国連人権理事会 普遍的定期的審査 ビデオよりメモ

2017年11月14日 ジュネーヴ

身体拘束の後亡くなったニュージーランド人のサベジさんのお母様のご尽力で、ニュージーランドはいい中身出してくださっているし、この度初めて精神障害者の人権、精神医療について、UPRで触れられました。
身体拘束後になくなったケリー・サベジさんのお母様がUPRの審査ビデを聞いて
まとめてくださったメモ
全国「精神病」者集団の名前が出ていたとは
ケリーのケースに関連するもの
1)特に精神保健についての議論に触れたのは二か国(ポルトガルは、施設化を導くことのない、過剰な医学科を導くことのない、すべての人の権利、意志そして選好を尊重できない実践をもたらすことのない、地域に根差した人を中心とした精神保健サービスと支援を開発すること、リビアは精神的心理的障害者が保健サービスから利益を得られるような取り組み推進し継続していくこと)
2) ニュージーランドは、障害者権利条約委員会の自由を奪われた障害者の個人的なインテグリティと安全を保障する14条ガイドラインを含む、障害者権利条約の下での義務を完全に履行すること。(これはケリーのケースが14条違反であるということを明白に含んでいる)。
3)日本政府は日弁連からの精神病院への懸念と患者の地域移行についてのレポートに対して、3年間で解決に向けるということを行っていた。入院患者がもっと地域に移りやすいように施設をもっと建てると行っていた。しかしこれを私が完全に理解するにはもう一度聞いて反訳も読まないといけない
4)他の関連する要請
拷問等禁止条約の選択議定書の批准 スロバニア、ガテマラ、ジョージア、チリ、カーボベルデ、ウクライナ、ウルグアイ、ガーナ、デンマーク、スペイン、トルコ、イエメン
5)パリ原則に則った国内人権機関あるいは障がい者権利条約の国内監視機関
マレーシア、カタール、ベネゼエラ、フィリピン、オーストラリア、エチオピア、インド、アフガニスタン、パナマ、チリ、コロンビア、クロアチア、フィンランド、シエラレオネ、フランス、ネパール、リヒテンシュタイン、インドネシア、カザフスタン、モロッコ
6)障害者権利条約の履行の確保 ラオス、ニュージーランド(とりわけ14条に触れている)、ウガンダ、ブルネイダルサラーム、ミャンマー、シンガポール、リビア、リビアは特に全国「精神病」者集団に触れている

2017年12月10日 国連人権勧告実現を 集会とデモ

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わたしたちの声を国連へ~活用しよう!国連の人権保障システム~

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これまで日本政府に対して出されてきた、数多くの国連人権勧告。これらは、日本で人権を守られていない当事者やその支援者が、地道に国連の人権保障システムを活用して引き出してきたものです。
今年は「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案や日本の表現の自由の状況について、国連人権理事会の特別報告者が深い懸念を示しました。また、11月には同理事会の「普遍的定期的審査(UPR)」の日本審査で、日本の人権状況改善を求める多くの勧告が世界各国から出されることが見込まれます。
国連「世界人権デー」(12月10日)を記念し、私たち「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会は、こうした国連の動きに当事者たちがどう関わってきたのかに焦点を当てながら、今後、より多くの市民が国連の人権保障システムを活用して日本政府に人権勧告の実現を迫っていく流れをつくっていくために、集会とパレードを企画しました。
今年、日本政府が国連からどのような人権課題を示され、日本の市民たちが何を求めてきたのかを共有し、一人でも多くの方々と共に「国連人権勧告の実現を!」の声を上げたいと思います。ぜひご参加ください!

【日時】
2017年12月10日(日)
13:20~15:30(開場13:00)※終了後、デモも行います!

