の説明もないまま私は月3回1回1時間という状態で放置され続けている(当初の月4回1回1時間から何の説明もなく減らされたまま)。

ともかく何がなにやらまったくわからない対応で、私はひたすら消耗していくばかりである。

ホームヘルパー制度とはいったい何なんだ。もしかして福祉削減のために地域で生きる精神障害者を消耗させて自殺されようというワナなんだろうか、とまでかんぐっている状態である。

さて現状報告はもっと資料を整理してから改めてしていくとして、現在身体障害者や知的障害者に税金から介護者を派遣する支援費制度があるが、この支援費制度発足1年足らずにもかかわらず、財政的に破綻する、という理由で、介護保険に統合したらどうかという案が国から出されている。介護保険統合を機に精神障害者へのヘルパー制度もこの介護保険で行い、財政は現在40歳以上から取り立てている保険料を20歳以上から取り立てることで充当していこうという案である。

現在の支援費制度や精神障害者のヘルパー制度では費用は収入に応じて払うことになっているが、介護保険制度では収入と無関係に一律の負担を強いられることになる。また今の支援費制度の派遣時間がいったい保障されるかどうかも不明な状態で、現在身体障害者団体の多くは反対の声を上げている。

介護保険の対象となった場合、私たち精神障害者の場合は体は動くではないか、ということでおそらくほとんど何もサービスを受けられなくなるだろうし、ただただ自己負担が増えるだけとなる恐れは十分ある。

現在医療法人の業務拡大案が厚生労働省から出されており、この介護保険によるサービスもすべて精神病院が行うようになる恐れもある。

なにより現在の精神障害者ヘルパー制度は私の体験に見られるようにそれ以前の問題が多すぎる。

以下厚生労働省の社会保障審議会内「精神障害者の地域生活支援の在り方に関する検討会」委員に出した手紙を掲載する。


支援費制度介護保険制度の一元化あるいは支援費制度の介護保険への統合問題について

①表記の問題を論ずる前提として、精神障害者にとってどういった支援が生活上必要なのか、そのことがまず議論されるべきである。さらに言えば、精神障害とは何か、障害とは何か、という前提の議論が必要である。

前提として

*「障害」は本人の医学的疾病あるいは損傷によるのではなく、社会の側にあるもので、それぞれ本人の必要とする人的介助、物理的バリアの撤廃、適切な配慮によって「障害」は除去される、という障害の社会モデルをとること。

*障害の社会モデルをとるとすれば、障害者の自立と社会参加に向けた援助や介助は本来本人の訓練や教育、あるいは矯正を目的としてはならず、すなわち「できないこと」を「できるようにする」ことを目的にするのではなく、「できないこと」は介助し、「できること」を生かしていくことを目的としなければならない。

*精神障害者にとってどういった支援が必要か、についてはさまざまな状況におかれそれぞれに異なる障害内容があり一概に言えず、より深く広い精神障害者本人による議論が必要と考えるが、私の体験から結論を言えば、金と本人の権利主張(セルフ・アオドボカシー)を支える権利擁護官があれば十分といえる。

すなわち何らかの特別なサービス体制より、ダイレクトペイメント(サービスを提供するのではなくて直接現金を支給すること)と権利擁護官制度である。

さらにその金で買える介助体制も必要だと考える。

以下私の体験から羅列的だが意見を述べる

*現行の精神障害者ヘルパー制度は「家事援助」に限られており、ほとんど使えない制度といってもいい。私の体験では「引越しの手伝いはだめ」「外出介助は通院だけ、それも区外の通院の際の外出介助もだめ」「患者会活動の荷物は家事の範囲ではないから片付けはできない」とさまざまな制限があり、ほとんど私のニーズに答えていない。

*困ったとき、具合の悪いときにこそ使いたいヘルパー制度であるが、複雑かつ長期の手続きと硬直した運用(週1回何曜日に何時からという定期的利用以外だめという決まりでは非常に使いにくい)によって、困ったとき、具合の悪いときに即対応したり、そうしたときにだけ使うあるいは頻回・長時間使うということがまったくできない。

