全国「精神病」者集団ニュース 2004年12月号

2004年12月発行の「ニュース」抜粋です。 一般定期購読は有料(年6回程発行1年分5000円)です。(会員の購読は送料も含めて無料となっております。)

全国「精神病」者集団
ニュース


= ごあいさつ =

2004年も終わろうとしております。私たち「精神病」者にとっては厳しい季節の到来です。忙しく街を行き交う人々から取り残されたような思いを重ねておられる仲間も多いと思います。また家族そろっての行事の続く年末年始を一人暮らしのアパートで、あるいは精神病院で迎える仲間も多いのではないでしょうか。一人でも多くの仲間によいお年をとお祈りいたします。

今月号は二つの署名を同封しております。ひとつは精神科外来公費負担制度32条の存続を求める署名。今ひとつは大田区の身体障害者鈴木敬治さんが呼びかけているもので、大田区の障害者に対する移動介護の一律32時間/月の要綱の撤廃要求の署名です。いずれも一名でもかまいませんので、それぞれの集約先にお送りください。もちろん余裕のある方はコピーをして通院先あるいは通っている作業所などにおいていただければ何よりです。

多くの仲間の声を集め、私たち精神障害者を口実としてすべての障害者への福祉を切り捨てようとしているグランドデザイン案を阻止しましょう。これは単なる障害問題ではありません。この国の姿として、誰もが安心して生きられる社会をめざすのか、あるいは弱者を切り捨て徹底した競争社会をめざすのか、国家は治安と防衛以外何もせず、分配の責任を放棄するのか、が問われている問題です。

全国「精神病」者集団の今後のあり方も含め皆様のご意見ご投稿をお待ちしております。

(略)

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(略)


私の精神病院入院体験

埼玉 H

僕は埼玉県在住の青年です。最近埼玉の西熊谷病院でとんでもない事件が起きましたね。大変な事件ですが、よく調べればもっとひどい事が見つかる気がします。犯罪者達(医療側)も色々弁解したり、それほどの悪意はなかった旨を言っていますが、僕もF市の、評判の、冷たい病院に10年程前入院した事があるので、僕の体験からおそらく予想される病棟のひどさが伝わらないもどかしさを覚えます。

(略)

(このご投稿で触れられている事件は以下 編集部 注)

西熊谷病院で入院患者に暴行 男性医師、書類送検 県、月内にも指導

埼玉県熊谷市の財団法人、西熊谷病院で平成十四年四月以後、看護職員による精神障害の入院患者に対する暴行が複数あったことが二十三日までに県の調べで分かった。この間、入院患者の自殺、事故死など不自然死が少なくとも七件あり、うち一件の処理に不備があったとして、県警熊谷署が男性医師を医師法違反の疑いで書類送検した。事態を重くみた県は同病院に対して業務改善指導を行う方針を固め、今月中にも実施する。

西熊谷病院は大正十三年の創立で、精神科、神経科、内科がある。ベッド数は五百三十五床、精神障害の患者が入院できる病院としては県内で最大級。今年夏、「入院患者に対する暴行が多発している」との内部告発を受け、県が調査したところ、男性看護職員が鍵で女性患者の頭を殴って負傷させたことや、別の男性看護職員が別の女性患者の頭を壁に打ちつけたことなどについて、病院側も大筋で認めた。

また、同病院では平成十四年四月以後、少なくとも七件の不自然死があり、このうち、平成十五年七月十八日、菓子をのどに詰まらせて死亡した男性=当時(51)=について、担当の男性医師(45)が医師法の規定に違反して、二十四時間以内に所轄の警察署に届け出なかったとして、熊谷警察署は今月初め、同医師を医師法違反の疑いで書類送検した。

県の医療整備課と障害者福祉課は、調査結果を受けて、入院患者の医療安全を守るため、医療法と精神保健福祉法に基づく業務改善指導を行うのが適切と判断し、近く同病院に通告する。

同病院の吉田則昭院長は産経新聞の取材に対し、「暴行事件は誠に遺憾。当該職員に対し、その都度、休職、減俸などの処分をした。現在、病院内には暴力行為はない。今後は職員の指導を徹底し、患者の人権を重視していきたい」と話した。

また、書類送検された医師は「遺族から、届けなくていいといわれ、そのままにしていたが、別の医師からの指摘で遅れて届け出た。今は反省している」と語った。

……後略……

(産経新聞) – 11月24日3時1分更新


死刑執行をさせないために要請葉書を南野法務大臣に集中を!!

