全国「精神病」者集団ニュース 2017年2月号抜粋

ごあいさつ

全国「精神病」者集団について、色々ご心配いただきお問合わせもいただいております。電話やメールは山本に届くのか、振り込みは山本のところに届くのか、名簿を運営委員会にわたしてしまったのかなどなど。以下連絡先のメール電話は山本に通じ運営委員会にはいきません。名簿会計もわたしておりません。以下の振込先で山本のところに振込が届きます。山本は会員でないと決めつけ引き継ぎもしないで運営委員会が古い名簿でニュース発行したため障定協にはご迷惑をおかけしています。三種で発行するため、そして混乱を避ける為新たに「絆社ニュース」を出すことにしました。実績として2号出す必要があり、今号と次号は普通郵便で出さざるを得なくなりました。話し合いは会員交流会で継続しており、9月には会員交流合宿を開き話し合いをする予定でおります。総会開催に向けて議論していきたいと存じます。1500円で泊まれる東京都のスポーツセンターを予約できればと考えております。全国「精神病」者集団はまだ必要と考える会員がいるとしたらご参加を、といっても定員は20名ですが。

分断を避け、話し合いで落ち着くべきところに落ち着ければと願っております。なお同封の絆社ニュースはミスで4ページと5ページが入れ替わってしまっています、ページ番号どおりお読みください。お詫びの上訂正いたします。

全国「精神病」者集団連絡先です

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〒164-0011 東京都中野区中央2―39-3 絆社

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精神保健福祉法の改悪と驚くべき障害福祉計画

山本眞理

相模原事件再発防止のための精神保健福祉法改悪

そして恐るべき「重度かつ慢性」基準による長期入院正当化 

2017年2月8日精神保健福祉法改訂についての議論をしている厚生労働省「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」に於いて恐るべき方針が出されています。本来何の関係があるのかきちんと検証さえされていない相模原事件を精神医療保健福祉体制で再発防止しようという、措置入院制度の改悪、そして長期入院患者の入院を社会的入院とはせず、あくまで本人の障害病状の重さに求める「重度かつ慢性」基準による長期入院の正当化です。

 

◯精神保健福祉法改悪で相模原事件再発防止

すでに報道されていますが、相模原事件の再発防止、として措置入院に関しては退院後の支援について関係者の会議を入院中に行う、さらに退院後も支援を継続するために関係者が(警察も含む? 以下2017年2月8日事務局提案の、報告書(案)より ・ この調整会議の参加者としては、例えば次のような者が考えられる。 都道府県等の職員/ 措置入院者の帰住先の保健所設置自治体の職員/ 措置入院先病院/ 退院後の通院先医療機関/ 退院後支援に関わる訪問看護ステーション/入院前の通院先医療機関/ 措置入院者の帰住先の市町村の職員/ 相談支援事業者その他の障害福祉サービス事業者 等 本人の参加は可能な限りとされており、保障されていません。もちろんアドボケイトの参加など陰すらありません)、そして転居しようが追いかけてくる。関係者会議をするにはその人たちの日程調整だけで平気で数週間かかってしまいます。そしてその間いたずらに措置入院解除が引き伸ばされてしまいます。あるいは全員入院継続として医療保護入院にするつもりでしょうか。強制入院の強化、差別に基づく恣意的拘禁の強化です。あってはならないことです。そして地域に帰ってもどこまで追っかけるということで、ますます対象者は追い詰められ逃げ場のない苦痛を強いられます。しかも日本では諸外国と違って患者の権利擁護者もあるいは障害に関わる権利擁護アドボカシーの仕組みもありません。恐るべき地域監視、地域の精神病院開放病棟化です。

これが強制されるのかどうか、おそらく法改正を求めている以上強制されるということです。その中身は厚生労働省大臣の定めるところとされ、政省令に委任され、国会には出されないでしょう。徹底した国会審議が求められます。強制的医療他の介入は人としてのインテグリティを犯す拷問虐待に値するという障害者権利条約をどう考えるのか。

 

◯長期入院は本人が「重度かつ慢性」であるから

さらにもう一つの「重度かつ慢性」基準です。これは厚生労働科学研究で主治医にアンケートした結果を無批判に結論とした1年以上の長期入院患者の6割は「重度かつ慢性」一生退院できないというものです。

