全国「精神病」者集団声明
2011年4月14日
私たち全国「精神病」者集団は1974年に結成された、全国の「精神病」者団体個人の連合体です。私どもの運営委員である関口明彦も障がい者制度改革推進会議構成員として精力的に会議に参加し第一次第二次意見の作成に精神障害者の声を反映させて参りました。
しかしながら、今般内閣府が公にした障害者基本法案について、全国「精神病」者集団としては決して許すことのできない批判点を以下指摘し、強く抗議するとともに見直しの要請をいたします
記
1
一章総則の(地域社会における共生等)第三条の二には、「全て障害者は、可能な限り、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと。」とあるが、「可能な限り」とある以上、地域生活の権利、人身の自由、どこで誰と住むかという日本国憲法22条に示された当たり前の権利が、障害者には保障されず、当然のものとして制約されることになる。こうした条文を含む障害者基本法改正案は、障害者差別立法といわざるを得ない。
「可能な限り」については「他のものと平等に」と置き換えられるか、憲法の22条条文のまま「公共の福祉に反しない限り」とされるべき。
2
第二十三条 においては、「障害者およびその家族その他関係者に対する相談業務」という文言があるが、これは第二次意見にある「障害者・家族が相談業務を担う機会を増やすために必要な措置を講ずること」を反映させ、「障害者および家族その他関係者に対する相談業務については、障害者および家族による相談業務を中心として」と訂正されなければならない。
また23条においては「成年後見制度その他の障害者の権利利益の保護等のための施策又は制等のための施策又は制度が、適切に行われ又は広く利用されるように」とされているが、そもそも成年後見制度は障害者権利条約が認めた障害者の法的能力を否定するものであり、廃止されなければならないものであり、「権利利益の保護等のため」の制度ではない。「自己決定支援など権利利益の保護等のための」と訂正されなければならない。
3
27条(司法手続きにおける配慮等)において、第30回障がい者制度改革推進会議で示されていた案にあった「刑、保護処分その他拘禁の処分の対象となつた場合において」が削除されているが、刑事施設に拘禁された障害者の放置虐待による死亡はあまた明らかにされており、手続きのみならず、刑事施設における拘禁下の処遇についても明記されなければならない。いやしくも国権を持って拘禁した障害者に対して合理的配慮を行わないなどの差別はあってはならず、拘禁下の処遇の文言は必須である