障害者基本法案に関する陳情書

国会議員の皆様へ

日ごろからの障害者の人権保障に関するご活動に敬意を表します。

私ども全国「精神病」者集団は1974年に結成された全国の「精神病」者、団体、個人のネットワークであり、また国連社会経済委員会の認定NGOである世界精神医療ユーザーサバイバーネットワーク(WNUSP)のメンバーとして障害者権利条約作成に2002年より積極的に参加しており、WNUSPの理事としても会員の山本眞理が参加しております

4月22日、障害者基本法の一部改正に関する法律(案)が閣議決定され国会に上程されました。この法案は、評価できる点もありますが、憲法上の人権を著しく制約する文言がいくつかあります。

私どもは、障害者基本法の改正が、障害者権利条約批准に向けた国内法整備の核であり、憲法に定められた基本的人権、さらに国際的な人権諸条約の保障する基本的人権が障害者にも平等に実質的かつ有効に適用されるための法改正であることが十分認識された上で、国会において十分な、かつ総合的な審議がなされることを求めます。

その意味で同封の陳情書の通り、修正・加筆・付帯決議をしていただきたく思っております。

是非、私ども当事者の意見に耳を傾けていただけること何よりお願いいたします。もし、お時間をいただけるならご説明に参りますので、ご連絡いただければ幸いです

2011年5月17日

全国「精神病」者集団

164-0011
東京都中野区中央2―39―3
絆社気付
電話 080-1036-3685
fax 03-5942-7626

e-mail contact@jngmdp.org

2011年5月17日

国会議員の皆様

全国「精神病」者集団

障害者基本法の一部改正に関する法律(案)の審議に当たっての陳情書

私たち全国「精神病」者集団は1974年に結成された、全国の「精神病」者団体個人の連合体です。私どもの運営委員である関口明彦も障がい者制度改革推進会議構成員として精力的に会議に参加し第一次第二次意見の作成に精神障害者の声を反映させて参りました。

しかしながら、今般内閣府が公にした障害者基本法の一部改正に関する法律案(以下、法)には、いくつかの重大な問題があり、当該部分について下記に列挙したので、国会審議の過程で修正・加筆・決議していただきたく陳情します。

1.地域生活

法第三条の二(地域社会における共生等)には、「全て障害者は、可能な限り、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと。」とあるが、「可能な限り」とある以上、地域生活の権利、人身の自由、どこで誰と住むかという日本国憲法二十二条に示された当たり前の権利が、障害者には保障されず、制約されることになる。

「可能な限り」については「他のものと平等に」と置き換えられるか、憲法の二十二条条文のまま「公共の福祉に反しない限り」かに、修正していただきたい。

2.相談業務

法第二十三条 においては、「障害者およびその家族その他関係者に対する相談業務」という文言があるが、これは第二次意見にある「障害者・家族が相談業務を担う機会を増やすために必要な措置を講ずること」を反映させ、「障害者および家族その他関係者に対する相談業務については、障害者および家族による相談業務を中心として」に修正をしていただきたい。

また、法第三条に「成年後見制度その他の障害者の権利利益の保護等のための施策又は制度が、適切に行われ又は広く利用されるように」とあるが、成年後見制度は、法的能力(この場合は行為能力)の制限を定めているため、障害者権利条約第十二条第二項の法的能力の平等に違反し、廃止されるべきである。仮に経過措置として残すとしても、当該条文に列挙する必要はない。成年後見制度の文言を削除するか、「自己決定支援など権利利益の保護等のための」と修正していただきたい。

3.処遇

法第二十七条(司法手続きにおける配慮等)において、第30回障がい者制度改革推進会議で示されてた政府部内調整中の法案にあった「刑、保護処分その他拘禁の処分の対象となつた場合において」が削除されているが、刑事施設に拘禁された障害者の放置虐待による死亡はあまた明らかにされており、手続きのみならず、刑事施設における拘禁下の処遇についても明記されなければならない。のみならず、病院等の民事施設における拘禁についても、いやしくも国権を持って拘禁した障害者に対して合理的配慮を行わないなどの差別はあってはならず、全ての拘禁下の処遇の文言を入れていただきたい。

4.附則の加筆

障害者基本法が、全ての障害者施策の核として機能するよう、

附則1 障害者に関わる全ての法律をこの法律(障害者基本法)の目的に沿って定期的に見直す事。

附則2 障害者権利条約の批准後5年以内にこの法律(障害者基本法)の見直しを行う事。

上記の附則の加筆をしていただきたい。

5.付帯決議のお願い

障がい者制度改革推進会議の議論と障害者権利条約そのものを踏まえて、医療における障害者の他のものと平等な自由な説明と同意の確保、障害者の人権保障の担保、社会的入院の解消に向けた精神科病床削減の義務化、の3点につき、適切な付帯決議を求めます。

以 上



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