*さらに「自立のためであってお手伝いではないから、一緒に働かなければならない」と強制されるので、具合が悪く寝込んだときは来てもらえない。

*症状の安定が要件であり、私のように毎年1回は入院しているものは事実上「症状の安定まで」派遣の見直しさえできず、ひたすらモニターに来る保健師の来訪に耐え続けるだけということになる。

*「家事援助」に限定ではなくて、必要な介助に使える制度でないとほとんどの精神障害者は使えない。「家に人を入れるなら飢え死にしたほうがまし」というのが多くの仲間の実感である。外出の介助があれば、もっと社会参加の範囲が増えるし、使いやすいともいえる。もちろんこれはタクシー券あるいは現金給付で足りる場合も多いともいえるが。

*患者会活動その他さまざまな社会参加、娯楽のためにも使える介助が必要。

*さらに言えば通学や通勤などにも使える介助制度も必要だと考える。

*「家事援助」に限り自宅派遣に限る、というヘルパーではなくてたとえば溜まり場的な場所にヘルパーを派遣する、患者会活動そのものにヘルパーを派遣するというほうが使いやすい。そこで1日2食の共同炊事などの可能性も出てくる。

*ヘルパー以外にはどうしても必要なのがレスパイトサービスである。

ショートステイ制度はそもそも一人暮らしでは使えず、日数も限られ、手続きもややこしく、困ったときに駆け込める場ではない。選別と強制のない、最短でも3週間までは使える場所が必要。保険点数誘導により休息入院は割が合わないということでほとんど不可能な実態であり、レスパイトサービス(一時休息サービス)が必要である。

もちろんこれも現金給付がしっかりあればホテル等使えることになるので現金給付でもかまわないし、障害者休養ホーム事業を拡大してもいいかもしれない。もちろん特殊精神障害者レスパイトサービス施設ではなくて、全障害者へのレスパイトサービス施設が必要だと考える。

*レスパイトサービスと適切な介助体制・現金給付さえあれば、入院や強制入院はかなり避けられ、財政的にはむしろ安上がりとなると考える。

*危機対応サービスとしては添付したフィンランドのモバイル(このサービスについては散らし翻訳を添付しました。必要な方には全国「精神病」者集団窓口にお申し込みになればお送りします。以下にも掲載中です。http://www.seirokyo.com/archive/world/mobil.html)。のような、精神障害者向けというのではない、困っている人を対象とした24時間365日のサービスが必要。私たちが危機状況のとき狭い意味での医療対応が必要な場合はあまりない。

私は混乱の中で時間外深夜に救急車をよんだが、精神科でありかつ一人暮らしということで一切対応してもらえなかった。強制入院以外には今私たちにとっては時間外は無医村状態である。

②介護保険との統合について

まず障害者本人の意見集約とそれのみでなく介護保険サービスユーザーである高齢者本人の意見集約が前提である。介護保険自体もその使いがっての悪さについてさまざまな不満が高齢者本人から出ている。「自立に向けお手伝いではない」というヘルパー制度の問題点は高齢者のヘルパーでも共通しているように見える。

精神障害者に特殊化したサービスではなく全障害者向けのサービスそして社会サービス総体への統合は長らく特別視され差別されてきた精神障害者にとっては原則的な方向性とは考えるが、そもそも介護保険が財政上の理由で、税から保険制度に変更となった経緯があるので、その前提から問題を捉えなおす必要があり、安易に障害者へのサービスを介護保険に統合してもまたまた1年足らずで、財政破綻ということになりかねない。もちろん自己負担増に関しては応じきれずますます精神障害者は使えない制度となる可能性は高い。

介護保険制度そのものの問題点の洗い直し、支援費制度の総括点検がまず必要と考える。そして①に述べたように精神障害者本人によるサービス要求が集約されなければならない。

