全国「精神病」者集団ニュース2010年8月号抜粋

ごあいさつ

2010年7月28日、千葉法務大臣の下でまたしても死刑が執行されました。近代国家においては、死刑や戦争が否定されて然るべきなのですが、この国の態度は、死刑も戦争も積極的に肯定しているようです。その延長線上というか、同じ枠組みというか、そこに精神保健福祉法やら医療観察法やら、いわゆる精神障害者差別があるわけですが、これらの解消を「世論」とかいうものが邪魔しているわけです。「世論」とは、実体がなく、いくらでも操作可能なものですが、なぜか信憑性を持たされています。

一方、厚生労働省は、全国障害児・者実態調査(仮称)という訪問員が私宅を訪問し、障害者がいるかいないかを尋問し、いた場合は調査票を手渡すという方法の調査を検討しています。とんでもない調査です。うちには、絶対にあげません。「セールスお断り」のステッカーを玄関に貼る人がいますが、うちには、「実態調査お断り」と貼ってやろうかと思っています。本当に不愉快なことが多すぎます。やけくそだから「病」者集団で、実態調査お断りステッカーを一枚300円で発売しようか。皆様も、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉課長宛に反対意見を出してください。よろしくお願いします。(桐原)

 

 

精神障害者のモラルと健常者のモラル

 

 

白縫 狂介

勤労の義務は憲法にも明記されたものであるが、これは健常者のモラルであって、何ら精神障害者のモラルではないのである。

何故なら精神障害者は、精神保健福祉法、医療観察法、等の悪法2法によって、あまりにも人格を侵害されているからである。

この悪法が憲法違反である以上、それを容認している健常者のモラルに我々は従う事はない。

私は健常者からの批判をあえて承知で精神障害者に〈働くな〉と言いたい。

いはば、憲法無視の人権侵害されている以上、我々も「対抗措置」として〈勤労の義務〉を無視しようというわけである。

健常者のモラルと違って精神障害者のモラルとは、働きたくなかったら働くな!

働きたかったら働け!というものです。

そして空いた時間は何しようと勝手です。

ボランティアをしようが、図書館に通おうが、政治活動しようが、ゲームに熱中しようが・・・・・・

これは広美の意義の〈労働ストライキ〉とでも呼ぶものですが、では生活費はどうするのと言えば

親のスネかじっても、障害年金もらっても生活保護もらってもやっていけます。

そしてこのストライキが終篤するのは、悪法2法が廃棄された時なのである。

2010・5・14

 

 

 

 

全国障害児・者実態調査(仮称)

■全国障害児・者実態調査への抗議要請のお願い

さて、現在厚生労働省は、全国障害児・者実態調査(仮称)に関するワーキンググループを設置し、全国障害児・者実態調査(仮称)の実施を検討しています。6月14日に開催された第二回会議で、資料1に調査方法が示されました。そこには、①調査員が調査地区内の世帯を訪問し、調査の趣旨等を説明の上、調査対象の有無を確認する、②調査対象者がいる場合は、調査票を手渡し、記入及び郵送による返送を依頼する自計郵送方式、というものでした。

しかしながら、各私宅を訪問し、世帯に障害者がいるかを確認するという調査方法は、密かに暮らしている障害者に不安を与えることになるし、世間の目にさらされたくないと思っている障害者にとって、多大なる苦痛となります。過去にも、精神衛生実態調査という同様の調査方法による調査がされましたが、1973年、1983年と運動によって阻止されています。

こうした地域の障害者を掘り起こすような調査をしないよう、各団体の皆様からも、厚生労働省宛に抗議文を出していただきたいのです。以下、参考までに文例を作りましたので、ご活用くだされば幸いです。

厚生労働大臣殿

厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長殿

障害者制度改革推進会議総合福祉法部会長殿

緊急抗議声明

現在、厚生労働省は、全国障害児・者実態調査(仮称)に関するワーキンググループを設置し、全国障害児・者実態調査(仮称)の実施を検討しています。6月14日に開催された第二回会議で、資料1に調査方法が示されました。そこには、①調査員が調査地区内の世帯を訪問し、調査の趣旨等を説明の上、調査対象の有無を確認する、②調査対象者がいる場合は、調査票を手渡し、記入及び郵送による返送を依頼する自計郵送方式、というものでした。

各私宅を訪問し、世帯に障害者がいるかを確認するという調査方法は、障害者に多大な苦痛を与えることに他なりません。突然自宅に押しかけられ、障害者かどうか追及されるという事態は、人道上、非常に大きな問題があります。また、地域でおびえつつ毎日ひそかに生き延びている障害者を追い詰める行為であり、最悪の事態を引き起こしかねません。また、そうまでしておこなう調査の調査項目がいったいどのように障害者総体の利益につながるのか理解できません。

過去にも、精神衛生実態調査という同様の調査方法による調査がされました。この調査で、自殺した人もいます。そうしたこともあり、1973年の第三回調査、1983年の第四回調査と、自治体や運動によって精神衛生実態調査は阻止されています。

その史実に対して反省もなく、人道上の問題を省みない調査目的の調査というべき、全国障害児・者実態調査の調査方法に対して強く抗議します。

2010年 月 日

以下は、全国『精神病』者集団で出しました。

厚生労働大臣殿

厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長殿

厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課統計調査係

障がい者制度改革推進会議長殿

障がい者制度改革推進会議総合福祉部会長殿

緊急抗議要請文

(全国障害児・者実態調査関連)

現在、厚生労働省は、全国障害児・者実態調査(仮称)に関するワーキンググループを設置し、全国障害児・者実態調査(仮称)の実施を検討しています。

2010年6月14日に開催された、第2回全国障害児・者実態調査(仮称)に関するワーキンググループの資料1「全国障害児・者実態調査(仮称)についての基本的な考え方(素案)」で調査方法が示されました。そこには、①調査員が調査地区内の世帯を訪問し、調査の趣旨等を説明の上、調査対象の有無を確認する、②調査対象者がいる場合は、調査票を手渡し、記入及び郵送による返送を依頼する自計郵送方式、③調査票は原則、調査対象者本人が記入する、というものでした。

突然自宅に押しかけられ、障害者かどうか追及されるという事態は、人道上、非常に大きな問題があります。また、地域でおびえつつ毎日ひそかに生き延びている障害者を追い詰める行為であり、最悪の事態を引き起こしかねません。過去に実施された精神衛生実態調査では、調査に恐怖して自殺した者がいると聞いています。全国「精神病」者集団の組織原則のひとつには、「精神病」者の生命の尊守があります。なので、こうした事態を許すことはできません。1973年、1983年の精神衛生実態調査が中止され、それ以降調査がなされてこなかった理由は、調査方法が非人道的であったからです。自殺者が出ているという歴史も全く総括・反省されずにして、全国障害児・者実態調査(仮称)が検討されている現状には、怒りを禁じえません。

これまで全国「精神病」者集団は、障害者を対象とした調査ではなく、精神科病院等の施設を調査することを求めてきました。精神病院の実態調査が行われなかった結果、明らかにされたのが、1984年の宇都宮病院事件です。全国障害児・者実態調査(仮称)の調査が障害者総体の利益につながるとは思えません。施設の実態調査こそされるべきです。まず、すべき調査を後回しにしてまで、全国障害児・者実態調査(仮称)を強行しようとしていることに、強い怒りをもちます。

全国「精神病」者集団は、全国障害児・者実態調査(仮称)の調査方法等に対し、強く抗議するとともに、調査方法等の変更を要請します。

2010年8月17日

全国「精神病」者集団



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