【会場】
青山学院大学 本多記念国際会議場
-住所
東京都渋谷区渋谷4-4-25
-アクセス
JR山手線、JR埼京線、東急線、京王井の頭線、東京メトロ副都心線他「渋谷駅」より徒歩10分/東京メトロ(銀座線・千代田線・半蔵門線)「表参道駅」より徒歩5分
http://www.aoyama.ac.jp/outline/campus/access.html

★☆★☆★☆★☆ 終了後、デモも行います!ぜひご参加ください!★☆★☆★☆★☆

【プログラム】

●朝鮮高校生によるダンス

●基調講演  前田朗さん(東京造形大学)「市民社会の声と国連人権勧告」

●個別アピール
-日本における子どもの権利はどうなってるの?
-朝鮮学校の子どもたちに学ぶ権利を!
-日本でもできる個人通報制度

*基調講演講師・前田朗さんプロフィール*
~1955年札幌市生まれ。東京造形大学教授(刑事人権論)。日本民主法律家協会理事。国際人権活動日本委員会運営委員。東アジア共同体・沖縄(琉球)研究会副代表。著書に『ヘイト・スピーチ研究序説』『「慰安婦」問題の現在』『黙秘権と取調拒否権』(以上三一書房)、『パロディのパロディ井上ひさし再入門』(耕文社)、『東アジアに平和の海を』(彩流社)など。近年は国連人権理事会や人権条約委員会などに参加し、ウォッチを続け日本の諸方面の活動に大きく寄与されている。

【集会賛同のお願い】

「国連・人権勧告の実現を!実行委員会」では、様々な人権課題に取り組む個人や団体が、連帯して活動しています。日本社会の人権課題は、改善されるどころか、むしろ後退しているといっても過言ではありません。人権意識向上のため、世論に訴えていくことが重要です。ぜひ実行委員会の活動にご賛同をいただき、デモと集会へご参加いただければと思います。

●賛同者・賛同団体を募集しています。賛同いただける場合は、実行委員会までお知らせください。
-メール  jinkenkankokujitsugen@gmail.com
-FAX   03-3819-0467

●賛同金は一口1,000円です。団体の方はできるだけ複数口でお願いします。お振込先は次の通りです。
-加入者名 国連人権勧告実現
-ゆうちょ銀行から 振込口座 00100-6-264088
-ゆうちょ銀行以外から 019支店 当座 0264088
*振込手数料はご負担くださいますようお願いいたします。また、当日集会プログラムに賛同者のお名前を掲載させていただきますが、掲載を希望されない場合はその旨お知らせください。領収証の発行が必要な場合も、その旨を実行委員会までお知らせください。

●賛同お申し込みフォーム

お名前
連絡先(住所またはメールアドレス)
賛同金 (   )口 (        )円

【主催】
国連・人権勧告の実現を!実行委員会
青山学院大学人権研究会
E-mail:jinkenkankokujitsugen@gmail.com
URL:https://jinkenkankokujitsugen.blogspot.jp/
Tel:090-9804-4196(長谷川)

 

国連人権理事会 普遍的定期的審査 プレセッションへの原稿


 

 

2017年10月12日にジュネーブの国連本部で、UPR infoによって開かれた、普遍的定期的審査のプレセッションにおいて、全国「精神病」者集団会員の三輪佳子さんが行ったスピーチとパワポそして日本の精神病院で身体拘束のあと死亡したニュージーランドと米国の二重国籍を持つケリー・サベジさんのお母様とお兄様による手紙を掲載します

いずれもプレセッション会場で配布されました。

有我譲慶さん パワポ提供ありがとうございました
身体拘束の被害者サベジさんのお母様にはスピーチ他ネイティブチェックまでしていただきありがとうございました
石郷岡事件の被害者のお姉様にもご協力ありがとうございました
国際障害同盟スタッフの皆様には各国政府アポイントおよび当日ほか大変お世話になりありがとうございました
UPR Infoにはこの度はいい機会をご提供いただきありがとうございました
そしてカンパしていただいた多くの方ありがとうございました

以下署名運動のご案内 ぜひご協力を
息子の死を無駄にしないために日本の精神科医療の身体拘束を見直してください。

Please review the use of physical restraints in Japanese psychiatric treatment


邦訳スピーチ

邦訳 UPR プレセッション パワポ

ケリーさんのお母様 お兄様の手紙邦訳

To Prof.Savege, Mr.Savege, the  sister of the victim of Ishigooka hospital abuse, IDA, and UPR info and all who donated for our activities, thank you for your great supports.
Yoshiko handed out these three materials to participants at the pre session.
original in English
2017 statement at UPR pre ssession