この基準は都道府県市町村の障害福祉計画に対しての国の基本指針にも反映されようとしています。いま社会保障審議会障害者部会ではこの基本指針が議論されています。その中ではすでに「重度かつ慢性」とされた入院患者およそ10万人内外そしてこれからもそうした人が新規入院患者の1割以上生まれていくことを前提に、2025年においても10万床内外の長期の方向けの病床を維持するとしています。社会的入院の方たちに「重度かつ慢性」というレッテル貼りを行い、精神病院経営者の病床確保による利益追求のために人身御供として差し出す方針です。

これを批判しきれないとしたら、腐りきった精神保健福祉村解体しかありません。

 

厚生労働省「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」2017年2月8日(最終日)事務局提案配布資料より。ほぼこれが結論となる

 


  あり方研1702 (2)

 

 

◯ 社会保障審議会障害者部会での議論

今障害者部会では都道府県・市町村の障害福祉計画の基本となる国の基本指針が議論されています。その中ではなんと精神障害者の退院支援は削除されており、「重度かつ慢性」基準により、長期入院患者の6割は退院できないしたがって、退院可能な4割を基準に地域支援の数値目標が建てられようとしています。

 

◯障害者政策委員会での岩上氏の発言

「今後の数値目標には、1年以上入院している精神障
害者18万5千人のうち重度かつ慢性といわれる6割を除いた4割の方の必要な障害福祉サービスと介護保険サービスの目標値を計上すべきと考える。」という意見を出しています。法的根拠も曖昧でまた行政からの独立性はないにしろ政府が障害者権利条約の国内監視機関と位置づけている障害者政策委員会で、障害基本計画の議論でこうした発言がなされること見識を疑わざるを得ません。さすが病棟転換居住系施設の提唱者というべきでしょう。ちなみに病棟転換居住系施設には「重度かつ慢性」とレッテルを貼られた人は入れないということになっています。

 

 

2017年1月6日 社会保障審議会障害者部会(第83回)事務局資料「障害福祉計画及び障害児福祉計画に係る基本指針構成案」より

下記はそのうちの一枚ですが、見事に「入院中の精神障害者の地域生活への以降」が消されています。

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2017年1月6日 社会保障審議会障害者部会(第83回)事務局資料「成果目標の参考資料」より

また「あり方検討会」の検討報告としてすでに昨年10月「重度かつ慢性」の基準が既定路線として報告されています2016年10月19日社会保障審議会障害者部会(第81回)事務局提出資料「これからの精神保健医療福祉のあり方にする検討会における検討状況について」

 

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第19回学習会  現代の治安維持法「共謀罪」

第19回学習会  現代の治安維持法「共謀罪」
―共謀罪法案を成立させずに、国連組織犯罪条約は批准できる―
 2017年1月20日から通常国会が始まりました。この国会には重要法案として、これまで2003年の提出以降、3回も廃案になっている「共謀罪」が、名前を「テロ等組織犯罪処罰法」と変えて提出されています。犯罪が行われていないにもかかわらず、犯罪の計画段階で処罰すると言う極めて危険な悪法です。
 日本は2003年「国連組織犯罪防止条約」を国会で審議し、賛成多数で可決しましたが、この条約を批准するための国内法の整備が出来ていないとして、「共謀罪」を再三提出してきたのです。
 しかも今回は、すでに187の国や地域がこの条約を批准し、2020年のオリンピックまでには何としても国際社会と協力をしなければオリンピックが開催できない、と主張しています。かつて「秘密保護法」を強行採決したときには、国連から日本の「秘密保護法」は国際社会の共通原則である「ツワネ原則」を遵守していないことで、厳しい勧告を受けました。
 今回の国際社会との協調、オリンピック開催に必要という政府の主張について、また今回提出される法案の問題点について、この問題に詳しい海渡雄一さんのお話をお聞きし、一緒に考えていきましょう。
(なお、今国会は予算審議が専決事項であり、前国会で積み残された法案についての審議もあるので、この法案については、3月頃になるのではないかと言われています。)
◆講師:海渡雄一さん(弁護士)
[プロフィール]1955年生まれ。東京共同法律事務所所属。日弁連秘密保護法対策本部副本部長/監獄人権センター事務局長/脱原発弁護団全国連絡会共同代表/脱原発法制定全国ネットワーク事務局長。2011年米紙『フォーリン・ポリシー』世界の100人にパートナー福島みずほさんと共に日本人で初めて選出。『危ないぞ共謀罪』『何のための秘密保全法か』『原発訴訟』など著書多数。
◆日時:2017年3月7日(火) 19:00~21:00
◆会場:連合会館 5F 501会議室(千代田区神田駿河台3-2-11)
千代田線・新御茶ノ水駅 B3出口(徒歩0分)
丸ノ内線・淡路町駅 B3出口(B3出口まで徒歩5分)
都営新宿線・小川町駅 B3出口(B3出口まで徒歩3分)
JR中央線/総武線・御茶ノ水駅聖橋口(徒歩5分)
◆参加費:500円
主催:「国連・人権勧告の実現を!」実行委員会
連絡先(Mail): jinkenkankokujitsugen@gmail.com