その2
今ある地域でのサービスについて

現行の地域サービスはともかく私のつかえるものはないなと思っておりますし、仲間からもそうした訴えが来ています。

たとえば医療機関のデイケアについて

診療報酬の関係で、管理が厳しくなり、1日6時間デイケアに参加しなければならなくなり、とても6時間は耐えられないので使えなくなったという訴えがありました。

たとえば私の場合、私の基本的な居場所はベッドの中です。そこからようやく抜け出して出かけ、かえってくるとまずベッドに直行という感じの生活です。私は1日3時間以上の活動・仕事は無理です。先日も心神喪失者等医療観察法を許すなネットワークの会議の後ニュース発送という無茶をして、午後2時から8時過ぎまで働いたら、後半は日本語が使えなくなってしまいました。

「長野さんパソコン何台持ってるの?」「2枚」

「このMさんの文書だけれど」「えーMさんの文書なんてないよ」

などという頓珍漢な会話となっていました。

私の担当の保健師さんがヘルパー派遣時間について「精神障害者は人といると疲れるからせいぜい30分から1時間」というのも理由のないことではなくて、私のペースにあわせた人でないと、長時間人といると疲れることは事実です。でもそれならデイケアや作業所に行っている人は精神障害者ではないのでしょうか? 専門職のダブルスタンダードにはなれてはいるけど、ともかく彼らは矛盾したことを平気で言います。

6時間いなければ、と要求されたらデイケアにいけない方は多いと思います。

つまり一人一人のペースに合わせた場所ではなくて集団への対応ですから。だからこそ個々人のペースに合わせたサービスとしてヘルパー介助が必要と考えます。作業所だってあの長時間に毎日耐えて通える人は少ないんではないかしら。

少なくとも私はデイケアも作業所も無理です。

ところがグループホームや福祉ホームは条件として「就労可能は人(福祉的就労も含む)」となっています。それぞれ現場では工夫はしておられるでしょうし、またB型はこの要件がなくなったわけですが、それにしても集団対応では使える人は限られてくると考えます。

さらに言えば、せっかく退院できて自分なりの生活を作り上げようとしても、こうした縛りがあるんでは、自立でも社会参加でもなくて、お仕着せの生活を強いられるだけということになります。私たち精神障害者はここまで管理しないといけないという思い込みがあるとしか思えませんし、住宅保障とはまったく違う位置づけでグループホームがあるとしか思えません。精神病院という施設から新たな施設に移行しただけということになります。グループホームを使っている方が、職員に「いつになったら退院できるでしょう」と聞いたという話がありますが、当然です。

一人一人が自分の生活を作っていくのをそっと支えるサービスが求められています。そういう道案内として町ですでに生きている仲間の支えピアヘルパーは必要かもしれませんし、いろんな暮らし方のモデルを示していくことも必要と思います。

あるいは地域生活支援センターについて

ベッドが主なる居場所である私にとっては地域生活支援センターは遠すぎます(相対的には歩いて15分くらいですから近いのですが)。10万人に一つでは使える人は少ないのではと思います。それに規模が大きすぎると思います。食事サービスに一度行きましたが、あまりに大勢の方がいらしてかえって疲れました。

地域生活支援センターはむしろオフィスだけにして、小さなスペースがあちこちにあり、そこに職員が出張するというほうがいいと私は思っております。

ともかく集団対応ではない一人一人に合わせたメニューとサービスが必要で、そのためにはおそらく精神保健業界だけで完結しようとすること自体が無理なんだとも思います。娯楽も勉強もあるいはいろんな活動ももっと一般的なサークルや営利サービスを利用するしかないのではと思います。

友人で幻聴がしんどいときはパチンコに行く方がいます。私は孤独で眠れない夜は幸い盛り場にすんでいるので漫画喫茶に行きます。介護保険からパチンコ台や漫画喫茶代がでるならそれならそれでいいのではと思いますが、出ないでしょう。やはり介護保険云々より、ダイレクトペイメント、所得保障が必要です。

