全国「精神病」者集団ニュース 2005年11月号

2005年11月発行の「ニュース」抜粋です。 一般定期購読は有料(年6回程発行1年分5000円)です。(会員の購読は送料も含めて無料となっております。)

全国「精神病」者集団
ニュース


= ごあいさつ =

10月28日衆議院厚生労働委員会で、障害者自立支援法案が採択されました。審議の中では、基本的な統計の誤り、あるいは意図的な情報操作などが暴露されましたが、与党の圧倒的多数の力で可決されました。私たちのことを私たち抜きに決めるな、という障害者の声は踏みにじられました。しかしこれからも私たちが生き延びるために、法の中身の政省令、そして市町村での闘いが続きます。精神病院・施設から地域への流れを作り出すどころか、精神病院病床の施設化を図ろうとする動きを許してはなりません。

今後は、医療観察法と自立支援法が私たちを監視し、さらに施設に追いやる武器となるおそれすらあります。医療保障すら危うくなるかもしれません。さらに政府は生活保護について国庫負担分の削減の方針すら出しています。

いまいちど、私たちはまず人間だ、という障害者権利条約の思想、どんなに他の人と違っていようと、他の人たちと同じ人間であり、同じ人権があるということを確認しながら、各地域で、自らの権利主張を行っていかなければなりません。そして仲間同士権利主張を支えあう活動を行っていかなければなりません。

多くの仲間の声を求めています。全国「精神病」者集団総会へのご参加を訴えます。

(略)

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鈴木敬治さんの支援費裁判に注目を

大田区の鈴木敬治さんは大田区に対して行政訴訟を8月20日に提訴しました。鈴木さんの支援費の原状回復はもちろんのこと、一方的な月90時間以上にも及ぶ移動介護削減の根拠となっている「大田区異同介護要綱」の差別性を徹底的に明らかにし、障害者の交通権・移動の自由「社会参加」の必要かつ重要性を突き出し、要綱の撤廃を求めています。現在の「グランドデザイン」の理念・攻撃の流れに正面から対抗していく闘いを展開していきたいと思います。初公判は11月10日東京地裁で開かれました。

鈴木敬治さんとともに移動の自由をとりもどす会

〒143-0015 大田区大森西2-7-3 – 202号鈴木敬治さん方

電話・ファックス 03-3763-7653


少数者のためのブックガイド 第2回

星野 弘 『分裂病を耕す』(星和書店) 2940円

三枝 弘

あなたは主治医に不満はないであろうか? 私の見てもらいたい医師ナンバーワンは、H氏(※略)である。

「入院の説得には半日かける。説得とは『医師を信用してもらう行為』で、『患者に病気を認めされる行為』であってはならない」。

処遇困難者といわれる人は「自分が納得できないことに対して『NO!』と言える強さがあった。しかし、一旦納得したら、実に潔い人でもあった」。

病院の夜回診について、体重や月経について、他医の及ばない温かい観察がこの本には記されている。しかし、その底には今の精神医療に対する激しい怒りが秘められている。

病者だけではなく、本誌をお読みの医師・ソーシャルワーカーにも読んでいただきたい本である。再読、三読の価値があると思う。


全国「精神病」者集団総会のご案内

総会日程

11月XX日、XX日、XX日

場所 (略)

参加費その他

参加費は無料 全国「精神病」者集団に会員以外は参加できません。介助者の必要な方は介助者も同席できますが、参加はできません。 宿泊については16名分を無料で提供できるよう用意しました。

申し込み

参加についてはお申し込み不要です。

プログラム

11月XX日(金) 午後1時から5時 精神障害者刑事事件救援について

提起 大野萌子さん 赤堀政夫さん

XX日(土) 午前9時から午後9時まで

内容

午前中 新しい参加者のために全国「精神病」者集団の紹介および状況説明、希望者はビデオ鑑賞(死刑問題)

午後および夜

いま困っていること、そしてその解決をみんなで考えよう

カードに一つ一つ具体的な困っていること、苦しいことなど書いて集めるその後そのカードを整理して、解決方法などを参加者全員で考えていく

XX日(日) 午前9時から午後9時まで

内容 午前中 新しい参加者のために全国「精神病」者集団の紹介と状況説明

午後と夜 全国「精神病」者集団の今後の運営について

なお参加なさる方は日常的に服用している薬および保険証をご持参なさるようお願いします。



北から 南から 東から 西から


精神病者は不幸ではない

東京 O

精神障害(者)に関してひとつの誤解があるのではなかろうか。それは、「精神障害が最悪の不幸である」との認識である。特に統合失調症についてそう考えられることが多いだろう。その認識に障害者も病院の看護者もとらわれ、障害者は「不幸」のままそれに停滞し、看護者も障害者をそのように扱い、差別してきたのではないだろうか……。