東京都議会への精神障害者への医療費助成拡大請願署名提出

東京都への精神障害者医療費助成都議会への請願署名
2月7日11時に、都議会事務局に残りの署名を提出してきました。
署名総数:13,245筆
紹介議員:38名(自民党13名、公明党11名、共産3名、都議会民進党3名、民進党都議団1名、生活者ネットワーク2名、都民ファーストの会3名、深呼吸のできる東京1名、東京みんなの改革1名)
でした。議会事務局の方も、「こんなに紹介議員が多い請願は初めてです」とおっしゃっていました。

とのことです
ご協力いただけた皆様ありがとうございました
3月定例議会で請願の採択が行われること期待しております

習志野市障害者差別解雇事件裁判第1回12月9日 原告意見陳述全文

2月17日 第2回の裁判です

第1回期日の原告意見陳述全文以下

私は生まれた時から脳性まひのため左足が不自由ですが、優しい人たちに囲まれて育ちました。小さい頃からクリスチャンで、どのような人たちに対しても愛を持って接することを学びました。「利益を追求するのではなく、人の役に立つ仕事をしたい」ということで公務員を志し、昨年の4月に大学を卒業した後、インターネットで知った習志野市の身体障害者枠の採用に応募しました。

当初は習志野市について知識がありませんでしたが、どんなところか調べるにつけ、「文教住宅都市」を標榜していてとても魅力的な街であるという印象を受けました。
試験を受け、習志野市から合格通知が来たときには、私も夢をふくらませました。両親や友人、高校のときの恩師、大学でお世話になった先生方もすごく喜んでくれ、激励してくれました。その時の私はまさか9か月後に解雇されるとは夢にも思っていませんでした。
確かに初めて社会に出て、とまどうことは多く、今振り返れば社会人としての未熟な面もありました。職場の皆さんにご迷惑をおかけしたこともあったと思います。しかし、条件附き採用期間終了時の免職処分は、あまりに残酷なものでした。なぜこんなことが起こってしまったのか、といまだに信じられない気持ちです。

最初の6ヶ月間は介護保険課で働きました。
介護保険課は制度改正があったこともあり、とても忙しい職場でしたが、自分のやる仕事が一通り終わった時などは周りの先輩職員に「何かお手伝いすることはありませんか?」と聞いたり、空いた時間は所属の課の介護保険制度について一生懸命パンフレットやマニュアルを読み込み、自分なりに頑張っていました。
ところが、ある日課長に残業して働いた分を鉛筆で下書きした超勤命令簿を見せるよう言われ、見せたところ、課長はその下書きした残業した部分の何時間分も消しゴムで消して、「お前には残業するほどの仕事を任せてないんだよ」と言いました。自分の存在意義が否定されたようで、とてもつらかったです。
市民から介護保険の書類が来ないという問い合わせがあって会計運営への疑念を持つようになり、ストレスがたまり、身体に帯状疱疹が出来てしまいました。またデータ入力の際、介護保険の介護と予防の認定日を早めたり遅めたりすることに疑問を抱き、係長に疑問をぶつけても「マニュアルを読め」の一点張りで納得のいく説明はしてもらえませんでした。

