2016年10月25日 院内集会配布資料 10年間で2倍! 精神科病院で増え続けている隔離・身体拘束について考える

10年間で2倍! 精神科病院で増え続けている隔離・身体拘束について考える
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拷問等禁止条約政府報告書提出に先立っての質問項目

以下が来年5月の政府報告書提出に先立って委員会から、2015年6月15日に出された質問項目です。
これに意見出す機会逃してしまったのですが。身体拘束の増加や強制入院の極端な増加、また起訴前鑑定の増加など、そして精神保健福祉法改悪の動きなどパラレルレポート出さないと。 ただここ非常に保守的で障害者権利条約無視しているところですが、それですら日本の実態は呆れ果てるのは確実。
2013年に拷問等禁止条約委員会には日本から精神障害者団体が初めてロビーイングにということで委員会から熱心に質問を受けました。 いかが先立って出された質問項目のうち精神障害者に関わる所
20 委員会の非自発的入院に関する先の総括所見パラ22にてらして、自由権規約委員会の総括所見のパラ17についての情報を提供されたい。
a)非自発的な処遇と拘禁について、効果的な司法コントロールの確立と同時に効果的な不服申し立てメカニズム確立するためにとられた方策。精神科および社会的ケアの施設を含むすべての自由剥奪の場に適用しうる法的セーフガードについて説明されたい。
b)患者の傷害をもたらす拘束的な手段が過剰に使われた場合についての捜査およびその結果について
c)日本における精神障害者についての地域でのあるいはオルタナティブサービスについて
(山本眞理仮訳)

 

拷問等禁止条約委員会 日本の第二回定期報告に対する最終見解
日本の第二回定期報告に対する最終見解 第55回会期(2013年5月6日から31日)委員会により採択

精神保健ケア
22 精神保健施設に対して運用上の制限を確立している精神保健福祉法にもかかわらず、また締約国代表の提供した追加情報にもかかわらず、委員会は非常に多数の精神障害者と知的障害者が非常に長期間精神保健ケア施設に非自発的に留められていることに懸念を持たざるをえない。非人道的で品位を汚す程度におよびうる行為である、独居拘禁、身体拘束そして強制医療が頻繁に行われていることを、委員会はさらに懸念する。精神保健ケアに関する計画についての対話の間に得られて情報を考慮しても、委員会は精神障害者の入院に対するオルタナティブに焦点を当てたものに欠けていることに懸念を持たざるをえない。最後に、拘束的な方法が過剰に使用されていることへの効果的で公平な調査がしばしば欠けていること、同様に関連する統計的データが欠けていることに懸念を表明する(2,11,13,16条) 委員会は締約国に対して以下を確保するよう要請する
(a) 非自発的治療と収容に対して効果的な法的なコントロールを確立すること、同様に効果な不服申立ての機構を確立すること
(b) 外来と地域でのサービスを開発し収容されている患者数を減らすこと
(c) 精神医療および社会的ケア施設を含む自由の剥奪が行われるすべての場において、効果的な法的なセーフガードが守られること
(d) 効果的な不服申立ての機関へのアクセスを強化すること
(e) 身体拘束と独居拘禁が避けられ、あるいはコントロールのためのすべての代替手段がつきた時に、最後の手段として可能な限り最小限の期間、厳しい医療的監督下でいかなるこうした行為も適切に記録された上で、適用されること
(f) こうした拘束的な方法が過剰に使用され患者を傷つける結果をもたらした場合には、効果的で公平な調査が行われること
(g) 被害者に対して救済と賠償が提供されること
(h) 独立した監視機関がすべての精神医療施設に対して定期的訪問を行うことを確保すること
(精神保健の部分のみ山本眞理仮訳)

 

第6回日本定期報告に関する総括所見

1. 委員会は日本が提出した第6回定期報告(CCPR/C/JPN/6)を2014年7月15日及び16日に開催された第3080回(CCPR/C/SR.3080)及び第3081回会合(CCPR/C/SR.3081)において審査し、2014年7月23日に開催された第3091回及び第3092回会合(CCPR/C/SR.3091、CCPR/C/SR.3092)において以下の総括所見を採択した。
非自発的入院
17. 委員会は、非常に多くの精神障害者が極めて広汎な要件で、そして自らの権利侵害に異議申し立てする有効な救済手段へのアクセスなしに非自発的入院を強いられていること、また代替サービスの欠如により入院が不要に長期化していると報告されていることを懸念する。(7条、及び9条) 締約国は以下の行動をとるべきである。
(a) 精神障害者に対して地域に基盤のあるまたは代替のサービスを増やすこと。
(b) 強制入院が、最後の手段としてのみ必要最小限の期間、本人の受ける害から本人を守りあるいは他害を避けることを目的として必要で均衡が取れる時にのみ行われることを確保すること。
(c) 精神科の施設に対して、虐待を有効に捜査、処罰し、被害者またはその家族に賠償を提供することを目的とする、有効で独立した監視及び報告体制を確保すること

