全国「精神病」者集団ニュース 2007年5月号(号外)

2007年5月発行の「ニュース号外」抜粋です。 一般定期購読は有料(年6回程発行1年分5000円)です。(会員の購読は送料も含めて無料となっております。なお、一部、省略している箇所や伏せ字にしている箇所があります。)

全国「精神病」者集団

ニュース(号外)

世界精神医療ユーザーサバイバーネットワーク(WNUSP)の障害者人権条約特集邦訳


= = = ごあいさつ = = =

過ごしやすい季節となりましたが、仲間の多くはこの季節特有の不調に苦しんであおられるようです。皆様いかがお過ごしでしょうか?

ニュース号外として、世界精神医療ユーザーサバイバーネットワーク(WNUSP)の障害者人権条約特集邦訳(長野英子)をお送りいたします。各地での障害者人権条約をめぐる学習の資料としてご活用いただけましたら幸いです。

英文ニュースをインターネット配信ご希望の方は以下からもお申し込みを

http://mail.oism.info/mailman/listinfo/wnusp-news_oism.info#use

WNUSPのサイト(英文)は以下に変更となりました。条約に関する国連特別委員会へのさまざまな資料が掲載されております。

http://www.wnusp.net/

各市町村都道府県では毎年12月の国際人権デーにさまざまな行事が行われます。今年はぜひ各地で障害者人権条約が取り上げられるように、行政に働きかけをしていただけたらと考えます。各地で草の根から他障害団体とともに障害者人権条約の批准と有効な国内履行、国内監視機関を求める声が上がることを願っています。

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世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワークニュース

第1号 2007年2月

私たちの公式ニュースWNUSPニュース創刊号です。今回は国連で最近採択された条約、障害者人権条約(略称CRPD)を特集します。

主な内容は、精神障害者である私たちの生活に条約が与える影響についてのティナ・ミンコウィッツのインタビューです。ティナは、国連に設けられた特別委員会のさまざまな会議に私たちの代表として参加してきました。また彼女は国際障害コーカス(ICDInternational Disability Caucus障害者が参加する調整および討論提案などのための組織として条約の草案作りや交渉を行ってきました 編集者注)を代表して、条約の国連総会での採択にあたってもスピーチを行いました。これは、国連総会においては精神医療ユーザー・サバイバーが、その組織を代表しそして代表として位置づけられた上で行った歴史上初めての総会スピーチでした。

条約は2007年3月30日に国連に置いて各国政府の署名が始められ、国連本部においてもまた署名式にむけ準備している各国における国連機関においてもさまざまな活動が行われることでしょう。

ニュースの次の項目は、条約作成の過程に参加してきた、あるいはユーザー・サバイバー運動の立場からこの条約について各国政府に働きかけを積極的に行ってきた、世界各国からのさまざまなユーザー・サバイバーの声です。

条約本文(英文へのリンク)は以下です。

http://www.un.org/esa/socdev/enable/rights/convtexte.htm

(訳注 条約本文の邦訳は以下に掲載中です。コピーが必要な方は実費でお送りいたします。

http://www.normanet.ne.jp/~jdf/shiryo/convention/index.html)

さらに、条約について概観しとりわけユーザー・サバイバーに焦点化した同時発行の第2号もお読みください。


1 世界中の精神障害者への障害者人権条約がもたらす影響というのはいったいどういうものですか? この条約で精神障害者の現実の生活に変革がもたらされるでしょうか?

