全国「精神病」者集団ニュース 2003年10月号

2003年10月発行の「ニュース」抜粋です。 一般定期購読は有料(年6回程発行1年分5000円)です。(病者である会員の購読は送料も含めて無料となっております。)

全国「精神病」者集団
ニュース


ごあいさつ

朝晩肌寒い季節となりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。夏の疲れの出る時期でもあり、秋風とともにうつの季節の予感におびえる方もおられるのではないでしょうか。

9月末に日本精神障害者リハビリテーション学会に行ってきました。世界精神医療ユーザー・サバイバー・ネットワークの初代議長であるニュージーランドのメアリー・オーヘイガンの話を聞きました。現在精神保健協会(政府からは独立した組織で、精神保健サービスの立案、調査、などを行う組織で3人のメンバーの一人がメアリー)の委員として活動しています。「精神病」者でありレズビアンでもある彼女が3人の委員の1人、他の2人も精神保健の専門家はいません。顧問組織としては「精神病」者団体が正式に位置づけられています。彼我の格差にため息が出るばかりですが、メアリーの説明の中で精神保健の改革に、ニュージーランドの先住民の権利獲得闘争の成果が大きく影響していたことが触れられていました。そればかりではなく、最近ニュージーランドの前国防副長官が来日しましたが、ニュー人ランドでは戦闘機を廃止、文字通り専守防衛の武器しか持たないという話です。ソ連亡き後米国に次ぐ世界第二の軍事大国であり、海外派兵する日本で、人権や精神保健の改善などありえないということでしょう。 精神保健だけがよくなるはずはない、と私たち全国「精神病」者集団が主張してきたことの正しさが立証された思いをしております。

(略)

全国「精神病」者集団の連絡先が変更となりました。お手紙ニュースなどのあて先変更をよろしく。
なお窓口の電話番号も変更しました。

★お手紙、各地のニュース、住所変更、ニュース申し込みはすべて
〒210-8799 川崎中央郵便局私書箱65号
絆社ニュース発行所
E-mail
電話 080-1036-3685
(土日以外午後1時から午後4時まで)
ファックス03-3738-8815

★会員の運営している私設ホームページ 変更されました
http://www.geocities.jp/bshudan/ 携帯電話でも見られます。

北から 南から 東から 西から


(略)


心に響く、精神障害者当事者バンドハルシオンの3枚目のアルバムが9月にリリースされました!
「僕たちの未来」 9月中旬発売!

「月灯りに照らされて」 「夜明けの船」 「きしむ心に」 「Low」 「ルート26」 「僕たちの未来」 「雑草の唄」オリジナル全7曲を収録
定価1800円

☆この秋あなたは新しいハルシオンに出逢う!
1’st「フナの唄」定価1500円 2’nd「心の花」定価1800円 絶賛発売中!

お問いあわせ
☆生活支援センターすいすい
FAX 06-6975-9955


11月3日予防拘禁法(医療観察法)を許すな!全国ネットワーク結成集会へ参加を

私たちは「精神病」者本人そして、精神医療従事者、法律家、市民、労働者のそれぞれの立場から「心神喪失者医療観察法」の廃案に向けてこの2年間闘ってまいりました。力及ばず、法成立を許してしまいました。施行は2005年までにという状況でもあり、すでに東京の国立武蔵病院と佐賀の国立肥前療養所にこの法の下での特別施設が建設されることが決まっております。
各地でこの法の施行および施設建設を阻止し、法の運用を監視していくために全国的なネットワークの結成が求められていると私たちは考え、下記要領で全国ネットワークの結成集会を開催いたします。
多くの方のご参加を訴えます。

と き 11月3日(月:休日)午後1時から4時まで
ところ 文京区民センター 2A会議室
都営地下鉄三田線「春日」すぐ上 営団地下鉄「後楽園」徒歩5分
内容 記念講演 八尋光秀弁護士 各地からのアピール
参加費 資料代300円
手話通訳を用意いたします。

