国連障害者の権利特別報告者による 到達可能な最高水準の健康における障害者の権利についてのアンケート  山本眞理回答


山本眞理(全国「精神病」者集団会員 世界精神医療ユーザーサバイバーネットワーク理事)

1 障害者の健康への権利実現の確保に向けた、現在のそして計画されている法制度と制作に関しての情報 現在の朝鮮とグッドプラクティスも含んで国民健康保険と精神障害者に対する差別

日本では普遍的な国民健康保険制度があり、それを使って原則としてどこの病院でも診療所でも受診できる。そして指定されたGP制度は日本にはない。非常に強い医療機関を選ぶ権利がある。

しかし個人へのコスト転換は最近強化され、医療費の3割負担となっている。一ヶ月の自己負担上限は約900ドル低所得者には約500ドルである。したがって医療費が負担できない人も出てきており、受診抑制となっている。

また保険料も払わなければならないが、それも増大しており、保険料が払えない人もでてきている。2008年には被雇用者でなく企業の保険に入っていない、自営業、引退した人、非正規労働者などのうち約9%が保険料を払えず無保険となっている。

生活保護受給者の医療費は無料である

すべての地方自治体は、障害者の医療費の自己負担分をカバーする特別の制度を持っているが、多くの自治体はこの制度を精神障害者には適用しない。

したがって自治体によって、私たちは精神障害者に医療費自己負担分をカバーする同じ体制を求めて苦闘している。

また任意入院であろうとあるいは外来患者であろうと、精神障害者にとっては医療機関を選ぶ権利を行使することは難しい。紹介状をかくことを拒否する精神科医もおり、また紹介状なしではほとんどの精神科医は拒否する。これは精神科医の『相互支援』制度である。

日本ではほとんどの精神病院診療所は私立であり、精神科医がオーナーである。それゆえ、『相互支援制度』はオーナーの経済的利益を維持する非常に強い武器である。

 

2. 障害者の健康への権利についてのデータや情報を提供されたい、

精神障害者への隔離収容政策が最大の問題である(グラフ参照)
日本は世界一の精神科病床数を持ち、たくさんの長期入院患者を抱えている。3万人以上が精神病院に20年以上入院しており、約19万人が1年以上入院している。日本は障害者権利条約を2014年に批准しているが、有効な脱施設化政策は取られていない。

さらに、政府は1年以上入院している患者の約6割は「重度かつ慢性」であり、精神病院への長期の入院を必要としていると主張した。そして2025年に至っても長期入院患者用の病床の「需要」は10万床と見積もっている。この病床数に基づき各自治体は障害者計画をたてなければならない。

日本にのみたくさんの「重度かつ慢性」患者が存在するというのはナンセンスである。日本特有の「風土病」を発見した研究者はいない。

政府は日本の精神医療の現状を正当化したいがためにこのナンセンスなおいわゆる「重度かつ慢性」概念を使おうとしている。しかし日本の精神医療は完璧に、適切な医療提供に失敗している。日本政府と精神医療は共同してこのナンセンスな概念を作り上げた。この概念を利用し、私立精神病院オーナーは病床数を維持して報酬を得ようと望んでいる。日本の精神病院病床の約90%は私立精神病院にある。

 

3 保健ケア、公的あるいは民間による医療保険および生命保険 障害者に対する差別に関する情報を提供されたい。

精神病院に対しては診療報酬と医師の定員基準において差別がある

精神病院に対しては政府は低い医師定員水準を認めている。患者48人あたりに一人の医師で良いという水準でこれは他科の定員の3分の1である。また診療報酬も他科の約3分の1である。これらの差別は歴史的隔離収容政策によってつくられた。他の国が政策を転換し病床を減らし地域のサービスを開発した時、1960年代に政府は病床を増やす政策をとった。

これらの差別は精神病院における適切な医療提供がないことをもたらし、地域でのサービスへの貧しい予算配分もあって長期入院患者を作り出してきた。

今年4月から政府はさらに措置指定病院の医師定員基準も引き下げる。この政策により措置指定病院はより多くの外来患者をえて、措置指定病院から退院した患者の管理を可能とする。

