全国「精神病」者集団ニュース 2005年8月号

2005年8月発行の「ニュース」抜粋です。 一般定期購読は有料(年6回程発行1年分5000円)です。(会員の購読は送料も含めて無料となっております。)

全国「精神病」者集団
ニュース


ごあいさつ

残暑お見舞い申し上げます。皆様いかがお過ごしでしょうか。

酷暑で体調を崩している仲間が多いようです。夏休みも私たちには無縁ですが、それでも体力の消耗を避ける工夫をしてまいりましょう。

戦後60年目の8月15日がめぐってまいりました。精神病院での餓死者も含め数千万人の犠牲のもとに作られた日本国憲法が、いま危うくなっています。平和主義、基本的人権、そして国民主権のために国家を縛る憲法が、逆に国家が国民を縛るものに変質されようとしています。医療観察法も自立支援法案も、社会のあり方国家のあり方そのものを根底から変えるこうした流れの中にあるといっていいでしょう。

すべての人が、尊厳を持って自分らしく街で暮らせる社会をめざすのか、それとも一部の力あるものだけが「人」とされ、それ以外のものが「人」であることを否定され排除される社会を求めるのか、それが医療観察法の問題であり自立支援法案の問題です。

国連では8月1日から2週間にわたり障害者権利条約の特別委員会が開催されました。この権利条約こそ、障害者が「人」であり、権利の主体であることを宣言する条約です。いま私たちは「私たちのことを私たち抜きに決めるな」という声をあらゆる現場から上げることそして私たちはまず人間だ「ピープル・ファースト」を叫び続けたいと考えます。

同封の医療観察法廃止署名を再度呼びかけます。なにとぞよろしく。

(略)

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北から 南から 東から 西から


声明 心神喪失者等医療観察法の廃止を求める!

(詳細はこちらのPDFファイルを)

来る7月15日をもって施行の最終期限を迎える心神喪失者等医療観察法は、精神障害者に対する差別法である。精神障害者は危険という偏見に裏書を与えるばかりか、施行されれば、もはや精神障害者には普通の人権はなく、精神障害者は人間ではないと宣言することに等しい効果を発揮する。私たちはこの法の即時廃止を求める。主たる理由のいくつかを挙げると以下のとおりである。

1 事実認定は、通常の裁判手続で行われるべきである。事実認定に争いがあるとき、弁護士が弁護士としての業務を十分に果たせない制度や審判構造は精神障害者差別である。

1 刑事事犯に当たる行為を行ったというのが、前提にあり、つまるところ応報と将来の社会に対する危険性除去が目的であることは否定できない。応報についていえば、罪刑法定主義を無視するものであり、将来の危険性は強制医療を正当化できないばかりか、擬陽性(危険性がないのにありと判断されること)の問題を生む。そもそも、誰にも正確に判断できるはずもない将来の危険性で人を拘禁することは許されない。

1 拘禁施設がいかに厳重に警備されるか等を地元説明会で行っているようであるが、これは逆に言えば中に閉じ込められた人たちがいかに危険かということのキャンペーンになっており看過できない。法は手厚い医療と社会復帰を目的としているというが、そもそも法自体が精神障害者差別法であり、その施行のための説明会も差別をあおるものでしかないとき、対象とされ拘禁された人たちが地域に戻れるとは到底信じがたい。

1 現に一般精神医療と司法精神医療との考え方の違いを反映して、今に至るも法が指定する拘禁施設の建設はすすまず、法対象者の鑑定の基準あるいは鑑定のための入院中の処遇基準等々、ソフトの面でも到底このまま施行できる段階にはなっていないではないか。高度な手厚い医療とうたったからには、それなりの中身と納得できるソフトとハードを提示するべきであり、それが今にいたるも、なされていないということ自体すでに心神喪失者等医療観察法は破綻しているのであるから、即刻廃止するべきである。

2005年5月14日

心神喪失者等医療観察法(予防拘禁法)を許すな! ネットワーク

連絡先 目黒郵便局止め FAX 03-3738-8815

電話 090-8432-1091 e-mail: kyodou-owner@egroups.co.jp

法廃止まで集め続けます。

団体名

あるいは個人のお名前ご住所 メールアドレス

(もしあれば) 公表の

可否

○ ×


医療観察法初適用を弾劾する

全治1週間の障害で予防拘禁!!