集会終了後場所を変えて、2時間ほど全国ネットワークの打ち合わせ会議を行います。
呼びかけ
予防拘禁法を廃案へ!共同行動
「精神病」者・障害者の参加者については、交通費自己負担1万円超過分を補助いたします。お問い合わせは「病」者集団窓口までお願いします。


国連障害者差別禁止条約関連情報

WNUSP 山本真理

前号でお知らせした国連での動きですが、すでに条約草案を作る作業班ができております。作業班には政府のみならず障害者のNGO(非政府組織)、人権関係のNGOも参加することになり、精神障害者団体としては世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワーク(WNUSP)もティナ・ミンコウィッツが参加することになっております。政府代表としてはアジアでは中国、インド、日本、韓国、レバノン、フィリピン、タイが参加することとなりました。

来年1月にも作業班の会議は入り、またこの10月にはESCAP(国連アジア太平洋経済社会委員会)条約をめぐる専門家会議(WNUSPからはメアリー・オーヘイガン出席)が開かれ条約草案が作られ、また11月にはそれに基づきESCAPの政府間会議が北京で行われます。

あらゆる強制の廃絶に向けWNUSPは主張し続けます。まだ翻訳のできていない文章ですが、10月のESCAP会議にもその立場からの意見が出されています。

今後も情報を提供していきますので、この問題に多くの仲間が注目なさることを訴えます。今WNUSPはわかりやすいパンフQ&Aを準備中です。これもまた翻訳掲載していきます。


シンポジウムのご案内
高齢者や障害者の人権と生活支援を考える集い

日時 2003年11月15日(土) 午後1時半から4時半
会場 ビッグシップ(米子コンベンションセンター)小ホール JR米子駅から徒歩3分

シンポジスト

長野英子(全国『精神病』者集団会員)/塩冶かをる(知的障害者の家族)
森田多賀枝(高次脳機能障害者の家族)/吉野立(呆け老人をかかえる家族の会)
オブザーバー 前田悦子(鳥取県人権局長)
コーディネーター 井上徹(地域(まち)でくらす会)

主催:「高齢者や障害者の人権と生活支援を考える集い」実行委員会

構成:米子市,呆け老人をかかえる家族の会鳥取県支部,

高次脳機能障害者家族会,障害のある人の仕事場『しえすた』家族会,

社会福祉法人地域でくらす会
連絡先:ファックス(0859)35-5648
〒683-0834米子市内町122
E-mail machi-01@chukai.ne.jp


パンフの紹介

WNUSP関連資料
目次
・精神保健サービスにおける強制 ――国際的ユーザー・サバイバーの観点から
メアリー・オーヘイガン
・障害者の権利と尊厳を強化し守る包括的かつ完全な国際条約についての第2回国連特別委員会への提言
世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワーク
・「精神疾患を有する者の保護及びメンタルヘルスケアの改善のための諸原則に関する国連決議」(1991年12月17日国連総会決議 46/119)に関する見解
世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワーク
B5版 24ページ 300円

メアリーの論文は、強制を実践的になくすために有効な指針です。

告発 日精協政治資金と「心神喪失者医療観察法」
B4版 20ページ 300円

長野英子参考人意見 配布資料つき
2002年12月の衆院法務・厚生連合審査での参考人意見
100円


(略)


☆窓口入手資料

(略)


☆日本病院地域精神医学会総会

10月23日、24日に島根県松江市で、学会総会が開かれます。「心神喪失者医療観察法」のビラまきのため参加します。

ともかくこの法律のことそのものが知られていない現状を何とか打破していきたいと考えています。お近くの方よろしかったらお顔をお見せください。

詳しくは以下にお問い合わせください。

松江市民病院地域医療室内

電話0852-32-8200


キャンペーン
厚生労働省社会保障審議会、検討会委員へお手紙を

長野英子

現在社会保障審議会障害者部会および、厚生労働省の精神保健福祉対策本部中間報告で、開催するとされていた

①病床のあり方、
②地域生活支援体制、
③普及啓発、

の3つの検討会が開かれております。そのうち病床のあり方検討会のメンバーのお一人、精神障害者本人の山梨さんから意見募集のメールが来ております。この検討会に限らず、多くの方が訴えたい内容をお持ちと考えます。ご希望の方にはそれぞれの委員名簿をお送りします。