国会が終わり年末までにまた死刑執行の恐れがあります。法務大臣に死刑執行をするな、という要請はがきを集中してください。

あて先

*東京都千代田区霞ヶ関1-1-1 法務省内 南野千恵子法務大臣殿

(略)


心神喪失者等医療観察法来年7月施行阻止に向けて

長野英子

11月20日、心神喪失者等医療観察法(予防拘禁法)を許すな!ネットワーク全国集会が東京戸山サンライズで開かれた。

集会には九州、関西関東一円からも「精神病」者の参加が見られ66名の参加者があった。

19日は法務省と厚生労働省に心神喪失者等医療観察法施行阻止の申し入れをした。20日午前中にはネットワーク総会が持たれ、今後のネットワーク運営についての議論がなされた。

集会ではメアリー・オーヘイガン氏の講演の後基調報告、行動提起、各地からのアピールは中島医師、大杉弁護士、大田区で支援費削減に対し戦っている鈴木敬治さん、そのほか九州、大阪、の仲間、山谷の仲間などからなされた。

以下決議文を採択すると同時に心神喪失者等医療観察法への協力拒否の申し入れを各都道府県にすることが確認された。詳しくはぜひネットワークに参加し、ネットワークニュースをお読みいただきたい。

12月8日にはすでに特別施設が着工している国立武蔵病院への申し入れが行われ、毎日新聞多摩版にも記事が掲載された。

決議文

精神障害者差別に基づく予防拘禁法・保安処分制度である心神喪失者等医療観察法の施行を阻止するために、私たちは本日全国から集まった。

4回にわたる政府当局と私達が出席した交渉(厚生労働省のみ3回、法務省と厚生労働省の朝日俊弘議員のヒアリング参加)やこの間の政府発表、報道によって以下の問題が明らかになっている。

(1)同法においてでは対象になるか否かを判断するために強制的に鑑定入院が行なわれるが、これらの鑑定入院中の処遇その他について同法には何の定めもなく、医療内容も、処遇内容も、そして誰がそれに責任を持つのかもまったく決められていないことが明らかになっている。厚生労働省・法務省は「強制医療はされるのか、弁護士はじめ面会は立会人なしでできるのか」という質問に対しても明確に回答できないという実態であった。

(2)7つの国立病院を入院施設に指定したものの着工が決まったのは国立武蔵病院と花巻病院の二つだけである。その他は地元含めた反対のため着工のめども立っていない。

(3)指定入院施設について、都道府県の協力が得られず、目標が達成できないため、厚生労働省としては大幅に施設基準を緩和していく考えであると報道されている。また、10月に明らかにされたガイドライン案でも30床を半分の15床、新築ではなく改築でも可、集団療法室、作業療法室等は既存の病棟施設と共用可、とされている。政府は、ゆとりのある開放感のある施設、手厚い人手、という同法の建前すらかなぐり捨てている。

(4)報道によれば、奈良県担当者は保護観察所との意見交換会で「個人情報を当事者の同意なしに他機関に知らせることになる」と難色を示し、「サービス行政機関である保健所が、知り得た情報を保護観察所に知らせることはできない」と具体的な意見を述べている。現在ある保健所精神保健センター等があくまで精神障害者自身の利益のためのサービス機関であろうとするならば、こうした姿勢を貫くのは当然であり、そうでなければ、これらの機関はすべての精神障害者にとって恐怖の的となり、どんなに苦しくとも助けを求められない機関となってしまう。