条件付き採用期間が終わる11月30日当日に人事課長は条件付き採用の辞令を私の前で読み上げ、条件付き採用期間を3ヶ月延長すると言いました。
そして、「明日から総務課に行くように」と言われました。
総務課では,順調に仕事をすることができました。
今年の2月12日、人事課長との面談が設定されましたが、そこでは突然地方公務員法第22条を読み上げられ、解雇を匂わす発言をされました。2月15日には、健康担当の主幹から電話がかかって来て、「心配だから親元に帰った方がいいと思う」と言われ、結局それに従いました。すると、2月18日に実家に電話が入り、母親と一緒に市役所に来るよう命じられました。2月22日、呼び出された母と私に、「能力不足により免職します。能力不足以外に解雇の理由はありません」と一方的な通告が行われ、「解雇予告通知」が読み上げられました。これは条件付採用期間が終わるわずか1週間前のことでした。目の前が真っ暗になり、私は泣き崩れました。
具体的な理由は示されませんでした。私が「能力不足とは何のことを指すのか」と聞くと、「普通の人が7日かかることを10日かかる」「ボイスレコーダーの文字起こしの時に、発言者が誰だか特定できなかった」と言われました。しかし、そのような理由で免職処分という、働く者にとって死刑に相当するような処分が言い渡されることが許されるのでしょうか。
免職処分の理由が分からなかったので、自己情報開示を求めたところ、勤務実績報告書などが開示されましたが、評価欄と条件付解除所見の記述欄の勤務評価が全て黒塗りでした。解雇に当たって弁明の機会も与えられず、解雇の理由もすべて秘密。これらのことからも、今回の私に対する免職処分が処分権の濫用であることは明らかです。

夢と希望を持って社会人としてスタートを切った私に、社会の壁はとてつもなく厚いものでした。仕事に疑問を持っても、きちんと説明してもらえない。パワハラを訴えても取り合ってもらえない。誰に頼ればいいのかわからない。条件付き採用期間が解除されるわずか1週間前、突然母親が実家から呼び出され、母親と私の面前で解雇予告通知をされる。こうした経験を社会に出て一年足らずで一度にしたため、目の前が真っ暗になり、絶望し、人間不信になりました。
しかし、絶望に陥っていた私をいろいろな人が助けてくれました。「たとえ社会人として未熟な点があったとしても、不当に障がい者を切り捨てることは絶対に許されない。頑張れ」という暖かい励ましのお言葉をいただきました。そんな中で、私も「職場に戻ってまた市民のために働きたい」という気持ちがますます強くなりました。
私が加盟した労働組合が習志野市当局と交渉をした際、前人事課長は「条件付採用期間を延長する理由として何を言ったか?」という質問に対して「忘れました」と回答しました。また、総務部長は障害者雇用を「法定雇用率を満たすために雇っただけである」、「身体障害者枠で採用しただけだから、障がい者としての配慮はしません」などと言い放ちました。私と一緒に障がい者枠で採用された方も私が免職処分される前にやめてしまっています。人を任用する、障がい者枠を設定するということが、こんなに軽く取り扱われていいのでしょうか。
いろいろな人からの声をいただく中で、職場でパワハラにあったり、民間の障がい者枠で採用されたのに「能力不足」で退職強要をされ、つらい目にあった方たちがいらっしゃることも知りました。しかし、「障がい者枠で採用した人間をわずか9か月で解雇」という乱暴な扱いをした自治体は習志野市だけだと聞いています。こんなことがまかり通れば、障がい者の差別ない雇用はいつまでたっても実現されません。こんな前例をつくっては絶対にいけない、心からそう思います。
習志野市役所を、人間を大事にする、暖かみのある職場にしていただき、この社会の中で私のような目に合う人間が二度と出ないようにしていただきたいと思います。

「この問題は君一人の問題ではなく、みんなの問題だ」と言われます。 社会に出たばかりの人間を不要なものとして排除してしまうというあり方は、「障害者なんていなくなればいい」という残酷な考え方を持った津久井やまゆり事件の犯人と同根です。地方公共団体は、本来、社会の共生化を促進する上で最前線に立つことが期待されています。そのためには、やまゆり事件の犯人とは対局にある、お互いが多様性を認め合える個人の意識が必要です。そういった意識や考え方を地域に根付かせることも地方自治体の仕事です。習志野市は、その期待されている役割を果たさないばかりか、今回、障がい者枠で採用した人間をすぐに解雇してもいい、という悪しき手本を示しました。こんなことは許されません。一方で、私に寄せられたたくさんの声は、人間の暖かさそのものです。困っている人を助けたいと自分のことのように感じとる優しさに、免職処分にあい絶望にうちひしがれていた私は救われました。その人たちの気持ちを、私は無駄にできません。

障がい者や青年の未来を閉ざすのではなく、真の共生社会をつくっていくためにも、公正なご判断をお願いいたします。

以上

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