精神障害(者)であることは必ずしも不幸ではない。もっとむごい不幸が世の中にはたくさんある。重い病気があるだろうし(それこそ命とりであろう)、むごい生活状況、災害などがある。

精神障害者に関する解明(特に統合失調症のそれ)も大分進んできたことだし、病者は自分を自分の人生を最悪のものと考える必要はまったくない。

むしろ精神障害は人生のひとつのチャンスである。それによってまともな人間になるための良い機会なのである。少なくとも私は精神病(非定形精神病であるが)に陥ったことによって人生の危機を抜け出、真に人間になる道が開けた。いまの私の幸福も精神病になったおかげであり、大いに「運命」に感謝している。私の「運命」であるところの精神病は私を深め、立ち直らせ、発展させた。それは私の場合はキリスト教(カトリック)の信仰にいたったことが大きいが、そうした信仰にいたらなくても、精神障害は人生のひとつのチャンスであることに変りはないといえると思う。

精神障害者は無能であるといわれてきた。しかし本当にそうであるか? 私などが見るところでは、精神障害者より無能と思われる人が世の中にはいっぱいいる。一種の精神的奇形がたくさんいる。何を考え、何のために生きているのだろうかと不思議になるような人でいっぱいであるそうした中にあって、精神障害者は自己反省する習慣を持っており、内省に富み、それだけ人間としても豊かである。私の知っている病者にはそうした人がたくさんいる。男でも女でも同様である。性差はない。

精神障害者は無能ではないが、そのことが直ちに有能であることにもつながらない。精神障害者も、考え、実践し、反省し、本を読み、感性を磨いていかなければならない。それが自己の飛躍につながる。中でも、小説や詩を読むこと、クラシック音楽を聴くことが役立つようである。私の人間形成にも、それらは欠かせないものであった。精神障害者であることがそのまま何らかの特別の権利につながるものではない。精神障害者でもだめな人はだめで、そうした人はもともと人間としての可能性のない人だったのであるかもしれない。精神医療における患者の区別とはまた別の問題として……。

しかし精神障害者になった私にはそのことによってできた仲間がおり、私はその人たちに大きな可能性を見出すことがしばしばであり、その仲間の人たちを弁護したい。可能性のある、知識のある人たちがその中には大勢いる。

まして神経症の人は、病気といっても普通の人とほとんど同じであり、なんら不幸ではなく、可能性を持っているといえるだろう。この人たちについて特に言うことはない。

統合失調症であろうと(私は長いことそういわれてきた)気分障害であろうと非定形精神病であろうと、自分を卑下することはない。精神病は人生の不幸ではないのである。病気の本人がそう考えていいのであり、病院の職員の方々も病人をそのような人間として接していただきたいと思う。「世の中の人たちも、単に薬を飲んでいると聞いただけで、病者を差別したりするのはまったく当を得ていないということに気づいていただきたい。まして精神病的人間が増加している今の世にあって……」


(略)


医療観察法適用状況

10月20日現在89件の適用申し立てがあり、決定は、

「治療せず」と「却下」各1件のほか、入院13件、通院2件。

検察による申し立て数 89件

申し立てが却下されたもの 1件

関東地方(殺人未遂ではなく暴行罪にとどまるということで却下)

審判結果の出たもの 16件

内訳 施設収容決定 13件 地域処遇決定 2件

対象者でないとされたもの 1件 近畿地方(1人に対する強制わいせつ致傷罪

および2人に対する強制わいせつ 捜査段階で心神喪失とみなされ不起訴となり

措置入院中 地裁は「症状は一過性」として対象者としなかった)

(読売新聞05年10月29日による)


医療観察法運用の実態

東京 長野英子

医療観察法特別施設は独立病棟でなくとも認める?!