同法の保護観察所による対象者の地域処遇に、既存の精神保健福祉サービスからの協力を得られないのは当然である。

(5)さらに指定入院施設が作られようとしている地域での地元説明会では、厚生労働省担当者は3メートルの塀をめぐらせる、と名古屋尾張旭市の説明会で発言、またガイドライン(案)によるとある地元では参加者から「収容者が逃げ出したときには警察に通報では間に合わない、サイレンでも鳴らしてはどうか」などという意見まで出ており、同法が精神障害者への差別と偏見を広め強化していることは明らかだ。

以上のように、同法の施行を巡り明らかになったのは、同法が現在の精神医療・福祉と齟齬を来たしており破綻しているということである。

私たちは政府に対し、直ちに心神喪失者等医療観察法施行準備を中止し、法そのものを白紙撤回することを求める。

2004年11月20日

11・20差別と拘禁の予防拘禁法を許すな!

全国集会 参加者一同


グランドデザイン(案)を批判する

山本真理

多くの精神障害者仲間にはまったく知られていないことと考えるが、今厚生労働省社会保障審議会障害者部会で厚生労働省が出してきた「『今後の障害保健福祉施策の改革』-「グランドデザイン(案)」が議論されている。

そもそもの発端は知的・身体障害者の支援費(介護保障の制度)が、発足後すぐに「財政的に破綻」したということで、厚生労働省は全国で一律に介護時間の上限を押し付けようとし、障害者の反対により見送られると、今度は介護保険を20歳から保険料を取り、若年障害者も介護保険で介護保障しようという方向を出してきた。財界等の負担増を理由とした反対からこの統合の方向はいったん先延ばしとはなっているが、それゆえにこそ支援費はじめ障害者福祉政策全体を徹底的に削減することを厚生労働省は今求められている。徹底削減の上で介護保険との統合を行おうとしているのだ。

ここで私たち精神障害者が口実として利用されている。精神障害者は支援費の対象ではないのが問題という口実のもと、精神障害者への福祉拡大を掲げ知的・身体・精神を対象とした「障害福祉サービス法」(仮称)を制定するとしているが以下に述べるように重大な問題点がある。

前提として

グランドデザイン(案)作成過程において私たちは意見すら聞かれていないし、障害者部会においても組織の参加はない。また介護保険と支援費の統合問題についても他障害者団体とは意見を交換しているが、「精神病」者本人団体は一切無視し、家族会のみを対象としてきた。また厚生労働省の開いている「精神障害者の社会復帰の明日を語る会」も発足そのものが秘密裏になされメンバーにも「精神病」者本人はいない。

これらからそもそもこのグランドデザイン案そのものになんら正統性がないことは明らかで、これが審議会を通ったからなどといって政策化されることはあってはならない。全障害者組織がその会員間で十分討論し対応できる時間を保障し、全障害者組織と丁寧に議論を積み重ねることがまず必要である。

誰でも街で生きる社会をめざし、権利としての介護保障、脱施設化・精神病院退院促進を図るのか否かが今問われている。

介護保険は高齢者施設への隔離収容をなくしたか? 減らしたか?痴呆性といわれる老人の精神病院収容を減らしたのか?いずれもノーである。介護保険制度こそ今根底的に問い直されるべきである。

参考資料

「国連障害者の機会均等化に関する基準規則」

規則14.政策形成と計画立案

2、政府は、障害を持つ人に関係する、もしくは障害を持つ人の経済・社会的地位に影響を与える計画の決定には障害を持つ人の組織を関与させるべきである。

グランドデザイン案の問題点

1 私たちの求めてきた全障害者福祉法、という要求とはかけ離れていること

すなわち遅れた精神障害者の福祉を他障害並みにという要求であったが、今回のグランドデザイン(案)は精神障害者福祉の低い水準、さらに専門家に支配されている精神障害者福祉の中身に、他障害を引きずり下ろす、という内容と判断する。さらに私たち精神障害者は支援を受けて、支援を受けずに働き生活できることを「自立」とされ、できないことを「支援」や「介助」を受け街で自分なりの暮らしを作ることは「自立」でないと否定されてきた。

こうした障害をひたすら個人のものとする障害の「医学モデル」「個人モデル」のもとにわれわれはおかれてきたが、こうした「医学モデル」が全障害者に押し付けられようとしている。ひたすら訓練・矯正により就労をめざすことのみが強調され、それができないものはともかく生命維持以上の介護保障はしないという方針である。