報道によると、6月28日東北新幹線乗客の男性に消火器で殴りかかり、傷害の疑いで逮捕された東京都の男性について、福島地検は19日に初の心神喪失者等医療観察法の申し立てを行った。福島地裁は鑑定入院命令を出したとのことである。福島地検は「傷害の程度は1週間で重大とは言えないが、無関係の人を殴打している」などと適用理由を説明している。通常であれば、微罪につきそもそも逮捕もないか、もしくは起訴猶予ということで直ちに釈放される事例である。

今回はこの男性が「統合失調症であり、責任能力が低い」ということで起訴猶予となり、心神喪失者等医療観察法の申し立てが行われた。この男性は鑑定入院命令により、強制的に精神病院に監禁された。鑑定入院ということは、本来必要な医療が優先され保障されず、あくまで鑑定が優先されるということだ。さらに鑑定という行為自体が、本人にとっては病状に悪影響をおよぼす行為である。

仮にこの事件が病状悪化によるものであるとするなら、本来速やかな医療保障がなされるべきであるし、その上で慎重な司法手続きが行われるべきものである。心神喪失者等医療観察法の適用により、この男性は医療保障どころか、病状を悪化させる鑑定入院を強いられている。心神喪失者等医療観察法の国会審議の際に、この法の致命的欠点として指摘された、医療保障の遅れがいま現実化した。

通常であれば即釈放されるほどの微罪にもかかわらず、医療観察法の申し立てがされ、2ヶ月から3ヶ月の鑑定入院による身柄拘束がなされる。仮に医療観察法対象者となれば、強制的に不定期に予防拘禁される。施設から出られたとしても地域で強制通院監視の下に置かれることになる。地検自身が事件は「重大とは言えない」としており、これでは犯罪を犯したものすべてが心神喪失者等医療観察法のルートに乗せられることになる。

精神障害者というだけでこれほどの差別的な拘禁と監視を押し付けられる、今回の初適用こそが、心神喪失者等医療観察法の矛盾と差別性を明らかにしていると断じざるを得ない。

医療観察法のもとでの拘禁施設数も、そこで働く精神科医はじめスタッフも不足したままで強引に施行した上に、今回の微罪での初適用を私たちは弾劾する。

私たちは福島地検に対し直ちに申し立てを撤回することを求める。さらに福島地裁が本人の利益と医療保障のために直ちに鑑定命令を撤回し本人を釈放するよう要請する。

2005年7月22日

心神喪失者等医療観察法(予防拘禁法)を許すな! ネットワーク

連絡先:目黒郵便局留 Email:kyodou-owner@egroups.co.jp


杉並区での活動報告

東京 Y

■障害者区議会での発言

私は日本DMDクラブという当事者活動団体のYと申します。

(略)


連載コラムNo.1 少数者のためのブックガイド

『天皇の逝く国で』 ノーマ・フィールド著 みすず書房 2940円

昭和天皇の病が公表された1988年9月から、国葬のあった89年2月まで、日本にはジャーナリズムに発表されなかったいくつもの事実があった。この本に登場するのは沖縄で日の丸を焼き捨てた知花昌一、山口で靖国神社合祀違憲訴訟をした中谷康子、天皇の戦争責任発言をポツリとした本島等長崎市長(当時)。彼らは、あの日々をどう生きたか。

著者はアメリカ人の父と日本人の母を持ったシカゴ大学日本文学教授・祖母と母のいる日本を、二つの国に「宙吊り」にされた彼女はどう見たか。

この本を読めば、知花さんたちが「普通の人」として、理解可能になる。毎日を「病者」=少数者として生きるあなたに、この夏、おすすめの1冊である。


障害を通して視えてくるもの

東京 O

私(私達)は精神障害に陥っために常人のような生活を送れずにいる訳だが、そこから人生と社会について視えてくるものもまた多々あるように思う。

(略)


T病院の姿勢と誠意を問う

精神医療監視委員会 H

(略)(一部省略)


医療観察法廃止署名を再度訴えます

選挙の結果もわかりませんし、次の国会がいつになるかまだわかりませんが、再び自立支援法案が出される可能性もあり、また施設の不足から、公立病院に施設を受け入れさせるために、心神喪失者医療観察法「改正案」も上程される見込みです。

再度法廃止に向けた署名を同封いたしました。

多くの方に署名にご協力を訴えます。また周囲の方から集めていただく、参加なさっておられる団体の署名を取っていただく、ありはそのニュースに同封していただくなど広く署名を訴えていただけますようお願いいたします。

またさらに各地での学習会などの開催を訴えます。講師などの派遣もいたしますのでなにとぞよろしくお願いいたします。各地ですべての社会資源、家族会患者会までが医療観察法地域処遇運営に動員されつつあります。専門職に協力拒否を訴えていくためにも周囲の方に署名要請を。