医療観察法の適用状況は上記にまとめてみたが、現在収容施設ができているのは国立武蔵病院と、花巻病院のみであり、このままでは病床が不足することは明らかとなっている。通院指定病院も埼玉県はひとつもない、と言うのが現状である。そうした中で、政府は施設基準を切り下げ、さらに病床単位での指定さえ認めると言う形で施設不足をまかない、自治体立病院に押し付けようとしている。岡山県立病院院長中島豊璽医師は「触法行為を行った精神障害者の治療環境に関する研究――医療観察法・指定入院医療機関のバリエーションについての考え方――」(中間報告)において、社会復帰期入院病床群、併設小規模病床群などという類型を掲げ、独立した病棟ではなく、病室単位の指定入院施設を提案している。これは国会での答弁でも明らかにされ、しかもそれは法律によらず、政令告示で定められる、と答弁された。この方針に基づき政府はご意見募集を行った。

「この法による医療」という特別な医療などない中、いったいどうやって「この法による医療が必要なもの」を審判で決定すると言うのか。

地域処遇の主役は?

すでに各都道府県・政令指定都市では医療観察法の地域処遇運営連絡協議会が、作られ、保護観察所の下ですべての関係団体が組織されている。

東京都では運営連絡協議会のメンバーは以下が上げられている。

保護観察所/都立精神保健福祉センター(中部、多摩、下谷)/保健所所長会/特別区および市町村代表/指定入院通院機関(入院・通院)/都精神保健福祉民間団体協議会(作業所、地域生活支援センターなどの社会資源、家族会、患者会などが組織されている)/都社会福祉協議会/警視庁生活安全部生活安全総務課/東京都精神病院協会/その他精神障害者の社会復帰を促進するための活動を行っている適当な個人または団体

これらの団体が今後法のもとでの地域処遇を実質的に担わされていくことになる。自立支援法案が成立すれば、介護派遣業者も当然ここに組み込まれる。

医療観察法は医療費だけで以下の金額

収容施設医療費一人当たり年間医療費2117万円

通院医療費一人当たり年間342万円


差別と拘禁の医療観察法の廃止を!

11/20全国集会

政府は7月15日、心神喪失者等医療観察法(予防拘禁法)が破綻状況にあるにもかかわらず施行を強行しました。法の適用者は既に89名を上回る数になっています。

政府はこの法による保安処分・予防拘禁施設を全国で「3年間で24カ所程度」建設する としながら、施行日までに着工したのは3カ所、竣工したのは東京都小平市にある国立精神・神経センター武蔵病院だけです。10月1日に岩手・花巻病院で開棟しましたが、全体に施設づくりは難航しています。これは粘り強い反対運動の広がりによるものです。しかし政府は今、適用を拡大しながら国公立病院を「代用病院」とする法改悪まで目論んでいます。

最初に狙われた人は、「傷害の程度は一週間で重大とはいえないが、無関係の人を殴打し ている」として適用されました。「犯罪」が権力の判断で恣意的にでっちあげられることは 幾度となく経験してきたことです。この法が「精神障害者」差別・治安弾圧法であることが ますます明らかになっています。この法は廃止しかありません。多くの皆さんのご参加を心から訴えます。

■日時:11月20日(日)13:00~16:30

■場所:戸山サンライズ 東京都新宿区戸山1-22-1

■交通:地下鉄早稲田駅・若松駅 徒歩10分

■資料代:300円

■集会内容

・基調報告

・提起「医療観察法と私たちの課題」

池原毅和さん(弁護士)中島直さん(精神科医)

佐藤妙さん(PSW)など

・全国各地の仲間からの発言

□全国交流会 11月19日(土)18:00~21:00文京シビックセンター

□心神喪失者等医療観察法(予防拘禁法)を許すな!ネットワーク第2回総会

11月20日(日)10:00~12:00 戸山サンライズ

*宿泊は戸山サンライズ。全国から参加される当事者の仲間の宿泊代はネットワークで負担します。

主催 心神喪失者等医療観察法(予防拘禁法)を許すな!ネットワーク

連絡先 目黒郵便局留め TEL 090-8432-1091 e-mail:kyodou-owner@egroups.co.jp

郵便振替口座 00120-6-561043 加入者名 予防拘禁法を廃案へ!

文京シビックセンター 地図

住所 文京区春日1-16-21

電話 03(3812)7111

東京メトロ丸の内線・南北線 後楽園駅徒歩1分 都営地下鉄三田線・大江戸線春日駅 徒歩1分 JR総武線 水道橋駅徒歩8分


守山・東尾張病院 「触法精神障害者」12月受け入れ=愛知

◆厚労省説明会に地元反発

凶悪犯罪を起こしながら刑事責任が問われない精神障害者(触法精神障害者)の社会復帰を促す治療を行うため、厚生労働省が守山区の国立病院機構東尾張病院の敷地内に建設を計画している入院施設の説明会が29日あり、同省は具体的なスケジュールを初めて示し、12月1日から対象者の受け入れを始める考えを明らかにした。