審議会検討会は公開で傍聴可能ですが、現実に傍聴できる経済的体力的余裕のある方は例外だと考えます。せめて訴えたい内容をお手紙なさることを呼びかけます。

それが取り上げられるかどうかは、今までの審議会等が、単なる厚生労働省と日精協の作文で終わって審議会はその作文正当化のための儀式と化してきた事実を考えるとむなしいともいえますが、こうした意見と注目が集まったという事実を残しておくことは無駄ではないでしょう。

お手紙を出した方は長野にも送ってくだされば、サイトに掲載し、まとめて記録として残すことができますので、ぜひ長野までお送りください。

社会保障審議会が、「心神喪失者医療観察法」下では対象者の不服申し立て受付機関となります。どのような運用がされるかはまだ不明ですが、精神障害者本人が、仲間の不服を受け付け裁くというおぞましい事態だけは避けたいと考えます。

以下は山梨さんのお手紙

精神障害者 山梨(略)が構成員をしている検討会が開かれます。

前回 9月9日開催の時は、思ったより、精神医療ユーザーしとして戦えませんでした。みなさん、すみませんでした。

いろいろ、皆さんのご意見や、現実をお伝えするのが役目と私は考えていますので、山梨(略)pia_net@ybb.ne.jpまでお知らせください。また、仲間の傍聴による応援をお願いします。

精神病床等に関する検討会(第二回)

と き 10月27日(月)17:00~19:00
開催場所 中央合同庁舎第5号館(厚生労働省)5階共同第7会議室 (東京都千代田区霞ヶ関1-2-2)

議 題

(1)論点整理
(2)学識経験者からの意見聴取
(3)その他

<事務局>
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉課医療施設係
電話03-5253-1111(内線3058)


2003.9/9

意見書 「精神病床の現状とそのあり方について」

1.入院の一歩は病院のベットと歩む、自己決定のない人生のスタート。

・病院のサービスは、すばらしい。三色昼寝つき、上げ膳すげ膳、遊びつき。

反面、一度入院をすれば、私たち精神病者は、自己決定を認められなくなる。

入院中は、治療と保護の名目の中で何するにも、許可が必要になる。何をするにも相談し示唆.支持、または選択肢を与えられるが、その繰り返しの中、自己決定や自己判断は失われていく。

そして、毎日のライン仕事の中で、自分ひとりでは何もできない精神病の患者

が過剰に生産されていく。

2.ゆりかごから墓場までの病院にささげる患者生活

・子供デイケア、子供クリニック そして以前は、少なかった未成年の入院者は近年多くなってきた。また、社会的入院者は高齢化し、老人病棟も増えている。

3.薬物療法と生活療法のなか、社会的能力は失われていく。

・全体的に入院中の色々な療法の中、秩序を重んじ、患者は次第に幼児化していく。

・病棟は療養中心であり、施設化しは、治療などはあと回しになっている。

一般病院にくらべ医者もスタッフも少ないために、管理中心型になりなっている。

病棟の秩序を破る問題行動者は、病原菌のごとく、排除の原則に従い、特別観察室に隔離され、両手にもあまる薬物療法と個室生活によって、「おとなしい管理上、良い患者」にかえられる。

問題行動をするといわれる多くの患者は、社会性が残っているために自己表現をしていることを、治療者も理解しているが、なにしろ手がたりないので、ごく当たり前になってしまっている精神病床の基本である。