2017 UPR pre session PPT

case of the victim of restraint Mr.Kelly Savege
b
y his mother and brother

 

 

 

スピーチ全文邦訳以下

全国「精神病」者集団は精神障害者の全国ネットワークです

本日は精神障害者の人権侵害状況、とりわけ隔離収容、成年後見制度、条約の国内監視機関について話します。

政府はアルメニアの勧告「障害者権利条約の有効な履行を継続すること」を受け入れましたが、この勧告を実現する有効な施策は取られていません。

1 問題の背景説明

二つの悲劇からはじめます

2012年4月28日に一人の患者が死亡しました。2012年1月1日保護室で2人の看護師が彼の頭を蹴り踏みつけ、患者のクビはおれ、彼は1月4日に一般科の病院に送られ集中治療室で治療されました。

彼の家族は2012年1月5日に彼らの息子が看護師によって傷つけられたと警察に通報しましたが、警察はこの通報を2014年7月28日まで受理しませんでした。2人の看護師は逮捕され2017年5月14日に千葉地裁は1人を無罪、他の一人を暴行罪とういことで30万円の罰金刑となりました。検察は高裁に控訴しました。

今一つは身体拘束後の死です。ケリー・サベジさんはニュージランドとアメリカの国籍があり、今年5月17日になくなりました。彼は、5月10日心肺停止状態がわかるまで、大和病院という精神病院で身体拘束を10日間されました。彼は大和市立病院に移送されICUで治療を受け心臓も動き始めましたが、しかし1週間後になくなりました。

彼を診た心臓専門医は、彼の心肺停止は深部静脈血栓症と肺塞栓症のためであると疑っているとかいている。彼の母親と兄弟は、深部条膜血栓症は身体拘束のためではないかと考えて、大和病院に医療安全調査機構に報告するよう求めたが、彼らは拒否した。

これら二つのケースは氷山の一角でありメディアはほぼ毎年看護師による暴力による患者の死亡や怪我を報じている。

日本は精神病院の病床数そして在院機関においてOECD諸国で一位となっている。しかし政府は脱施設化の有効な施策を取らず、長期入院患者のための病床需要を2025年においてすら10万床と見積もっている。

強制入院患者の数は増え続け、1999年から2015年にかけてほぼ2倍以上となっている。そして身体拘束と隔離の患者数も増え続けている。

障害者権利条約の履行に向けては、国内監視機関は一番重要ではあるが、現在パリ原則に沿った政府から独立した条約の国内監視機関は存在しない。政府は障害者基本法の政策委員会を国内監視機関としているが、この委員会は政府から独立していない。

約19万人が民法による後見人制度のもとにあるが、今や後見人制度利用促進法が施行され、この法の目的は後見人制度の利用者を増やすことである。障害者権利条約12条は後見人制度を禁じているにも関わらず。

 

2質問

他のものと等しく地域生活の権利保障のため、そして脱施設化に向けて政府はいかなる政策を取ろうとしているのか、

なぜ政府は2025年に至っても長期入院患者のための病床を10万床と見積もっているのか強制入院および強制医療廃絶に向け政府はいかなる政策を取ろうとしているのか

成年後見人制度廃止に向けていかなる政策を政府は取ろうとしているのか

なぜ日本は成年後見人制度利用促進法を必要としているのか

政府は障害者基本法の障害者政策委員会を障害者権利条約履行の国内監視機関と主張するのか

 

3勧告

パリ原則に従った国内人権機関あるいは障害者団体の推薦する委員を含んだ障害者権利条約の国内監視機関の創説

民法の成年後見人制度の撤廃と成年後見人制度利用促進法の廃止

精神保健福祉法の撤廃と精神病院に対しての総合的な脱施設計画を作ること

 

 

 

 