いま予定の入っている医療観察法関連の集会は以下です。

9月10日(土曜)午後1時15分-2時50分

どうなる?心神喪失者等医療観察法

◆ 場所 大和郡山市・やまと郡山城ホールの小ホール

近鉄郡山駅から線路沿いに北へ7分。

◆ 主催 精神障害者の社会参加をすすめる会

「ハートフルこおりやま」

◆ 問い合わせ 地域生活支援センターふらっと

0743-54-8112

10月6日(木) 午後1時~

会場その他詳細未定 参加ご希望の方は窓口までお問い合わせください

10月7日(金)午前10時半から12時 理事会企画

「医療観察法施行と精神保健・福祉」

第48回日本病院地域精神医学会総会

お問い合わせ 福岡大会運営事務局 八幡厚生病院内 電話 093-603-7213


医療観察法施行の現状

東京 山本真理

医療観察法は、成立後も収容施設を受け入れる病院のめどが立たず、年間300人の対象者という政府の予測に対して、現在開設しているのは国立武蔵病院のみ、開設を予定している花巻病院を入れても年内には2病院66床しか確保できていない。しかも花巻病院では職員が集まらず、このままでは運営不可能という悲鳴が現場から上がっている。

政府は地元住民の反対運動のために施設建設が進まないと弁解しているが、いままで日本政府は、高速道路だろうが原発だろうがいかなる反対運動があろうと建設を強行してきたことを見ると、施設建設が進まない真の理由はこの法律が精神障害者差別立法であるがゆえに、協力する施設や専門職が不足しているということだ。

そうした中で政府は強引に法廷の期限ぎりぎり7月15日に施行を強行した。

☆全治1週間の傷害が「重大な犯罪に当たる行為」?

7月19日に早くも初適用がなされた。傷害事件であるが、被害は全治1週間、申し立てを行った検察ですら「重大な事件ではない」と発言している軽微な事件である。法律上は傷害事件に関してはその程度により検察は医療観察法の申し立てをしないこともできるにもかかわらず、あえて検察は初適用を選択した。

8月4日時点ですでに12名の適用が確認されており、さらに8月10日には千葉では傷害全治5日の事件について、実刑判決ではあるが、未決算入により刑の執行がないとのことで法の申し立てが行われている。この事件は獄中での事件であり被害者は看守。

本来この程度の事件であれば逮捕さえないのが普通でありが、このケースでは精神障害者であるがゆえに、あるいは精神障害者とみなされたがゆえに、2ヶ月から3ヶ月の鑑定入院を強制され、さらには審判次第で無期限の予防拘禁や地域での強制医療が科せられることになる。仮にこの事件が精神疾患によるものであるなら、迅速な医療保障こそ求められているにもかかわらず、法適用によりいたずらに治療のチャンスを逃してしまうことになる。

この微罪での適用こそこの法律が保安処分であることを明らかにしている。すなわち「やったこと」を問題にするのではなく、「やった人」の人格を問題にし、その矯正のために不定期に予防拘禁し強制医療を施し「再犯を防止する」、ということがこの法律の目的なのだ。

☆地域のすべてのサービスが医療観察法に動員される

すでに各都道府県・政令指定都市では医療観察法の地域処遇運営連絡協議会が、作られ、保護観察所の下ですべての関係団体が組織されている。

東京都では運営連絡協議会のメンバーは以下が上げられている。

保護観察所/都立精神保健福祉センター(中部、多摩、下谷)/保健所所長会/特別区および市町村代表/指定入院通院機関(入院・通院)/都精神保健福祉民間団体協議会(作業所、地域生活支援センターなどの社会資源、家族会、患者会などが組織されている)/都社会福祉協議会/警視庁生活安全部生活安全総務課/東京都精神病院協会/その他精神障害者の社会復帰を促進するための活動を行っている適当な個人または団体

これらの団体が今後法のもとでの地域処遇を実質的に担わされていくことになる。自立支援法案が成立すれば、介護派遣業者も当然ここに組み込まれる。

こうした精神保健福祉医療サービスをいったい誰が信じられるだろうか。

各地でこれらサービス事業者への協力拒否の訴えが求められている。


ちょっと待て!心神喪失者等医療観察法6・12の集い

6月12日、「ちょっと待て、心神喪失者等医療観察法6・12の集い」が、国分寺労政会館にて開かれました。

集会当日は、まず石毛えい子衆議院議員より、「障害者差別の現在を考える」と題する講演を行なって頂きました。石毛議員は、障害者差別禁止条約制定への動きに連動する形で、日本の障害者基本法に昨年、「何人も障害を理由に差別をされない」との法文が入れられたものの、その法文をふまえた上での心神喪失者等医療観察法にまつわる議論が国会でなされてこなかったことを残念に思うと、まずは弁明された後、その法文の入ったことが障害者差別禁止法の制定を加速させることになるのか、あるいは収束させることになるのか、というのが現在の立脚点であり、それから、障害者の労働・教育の場においての合理的配慮(リーズナブル・アコモデーション)の理念をいかに浸透させていくかが現在滞っている問題点、であろう旨を報告され、最後に、障害者雇用促進法や自立支援法の問題点について言及され、そこから生ずる問題認識から、昨年の障害者基本法の改正では障害者の差別禁止を謳ったものの、個別に障害者の法分野を見てみれば、まるで差別の禁止には至っていないと結論されました。