4.精神病棟の檻の中の生活で友人や親族を失う。そして社会性も欠損する

・入院中は外界(社会)との遮断をされる。私自身の友人が入院しても、「守秘義務」を名目に面会もできず、電話をかけても取りつないではくれない。

病院の実態調査をした精神医療ユーザー会の文献にもあるが、面会の自由、通信の自由は(信書はのぞく)ほとんど認められていない。

・また、精神病院の多くは檻がついている。そして、さらに厚い鉄の扉に鍵がかかっている。その中に入ったというだけで、社会からは悪いことをしたように思われ、人間として社会での信頼はなくなってしまう。

5.スタッフや医者の少なさからくる、二次的発病(障害)

・私たちが地域で生活していると、退院した仲間は、ほとんどある傾向が強く、再入院を繰り返す。

・入院中は、入院者の担当医と担当看護者が決まるが、下記表は「参考資料1 精神保健福祉士養成セミナー精神保健福祉論より」から抜粋したものだが、一目瞭然に精神病床では、治療らしきものが欠けている。

医者一人当たりの病床数は、
一般病床は8.0人 精神病床は、48.3人
看護者一人当たりの病床数は、
一般病床1.9人 精神病床は、4.0人

(1999年10月1日現在)

それら人員のたりなさから、病床職員の業務はなぜか、カルテによる申し送りが主になり、病棟の全患者の状態把握を余儀なくされる。また、カルテ書きにおわれ、ナーススティーションから出る時間は少なくなり、患者は手じかにいるスタッフに相談などをするようになる。

・申し送りが、毎日おこなわれているので、どのスタッフも対応することができる。

患者にとってはいつ誰に話してもわかってくれるとても充実したサービスである。ままた、「いつも私は見守られている」との良い意識も生むが、退院してからは、反対に、「いつも見守られていなければ、安心できない、だから見守れて生きている」と勝手に内的真実が作られがちである。

・結果的には、状態が不安定になれば内的真実はこわれ、監視妄想となり、被害妄想がひどくなり、急性期に変わっていく。

6..精神病床で、たらいまわしされるカルテと患者の人生観

・色々と施設が整った良い病院とは、調っている。
・近年、病院敷地内に援護寮や、グルーブホーム、福祉ホームが乱立している。

「福岡県社会資源リストより 参考資料2」

色々と整った良い病院のように見受けられるが、施設のニーズも多様化している。精神病院が多々な法律上の規制の対策にそれらを活用している面もある。

・また新規病棟を退院準備の病棟と言う名目で、慢性期病棟から年間一回の転床が実施されているところもある。(精神療養病棟入院料は、支払いに保証人は困難している)

・そのたらい回しされている患者自身は、どんな心境かを自分自身でも味わい、書き表すと、「病気は、治すものだ」「ステップアップしなければ」「リハビリしなくては」との心が芽生え、病気の入り口と出口を探し、いったりきたりする。

・希望を周囲から持たされ頑張り、病院敷地内の施設退院に向かって歩くが、結局は挫折感にあふれ、地域に生活することを諦めていく。

「資料参考3 福岡県がおこなった入院者、通院者のニーズ調査より抜粋 」

7.医療は治療を、人生設計は自らおこなうもの

・こんな状態での精神病床の中では、病床では治療を施工されていないに等しい。

治療、療養や保護の社会的大義名分で、患者のお世話計画を人生設計に変えてしまいし、病院の病床や、病院デイケアに長年縛り付けておくことは、精神病を抱えた一人間の人権侵害につながる。

福岡県精神障害者連絡会
事務局長 山梨


資料
第1回厚生労働省との面会
メモ (加々見、補足山本)

日時:2003年10月15日(水)14時~15時
場所:参議院会館 第五会議室

出席者

・厚生労働省
精神保健福祉課課長補佐三好氏、渡辺氏
企画法令課 田中氏
・法務省 欠席 物事が決まる前に団体と会うことはしていない。前例はない
・朝日俊弘議員 山本真理 加々見 他6名

1 「心神喪失者医療観察法」の施行はいつか?