拷問等禁止条約特別報告官レポート

拷問等禁止条約特別報告官メンデス氏が2013年2月1日国連理事会に提出したレポート、一部邦訳です。このレポートのテーマは保健分野における拷問と虐待。

一部赤字のところは前特別報告官のノワク氏の中間レポートより後退しており、また障害者権利条約の基準を見たいしていない部分がありますが、医療保険の分野を拷問等禁止条約の視点から検証し、精神医療における強制医療や身体拘束、隔離の禁止を求めている画期的なものです。なお対象は緩和ケア、薬物依存、性的マイノリティ、不妊手術中絶の権利、セックスワーカー、など広範囲にわたっています

一部邦訳は山本眞理によるものであり、誤訳等多々あると思いますので、ご指摘ご教授などいただければ幸いです なお注は省いてあります

拷問等禁止条約特別報告官レポート抄訳2013年2月1日

英語原文

同じく拷問等禁止条約特別報告官の2013年3月4日 国連人権理事会でのスピーチ英文未定稿

前特別報告官ノワク氏の中間レポート一部抄訳

 

拷問等禁止条約委員会 日本の第二回定期報告に対する最終見解

拷問等禁止条約委員会
日本の第二回定期報告に対する最終見解
第55回会期(2013年5月6日から31日)委員会により採択

精神保健ケア
22 精神保健施設に対して運用上の制限を確立している精神保健福祉法にもかかわらず、また締約国代表の提供した追加情報にもかかわらず、委員会は非常に多数の精神障害者と知的障害者が非常に長期間精神保健ケア施設に非自発的に留められていることに懸念を持たざるをえない。非人道的で品位を汚す程度におよびうる行為である、独居拘禁、身体拘束そして強制医療が頻繁に行われていることを、委員会はさらに懸念する。精神保健ケアに関する計画についての対話の間に得られて情報を考慮しても、委員会は精神障害者の入院に対するオルタナティブに焦点を当てたものに欠けていることに懸念を持たざるをえない。最後に、拘束的な方法が過剰に使用されていることへの効果的で公平な調査がしばしば欠けていること、同様に関連する統計的データが欠けていることに懸念を表明する(2,11,13,16条)
委員会は締約国に対して以下を確保するよう要請する
(a)      非自発的治療と収容に対して効果的な法的なコントロールを確立すること、同様に効果な不服申立ての機構を確立すること
(b)    外来と地域でのサービスを開発し収容されている患者数を減らすこと
(c) 精神医療および社会的ケア施設を含む自由の剥奪が行われるすべての場において、効果的な法的なセーフガードが守られること
(d)     効果的な不服申立ての機関へのアクセスを強化すること
(e) 身体拘束と独居拘禁が避けられ、あるいはコントロールのためのすべての代替手段がつきた時に、最後の手段として可能な限り最小限の期間、厳しい医療的監督下でいかなるこうした行為も適切に記録された上で、適用されること
(f) こうした拘束的な方法が過剰に使用され患者を傷つける結果をもたらした場合には、効果的で公平な調査が行われること
(g)     被害者に対して救済と賠償が提供されること
(h)    独立した監視機関がすべての精神医療施設に対して定期的訪問を行うことを確保すること
原文は以下 (精神保健の部分のみ山本眞理仮訳)

http://www2.ohchr.org/english/bodies/cat/cats50.htm

 

(訳注)

拷問等禁止条約より抜粋

第二条

1.締約国は、自国の管轄の下にある領域内において拷問に当たる行為が行われることを防止するため、立法上、行政上、司法上その他の効果的な措置をとる。

2.戦争状態、戦争の脅威、内政の不安定又は他の公の緊急事態であるかどうかにかかわらず、いかなる例外的な事態も拷問を正当化する根拠として援用することはできない。

3.上司又は公の機関による命令は、拷問を正当化する根拠として援用することはできない。

第十一条

締約国は、拷問が発生することを無くすため、尋問に係る規則、指示、方法及び慣行並びに自国の管轄の下にある領域内で逮捕され、抑留され又は拘禁される者の身体の拘束及び取扱いに係る措置についての体系的な検討を維持する。

 