国連人権理事会 普遍的定期的審査に先立つプレセッション参加 カンパ要請

国連人権理事会では定期的に加盟国の人権状況総体を審査する普遍的定期的審査というものが行われます。日本政府の審査は11月14日に行われます。
国連広報センターによる人権理事会と普遍的定期的審査の説明はこちら
ここには人権高等弁務官事務所より今までの各人権条約体の勧告や普遍的定期的審査に対するNGOのパラレルレポートがまとめられ提出されます。
全国「精神病」者集団もパラレルレポートを提出しています
内閣府とNGOの意見交換会にも出席しています

宇都宮病院事件が告発されたのはこの人権理事会の前身社会経済委員会のもとにあった人権小委員会です。戸塚悦朗さんの業績です。これにより精神衛生法から精神保健法へと改定がなされましたが、この改訂自体は色々と問題があり、強制入院制度の正当化という側面もありました。しかし今度は障害者権利条約もあり、精神障害者自身の声を国連に届け国際世論を喚起することにより、日本の最悪の実態を変革できるのではとも期待しています。もちろん戸塚さんとは政治的位置における背景が全く違いますし、安倍政権の態度も問題です。人権理事会は特別報告者や各人権条約の条約体とは違い政府間の審査ですから、当然外交的な駆け引きのばでもありますので楽観視はできません。地の利としては日本が人権理事会の理事であり選挙にあたり自発的誓約もしているというところでしょうが。

下記一部引用 「 また,国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)や特別手続の役割を重視。特別報 告者との有意義かつ建設的な対話の実現のため,今後もしっかりと協力していく。 さらに,UPRを含む人権理事会の活動に積極的に貢献していく。2012年のUPR 審査の結果を真摯に受け止め,2016年に自発的に中間フォローアップ文書を公表 する。 人権理事会レビューの議論にも積極的に参加し,人権理事会をより効果的・効率 的に機能するものとするため引き続き取り組んでいく。 」

この審査に先立ちNGOの意見表明の機会としてプレセッションが国連会議場で、日本政府はもちろん各国の国連代表を招いて開かれますが、その発言者に全国「精神病」者集団からは三輪佳子さんが選ばれ7分間のスピーチをすることになりました。期日は10月12日ジュネーブのパレドナシオンで開かれます。
英文ですが、プレセッションの説明はこちら

日本政府は障害者権利条約を批准をしたにもかかわらず、精神障害者に対しては全く逆行した政策を取り続け、強制入院も身体拘束も保護質隔離も増え続け、また病床削減への有効な政策すら取られておりません。後見人制度についてはむしろ利用促進法まで成立させています。身体拘束に関しては、身体拘束の結果の死亡ではないかというニュージーランド人の死亡も最近公開されました。

論外の日本の状況を国際世論に訴えるためにこのチャンスを有効に使いたいと考えております。11月の本審査ではNGOの発言のチャンスはありません。

全国「精神病」者集団財政からは一銭も出せませんので三輪さんからは自己負担で参加してくださるとお申し出いただいておりますが、少しでも皆様からカンパを集めて応援したいと考えております。
旅費宿泊費で15万ほどはかかると思われます。

多くの方の応援をなにとぞよろしくお願いいたします。

一口1000円 何口でも以下振込口座によろしくお願いいたします。
このところ事務所の郵便物紛失が続いていますので、郵送はご遠慮くださるようお願い致します

郵便振替口座 00170-3-36736
口座名義 山本眞理(ヤマモトマリ)

文責 山本眞理

 

2017年8月25日

 

いかに発表資料を掲載してあります
https://acppd.org/jngmdp-backup/news/4472

すべての人の身体的精神的な到達しうる最高水準の健康の享受の権利に関する特別報告者報告

2017/07/18 変換ミスほか修正いたしました
2018/06/27 変換ミスほか修正いたしました

以下から健康の権利特別報告者の報告邦訳全文ダウンロード
健康の権利特別報告者レポート
(2017/07/01 訳 山本眞理 2072017/07/18 修正 山本眞理)
英語原文は以下からダウンロード
G1707604 (1)

 

 