私たちは精神保健福祉法撤廃を要求してきたが、少なくともまず精神保健福祉法を強制収容法としてその手続法に純化し、福祉に関する部分は全障害者を総合した福祉法とすることが必要。そしてそれ以前に遅れた精神医療の改善のために財源を投じる特別の時限立法「精神障害者復権法」の成立も必要である。

そうでなければ、現行のいわゆる精神障害者福祉のあり方、すなわち常に強制収容法の影響下、そして医療の影響下から逃れられず、障害の治療・矯正という目的あるいは社会防衛の色合いを否定できず、監視管理からの解放がありえないことになる。

とりわけ手帳制度については、少なくとも全障害者同一の根拠法の下、外観も同一、開くと級だけ書いてあって障害名がわからないという形式が必要。

都道府県によっては、現在も外観の統一を行っているところがあるが、開くと根拠法が書いてあるため障害名が分かる形となっている。

2 32条の撤廃と対象者制限、作業所福祉工場の利用料徴収

サービスの応益負担(得たサービス料に応じた負担)の導入については、本来介助介護は個人が受ける特別な「益」といえるのかどうかが問われるべきで、健常者すなわち援助の必要がない人のみが道路や電話や鉄道を使え、障害者はそこから排除されているとき、それを使えるようにするサービスは当然特別な「益」ではなく障害者が自己負担なく無料で使えなければならない。最悪でも応能負担(収入に応じた負担)であるべき。さらに同一世帯にある家族の収入をその能力とすることは障害者の自立を著しく妨げるものであり、たとえ応能負担でも障害者個人の収入を基本に計算されるべきである。ましてや応益負担を導入するのであればあくまで本人の収入を基準とすべきである。

医療費の公費負担についても、11月26日に厚生労働省の出してきた案によると、医療費の公費負担制度は、精神障害者に対しては外来のみが対象であり、しかも5%から10%への自己負担増、さらには住民税非課税世帯(本人ではなく世帯)以外のものは公費負担が使えなくなる。

32条の出自(ライシャワー事件による地域監視網の一環としての新設)の問題はあるが、この制度が初診から使える医療保障制度として利用者が増大していることはむしろ喜ぶべきことであり、精神障害者への偏見の除去のひとつの成果ともいえよう。もっとも差別されようが背に腹はかえられないという経済的切迫状況が利用者を増やしているともいえよう。

その意味でも自殺予防を施策化している政府方針から言っても守り続けなければならない制度といえる。公費負担の制限により親元にいるもの、専業主婦あるいは休職手当て受給中のものなどの受診抑制が進めば、自殺、病状悪化による入院などが生じ、長期的に見れば経済的にも負担増となる可能性は高い。

またILOがすでに勧告しているように作業所などの保護的就労の場でも最低賃金等労働法の適用が必要であるが、グランドデザイン案ではこうした場を福祉サービスと位置づけ何と利用料を応益負担としてとるということになっている。許せない方針である。


11月27日全国「精神病」者集団会員交流会報告と12月・1月の交流会へのお誘い

全国「精神病」者集団窓口係 山本眞理

(略)

@久しぶりに参加した。大変な世の中だが、ニュースを読んで、「まだここに良心がある」と思った。

@多摩精神保健センターに都精連、全精連、全国「精神病」者集団ニュースの3種類がおいてあった。自殺未遂、その後どうやって生きていき、何ができるのか考えていた。多摩地域で交流の場があって、作業所の情報もある。

それらの中で、一番生きた言葉があるのが全国「精神病」者集団ニュースだと思い、それで窓口に連絡をした。

@入会して2,3年たつ。

絆社のメーリングリストで少し討論に参加している。発病後16,7年あいかわらず通院中。

発病する以前から反精神医学運動に共感をおぼえていた。

全国「精神病」者集団は「精神病」者の立場として反精神医学運動をやっていける集団である、と思う。仲間からいろいろな貴重な意見がえら得るのではないか。

全国「精神病」者集団は運動体としてやっている印象が強かったし、面白そうだと思った。

リハビリテーションと芸術的な実存主義、生きるということが狂気ではないか。聖なる狂気ということも考えている。


窓口から

(略)

