全国「精神病」者集団ニュース 2000年8月号

2000年8月発行のニュースです。一部のみの掲載となっております。

一般定期購読は有料(年6回発行1年分5000円)です。(病者である会員の購読は送料も含めて無料となっております。)

目録

ごあいさつ

  • バスジャック事件など

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投稿

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(精神分裂病)一揆

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夏期カンパへのご協力

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対談『異常な少年』はなぜ生まれるのか


SSKO

全国「精神病」者集団
ニュース


ごあいさつ

酷暑の季節となりましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか? 精神病院でも冷房のないところがまだまだありますが、皆さまの病院はいかがでしょうか?

精神医学や心理学は、一定の人間への差別や排除を正当化するために使われてきたし、また積極的に差別合理化の「学」として権力に奉仕してきました。社会的歴史的な矛盾を全て個人の資質、人格、病気の問題をすり替え、その個人を「処理」することで問題解決を図ろうとするとき、もっとも利用されてきたのが精神医学であり、心理学です。

バスジャック事件について「あの少年は病人じゃないだろう、それなのに強制入院させたのが問題」「病人だろうと強制入院させたから、あの事件が起きた」「親が厄介者と決めたら精神病院は引き受けて強制入院させ監禁しろ、というのがマスコミの論調だ。精神病院は厄介者収容所か?」などと言う声が仲間から集まっています。

私たち全国「精神病」者集団の力量不足で、かの少年に対する救援活動に取り組むことが一切できていません。そうである以上私たちもまた単なる「傍観者」でありかつ彼を「排外する者」でしかありません。しかしそれでもなお日本精神神経学会の調査委員会発足(巻末コピー参照)には異議を唱えたいと思います。

医師としてまず本人の利益を考え救援活動に入るのではなく、裁判も始まらない前に突然「専門家集団として、第三者機関として、事実を知る」というのは一体何が動機でしょうか? 本人の声を聞くこともなしになぜ「事実」が明らかになるのでしょうか? なぜそれほど急いで「事実」なるものを確定しなければならないのでしょうか? 医療機関としての自己保身が動機としか思えません。

「治療は適切だったか、事件は予測可能だったか、入院・一時帰宅は妥当だったか」を調べるそうですが、それでは「事件が予測可能であったら、拘禁する」という判断をすべきなのでしょうか? 精神医療は「犯罪防止のためには予防拘禁をするべき」なのでしょうか?

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重大な岐路に精神医療は立っています。

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投稿

富山 U

みなさん、こんにちは。私は、こないだまで、入院しておりました。私生活で嫌なことがあり、睡眠薬を飲みすぎました。けっして、死のうとは思いませんでした。何せ睡眠薬九袋ですから、九袋で死のうなんて、虫が良すぎます。ただ、深い眠りにつきたかったのです。発作的にやってしまいました。その時、長い間、右側を下にして寝ていたのが原因で、右足が痺れ歩けなくなってしまいました。右坐骨神経麻痺です。

病院に行ったその日に入院。精神科です。今は大分よくなったのですが、整形の先生からして、いつ治るかはっきりしたことを言ってくれないので、不安でなりません。自分で歩いて、リハビリするしかないそうです。三ヶ月以上治るまでかかるが治らないことはないだろうけど、一年二年単位で見ていかないといけないと言われました。

家の中では装具(義足ですね)を履かずとも歩ける様にまではなってきたのですが、夜寝るとき、痛くて、寝れないのが、一番困ります。

こんな私ですが八ヶ月前にパソコンが、家に来て、ホームページを作りました。良ければ遊びにきてください。日記とゲストブックしかありませんが、来た際には、ゲストブックに足跡残してくれると嬉しいです。

http://www.geocities.co.jp/Bookend-Ohgai/7201/

春が来たのはいいのですが、なおさら憂鬱が増してきて、調子が悪いです。皆さんも、どうか、ご無事で、ご自愛ください。それでは、また投稿させてもらおうと思います。主治医に、自分を責めすぎないように言われました。そうしようと思います。では。


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(精神分裂病)一揆

(HP作成者注:投稿者の意図と反すると思いますがHP用に題名など一部略して掲載しています)

昨年(一九九九年)、自民党、公明党、自由党(自自公)三党は「新安保・ガイドライン」「組織犯罪対策法(盗聴法)」「日の丸・国旗法案」を成立させ、戦後「民主主義」を完全に否定し、統治形態を激変させた。

数の力で圧制を強いたその政治は、平和を願う多くの人民を無視するおごりと暴挙であり、私は絶対にこれを許すことはできない。

そして、こうしたおごりはとどまることをしらず、森首相の「神の国」発言があり、石原慎太郎の「三国人」の発言がある。

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今日(二〇〇〇年六月一〇日)の毎日新聞朝刊の報道によれば、民主党を逃げ出した元文相鳩山邦男氏は、大分で「(民主党は)思想分裂党、精神分裂政党」などと批判した、加えて鳩山氏は、次の遊説先でも「精神分裂のよう」「精神分裂症的な政党」と表現した。

これは「精神分裂病者」への差別発言であり、断固撤回を要請したい。

そして、この発言を行った鳩山氏本人に、「あなたの言葉で精神分裂病とはどういう病か?説明されたい」と追求したい。

つまり、物事の本質を洞察できないまま、自分の言葉を持たず、「精神分裂病者」を悪意と差別で比喩の対象者にしたと断言し、鳩山邦男氏に強く自己批判を求める。

私たちはこの人鳩山邦男氏を「元文相」としたことを大いに恥じるべきであろう。

今回の集まりでは、森氏の「神の国」発言が問題であり、石原慎太郎氏の「第三国人」が大問題で、「天皇護持や憲法否定論、およびアジアの人への排外思想と差別問題」を許さないことに主眼がおかれている。