いわゆる「地域の患者支援プログラム」の構造ゆえに、患者はこれを拒否できない。一般的に先に述べたように医療機関を選ぶ権利は精神障害者にはない。

精神障害者にとって適切な医療を受けることは非常に難しく、隔離収容政策は精神障害者に敵対している。精神障害者が、精神医療以外の適切な医療を受けようとしても、とりわけ精神病院の病棟に拘禁されている場合はとても難しい。精神障害者を拒否する医師もおり、また精神病院オーナーも入院患者を他の病院へ送ることを拒否する、なぜなら、入院患者に付き添って他科の病院へ連れて行く人手がないこと、また健康状態を把握するには彼らの技術が貧しいということもある。

もちろんほとんどの精神病院は適切な精神医療を提供できていないことは前述の通り。

措置入院患者は入院してから1年経っても約60%が他の入院形態で入院継続中である(2015年政府統計)

政府や精神科医は常に強制入院は治療を拒否する人に適切な医療を保障するために必要であると主張している。しかし結果は彼らの主張を裏切っている。

 

4 障害者の、自由で説明を受けた上での同意の権利についての情報を提供されたい。性と生殖そして精神保健サービスにおけるものも含めて

日本では自由な説明された同意を一般的に保障する患者の権利法制度はない。精神保健福祉法においてもそれを保障する条文はないしまた強制医療を定めた条文もない。それゆえ精神保健においては強制医療の統計は存在しないが、しかしそれは普遍的である。多くの入院患者は強制医療を強いられ、それは処方薬だけではなくまた電気ショック療法も含まれている。後者については本人の同意無しで家族の同意のみで行われている。

 

5 障害者が以下の何についてどの程度、どのように、保健政策、プログラムそしてサービスの設計、計画、履行そして評価に参加しているか説明してください、

意志決定過程への有効な参加は存在しないとりわけ精神保健政策においては。政府は常に精神医療ユーザー個人をつまみあげ厚生労働省の審議会に参加させるが、彼らは精神障害者団体の代表ではない。審議会メンバーの殆どは精神科医と他のサービス提供者であり、また審議会には政策決定の権限はなく、単に政府の政策を追認し正当化するのみである。

添付資料としてUPRプレセッションのパワポを添付しました

英語原文は以下からPDFファイルダウンロードできます
answers Questionnaire_EN
attacged English PPT graghs

 

2017年11月 国連人権理事会 普遍的的的審査 障害問題関連勧告

初めて精神保健と精神障害者の人権に関して3つの勧告が出ました、以下関連する勧告9つ

6-145 地域に根ざした人を中心とした精神保健サービスの開発、施設収容、過剰な医学化を導かず、すべての人の権利と意志、選好を尊重しない実践を導かない支援の開発(ポルトガル)
6-198 障害者権利条約の要請に沿った履行を確保する国内的努力(ラオス人民共和国)
6-199 自由を奪われた障害者の安全と個人的インテグリティを保護するために14条ガイドラインに従うことも含めて、障害者権利条約のもとでの義務を完全に履行すること(ニュージーランド)
6-200 障害者権利条約の履行を強化するために障害者に対しての宣言されているスティグマの改善について必要な改革を行うこと(ウガンダ)
6-201 障害者の権利を促進し差別を除去する努力を継続すること(ブルネイダルサラーム)
6.202. 教育、保健、職業、公共施設へのアクセスを提供し同時に障害者へあらゆる形態の暴力と差別からの保護を行い、障害者の状況を前進させることを継続すること(ミャンマー)
6.203. 現存のプログラムを拡大し続けるとともにすべての障害者の意味ある社会参加を促進、支援に必要な新たなプログラムを導入すること(シンガポール)
6.204. 精神的心理的障害者が保健ケアサービスから利益を受けられるよう努力を継続すること(リビア)
6.205.国内法に従って障害者雇用に関連した方策を引き受け続けることを民間企業に奨励し続けること(セルビア)

 

全国「精神病」者集団の出したレポート

 

日本政府と国内NGO意見交換報告

 

UPRプレセッション報告

 

On 14 Nov. 2017 JAPAN UPR recommendations in mental health and human rights of persons with psychosocial disability 

For the  first time there are three recommendations in mental health and human rights of persons with psychosocial disability
6.145.​Develop community-based and people-centred mental health services and supports that do not lead to institutionalization, over-medicalization and to practices that fail to respect the rights, will and preferences of all persons (Portugal);
6.198.​Ensure the implementation of the Convention on the Rights of Persons with Disabilities in line with national efforts (Lao People’s Democratic Republic);

