東京都における他県から受け入れた精神病院入院患者、及び施設入所障害者についてその実態と継続的な支援策に関する要望書

2011年5月26日

東京都知事 石原慎太郎 様

人権白書東京実行委員会

実行委員長 八柳卓史

東京都における他県から受け入れた精神病院入院患者、及び施設入所障害者についてその実態と継続的な支援策に関する要望書

日夜の人権社会確立に向けた取り組みに敬意を表します。

3月11日発生の東日本大震災の避難民受入にあたって、東京都は精神病院入院患者を東京都内の病院へ転院させる措置をとられていると聞いています。また施設入所の障害者については、都内の各施設に対し、何人受入れが可能かを打診し、一部の施設で受入れていると聞いています。

さて、実数人口比ともに世界一の精神病院入院患者を抱えている日本の実態は国際的にも人権上重大な問題とされています。このたびの精神病院入院患者の受入に当たって、今後の地域生活再建に向け問題がないか危惧しているところであります。

都内病院に転院された精神病患者には、本人たちの意向も踏まえた継続的な支援策が必要とされます。

このような観点から受入実態とその後の継続的な支援策の実態について下記のとおり要望しますので、趣旨をご理解の上、ご回答いただけますようお願い申し上げます。

1 東日本大震災により他県から都内の精神病院へ入院してきた方の数と、施設へ入所してきた障害者の数を、精神病院別、施設種別または入院・入所形態別に明らかにされたい。

2 松沢病院は50名以上の福島からの転院者を受け付けたとのことですが、この病床を空けるために玉突きで松沢の入院患者が他の精神病院に強引に転院させられた事実はないか調査され結果を明らかにされたい。
3 都内の精神病院に受け入れた方について、地域生活への再建にむけた継続的な支援策とともに、その実数を精神病院別、入院形態別、また時系列的に明らかにされたい。
4 都内の避難所から強制的あるいは自発的に精神病院に入院した患者の数を精神病院別の数を明らかにされたい。また患者のその後の時系列的な実態について明らかにされたい。

(人権白書東京実行委員会 団体名)

首都圏に居住するアイヌ民族 レラの会 /I女性会議東京都本部 /NPO法人動くゲイとレズビアンの会(アカー) /在日韓国民主統一連合東京本部 /在日韓国民主女性会 /在日韓国青年同盟東京本部 /在日本朝鮮人東京人権協会 /移住労働者と連帯する全国ネットワーク /全国障害者解放運動連絡会議関東ブロック /障害者の生活保障を要求する連絡会議(障害連) /障害児を普通学校へ全国連絡会 /NPO法人自立生活センター・立川 /NPO法人自立生活センター・HANDS世田谷 /全国「精神病」者集団 /全国ピアサポートネットワーク /NPO法人ホームレス資料センター /NPO法人自立生活サポートセンター・もやい /部落解放同盟東京都連合会 /ハンセン病首都圏市民の会 /菅原和之(なくそう戸籍と婚外子差別・交流会) /伊藤久雄(社団法人東京自治研究センター)/上村英明(恵泉女学園大学教授・市民外交センター代表) /鐘ヶ江晴彦(専修大学文学部教授・東日本部落解放研究所理事長) /富永哲雄(東洋大学福祉社会デザイン研究科人権環境デザイン専攻博士前期課程)

障害者基本法案に関する陳情書

国会議員の皆様へ

日ごろからの障害者の人権保障に関するご活動に敬意を表します。

私ども全国「精神病」者集団は1974年に結成された全国の「精神病」者、団体、個人のネットワークであり、また国連社会経済委員会の認定NGOである世界精神医療ユーザーサバイバーネットワーク(WNUSP)のメンバーとして障害者権利条約作成に2002年より積極的に参加しており、WNUSPの理事としても会員の山本眞理が参加しております

4月22日、障害者基本法の一部改正に関する法律(案)が閣議決定され国会に上程されました。この法案は、評価できる点もありますが、憲法上の人権を著しく制約する文言がいくつかあります。