回答(三好氏)

2年を越えない範囲で、遅くとも平成17年7月には。周知期間が必要であるから、施行前に省令が出される。

法務省が審判手続きと、保護局で社会復帰を担当し、社会復帰調整官が携わる。厚生労働省が医療領域を担当することになる。

Q.施行について、各都道府県の担当部局への説明がなされるのか。

A.具体的なことを連絡調整している。厚生労働省からの説明文も出されている。

2 新法施設はまず8箇所と聞くが、その設置場所は、武蔵、肥前を含む旧療養所なのか?

国府台などその他の国立病院も考えられているのか?

その指定についてはいかなる手続きで決定するのか?

回答(三好氏)

まだ決定していない。入院先は国・都道府県立、独立行政法人立を指定する。

これから、厚生労働省が基準(建物、人員等)を定める。施行されてから法の発動後、施設指定をする。全体で定常的に800~900床が必要と考えられ、30床/1施設の割合で 全国で30施設が必要。全室個室で司法精神医療を行う。既存の施設敷地内に新しい建物を敷設していく。

3 通院のための指定施設についてはどこを指定するのか?

各都道府県立病院を考えているのか?

その指定についてはいかなる手続きで決定するのか?

回答(三好氏)

民間も含め幅広く通院先を確保する。厚生労働省が基準をつくり、医療内容についても検討する。

4 新法の特別施設は精神病院の一部か?

精神保健福祉法はどこまで適用されるのか?

新法と精神保健福祉法の関係はどうなのか?

両法の合体は将来考えているのか?

新法の施設に措置入院の人が入ることは可能か?

回答(三好氏)

精神保健福祉法と医療観察法は全く別物で合体することはない。

医療観察法は、重大犯罪者でかつ、心神喪失等の限定された人が対象となる。

それ以外の人が対象になるという心配よりも、病床数が足りるかどうかが課題にある。

通院処分中の対象者が精神保健福祉法により精神病院に入院することは妨げない。

施設は、医療法上にあり責任者については病院と同じ、精神保健福祉法は及ばない。医療法医師法は当然及ぶ。あくまで医療施設であるから。

精神保健福祉法上の指定医の義務同様のものは法に規定してある。

5 法対象者への通信面会の権利について

法92条で指定入院施設の行動制限については「信書の発受の制限・弁護士及び行政機関の職員との面会制限・その他の制限にあって、厚生大臣があらかじめ社会保障審議会の意見を聞いて定める行動の制限については行うことができない」となっているが、精神保健福祉法と同等レベルは保障されるのか

鑑定入院については法の指定入院施設となるのか?

鑑定入院中および入院中の通信面会権については精神保健法同様原則自由とするのか?

面会は立会人なしでできるのか?

手紙の検閲および電話の傍受は禁止されるのか?

通信面会については弁護士資格等制限はないのか?

現在の刑事施設のような接見禁止というのはありうるのか?

日本語を母国語としない人についての通訳保障、翻訳保障は無料で保障するのか?

回答(三好氏)

あくまで医療施設である。

通信面会権については制限をしない。面会についても立会人なしでも可能とする。例えば、刃物、薬物などの封入されている可能性のある手紙などは、本人の目の前で開封する。つまり刑事施設ではないので、ベースは精神保健福祉法と考える。普通の精神科で行われるような医療判断で行う制限はあり得る。(松沢HPなどの最近記事になったような、画一的な面会制限をもうけるのではない)

あくまで常識の範囲で、たとえば深夜に面会させろということであれば断るということはありうる。

Q. 朝日議員

精神保健福祉法と同様の内容ならば、精神保健福祉法でやればよいのではないか?

A. 法体系上、医療観察法で行う。

6 外部からの差し入れについて

外部からの差し入れについての制限はあるのか?

刑事施設のような制限を考えているのか?

書籍等の制限および検閲はあるのか?

外国語文献についてはどうか?

食料あるいは衣服の差し入れについてはどうか?