本人が自分にあったサービスを選択する、のではなくて、サービスに合わせた生活を強いられる体制では、いったい何のために退院したのか、「自律と社会参加」はどこにもないということになります。今私たちにある地域サービスはともかくお仕着せに合わせて暮らせと私たちに要求しているといっていいと考えます。

そもそも今までこの国の政策は一切私たちの意見を聞かずに作られてきたことが問題です。

所得保障と今使われている税金・医療費

ともかく一度精神障害者にはいったいどれだけのお金が使われているのか、医療費も含めて計算してみる必要があると思っております。多分私たちの求める所得保障をしっかりするほうが、現行のお仕着せサービスより安上がりではなかろうかと私は考えますし、デイケアなど医療とはいっているけれど実は医療ではないと私は考えますから、医療がやる必要のないことを医療費以外でするとなれば、単純に言えばかなり安上がりになるのではと考えます。

たとえば毎日1万円かかるデイケア・ナイトケアを月20万として、一人頭その半分の10万円を毎月使えば、もっと私たちの求めるサービスができるのではと思いますし、サービスのいらない人に10万支給すれば自律と社会参加はもっともっと促進されると思います。

デイケアはドル箱だそうですから医療側の抵抗は当然でしょうが、でも試算してみる価値はあるんではないでしょうか?

さらに言えば作業所や地域支援センターに使われている税金だって、本当に必要なのか、もっともっと考えられるべきだと思います。それより所得保障のほうが有効である可能性もあります。


歴史的勝利!
国連人権条約作業部会草案
強制を廃絶

条文草案第10条

〔身体の自由及び安全〕

1. 締約国は、次のことを保障する。

(a) 障害者が、障害を理由とする差別なしに、身体の自由及び安全についての権利を享有すること。

(b) 障害者がその自由を違法に又は恣意的に奪われないこと並びにあらゆる自由が法律で定めることなしに奪われず、かつ、いかなる場合にも障害を理由として奪われないこと。

―――中略―――

条文草案第11条

〔拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰からの自由〕

1. 国家は、障害者が、拷問又は残虐な、非人道的、品位を傷つける取扱いあるいは刑罰を受けることを防止するため、すべての効果的な立法上、行政上、司法上、教育上その他の措置をとる。

2. 特に、締約国は、障害者が十分な説明に基づく本人の自由な同意なしに医学的又は科学的実験を受けることを禁止し、かつ、当該実験から障害者を保護するものとし、また、いかなる実際のあるいはあるとみなされた損傷を矯正し、改善し又は緩和することを目的とする強制的な介入及び強制施設収容から障害のある人を保護する。

現在国連で「障害者の権利と尊厳を強化し守る包括的かつ完全な国際条約」作成に向け議論が進められている。私たち全国「精神病」者集団が参加している世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワーク(WNUSP)は国際障害者同盟(障害種別の国際組織の連合体)の仲間とともに、「私たちのことを私たち抜きで決めるな」というスローガンのもと、積極的にこの条約策定に参加している。国連の策定に向けた昨年の特別委員会、そして今年1月の特別部会にそれぞれの障害者団体からの代表委員を出し、委員会内外を貫き共同して私たち自身の条約制定へ向け闘い続けてきた。

今年1月の国連障害者の権利条約の作業部会において、私たちWNUSPは歴史的な勝利を手にした。この30年間の私たち全国「精神病」者集団結成以来の、そして世界の精神障害者運動誕生以来の主張がついに草案本文に書き込まれた。300年にわたる私たちへの弾圧の歴史に終止符を打つ勝利である。