この日示されたのは、新病棟の建設と並行して既存の病棟を改修し、12月1日から受け入れを始め、来年10月1日から新病棟で対象者を受け入れるという方針。

12月から受け入れを始めるのは、今年7月から入院対象者が出てきているためという。

これに対し、出席した約100人の住民からは「説明が足りない」「早急すぎる。準備ができるのか」といった反対意見が相次ぎ、厚労省は早急に住民との連絡協議会をつくり、協議会の場で説明していくと答えた。

この施設は、今年7月に施行された「心神喪失者医療観察法」に基づいて設置される。殺人などの重大な加害行為を起こしながら、責任能力が認められず、無罪や不起訴となった精神障害者(触法精神障害者)を、国が指定した期間内に専門的に治療し、社会復帰させることを目指す。

住民は「地域への影響が懸念される」などとして、反対している。

(読売新聞) 中部朝刊 名古屋市内 2005. 10. 30


集会案内あれこれ

「脳死」は人の死か?「脳死」論議何度でも!

『臓器移植法』“改正”3案提案者を招いての

市民シンポジウム

『臓器移植法』の「改正」案が来年の通常国会に上程されるといわれています。

ご存知のようにこれまでに①河野・福島案、②斎藤案、③金田案の3つの「改正」案が提案されました。しかし「改正」案や骨子を読んだだけでは何を意味するのか不明な点がたくさんあります。そこで、3案の提案者あるいは影響を与えた研究者や医師・弁護士を招いてのシンポジウムを企画しました。97年の『臓器移植法』施行より8年、『脳死・臓器移植問題』

をめぐる現状はさらに混沌としています。どんな方向を目指すべきか、この市民シンポジウムがその論議を深める一助となることを願います。

とき:2005年11月26日(土)12時~15時

ところ:国民生活センター 1階大会議室(品川駅より7分)

主催:シンポジウム実行委員会(実行委員会参加賛同団体:脳死・臓器移植に反対する市民会議、日本消費者連盟、全国交通事故遺族の会、全国遷延性意識障害者家族の会、医療を考える会、DNA問題研究会、「脳死」・臓器移植を許さない市民の会、「脳死」臓器移植に反対する関西市民の会、優生思想を問うネットワーク、薬害医療被害を無くすための厚労省交渉実行委員会、現代医療を考える会 10/29時点)

パネリスト

*河野・福島案 (福島豊議員に交渉中・未定、渡辺孝男議員にも依頼)

*斎藤案 斎藤鉄夫衆議院議員(決定)

*金田案 光石忠敬弁護士(決定)

*反対市民推薦 小松美彦東京海洋大学教授(決定)

連絡先

脳死・臓器移植に反対する市民会議

tel/fax 03(5624)6064 (夜間)

日本消費者連盟 tel 03(5155)4765(昼間)

e-mail アドレス [ no-gmo@jca.apc.org ]

第13回日本精神障害者リハビリテーション学会

「なにわともあれ語り合おう~やったら、ええやん!! リハビリテーション」

日程 12月3日,4日

会場 大阪府立大学 中百舌鳥キャンパス

シンポジウムI

11月3日 13:50~15:50 Uホール白鷺


「グランドデザインとこれから

~その人らしい暮らしのために、リハビリテーションの果たす役割とは~」

「グランドデザイン」に含まれた内容を吸収しつつ、これを超えた実践と制度の確立へ向けた展開をどのようにしていけるのか。これから、私たちが取り組んでいかなければならない課題を共有し、当事者主権を支える精神障害者リハビリテーションのあり方を論議していきたい。

座長:澤 温(北斗会 さわ病院)

岡田 清(大阪府こころの健康総合センター)

シンポジスト

グランドデザインをどう進めていくか

村木 厚子(厚生労働省障害福祉部企画課長)

支援費制度の改善に取り組んでいる立場から

中西 正司(全国自立生活支援センター協議会代表)

精神障害のある当事者から

山本 真理(精神障害サバイバー)

精神医療保健福祉に取り組む立場から

長尾 卓夫(高岡病院院長)

地域活動を展開する立場から

矢田 朱美(地域生活支援センター ふぁっと)

第13回大阪大会事務局

〒599-8531 大阪府堺市学園町1-1

大阪府立大学人間社会学部社会福祉学科 三野研究室(担当:山口、三浦)

精神障害者リハビリテーション学会大阪大会

専用メール rehabilitation_in_opu@hotmail.co.jp

(略)




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