議員としてのみならず、石毛さん個人としての立場から現状の問題点を直視する、まさに障害者差別の現在が浮き彫りとなった講演でした。

弁護士の池原穀和さんは、現状の4つの問題点として、第1に、鑑定入院期間中の不服申立規定のないこと、第2に、「医療の必要性」という要件の変更の意図が未だはっきりと捉えられていないこと、第3に、自立支援法にて処遇され社会復帰することになること、第4に、情報コントロール権の保障のないことをあげられ、3つの方向性として、第1に、入院決定が出てしまった場合、ともかくも裁判所に「乱入」していく必要があろうこと、第2に、施行させない、させてしまったとしても廃止させる運動を続けていく必要があろうこと、第3に、福祉領域だけで議論していると行き詰まるので、もっとグローバルな視点で、もっと裾の広い市民運動にしていく必要があろうことをあげられ、われわれの今後の活動のビジョンとなるものを提示して頂きました。

龍眼さんは、心神喪失者等医療観察法の法的問題点をおさらいする基調報告。Oの会の大野萌子さんは、地元名古屋での活動などを報告。赤堀政夫さんからは、「皆さんどうか今後ともよろしく協力して下さいますようお願い致します」との貴重なお言葉を頂きました。北海道の仲間は、新法の対象者は心神喪失者「等」である、次に対象となるのはあなたかもしれないよと巧みに警告。

考える会からは、迷惑施設論としての予防拘禁施設反対運動に危惧を表明。精神科医の岡田靖雄さんは、狭められた通院医療費公費負担制度は入院医療を補完するものに他ならない、ものであり、また心神喪失者等医療観察法の施行と精神医療全般の向上の実情は前者のみを重要視した一輪車であると分析。

全国「精神病」者集団(の山本真理さん)は、ずっと「ごみ」として扱われ続けてきた精神障害者に対して、従来の「ごみ箱」としての役割を期待された精神病院よりも更に今回治安管理の役割を期待された「危険ごみ処理施設」が造られようとしていると批評。

茨城自立支援センターの仲間は、心神喪失者等医療観察法はまさに精神障害者が自殺を選ばなければならない法律となっていると批判。PSWの仲間からは、道路交通法にも「予測」を根拠とする規定が入ろうとしている現状に危惧を表明。その他時間が巻きに入る中、たなし工房、チェルシー、部落解放同盟国立の方からも、おのおのの問題意識を語っていただきました。

最後に決議文を採択して、集会は終わりました。参加者は三多摩地区を中心に97名。遠方からはるばるおこしになられた方も多数。カンパアピールでは33,253円が集まりました。

集会の余韻覚めやらぬ、さる6月21日、われわれは、小平市役所そして全国に先駆けて予防拘禁施設を建設した国立武蔵病院に決議文を提出して参りました。(考える会・K H)

「心神喪失者等医療観察法(予防拘禁法)を許すな! ネットワーク」ニュースNo.5より


県内で委嘱辞退の動き医療観察法の強行施行で

医療観察法が7月15日に全面施行されました。医師、精神保健福祉士がこの法律で定める精神保健判定医、同参与員に委嘱されていますが、個人情報の取扱いや鑑定入院機関での処遇などに疑問・問題が多いとして、来年の継続委嘱を辞退する動きが県内で出ています。

奈良県では医師、精神保健福祉士各5人が、本年1月から1年間判定医、参与員として地裁から委嘱を受けています。法施行に伴い近畿厚生局はいま平成18年の継続委嘱について電話で意思確認をしていますが、1人は継続の意思がないことを表明しました。現在検討中の人もあり、同意書提出の段階でさらに辞退が増える可能性もあります。

委嘱を受けている10人はいずれも県内の医療機関や行政機関に所属しています。

辞退の理由は、法律に不備があり、指摘や質問に対して明確な対応や回答が示されておらず、このままでは関係機関との信頼関係が保てない。強行施行で矛盾点が噴き出し、本来業務に支障を及ぼしかねないというものです。

同法の対象者は年間300人と国は推定。入口比から県内では年間3人ほどと見られます。該当事案がでたとき、判定医は精神保健審判員として地裁裁判官と法廷を構成、また鑑定業務を行い、参与員は福祉的立場から意見を述べます。

同法については関係団体のほとんどが廃止・凍結を求めており、日本弁護士連合会が6月17日に施行延期を求める意見書を、日本精神神経学会が同24日に施行凍結を求める声明を発表しました。(マインドなら 2005年8月号より)


障害者自立支援法案廃案!!