第十三条

締約国は、自国の管轄の下にある領域内で拷問を受けたと主張する者が自国の権限のある当局に申立てを行い迅速かつ公平な検討を求める権利を有することを確保する。申立てを行った者及び証人をその申立て又は証拠の提供の結果生ずるあらゆる不当な取扱い又は脅迫から保護することを確保するための措置がとられるものとする

 

第十六条

1.締約国は、自国の管轄の下にある領域内において、第一条に定める拷問には至らない他の行為であって、残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に当たり、かつ、公務員その他の公的資格で行動する者により又はその扇動により若しくはその同意若しくは黙認の下に行われるものを防止することを約束する。特に、第十条から第十三条までに規定する義務については、これらの規定中「拷問」を「他の形態の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰」と読み替えた上で適用する。

2.この条約は、残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を禁止し又は犯罪人引渡し若しくは追放に関連する他の国際文書又は国内法令に影響を及ぼすものではない。

 

 

山本コメント 拷問にも至る場合もあるといって欲しかったし、最終手段という言い方、法的コントロールやセーフガードというのは気に入らないのですが、これが限界なのかなあ 懸念という言葉普通は「ちょっと心配」程度のニュアンスですが、外交用語では「怒っている」という意味だそうです。山崎公士さんに教わりました

ジュネーブの審査終了、速報 日本政府代表怒号

拷問等禁止条約日本政府報告書審査に対してのロビーイング報告 2013年5月23日

山本眞理

私は5月14日から19日までジュネーブに行き、拷問等禁止条約の委員会による日本政府の報告書(批准している国が定期的に条約の履行状況について報告するもの)の審査に向けてロビーイング活動を行いました。全国「精神病」者集団、世界精神医療ユーザーサバイバーネットワーク、国際障害同盟の審査に向けてパラレルレポートを出しましたが、やはり文書ではなくて、直接委員3名と個別に話せたのが大きかったようで、審査そのものは21日、22日に行われたのですが、ビデオで見たものと、現地からの報告をまとめると、精神病院の問題については委員がほとんど私たちのレポートにそって質問してくれており、日本政府は全く回答できていません。国際障害同盟のジュネーブ事務所の事務局のヴィクトリア・リー氏の貢献によりたくさんのアポを取れたことは非常に大きかったと考えます。

21日が委員会から政府への質問、22日が政府からのそれへの回答でした。

委員が口々に問題にしたことは以下

1 日本の精神病院の入院患者数、強制入院患者数の多さは世界的に類がない、それなのに、予算の分配は病院と地域で97対3である。地域での支援に転換する政策が取られているのか、すでに地域サースへの転換とその開発を日本政府は約束しているというのに、その流れができていない

2 強制入院については司法によるコントロールはあるのか、精神医療審査会は独立して機能しておらず、不服申立てによる救済は非常に限定されている。私立病院が多いが、これらの私立病院に対して司法的コントロールがなされていないのでは

入院期間も非常に長いがこれらに対して期間の法的上限はあるのか

3 身体拘束と隔離の数が減るどころか増え続けているが、これらの使用についての制限や悪用を避けるためのセーフガードはあるのか。身体拘束については期間の制限はあるのか。拷問等特別報告官のメンデス氏は2011年に、隔離は科学的医学的根拠に基づき最初の数日で精神的なダメッジを与えるので社会復帰に逆行すると述べている。それゆえ15日を超える隔離は絶対的に禁止されるべきだとしている。これらについて政府は知っているのかどう考えているのか

政府回答においては今までどおりの回答で、入院者数や在院期間は減ってきている、強制入院については精神医療審査会やさらに行政訴訟が可能であると繰り返すのみ、隔離や身体拘束については医師が診断して行なっているとのべるのみでした。

司法コントロールは心神喪失者等医療観察法においてしっかり行なっている、という頓珍漢な回答もありました

さらになんと精神保健福祉法の改正案が上程されており、この法案では精神病院の管理者には地域移行の義務が課せられている、と回答。

再度の質問が強制入院についてなれたが、厚生労働省の担当者不在につきこれ異常回答できないということでした

 印象的だったのは、セッションの最後に日本政府の代表が、「日本人は中世に生きているわけではない」と発言、会場の失笑をかったら、いきなり「笑うな、黙れ」と怒鳴りました。会場凍りついた感じ「まじめに話しているんだ、日本はもっとも発展した国で誇りを持っている」だそうです。

 明らかに彼常軌を逸していました。おそらく答えられない追求が重なって彼自身恥ずかしかったと推測されます。 委員の皆様の努力に感謝

早ければ6月頭に最終的な委員会の結論が公表されますが、おそらく精神医療に関して厳しい勧告が出されることは期待できます

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