訳者前書き
この報告書は国連の健康の権利に関する特別報告者による、2017年3月に出された精神保健についての報告書である。
特別報告者とは国連人権理事会によって任命された、独立した専門家であり、国連そのものからも各国政府からも独立しているところが重要な点である。それゆえにこそ権威があると言ってもいいだろう。
現在の特別報告者は国連のサイトの紹介によると以下。リトアニアの児童精神科医である。
Mr. Dainius Pûras (リトアニア) は2014年人権理事会によって到達しうる最高の基準の身体的精神的健康についての特別報告官に任命された。Mr.Pûras はヴィリニュス大学の社会精神医学小児科センターの所長であり教授である。彼はまた公衆保健政策とサービスの改革過程にこの30年間積極的に参加してきた人権擁護活動家でもある。彼はとりわけ子どもの権利と精神障害者の権利そして他の弱者の権利に焦点を当てて活動してきた。
本報告書は、長年精神保健の重要性を主張する根拠として、「世界の重荷としての精神疾患」と宣伝されてきたことを全面的に批判し、むしろ精神的健康の阻害物としての障害物の重荷こそが問題であるとしている。その障害物として彼は3つあげている。第1に生物学的精神医学の支配、第2に権力の不均衡そして第3に証拠の偏った利用。
勧告部分の以下、小気味よいばかりの啖呵と私には読めます。
「グローバルな障害物の重荷を精査するなら、驚くべきことに、『精神障害』のいかなる重荷よりも障害物の重荷がはるかに重いことが示されるであろう。精神保健の危機は個人の状態の危機としてではなく、個人の権利を妨げる社会的障害物の危機として扱われるべきだ。精神保健政策は『化学的アンバランス』ではなくてむしろ、『権力のアンバランス』に取り組まなければならない。」
そもそも日本では1987年に精神衛生法から精神保健法になった時に、国民の義務として「第三条 …前略… 国民は、精神的健康の保持及び増進に努める」という条文が付け加えられた。権利ではなく義務である。さらに2014年の健康増進法でも、国民の責務として、「第二条 国民は、健康な生活習慣の重要性に対する関心と理解を深め、生涯にわたって、自らの健康状態を自覚するとともに、健康の増進に努めなければならない」とされた。
それでは健康の権利を保障する国家の義務を定めた法律はあるだろうか、残念ながら医療基本法は未だ制定されていない。
憲法25条があるのみだろうか。
権利を根拠とした精神保健政策、とは逆に日本では健康は国民の義務、私たち「精神病」者は非国民。だからこそ強制入院、強制医療は正当、医療保障だとまで国は主張する。そればかりではなく障害者権利条約が明白に強制入院強制医療を禁止しているにも関わらず、法律家も精神医療の専門職も、強制入院そして強制医療は医療保障として健康への権利保障だと主張する。
しかし特別報告者は明白に以下述べている。
「精神的健康をめぐる標準の議論の進化は、様々な基礎的な決定因子を特定することとともに、健康への権利と自分自身の健康と身体をコントロールする自由との間の密接な関係に集中している。そしてそれはまた自由への権利、同意のない介入からの自由、法的能力の尊重と関連する。インフォームドコンセントが健康への権利に従った治療を受けるときに必要である一方、法的能力は同意するにあたって必要であり、それは精神的の能力と明確に区別されなければならない。健康への権利はまた統合と、自立生活と法的能力の行使双方への適切な支援を伴った地域での治療への権利を含む(see, for example, E/CN.4/2005/51, paras. 83-86, and A/64/272, para. 10)。 法的能力の否定はしばしば自由の剥奪と強制医療の介入を導き、それは恣意的拘禁の禁止そして残虐で非人道的あるいは品位を汚す処遇の禁止からのみならず、健康への権利からもまた疑念を引き起こす」
恣意的拘禁と拷問虐待の体制である精神保健福祉法体制は即座に解体されなければならない。残念ながら特別報告者は精神科医という立場もあり、即座の禁止ではなくラディカルな強制の削減を通して最終的な廃止という方針を述べてはいるが、方向性は明白である。
この報告書結論が、すべての医療保健福祉関係者、行政、そして何より精神障害者・障害者も含む全市民に共有されることを願って、邦訳を試みた。
素人の邦訳で種々間違いなどあろうかと思うので、ご批判ご指摘を受けたい。原文は英文で国連人権高等弁務官事務所のサイトからダウンロードできます。
2017年7月23日