回答(三好氏)

あくまで医療施設であるから、差し入れなどという言葉が出てくることがおかしい。

刑事施設でないのでその点制限されるものではない。もちろん常識の範囲で大量の食料などということになれば医療的判断で制限もありうるそれは一般科の病院でもあることだろう。

Q.鑑定をするための病院についてはどうか?

A.法務省が決める。

Q.鑑定の時、医療機関に入っているときの通信面会処遇の基準はどこが決めるか。国会審議では鑑定中に関しては「通信面会の権利を最大限保障」となっており、制限がどうなるか心配。

A.一義的には法務省か?しかし、医療機関は厚生労働省管轄。また、鑑定をする場所は指定医療機関とは限られていない。

Q.鑑定中は何法上に基づかれるのか?

A.精神保健福祉法上ではない、医療法上にはある。鑑定中は手続き上のことなので医療観察法で行う。

(5.6の質問事項について、まだ不明確な点が多くあり、両省の検討が必要と言うことだった。特に鑑定中の通信面会の保障は、本人の処遇決定を左右する重要な要素となる。今後、両省で検討したことについて朝日議員を通じて回答をもらうことになった。)

7 対象者に対する医療について

医療内容については従来の精神病院のものに比べて特記すべきものはあるのか?

ECTを行う際、麻酔医の管理のもとで、また受ける人の同意を受けて行うという原則は守られるのか?

対象者には治療拒否権(治療を拒否することにより不利益のないことの保障も含め)はあるのか?

治療拒否権があるとすれば、治療拒否権の例外は認めるのか?

本人の希望する治療保障は可能か? さまざまな代替療法も含め、本人の望む外部の医師の医療は保障されるのか。その費用の公費負担は考えているのか?

精神外科手術の禁止は明文化されるのか?

外科内科は当然、耳鼻科、眼科、歯科その他精神科以外の合併症の場合の医療保障についてはどう考えているのか?

定期健康診断についてはどうか?

各国の保安処分施設では、人体実験例が多々あるが、人体実験についてはどのように考えているのか?

回答(渡辺氏)

精神外科手術というは何を言っているのか不明

Q. 精神疾患の治療としての外科手術を言っている。一般的脳外科手術を言っているのではない。ロボトミーなどのことである。10年以上前に風祭医師の研究班「精神科の治療指針に関する研究」が精神外科の廃止を言ったが、いまだ厚生労働省の「治療指針」には掲載されたままで廃止されていない。行わないと明言はできないのか。

回答(渡辺氏)

手厚い医療を用意する。医療は一般的なルールの上でインフォームドコンセントが前提にある。現在、精神疾患に対する脳外科手術の有用性を主張する精神科医はいない。現在行われていないと思う。またこの施設でも行われないと思う。

ECTについては有用性も精神科医が主張しているケース有り。

(脳外科手術は実施しない、との明言は厚生労働省で出来ない様子、ECTも含め、現状把握を厚生労働省はしていない?)

費用について、精神科は公費で、一般科は健康保険で診るので自己負担有り。

Q.医療の中身について法、政省令にも何も書かれないものか。手厚い医療とはなにか、治療拒否権ともかかわる問題がある。法の審議中に人格障害を対象とする治療内容があったが、医療内容はどのようなものになるか。また、医療内容についてのチェック機構がもうけられ機能するのか。インフォームドコンセント等の保障のための手段をどうもたせるのか。カルテ開示、外部の医師の関わり等が可能かどうか。

A.ガイドラインをつくる。施行前、医療スタッフ側に周知させる。(公表についてははっきりとした回答なし。ガイドラインはできあがり次第公表をして欲しいと要望。)