6.199.​Implement fully its obligations under the Convention on the Rights of Persons with Disabilities, including following the Committee‘s guidelines on Article 14 to protect the security and personal integrity of persons with disability who are deprived of their liberty (New Zealand);

6.200.​Carry out necessary reforms to address stigma against persons with disabilities in order to strengthen implementation of the Convention on the Rights of Persons with Disabilities (Uganda);

6.201.​Continue with its efforts to promote the rights of persons with disabilities and eliminate discrimination (Brunei Darussalam);

6.202.​Continue advancing the situation of persons with disabilities by providing access to education, health, jobs and public spaces as well as protecting from all forms of violence and discrimination (Myanmar);

6.203.​Continue to expand existing programmes and introduce new ones where necessary to support and to promote the meaningful participation of all persons with disabilities in society (Singapore);

6.204.​Continue to promote the efforts to make the mentally and psychologically disabled persons benefit from the healthcare services (Libya);

6.205.​Continue with encouraging private business sector to continue undertaking relevant measures to employ persons with disabilities in accordance with the domestic law provisions (Serbia);

国連人権理事会 普遍的定期的審査 ビデオよりメモ

2017年11月14日 ジュネーヴ

身体拘束の後亡くなったニュージーランド人のサベジさんのお母様のご尽力で、ニュージーランドはいい中身出してくださっているし、この度初めて精神障害者の人権、精神医療について、UPRで触れられました。
身体拘束後になくなったケリー・サベジさんのお母様がUPRの審査ビデを聞いて
まとめてくださったメモ
全国「精神病」者集団の名前が出ていたとは
ケリーのケースに関連するもの
1)特に精神保健についての議論に触れたのは二か国(ポルトガルは、施設化を導くことのない、過剰な医学科を導くことのない、すべての人の権利、意志そして選好を尊重できない実践をもたらすことのない、地域に根差した人を中心とした精神保健サービスと支援を開発すること、リビアは精神的心理的障害者が保健サービスから利益を得られるような取り組み推進し継続していくこと)
2) ニュージーランドは、障害者権利条約委員会の自由を奪われた障害者の個人的なインテグリティと安全を保障する14条ガイドラインを含む、障害者権利条約の下での義務を完全に履行すること。(これはケリーのケースが14条違反であるということを明白に含んでいる)。
3)日本政府は日弁連からの精神病院への懸念と患者の地域移行についてのレポートに対して、3年間で解決に向けるということを行っていた。入院患者がもっと地域に移りやすいように施設をもっと建てると行っていた。しかしこれを私が完全に理解するにはもう一度聞いて反訳も読まないといけない
4)他の関連する要請
拷問等禁止条約の選択議定書の批准 スロバニア、ガテマラ、ジョージア、チリ、カーボベルデ、ウクライナ、ウルグアイ、ガーナ、デンマーク、スペイン、トルコ、イエメン
5)パリ原則に則った国内人権機関あるいは障がい者権利条約の国内監視機関
マレーシア、カタール、ベネゼエラ、フィリピン、オーストラリア、エチオピア、インド、アフガニスタン、パナマ、チリ、コロンビア、クロアチア、フィンランド、シエラレオネ、フランス、ネパール、リヒテンシュタイン、インドネシア、カザフスタン、モロッコ
6)障害者権利条約の履行の確保 ラオス、ニュージーランド(とりわけ14条に触れている)、ウガンダ、ブルネイダルサラーム、ミャンマー、シンガポール、リビア、リビアは特に全国「精神病」者集団に触れている

国連人権理事会 普遍的定期的審査 プレセッションへの原稿


 

 

2017年10月12日にジュネーブの国連本部で、UPR infoによって開かれた、普遍的定期的審査のプレセッションにおいて、全国「精神病」者集団会員の三輪佳子さんが行ったスピーチとパワポそして日本の精神病院で身体拘束のあと死亡したニュージーランドと米国の二重国籍を持つケリー・サベジさんのお母様とお兄様による手紙を掲載します

いずれもプレセッション会場で配布されました。

有我譲慶さん パワポ提供ありがとうございました
身体拘束の被害者サベジさんのお母様にはスピーチ他ネイティブチェックまでしていただきありがとうございました
石郷岡事件の被害者のお姉様にもご協力ありがとうございました
国際障害同盟スタッフの皆様には各国政府アポイントおよび当日ほか大変お世話になりありがとうございました
UPR Infoにはこの度はいい機会をご提供いただきありがとうございました
そしてカンパしていただいた多くの方ありがとうございました