以下から健康の権利特別報告者の報告邦訳全文ダウンロード
健康の権利特別報告者レポート
(2017/07/01 訳 山本眞理 2072017/07/18 修正 山本眞理)
英語原文は以下からダウンロード
G1707604 (1)

特別報告者は
Mr. Dainius Pûras (リトアニア) は2014年人権理事会によって到達しうる最高の基準の身体的精神的健康についての特別報告官に任命された。Mr.Pûras はヴィリニュス大学の社会精神医学小児科センターの所長であり教授である。彼はまた公衆保健政策とサービスの改革過程にこの30年間積極的に参加してきた人権擁護活動家でもある。彼はとりわけ子どもの権利と精神障害者の権利そして他の弱者の権利に焦点を当てて活動してきた。

国連

A/HRC/35/21

国連人権理事会 35会期
2017年6月 6日から23日

議題3

発展への権利も含む、市民的政治的、経済的社会的そして文化的権利、すべての権利の保護と促進

すべての人の身体的精神的な到達しうる最高水準の健康の享受の権利に関する特別報告者報告

以下結論と勧告の部分だけ掲載(全文邦訳はこちらからダウンロード
Ⅶ 結論と勧告
A 結論
84. 精神保健は無視されることが多く、そして資源を受けるときには、資源は無効で有害な、モデルと態度そして力の不均衡に支配されてしまう。それによって、権利としての精神保健の促進とケアのためのニーズに全くあわない現状が導き出されてきた。精神保健のニーズがある時すべての年齢の人は、ケアや支援が存在しないことに苦しむかあるいは、無効で有害なサービスに苦しめられることがあまりに多い。
85. 精神保健ケア体制における人権侵害に取り組むことができない今の失敗は受け入れがたい。精神保健が優先されるべき政策となったとき、いかに投資していかに投資しないかのコンセンサスに到達し、より良い前進への海図を作るために失敗を精査することはいまこそ重大である。
86. グローバルな障害物の重荷を精査するなら、驚くべきことに、「精神障害」のいかなる重荷よりも障害物の重荷がはるかに重いことが示されるであろう。精神保健の危機は個人の状態の危機としてではなく、個人の権利を妨げる社会的障害物の危機として扱われるべきだ。精神保健政策は「化学的アンバランス」ではなくてむしろ、「権力のアンバランス」に取り組まなければならない。
87. アプローチの変革に向けて緊急に求められていることは、社会的な決定因子をターゲットとし、「障害」に焦点を当てて個人の治療を追求する有力な医学モデルを廃棄し、集団レベルでの政策変革を優先するべきということだ。
88. 今日、精神保健にユニークな機会が訪れた。精神保健が2030持続的開発目標も含め、グローバルな健康の義務として国際的に認知されたことは歓迎すべき進歩である。健康への権利の枠組みは加盟国に対して、いかに権利を根拠とした政策と投資を、すべての人の尊厳と福利を確保する方向で計画するかのガイドを示している。身体的精神的健康の均衡に到達するためには、基礎的決定因子と取り組む社会政策の開発において、すべての利害関係者の参加を通して、精神保健はプライマリーそして一般的ヘルスケアに統合されなければならない。地域社会における有効な社会心理的な介入は拡大され、そして強制、隔離と過剰な医学化の文化は放棄されなければならない。
89. 低所得中所得の国々も含めて世界中に、現状に挑戦する有望で先駆的適切な取り組みが既にある。強力な政治的なリーダーシップと資源により、これらの実践が地域において形成されることを可能としている空間を創造することは、求められる変革を促進し前進させる強力な手段である。
90. 特別報告者は、インクルーシブで誰もが参加する過程と開かれた対話を通し、それぞれの領域の業務において、権利に根ざした精神保健政策の履行のためにすべての利害関係者を支援できる、人権と精神保健のガイドラインの開発を追求している。こうした観点についての意見と示唆を特別報告者は歓迎する。