作業部会草案には、前提としてすべての人が法的能力を持った人として法の下で認められる、ということが書かれ、その上で強制の廃絶が右表のように書き込まれた。

精神障害者に対する強制収容法はほとんどの国にあるわけで、当然各国政府はこうした文面に賛成せず、それは脚注に書き込まれている。

国際的にこの10年余り精神医療は反動の嵐の中にあり、とりわけ欧米では強制の拡大、地域での強制医療法の成立が相次いでいる。日本でも昨年私たち精神障害者のみを差別的に予防拘禁する「心神喪失者医療観察法」が成立し今施行準備が進められている。この危機的な状況下での勝利であるが故にこそ、私たちはこの勝利に喜んでばかりはいられない、5月の特別委員会に向け自国政府への働きかけが重要となる。

しかしこの草案はWNUSPの発足以来の闘いの成果であり、また国際障害者同盟の仲間たちの闘いの成果でもある。地雷サバイバーネットワークによる日報では、WNUSPからの代表委員ティナ・ミンコウィッツの粘り強くかつ一歩も引かぬ主張振りが見て取れる。

丸々2週間朝から夜までの厳しいスケジュールで、障害者に対する適切な配慮があるペースではなく、その中でたった一人の精神障害者本人として闘い続けた彼女に敬服している。もちろんここにいたる経過での彼女の表に見えない苦闘は計り知れない。

とりわけ私たちを絶望させたESCAP草案における強制の容認以来、作業部会議長草案、そして今回の草案へとWNUSPおよび障害者団体の闘いは目を見張るものがあった。

5月までに何ができるか、わたしたちも国内のほかの障害者団体とともに、強制入院禁止に反対している日本政府への働きかけに努力していく。そして「心神喪失者医療観察法」はもちろん精神保健福祉法廃絶の勝利を目指し闘い続ける。

ティナの報告ほかWNUSP関連資料邦訳は以下の長野のサイトに掲載中。

http://popup.tok2.com/home2/nagano2/

草案本文邦訳およびWNUSPの作業部会への提案等をご希望の方は全国「精神病」者集団窓口までご請求ください。コピー代送料実費でお送りいたします。

またこの件に関する報告リーフも用意しております。送料実費でお送りいたしますので、ご希望の方はお申し出ください。


権利条約をめぐる国内の動き

昨年より、新アジア太平洋の10年に向けアジアパシフィック障害者フォーラムの日本の受け皿として国内の障害者団体の集まり「日本障害者フォーラム(JDF)」準備会が作られています。

構成団体は以下

事務局は日本障害者リハビリテーション協会

<構成団体(順不同)>

(1) 障害者団体等

日本身体障害者団体連合会
日本盲人会連合
全日本ろうあ連盟
日本障害者協議会
DPI日本会議
全日本手をつなぐ育成会
全国精神障害者家族会連合会(予定)

(2) 障害者福祉団体等

全国社会福祉協議会
日本障害者リハビリテーション協会

(3) オブザーバー団体

全国「精神病」者集団
全国盲ろう者協会(予定)

国際障害者同盟IDAに参加しているWNUSPの国内組織の精神障害者団体ということで全国精神病」者集団にもお声がかかりましたが、組織の力量としてオブザーバー参加ということになっています。

JDFの専門委員会の一つが障害者権利条約の委員会であり、このJDF準備会の枠で障害者人権条約について政府との意見交換の場も持っています。

上記のように作業部会草案に強制の廃絶が入り、政府およびNGOの認識として論点のひとつに強制の可否が上げられるところまできています。

3月27日、28日にはJDF準備会の内部学習会として人権条約の各論点の学習会があり、強制をめぐるテーマでは全国「精神病」者集団として山本真理が28日午前10時から発題します。

全国「精神病」者集団会員で余裕のある方はぜひご参加をお願いします。いつも「精神病」者は私一人で心細いので。会員以外でもJDF参加団体の方もぜひ。

日時 3月27日 午後1時半から

3月28日 午前10時から

場所 27日 戸山サンライズ

28日 新宿区障害者福祉会館

まだ詳しい案内ができておりませんので参加ご希望の方は全国「精神病」者集団窓口までお問い合わせください。(文責 山本)