♪♪ 精神保健福祉法撤廃を主張してきた身としては、32条存続署名集めは複雑な心境ですが、でもともかく所得保障がない中で、強制に結びつかない、唯一の医療保障、福祉ともいえる外来公費負担制度は代替策のない中では存続を要求せざるを得ないと判断します。

♪♪ 窓口へのメールでも32条はそもそもその根拠はあるのだろうか。撤廃は当然ではないだろうか。自分は今32条を使ってはいるが、果たして存続を求めるべきだろうか、というご意見もいただいております。皆様はどうお考えでしょうか。ご意見を窓口までおよせください。

(略)

♪♪ 厚生労働省はともかく金がない、の一言で障害者の生存権すら奪おうとしていますが、仮に心神喪失者等医療観察法を施行すれば、拘禁施設の費用だけで、一人当たり1200万円かける30床かける24箇所で、140億円(毎年の精神保健予算の15%近く)近い予算毎年かかり、それに審判費用やら、地域処遇の費用がかかります。支援費の不足分などすぐ出るのではと私は考えます。心神喪失者等医療観察法施行阻止をこの意味でも訴えていかなければなりません。厳しい年の瀬ですが皆様いいお年を。


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「予防拘禁法を廃案へ」闘いの軌跡 (2002年から2003年)

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(略)


各地の仲間に訴えます。

心神喪失者等医療観察法施行阻止に向け、都道府県政令指定都市そして精神保健担当部署に、県立病院での入院施設建設、通院指定を拒否し、保健所・精神保健福祉センターの地域処遇における保護観察所への協力を拒否するよう申し入れてください。

文案例

現在政府は心神喪失者等医療観察法施行準備を進め、都道府県立病院に対して指定施設を受け入れるよう要請中です。また保護観察所は各都道府県において精神保健担当者との意見交換会を開き協力を求めています。しかし反対のため各地で施設建設は進まず、年内に着工できるのは国立武蔵病院と花巻病院だけです。

心神喪失者等医療観察法は精神障害者差別に基づく予防拘禁・保安処分立法であり、あってはならない法律です。私たちはこの法律の施行を阻止しなければならないと考えております。

厚生労働省が10月に出した心神喪失者等医療観察法のガイドライン(案)によると、都道府県の協力が得られないため、施設基準を緩和までして都道府県にこの施設建設を押し付けようとしています。心神喪失者等医療観察法の手厚い人手、開放的な空間という建前さえ政府はかなぐり捨てています。

すでに心神喪失者等医療観察法は破綻しているといわざるを得ません。

また報道によれば、奈良県精神保健担当者は保護観察所との意見交換会で「個人情報を当事者の同意なしに他機関に知らせることになる」と難色を示し、「サービス行政機関である保健所が、知り得た情報を保護観察所に知らせることはできない」と具体的な意見を述べています。現在ある保健所・精神保健センター等があくまで精神障害者自身の利益のためのサービス機関であろうとするならば、こうした姿勢を貫くのは当然であり、そうでなければ、これらの機関はすべての精神障害者にとって恐怖の的となり、どんなに苦しくとも助けを求められない機関となってしまいます。

同法の保護観察所による対象者の地域処遇に、既存の精神保健福祉サービスからの協力を得られないのは当然です。

○○県におかれましても、保護観察所への協力を拒否し、心神喪失者等医療観察法の入院および通院施設指定を拒否なさるよう要請いたします。


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アメリカのナショナル・エンパワーメント・センターの自分らしい生活を取り戻す回復=リカバリーの研究成果をまとめたPACEという実践的マニュアルの翻訳です。著者はいずれも精神医療サバイバーの心理学者と精神科医です。

「人は“精神病”と知られている深刻な感情的苦痛から回復できるし回復する」

「回復に関する研究によると、理解ある態度と支援があれば、人は精神病から完全に回復する」 本書より

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