B 勧告
91. 特別報告者は、障害物のグローバルな重荷に立ち向かい、社会政策に権利に根ざした精神保健の変革を埋め込む、リーダーシップを呼びかける。それには国家が国際的政策での努力を擁護すること、変革への必要性に向けたアプローチにおいて精神医療専門職の建設的な精査におけるリーダーシップ、模範を示して変革へのリーダーシップを取る様々な精神保健福祉サービスの管理者、そして草の根の変革を擁護する自治体の公務員などが含まれる。これらの闘う人々は、知的障害者、認知障害のある人、精神障害者そして自閉症の人々を含んだ地域住民と協働しなければならない。
92. 精神保健サービスにおいて不均衡に位置づけられている生物学的医学アプローチと取り組むにあたって、特別報告者は以下を勧告する
a. 社会政策を形成する時に、社会政策をめぐる意志決定におけるインクルーシブで意味ある参加の枠組みを確立するための政策を加盟国は即座に取ること、そしてとりわけ、心理学者、ソーシャルワーカー、看護師、サービスの利用者、市民社会そして貧困生活者ともっとも無防備で傷つきやすい状況をいきている人々を参加させるための政策を即座に取ること。
b. 加盟国および他の関連ある利害関係者は、アカデミックな組織も含み、強制的ではないオルタナティブなサービスモデルを探求する、独立した質的そして参加できる社会科学研究と研究基盤を促進することに優先順位をおいた精神保健研究へと研究を再構築すること
c. 医学教育において、権利に根ざした精神保健と、証拠に根ざした精神保健の知識のギャップに取り組むために、政府はアカデミックな組織と協力すること。
93. すべての人のための精神保健の促進に向けて社会的基礎的因子に取り組むことを確保するために、特別報告者は加盟国に以下を勧告する
a. 関係省庁間で投資を見積もり社会政策において精神保健の促進と予防に優先順位を置く
b. 持続可能な開発目標に沿って、社会心理的な介入と促進を優先し、幼児期および青年期の精神保健と総合的な発達に取り組む社会政策を開発する行動を即座に取る
c. 人が暮らし学びそして働くすべての環境において暴力防止の政策的法律的な方策をとる
d. 有害なジェンダーステレオタイプ、ジェンダーを理由とした暴力そして性と生殖の健康へのアクセスに取り組む即座の行動をとること
e. 障害児も含め、子どもへの体罰と施設収容を廃絶するステップを即座に取ること
94. 精神的健康への権利と2030アジェンダを保障する国際協力を確保するために、加盟国と、多国間そして国際機関は以下をすべきである
a. 分離された精神保健入所施設、大きな精神病院またほかの分離した施設とサービスに対する財政援助をやめる
b. 保健、貧困削減そして開発戦略と介入において精神保健への権利を主流化し、一般的で優先される保健政策と計画に、精神保健を明確に位置付けること
c. ハイレベルの政治フォーラムも含み、持続的発展目標のすべての監視活動においてグローバルな精神保健を前進させること
95. 保健ケアサービスがすべての人のための精神的健康への権利を保障することを確保するために、加盟国は以下をなすべきである
a. 精神保健サービス、その体制と政策の計画、履行、分配と評価において利用者が参加することを確保する
b. 施設ケアに投資する方向をやめ、地域に根差したサービスに投資する方向に転換する
c. プライマリーケアと利用者をエンパワーし利用者の自律を尊重する地域サービスに統合された社会心理的サービスに投資すること
d. オルタナティブな精神保健サービスと支援のモデルへの投資を拡大すること
e. 普遍的な保健の領域における中核的な要素として適切で受け入れられる(文化的な受容も含む)そして高い質の社会心理的な介入の基本的なパッケージを開発すること
f. ラジカルに強制医療を減らし、すべての強制的精神科治療と監禁の廃止に向けた動きを促進するためのターゲットを定めた具体的方策をとること
g. 精神保健ケアの質を評価し改善するためにWHOのクォリティライツの取り組みから技術支援を得ることを追求すること

2017/7/1 山本眞理訳
2017/7/18 山本眞理 修正
2018/6/27 山本眞理 修正

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