☆冬季カンパにご協力ありがとうございました。

冬季カンパ合計は以下となりました。今年度は黒字で終わることができそうです。多くの方のご協力に感謝いたします。

冬季カンパ総額 189,100円

☆カンパに寄せられた一言

♪♪ 障害者手帳の等級が3級になりましたもっと寄付したいのですが……。少しですがカンパします。

♪♪ 平成15年度の精神障害者社会復帰施設整備費の補助金が36億6千万円の予算だったのが10億円しか認められず26億6千万円(70%以上)カットされました。その原因として昨年7月10日に心神法案が衆議院を通過して国公立病院に特別病棟などの整備費として52億円の予算がつき、補助金がそのしわ寄せで削られたと聞いております。まだまだ当事者活動は続けていかなくてはなりません。私も糖尿病と闘いながら当事者活動をやっています。全国の仲間の絆の窓口として山本さんも健康に十分留意され無理せず活動してください。冬季カンパ振り込みますので大切に使ってください。

♪♪ 厚生労働省通達により昨年の8月25日からデイケアの要件が厳しくなり、食事利用だけの人も6時間の拘束時間に耐え切れず参加できなくなりました。病院敷地内で逸脱行動があったのでしょうか強制入院になってしまいました。デイケア利用者も全体として減り行き場をなくしています。

♪♪ 自由に動ければ一緒に活動したいと思っております。少ないですが振り込みます。形式だけでも会員にしてください「人格障害」者への死刑判決。大野さんの「人権賞」について意見があります。またメールで送りますので読んでください。このたびはニュース送付ありがとうございました。

♪♪ ニュース2年間で5回出せたこととてもよいことだったと思います。こちらのグループでWNUSPが話題に上っています。学習の大切研鑽の大切身にしみて感じているところです。

(山本注 2年で5回ではなくて2年間1年当たり5回しか出せなかったということです。お約束は年6回なんですが)

♪♪ がんばってください。

♪♪ がんばろう。

☆4月22日に東京で支援費問題をめぐって合宿をという呼びかけがある「精神病」者からされています。詳細はまったく決まっていませんが、興味のある方は全国「精神病」者集団窓口までお問い合わせください。

☆2月なのに21度なんていう日があったと思うとミゾレ交じりの日があったりの東京です。気候不順の折皆様くれぐれもご自愛ください。次号は5月発行予定です。


私たち自身の声を上げていこう私たちが生き延びるためのサービスを

全国の「精神病」者の仲間の皆様、入院中の方そして町で暮らしている方、一人暮らしの方、家族と暮らしている方、さまざまな暮らしの中で、それぞれ工夫をしながら、生き残る闘いの日々を送っておられると思います。今私たちの求めるサービスを勝ち取っていくために以下のようなご意見を募集いたします。全国「精神病」者集団窓口まで皆様の声を集中してください。

*入院中に困ったこと、必要なこと 役に立って助かったこと、退院するに際し役立ったこと、退院後の生活を作っていくうえで困ったこと、必要なこと、逆に役立ったこと

*毎日の生活で困っていること、必要なこと。毎日の暮らしの中での工夫として仲間にも勧めたいこと。たとえば限られた経済で上手に暮らす知恵、買い物の情報の得方その他買い物の工夫、食事や片付けものの工夫など。体調が悪くなったときどういうやり方でしのいでいるか、ご自分の工夫、あるいはもっとこうしたサービスがあれば、という提案。

*ヘルパー制度を使っておられる方は、どのように使っているか、使い方の知恵、あるいは使っている上で困っていること、もっとこのように改善してほしいなどの点。

*地域のサービスたとえば作業所や地域生活センターを使っている方はどのように使っておられるか、そしてどのように役立っているのか、あるいはもっとこのように改善してほしいなどの点。

その他なんでも皆様の声を集めたいと思っております。はがき一枚でもかまいませんのでよろしくお願いいたします。メール、ファックス、手紙を窓口までお寄せください。

全国「精神病」者集団窓口 山本真理


(略)


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