私どもは、障害者基本法の改正が、障害者権利条約批准に向けた国内法整備の核であり、憲法に定められた基本的人権、さらに国際的な人権諸条約の保障する基本的人権が障害者にも平等に実質的かつ有効に適用されるための法改正であることが十分認識された上で、国会において十分な、かつ総合的な審議がなされることを求めます。

その意味で同封の陳情書の通り、修正・加筆・付帯決議をしていただきたく思っております。

是非、私ども当事者の意見に耳を傾けていただけること何よりお願いいたします。もし、お時間をいただけるならご説明に参りますので、ご連絡いただければ幸いです

2011年5月17日

全国「精神病」者集団

164-0011
東京都中野区中央2―39―3
絆社気付
電話 080-1036-3685
fax 03-5942-7626

e-mail contact@jngmdp.org

2011年5月17日

国会議員の皆様

全国「精神病」者集団

障害者基本法の一部改正に関する法律(案)の審議に当たっての陳情書

私たち全国「精神病」者集団は1974年に結成された、全国の「精神病」者団体個人の連合体です。私どもの運営委員である関口明彦も障がい者制度改革推進会議構成員として精力的に会議に参加し第一次第二次意見の作成に精神障害者の声を反映させて参りました。

しかしながら、今般内閣府が公にした障害者基本法の一部改正に関する法律案(以下、法)には、いくつかの重大な問題があり、当該部分について下記に列挙したので、国会審議の過程で修正・加筆・決議していただきたく陳情します。

1.地域生活

法第三条の二(地域社会における共生等)には、「全て障害者は、可能な限り、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと。」とあるが、「可能な限り」とある以上、地域生活の権利、人身の自由、どこで誰と住むかという日本国憲法二十二条に示された当たり前の権利が、障害者には保障されず、制約されることになる。

「可能な限り」については「他のものと平等に」と置き換えられるか、憲法の二十二条条文のまま「公共の福祉に反しない限り」かに、修正していただきたい。

2.相談業務

法第二十三条 においては、「障害者およびその家族その他関係者に対する相談業務」という文言があるが、これは第二次意見にある「障害者・家族が相談業務を担う機会を増やすために必要な措置を講ずること」を反映させ、「障害者および家族その他関係者に対する相談業務については、障害者および家族による相談業務を中心として」に修正をしていただきたい。

また、法第三条に「成年後見制度その他の障害者の権利利益の保護等のための施策又は制度が、適切に行われ又は広く利用されるように」とあるが、成年後見制度は、法的能力(この場合は行為能力)の制限を定めているため、障害者権利条約第十二条第二項の法的能力の平等に違反し、廃止されるべきである。仮に経過措置として残すとしても、当該条文に列挙する必要はない。成年後見制度の文言を削除するか、「自己決定支援など権利利益の保護等のための」と修正していただきたい。

3.処遇

法第二十七条(司法手続きにおける配慮等)において、第30回障がい者制度改革推進会議で示されてた政府部内調整中の法案にあった「刑、保護処分その他拘禁の処分の対象となつた場合において」が削除されているが、刑事施設に拘禁された障害者の放置虐待による死亡はあまた明らかにされており、手続きのみならず、刑事施設における拘禁下の処遇についても明記されなければならない。のみならず、病院等の民事施設における拘禁についても、いやしくも国権を持って拘禁した障害者に対して合理的配慮を行わないなどの差別はあってはならず、全ての拘禁下の処遇の文言を入れていただきたい。

4.附則の加筆

障害者基本法が、全ての障害者施策の核として機能するよう、

附則1 障害者に関わる全ての法律をこの法律(障害者基本法)の目的に沿って定期的に見直す事。

附則2 障害者権利条約の批准後5年以内にこの法律(障害者基本法)の見直しを行う事。

上記の附則の加筆をしていただきたい。

5.付帯決議のお願い

障がい者制度改革推進会議の議論と障害者権利条約そのものを踏まえて、医療における障害者の他のものと平等な自由な説明と同意の確保、障害者の人権保障の担保、社会的入院の解消に向けた精神科病床削減の義務化、の3点につき、適切な付帯決議を求めます。

以 上