以下署名運動のご案内 ぜひご協力を
息子の死を無駄にしないために日本の精神科医療の身体拘束を見直してください。

Please review the use of physical restraints in Japanese psychiatric treatment


邦訳スピーチ

邦訳 UPR プレセッション パワポ

ケリーさんのお母様 お兄様の手紙邦訳

To Prof.Savege, Mr.Savege, the  sister of the victim of Ishigooka hospital abuse, IDA, and UPR info and all who donated for our activities, thank you for your great supports.
Yoshiko handed out these three materials to participants at the pre session.
original in English
2017 statement at UPR pre ssession

2017 UPR pre session PPT

case of the victim of restraint Mr.Kelly Savege
b
y his mother and brother

 

 

 

スピーチ全文邦訳以下

全国「精神病」者集団は精神障害者の全国ネットワークです

本日は精神障害者の人権侵害状況、とりわけ隔離収容、成年後見制度、条約の国内監視機関について話します。

政府はアルメニアの勧告「障害者権利条約の有効な履行を継続すること」を受け入れましたが、この勧告を実現する有効な施策は取られていません。

1 問題の背景説明

二つの悲劇からはじめます

2012年4月28日に一人の患者が死亡しました。2012年1月1日保護室で2人の看護師が彼の頭を蹴り踏みつけ、患者のクビはおれ、彼は1月4日に一般科の病院に送られ集中治療室で治療されました。

彼の家族は2012年1月5日に彼らの息子が看護師によって傷つけられたと警察に通報しましたが、警察はこの通報を2014年7月28日まで受理しませんでした。2人の看護師は逮捕され2017年5月14日に千葉地裁は1人を無罪、他の一人を暴行罪とういことで30万円の罰金刑となりました。検察は高裁に控訴しました。

今一つは身体拘束後の死です。ケリー・サベジさんはニュージランドとアメリカの国籍があり、今年5月17日になくなりました。彼は、5月10日心肺停止状態がわかるまで、大和病院という精神病院で身体拘束を10日間されました。彼は大和市立病院に移送されICUで治療を受け心臓も動き始めましたが、しかし1週間後になくなりました。

彼を診た心臓専門医は、彼の心肺停止は深部静脈血栓症と肺塞栓症のためであると疑っているとかいている。彼の母親と兄弟は、深部条膜血栓症は身体拘束のためではないかと考えて、大和病院に医療安全調査機構に報告するよう求めたが、彼らは拒否した。

これら二つのケースは氷山の一角でありメディアはほぼ毎年看護師による暴力による患者の死亡や怪我を報じている。

日本は精神病院の病床数そして在院機関においてOECD諸国で一位となっている。しかし政府は脱施設化の有効な施策を取らず、長期入院患者のための病床需要を2025年においてすら10万床と見積もっている。

強制入院患者の数は増え続け、1999年から2015年にかけてほぼ2倍以上となっている。そして身体拘束と隔離の患者数も増え続けている。

障害者権利条約の履行に向けては、国内監視機関は一番重要ではあるが、現在パリ原則に沿った政府から独立した条約の国内監視機関は存在しない。政府は障害者基本法の政策委員会を国内監視機関としているが、この委員会は政府から独立していない。

約19万人が民法による後見人制度のもとにあるが、今や後見人制度利用促進法が施行され、この法の目的は後見人制度の利用者を増やすことである。障害者権利条約12条は後見人制度を禁じているにも関わらず。

 

2質問

他のものと等しく地域生活の権利保障のため、そして脱施設化に向けて政府はいかなる政策を取ろうとしているのか、

なぜ政府は2025年に至っても長期入院患者のための病床を10万床と見積もっているのか強制入院および強制医療廃絶に向け政府はいかなる政策を取ろうとしているのか

成年後見人制度廃止に向けていかなる政策を政府は取ろうとしているのか

なぜ日本は成年後見人制度利用促進法を必要としているのか

政府は障害者基本法の障害者政策委員会を障害者権利条約履行の国内監視機関と主張するのか

 

3勧告

パリ原則に従った国内人権機関あるいは障害者団体の推薦する委員を含んだ障害者権利条約の国内監視機関の創説

民法の成年後見人制度の撤廃と成年後見人制度利用促進法の廃止

精神保健福祉法の撤廃と精神病院に対しての総合的な脱施設計画を作ること

 

 

 

 

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