8月8日、参議院本会議において郵政法案が否決されたことを受け、衆議院が解散、そのため国会は閉会となり、自動的に障害者自立支援法案は廃案となりました。以下廃案を受けてのアピールです。尾辻厚生労働大臣は秋の国会にもう一度同じ法案を提出すると宣言しており、予断を許さない状態です。これからがいわば私たち障害者の闘いの本番ともいえましょう。

「障害者自立支援法案」廃案を受け、障害者の地域生活確立を求めるアピール

本日、参議院本会議での郵政民営化法案の否決を受けて、衆議院が解散されることとなった。そして、衆議院解散に伴って、参議院で審議中だった障害者自立支援法案は廃案となった。

直接的には郵政法案による情勢を受けてのものではあるが、ここに至るまで障害者自立支援法案の審議が延びてきたこと自体、「私たち抜きに私たちのことを決めないで」と言った、障害当事者による粘り強い取り組みによるものである。

2月に当事者抜きで法案上程がなされたことに対する抗議行動に続き、5月には9000人の障害者・関係者が日比谷公園周辺に集まり、2000名の国会請願が行われた。さらに、7月には歴史に残る1万1000人の障害者・関係者による国会請願デモが取り組まれ、「このままの障害者自立支援法案では自立はできません!」との痛切な声が国会周辺に響き渡った。

また、国会審議が行われる度に連日国会周辺でのアピール行動が取り組まれるとともに、全国各地で地域集会が取り組まれてきた。

だが、7月13日に衆議院・厚生労働委員会、15日に本会議で採決が行われ、与党多数で可決され、参議院に送られた。その後、参議院では1回委員会が開催されただけにも関わらず、強行採決の動きすら噂されるような状況にあった。

私たちは当事者抜きで拙速につくられた法案が、国会で十分な審議や見直しが行われずに、このまま通過していくことは到底認められないと訴え続けてきた。

「障害者自立支援法案」廃案という事態を前に、当事者からの不安の声や問題指摘に耳を傾けずに一方的に法案を作成-上程したことへの、政府・厚生労働省の真摯な反省を求めるものである。国会でも指摘された通り、厚生労働省が出したデータに対する信頼性が揺らぎ、社会保障審議会障害者部会での議論の在り方が問われている。また、その反省に立って、小手先の修正による再提案ではなく、障害当事者との丁寧な議論をじっくりと行い、一からやり直すことを強く求めるものである。

この間、福祉・医療の応益負担の導入、重度障害者に対する長時間介護サービスの確保、審査会による支給決定の問題、移動介護の個別給付化、障害程度別のグループホームの再編とミニ施設化等の課題が指摘されてきた。そして、このままの自立支援法案では、ノーマライゼーション理念、施設から地域へという流れにブレーキがかかり、障害者の地域生活を根底から揺るがすことになるとの提起がなされてきた。こうした意見を真摯に受け止めることが必要である。

障害者自立支援法案の国会審議の最中に「もし、法案が今国会で成立しなければ、来年1、2月の2カ月分の予算が確保できなくなる」との説明が繰り返されてきた。だが、今回、国会で廃案が選択された以上、障害者サービスが後退することのないよう、予算確保に向けて政治の意志が示されることを、与野党に対して要請する。

特に、過去2年の支援費の予算不足とは異なり、国庫負担金として170億円の予算は確保されている。予算の費目を超えて利用できるようにするための国会決議を行うとともに、それでも不足する場合には補正予算も含めた予算措置がなされなければならない。

さらに、障害者自立支援法案での議論では、日本の障害者関連予算は国際的に圧倒的に低水準にあることが明らかになった。とりわけ、障害者の地域生活に関わる予算確保とサービス基盤整備について、飛躍的な充実が求められている。

こうした点をふまえて、「障害者の地域生活基盤整備・特別措置法」のような措置を行い、当面の基盤整備を行うことが必要である。

以上、今度こそ、私たち当事者の声に基づいた政策決定がなされることを、心より求めるものである。

2005年8月8日

「障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動」実行委員会 代表 横山晃久

(略)




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