全国「精神病」者集団ニュース2010年10月号抜粋

ごあいさつ

鳥取の橋本さんは、初の医療保護入院(精神保健福祉法第33条)違憲訴訟を提起しました。皆さま、とにかく、裁判所の傍聴席を「病」者で埋め尽くすつもりで、傍聴には可能な限り出席してください。違憲判決を勝ち取れるよう、全国の仲間も、できうる限りの手を尽くしましょう。

全国障害児・者実態調査(仮称)の試行調査は、調査票の訪問員による訪問配布の部分を任意抽出の郵送に変えることができました。しかし、来年の本調査でどうなるか、まだまだ緊張状態は続いています。74年実態調査の自殺、84年実態調査の運動の連続性のなかに今の病者集団があります。全力で闘い抜いていきたいと思います。

2010年9月18日、青森でJDF地域フォーラムinあおもりが開催されました。実は、JDF地域フォーラムinあおもりも、つつがなく開催されたわけではなく、かなりの悶着があったことも事実です。それらの報告もしたいと思います。

(桐原)

障がい者制度改革推進会議の報告

推進会議の進め方が当初予定と変更されてきたので、その旨の報告をしたいと思います。

2010年6月7日、障害者制度改革の推進のための基本的な方向(第一次意見書)が出され、6月29日に「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」が閣議決定されました。当該閣議決定は、第一次意見書に基づいて作成されたものです。8月9日、JDFが行ってきた地域フォーラムが、内閣府の障がい者制度改革地域フォーラムにすることが決まりました。また、8月の推進会議では、9月中に差別禁止法の部会の設置を検討していましたが、9月中に設置されず、設置の目途がたっているのか、不明な状態にあります。9月6日の第19回会議において、部会の設置が予算的に難しいことが報告され、合同作業チームについて正式な提案及び決定がなされました。

合同作業チームは、労働分野、医療分野、障害児・者分野、の3つとなり、推進会議の構成員に加え総合福祉部会の構成員と非公開の会議で行うことになりました。また、総合福祉部会でも部会作業チームが設置されることになり、「法の理念・目的」チーム、「障害の範囲と選択と決定~障害の範囲」チーム、「障害の範囲と選択と決定~選択と決定・相談支援プロセス(程度区分)」チーム、「施策体系~訪問系」チーム、「施策体系~日中活動とGH・CH・住まい方支援」チーム、「施策体系~地域生活支援事業の見直しと自治体の役割」チームの6つが提案されました。9月27日の第20回会議で合同作業チームメンバー(案)がだされ、9月21日の第7回総合福祉部会で、部会作業チームメンバー(案)が出され、いずれも決定されました。10月12日の第21回推進会議では、障害者基本法改正に向けた具体的な議論がなされ、改正作業が進められています。

精神障害者を閉じ込める医療観察法廃止!青森集会

決議文

2005年7月、池田小学校事件を契機に心神喪失者等医療観察法が強行採決されました。マスコミ各社からは、「危険な精神障害者が野放しになっている」などと報道され、同時に精神障害者は「在野の精神障害者は地域から消えろ」と言わんばかりの差別、偏見をうけました。

心神喪失者等医療観察法は、重大な犯罪を犯した者が心神喪失等で不起訴や無罪などになった場合、再犯の可能性などを理由に強制治療処分にすることを旨としています。そして、強制治療処分は一人当たり2200万円の予算を賭けて、特殊な医療機関で手厚くなされます。しかし、当たり前と言えば当たり前のことですが、いかなる特殊な精神科の治療であっても、犯罪を治療なんかで防ぐことはできません。実際に、2010年5月、医療観察法の処遇終了になった方が再犯に至りました。犯罪は、どの時代に、どの国でも、異なる人間同士の入り混じる社会で、必ず起きてきたものです。現実の問題として、なくなることはあり得ません。だから、起きた時にどうするかを考えるわけです。

また、手厚い医療というのは、単に精神障害者を心理的に追い詰めるものでしかないようです。というのは、医療観察法の対象者が14名も自殺しています。恐らく、精神科病院や指定医療機関での自殺が多い理由は、そこに絶望しかないからだと思います。

現在、精神科病院には、全国で35万人の入院患者がいて、その内4人に1人は、5年以上の長期在院者と聞きます。日本の精神病床は全35万床、それは、日本の全病床のうち25%になります。これほどの病床を使って、精神障害者を何年も閉じ込めておいて、「野放しになっている」などと言ってくるわけです。極めて、不愉快です。精神病は、罹れば著しい苦痛があるものの、やはり、ただの病気です。なのに、精神障害者と言うだけで、こんなにも酷い目に合わされます。

2006年12月に国連で採択され、2007年9月に日本政府が署名した障害者権利条約では、人身の自由に関する規定があります。国連高等弁務官事務所は、障害者であることに加えて、ケアの必要性や自傷他害の恐れなどを要件としたものも、障害に基づく人身の自由であるとしています。医療観察法は、心神喪失等や再犯の可能性を理由に閉じ込める法律なので、障害者権利条約に違反しています。

仮に治療が必要ならば、獄中でも地域でもいいので、まずは医療を受けられることだと思います。心神喪失無罪となったら、行為の非難可能性がないわけですから、非難できないため無罪でいいわけです。不起訴ならば、裁判を受けられないわけだから不起訴でいいわけです。

そこに、精神障害者の偏見と重罰化路線をうまいこと利用して保安処分施設を作り上げ、精神障害者をまたしても閉じ込めて、且つ、それで利益を得るやつらがいることが、すべて許せません。参加者一同は、心神喪失者等医療観察法に強く反対します。

精神障害者を閉じ込める医療観察法廃止!青森集会

参加者一同

2010.9.18



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