精神障害者をインクルージョンする地域社会変革へのアジア横断同盟の宣言

報道発表

精神障害者をインクルージョンする地域社会変革へのアジア横断同盟(TCI-ASIA)

 

国連障害者の権利条約は障害者のインクルージョンと完全で効果的な参加の世界的な基準を定めている。しかし、アジアの精神障害者、精神医療ユーザーサバイバーは差別と排外の人生を続けている。高所得の国々そして英連邦の国々、例えば韓国、中国、日本、インドそしてかつて植民地であった他の一連の国には、強制医療を行う何十という刑務所並みの精神科施設を伴った精神保健法制がある。そうした国々では精神障害者は犯罪化されている。一方でアジアの多くの国々で精神障害者のための地域での支援体制が欠乏しているという実態がある。施設における広範な人権侵害の世界的な体験があるにもかかわらずそれを否定して、こうした国々の中には精神保健法を起草したり採用したりする予定の国もいくつかある。アジア地域は、地理的にも、文化的にもそして言語においても多様であり、さらに複雑な社会体制の違いを伴った多様性もある。地域社会開発に各地の精神保健プログラムを統合することで、精神障害者のインクルージョン戦略を立てるときには、この多様なダイナミズムを考慮にいれなければならない。

2つの会議(2013年プネそして2014年バンコク)をへて、“精神障害者をインクルージョンする地域変革へのアジア横断同盟(TCI-Asia)” が結成された。TCI-Asiaは、アジア地域において精神障害者の完全なインクルージョンを確保するために取り組む、障害者団体、精神障害者、精神医療ユーザーサバイバー個人の連盟である。私たちは障害種別を超えた運動、そしてこの地域のそして世界的な主要な支援者たちと協同して、アジアにおいて国内そして地域的な政策に影響をあたえるために取り組んでいく。

インクルージョンに向けた地域変革会議-Ⅰはプネで開かれ、この地域の6カ国から参加者を得たが、我々のインクルージョンへの主張のアジアにおける枠組みを作る必要性が焦点化した。私たちはアジアにおける障害者権利条約の実現に向けて、障害種別を超えた運動と建設的な連携し、また多様な地域のそして国際的な取り組み、例えば国連のメカニズム、WHO、そしてその他様々な支援機構の政策枠組みといったところと継続的な対話を積み重ねていくインクルーシブな戦略が必要である。もう一つのプネの会議の焦点は、障害者権利条約の精神の実現という意味で、条約19条(自立生活と地域社会へのインクルージョン)の強調であった。とりわけアジア地域においては、社会的文化的な構造が未だ強く活用できる。またアジア地域では社会的関係すべてが契約に基づくというわけではなくて、近隣社会地域社会という概念が存在する。この会議では、アジア地域におけるインクルージョンに向けた地域社会に根ざした取り組みの研修のための訪問や体験共有(当事者の権利主張によるものとソーシャルワーカーによるもの両方)から多く学ぶことができた。

地域社会の変革会議Ⅱ はこうした学習をさらに深め、障害者(精神障害者)のインクルージョンの過程における基準という側面、社会的側面そして他の様々な側面について、バンコクで4日間集中的に取り組んだ。精神保健法体制がある国々(韓国、日本、中国、インド)とない国々(ネパール、フィリピン、スリランカ、バングラディシュ、インドネシア、タイ)の間のインクルージョンの多様な側面の紛れようもない違いというのが明らかになった。この会議ではアジア地域における条約19条の履行と開発過程におけるインクルージョンの重要性が再確認された

現状におけるTCI-Asiaの優先事項は以下である

  • 戦略、意見表明を通し、精神科施設が存在する国々では脱施設化の推進を主張する
  • オルタナティブを強調しつつ、精神保健的問題を抱えている人精神障害者への地域社会に根ざしたプログラムの開発に向け国の政策に影響を与える
  • 国内そして地域レベルで、様々なレベルで障害の権利主張をインクルージョンすることを確保するために、障害種別を超えた運動や人権運動と緊密に連携して取り組む
  • アジアにおける私たちの任務と実践をとおして、各国政府が地域社会開発の活気に満ちた取り組みを通じ条約19条の履行を確保するよう働きかけ促進する
  • 地域における有効な権利主張活動のためによりよい組織化をする

2014年12月27日

山本眞理訳

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