ジュネーブの審査終了、速報 日本政府代表怒号

拷問等禁止条約日本政府報告書審査に対してのロビーイング報告 2013年5月23日

山本眞理

私は5月14日から19日までジュネーブに行き、拷問等禁止条約の委員会による日本政府の報告書(批准している国が定期的に条約の履行状況について報告するもの)の審査に向けてロビーイング活動を行いました。全国「精神病」者集団、世界精神医療ユーザーサバイバーネットワーク、国際障害同盟の審査に向けてパラレルレポートを出しましたが、やはり文書ではなくて、直接委員3名と個別に話せたのが大きかったようで、審査そのものは21日、22日に行われたのですが、ビデオで見たものと、現地からの報告をまとめると、精神病院の問題については委員がほとんど私たちのレポートにそって質問してくれており、日本政府は全く回答できていません。国際障害同盟のジュネーブ事務所の事務局のヴィクトリア・リー氏の貢献によりたくさんのアポを取れたことは非常に大きかったと考えます。

21日が委員会から政府への質問、22日が政府からのそれへの回答でした。

委員が口々に問題にしたことは以下

1 日本の精神病院の入院患者数、強制入院患者数の多さは世界的に類がない、それなのに、予算の分配は病院と地域で97対3である。地域での支援に転換する政策が取られているのか、すでに地域サースへの転換とその開発を日本政府は約束しているというのに、その流れができていない

2 強制入院については司法によるコントロールはあるのか、精神医療審査会は独立して機能しておらず、不服申立てによる救済は非常に限定されている。私立病院が多いが、これらの私立病院に対して司法的コントロールがなされていないのでは

入院期間も非常に長いがこれらに対して期間の法的上限はあるのか

3 身体拘束と隔離の数が減るどころか増え続けているが、これらの使用についての制限や悪用を避けるためのセーフガードはあるのか。身体拘束については期間の制限はあるのか。拷問等特別報告官のメンデス氏は2011年に、隔離は科学的医学的根拠に基づき最初の数日で精神的なダメッジを与えるので社会復帰に逆行すると述べている。それゆえ15日を超える隔離は絶対的に禁止されるべきだとしている。これらについて政府は知っているのかどう考えているのか

政府回答においては今までどおりの回答で、入院者数や在院期間は減ってきている、強制入院については精神医療審査会やさらに行政訴訟が可能であると繰り返すのみ、隔離や身体拘束については医師が診断して行なっているとのべるのみでした。

司法コントロールは心神喪失者等医療観察法においてしっかり行なっている、という頓珍漢な回答もありました

さらになんと精神保健福祉法の改正案が上程されており、この法案では精神病院の管理者には地域移行の義務が課せられている、と回答。

再度の質問が強制入院についてなれたが、厚生労働省の担当者不在につきこれ異常回答できないということでした

 印象的だったのは、セッションの最後に日本政府の代表が、「日本人は中世に生きているわけではない」と発言、会場の失笑をかったら、いきなり「笑うな、黙れ」と怒鳴りました。会場凍りついた感じ「まじめに話しているんだ、日本はもっとも発展した国で誇りを持っている」だそうです。

 明らかに彼常軌を逸していました。おそらく答えられない追求が重なって彼自身恥ずかしかったと推測されます。 委員の皆様の努力に感謝

早ければ6月頭に最終的な委員会の結論が公表されますが、おそらく精神医療に関して厳しい勧告が出されることは期待できます



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