Q.合併症の問題について。実際どこが受け入れるのか。現状で単科の精神科が合併症の患者さんの受け入れ先に困っている状況がある。

A.合併症の治療は法的な制限はなく、普通の精神科と同様の対処をしていく。指定施設以外の病院への入院を妨げないことになっている。

15分ほどオーバーし1回目の話し合いはここで終了した。

次回は、選挙後、朝日議員が場の設定を行ってくれる予定。


本の紹介

赤堀さんに関する本が出版されましたのでお知らせいたします。

赤堀さんは1954年(昭和29年)5月24日岐阜県の鵜沼で不審尋問を受け不当な殺人者」として逮捕されました。

私が不当と呼ぶのは、赤堀さんと事件を結びつける確かな証拠はなく、ただ浮浪生活を強いられていた赤堀さんに目をつけた警察の「全国指名手配」があっただけだからです。

それは事件発生の3月10日の殺人事件が発生から2ヶ月余のことでした。

新聞は最初から「犯人囚わる」と報じ、赤堀さんの過酷な拘置所生活、確定死刑囚生活がはじまりました。

そのでっち上げ事件に、まるで伴侶のごとくより添い事件の不当性と闘った一人の弁護士がおられます。

その方がご紹介する弁護士「鈴木信雄 弁護士」です。私はその先生の事務所をお尋ねし「島田事件に赤堀中央闘争委員委員長」として挨拶に伺ったことがあります。

私の緊張する自己紹介に対して、先生は机から名刺を出され「何かあったら昼でも夜でも電話してきなさい」と受け入れてくださいました。

とかく支援者への偏見(精神病者であること、左翼的な傾向の強い人々が多い集団であること)強い中でそれらを一切問いただすこともなく、共に闘う同士として受け入れていただいたことを、いまも鮮明に思い出す憧れの弁護士です。

その方のご令嬢鈴木清子様が「父鈴木 信雄」を書かれました。

皆様、一般の書店にも置かれていますので、是非購入くださいますようご紹介申し上げます。

『父 鈴木信雄』鈴木清子著 文芸社
定価1,200円プラス税

皆様、弁護士の生活、特にフレームアップの事、明治生まれの気骨、政治家 元無実の死刑囚赤堀政夫さんの闘いの伴侶とは? 多角的な人物像が描かれています。

2003. 10. 1.5 大野萌子

「法律のひろば」10月号 「心神喪失者等医療観察法における保護観察所の役割」より


編集後記あれこれ

☆15日の厚生労働省との面会のとき、精神外科をめぐる話、入院中の人権保障の件などについて、どうにも厚生労働省の方たちに私たちの言葉が伝わらない場面がありました。

朝日俊弘議員が見かねて、「厚生労働省の方たちは善意に捉えて手厚い医療といっているけれど、当事者にとっては手厚い医療が即いいこととはとらえられず、余計なことをされるんじゃあないかというおびえがある。そのことを理解してもらわないと」と解説してくださいました。

厚生労働省の方たちはおそらく「手厚い医療」といって警戒されるなどということ自体が理解のほかなのか、あるいは意図的に理解できないふりをしているのか。

☆「法律のひろば」10月号の「心神喪失者等医療観察法と精神医療の課題」(精神保健福祉課長補佐 田中剛)によると、この法の下での専門治療プログラムは

1他害行為の問題を認識させる
2自ら他害行為を防止する力を高める
3さまざまな問題を前向きに解決することを促す
4被害者に対する共感性を養う
5重大な他害行為を行ってしまったことによる患者のトラウマを和らげる

といった精神医療を実施することが必要なのだそうです。

国会審議中に散々言われたことですが、これっていわゆる「反社会的人格障害」とレッテルを貼られた人への矯正プログラムそのものではないでしょうか?

心神喪失状態で家族に手をかけた人、たとえば子殺しの母親が「他害行為を防止する力のない人」であり、「被害者への共感性のない人」なんでしょうか? そう「人」つまり「人格」を問題にしているとしか見えません。

それとも精神疾患というのは「被害者への共感性を奪い」「他害行為を防止する力を奪う」病気なんでしょうか?

私たちはそうした病気の病人なんでしょうか?

国民への啓発啓蒙などいう前に、こうした偏見を強化する法をまず廃止するのが国の責務でしょう。厚生労働省精神保健課長補佐自身がこんなことを言っていて、いったい誰が啓発啓蒙など受け入れるでしょう。

(略)




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