人権侵害によって傷つけられてきた私たちにとって、その人権侵害を賠償する始まりとなります。自分自身で選んだ支援を得たうえで尊厳をもって生きる権利を私たちは求めていますが、こうした要求を満たす約束をしているのが条約です。

条約は人権条約であり、それは各国政府を拘束することになります。そして国連の諸機関において私たちの人権を解釈するための基準となります。条約において新たな義務に政府として同意したことは広範囲にわたる影響を持つことになります。

最も重要なことは、他のものと平等に障害者に対して法的能力を認めることを条約が各国政府に義務付けたことです。これは精神障害者に関する法のやり方を 180度転換させるものです。なぜなら、法は自己決定能力がないと私たち精神障害者をみなしてきたがゆえに、法は私たちを保護するというよりはるかに抑圧する道具であり続けてきたからです。あらゆる局面において法による平等な保護を望むことがいまや可能となったのです。そして精神障害者であるとみなされるや否や自分の権利が奪われてしまうのでは、というおそれなしに、支援を求めることが可能となるのです。

2 障害者人権条約を実現するために世界各国政府はいかなる行動をとるのでしょうか? そしてそれに伴い何が実現するのか、についてあなたは楽天的ですか?

法的能力は法体系の多くの分野に影響する問題ですから、条約が満足する法体系に変えていくことは複雑な仕事となるでしょう。同時に、各国政府がしなければならないことは、個々人の求めに応じそして個々人の選択を尊重する良質な支援を、意思決定する際に支援を求める人に、保障していくためのプログラムの開発です。

条約の履行についての法制度や政策の開発において、そして障害者に影響する他の政策決定に関しては、各国政府は障害者団体と緊密に相談をすることが求められています。

条約を批准する前に法制度の変革が必要な国もあります。こうした国において最大の影響力行使を願うのであれば、批准の段階で自分たちの主張を持ってこの過程に参加していかなければならないでしょう。

ユーザー・サバイバー組織と協力した政府によって条約の履行過程が注意深く行われれば、私自身は非常に楽観的です。新たな領域に進む国も出てくるでしょうしそして法的無能力という概念なしに、支援された自己決定の体制を作り上げる国も出てくるでしょう。各地域で少なくともひとつの、よい実践的なモデルを作り上げることを私たちはめざすべきでしょう。

3 障害者人権条約の作成過程における、さまざまな政府の反応についてのあなたの印象を教えていただけませんか? 各国政府との連携を作り上げることはやさしかったですかそれとも困難でしたか?

すばらしい例外はあったものの、おおむね各国政府と連携していくことたやすいことではありませんでした。個別課題すべてについてとまでいえませんが、全過程を通して私たちさまざまな形で支持した政府が存在しました。条約12条の脚注の削除キャンペーンについては多くの政府のみならず各地からの世界的な障害者団体との全面的連携を作ることができました。

第8回特別委員会の最終段階で挿入された脚注はアラビア語、中国語そしてロシア語では「法的能力」という用語は「法的行為能力」ではなくて「法的権利能力」を意味するというものでした。これは世界の一定の地域においては障害者に対する差別を認めることになってしまうものでした。行為能力こそが私たち自身に自己決定の権利を与えるのですから、行為能力は法的能力の最も重要な部分です。この基本原則に基づいた同意によって、私たちは連携して条文からこの脚注を削除するという同意を最終的に取り付けることができました。条約をめぐる交渉の初期から、それなりに平等な法的能力を認める条項はありました。そして条文において支援された自己決定モデルを強化し、さらに平等な法的能力という条項を無意味にしてしまう後見人制度を支持する条項を書かせないために闘いつづけたのです。私たちは最終的にこの二つを勝ち取ることができました。そしてこうした非常に基本的に見えることを含めてひとつの事柄のすべての局面について明確に宣言することが重要であるという興味深い教訓を得ました。

4 障害種別を越えて作業するというのはどんな感じでしたか? 他障害のグループから支援を得られましたか? WNUSPに他のグループから今後も支援を得ることが可能と思いますか?