私も集会の趣旨に賛同し、政治のおごりをたたき、今の流れを食い止めて行く方向づけに参加したい。

その上で、すでに多くの人々の認識にある、石原慎太郎氏の障害者差別発言や、石原氏が、弱者を弱者と思わぬ差別思想の持ち主である点を今一度明らかにし弾劾する。

石原氏は知的障害者に対し、「あの人たちに人格はあるのかねぇ」と発言しました。

人であれば人格や人権があるのは当然であり、厚生省ですら「ノーマライゼーション」(すべての人が「差別」なくし、共に生きる社会の構築)と言っているではないか? また「知的障害者」が「ピープル・ファースト」(まず第一に人間だ)と叫んだ事実があり、私たち精神障害者の解放運動にも大きな影響を与えたことを知らぬのか?

見識のなさか? 否、石原氏の自覚的な差別であろう。

石原氏はこうした歴史的な事実を否定し?また国連人権規約の「B項」の差別否定条項すら意図的に無視したと私は判断する。

相でなければ、「第三国人」発言で抗議デモを行った外国人に対し「あれは被害妄想ですょ」とふざけたコメントができるであろうか?

(石原氏がそう言い放つのであれば、精神医学の用語「被害妄想」の概念を述べてみてはどうか? その勇気と知恵もあるまい)。

石原氏への問題点はこうしたレベルだけではない。

いわゆる「外形標準課税」が市民的感情に「ヒット」し、その流れで大阪がそれを導入したが、石原氏はその導入に先駆けて「老人のフリー無料パス」を有料化した。

「パスがほしければ五千円の負担をしろ」と石原氏は老人にせまった。

私(たち)がこの問題を見逃すはずはない。

老人の既得権「フリーパス」を政治的に押し戻すのを平気でやってのけた石原氏のセンスと政治手腕は「外形標準課税」と同様影響する。

「外形標準課税」のように、精神病者が獲得した「無料パス」への影響を私は戦々恐々とした。

石原氏の政治手腕は、老人・外国人ら弱者への攻撃に終始している点を今一度はっきりと認識したい。

「(知的障害者に)ああいう人にも人格があるのかねぇ!」「 (外国人のデモに)被害妄想」と言い切る石原氏は、精神障害者への差別感情を利用した扇動として弾劾する。

つまり差別の上塗りと判断し弾劾する。そして石原氏の退陣を強く要請したい。

私は今回の政治情勢下において、こうした情勢を黙って見過ごせば、精神病者への受難の歴史と差別は一切払拭できないと判断し、断固訴える者である。

弱者がその存在を否定されるとき、(ナチス・ドイツではガス室で誰が最初に殺されたか? 障害者二五万人の抹殺を忘れてはならない。また元無実の死刑囚・赤堀政夫氏をスケープ・ゴートととした障害者差別を今一度総点検せよ)それは健常者の歴史の転換点でもある。

この点を自覚し闘うことを私は強く訴える。

障害者差別を許さず、歴史の転換点を見つめて民衆と共に歩もう。

二〇〇〇年六月一一日

精神病者の組織 〇の会世話人 大野萌子

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窓口から

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☆夏期カンパご協力ありがとうございました。

夏期カンパ総額二六万六五八円(七月一八日現在)をいただきました。厳しい経済状況下にも関わらず、多くの仲間が乏しいお財布の中からカンパして下さり感謝に堪えません。本当にありがとうございました。

カンパに寄せられた一言から

*私の方仕事が忙しく二〇〇〇年でニュース終わりにします。五千円送ります。あとの五千円はカンパ計一万円です。参考になることがたくさん書いてあるけれど、年と共に頭の回転がゆるくなって、なかなか読み切れない。身体に気をつけて。絆社の由来は?

*ニュース送ってもらってありがとうございました。少額ですがカンパさせてもらいます。八月号もよろしくお願いいたします。

*少しですが役に立てたらと思います。

*わずかですが、お受け取り下さい。

*ニュースいつもありがとうございます。いまだ解雇撤回とできず、少額ですが(ニュース代にもならないと思いますが)送ります。

*貴重な資料ありがとうございました。真理さん共々事務局の方々の快方を祈念しております。

*お元気そうで何よりです。私の方は薬で何とかもっているような状態で、その内久留米の断食の病院にも行ってみようと思っています。ぐたっりしてなかなか文字が受け付けられなかったのですが、「会」メンバーの話し合いで、今までのコツコツ会費からカンパさせていただきます。お元気で。

*暑中お見舞い申し上げます。わずかですが夏期カンパです。Y様始め皆さま元気に夏を乗りこえて下さい。

*私はK病院、Kホスピタルだったので、入院生活はおおむね良好でした。病院としても○か◎でしょう? それでも問題はあります。しかし埼玉県の精神保健センター、長谷川病院、いろいろ話を聞く度に酷いところと確認し、憤慨しています。会話がしたい。


☆窓口入手資料

#「対談『異常な少年』はなぜ生まれるのか」

T、 N

文芸春秋 二〇〇〇年七月号

二〇年前に「クライシスコール」で提起したにも関わらす、日本の精神医療が貧困であり、精神病者に対する対応すら救急医療として成り立っていない、ましてや精神病ではない性格の偏りの人間に対しては何もない、精神医療がこの人達にも対処すべし、事件を起こした少年について専門家が委員会を作って調査すべし、等々、Nはかつての主張を一切変えず、精神科医は「犯罪予防のため」に働くべきと主張している、非常に悪質な対談です。このN氏が社会臨床学会総会のシンポジウムでは、「精神病院などない方がいい」と言ったそうですから、この人はいったい何なんだ。

(略)


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