他障害のグループと共同作業することは、全体としての障害コミュニティの主張にとっても私たち自身の仕事においても両方において豊かな実りをもたらしたと考えています。

私たちは他障害のコミュニティによって開発されてきた、アクセスやインクルージョンあるいは障害の社会モデルという概念を使いこなせるようになりました。私たちの法的能力に関する作業の中でも、知的障害者とその支援者によって開発された支援された意思決定モデルが偶然にも私たちのアイデアに近いということを発見しました。理論的な立場と実践的な立場の両方からこのモデルをさらに開発していくことに、そして障害コミュニティ総体にとって中心的課題として法的能力と支援モデルを位置づけ発展させることに、私たちWNUSPは寄与したと考えます。最近の国際障害同盟(IDA 8つの国際的な障害者団体の集まりであり、WNUSPもその一員)の会議においてもいくつもの団体が、障害コミュニティ総体にとって重要な課題であるとして法的能力について触れていました。

国際的障害コミュニティのほうが国内の多くの障害コミュニティよりはるかに協力的な関係を持っています。WNUSPは国際障害同盟(IDA 8つの国際障害者団体の代表により構成されている)のメンバーであり、IDAは、条約の草案作成やその後の交渉過程において障害者の参加を調整する組織として活躍した国際障害コーカス(IDC)をつくりました。IDCは「私たちのことを私たち抜きにきめるな」という原則に基づいています。この原則は障害者が全体の要求として条約に影響力を持つべきであるとしたものであり、またそれぞれの団体の主張も尊重されるべきだということです。

5 障害者人権条約がついに特別委員会(国連総会の一時的な委員会で障害者権利条約について担当しその後議論することとなったもの 編注)で採択されたときのご感想は? その瞬間のあなたの思いや感じたことは?

脚注が削除されたとき、私たちは留保なしに支持できる文言を得ました。複雑な感情を持ちました、安心そして喜びと同時に苦い思いと不信も感じました。ジェットコースターに乗っていたような過去数年間の苦闘がやっと終わった。私は安心できるだろうか? この過程は私たちすべてにとって厳しいものでした。そしてよい条約が存在する新たな世界に私が適応するのにもう少し時間がかかると思います。

あなたがこのインタビューでたずねているこの条約の影響を本当に評価するためには理論的な視点から実践的な視点への転換が必要です。さらに法的同意というゴールから日常生活の現実を変えるというゴールへ、このゴールは今まで以上に達成可能となりましたが、このゴールの変換もまた必要です。私は自分が生きているうちには起こることはあるまいと考えてきたのですが、今や私はこうした変化がおきるということを想像できるのです。

6 障害者人権条約を尊重するという意味で、あなたの次の段階そして行動はなんでしょうか?

アメリカ合衆国の市民として、アメリカが条約を批准しそうもないということを自覚しています。したがってアメリカでは国内履行過程に直接参加することなしに、私たちのゴールに向けてとりくむやり方を見つけなければなりません。

強制精神医療も含めてアメリカにおいてさまざまな人権問題とかかわる枠組みとして「非暴力」を求めていくという仕事をしていきたいというアイデアがあります。人の意思に反して行われる行為としての強制精神医療は対立と争いのあらわれです。そしてこの対立と争いは家族や地域社会において、利害や要請が対立し競合するところから生まれるのが通常です。こうした対立と争いに対して非暴力的な解決として私たちが取り上げるべきものはいったい何なのか? セイフティネットを提供すること、対立と争いの拡大を防ぐこと、こうしたことのために支援体制はいかなる役割を果たすべきでしょうか? なにかしら意識の向上に寄与できたら、というのが、今興味があり自分でもしたいということです。テロリズムへの集団的懲罰として、「貧乏人との戦争」と同時に外国への侵略が拡大している国において、私たちの声に耳を傾けさせうる枠組みとしては、非差別というよりむしろ非暴力という枠組みしかないでしょう。今政府の方針を変えることはできないところに追いやられており、こうした集団的懲罰に悩まされ続けている市民の数は増え続けているのです。

国際的には私は精神医療ユーザー・サバイバーを国際的に代表している組織であり、また精神障害者の問題において人権を専門とする指導的組織でもある、WNUSPをさらに成長させていくために活動し続けます。WNUSPは会員のそれぞれの国内における条約の履行の仕事を支援する任務があります。そして国連機関、国際的障害運動さらに人権関係の運動においてわれわれの主張をし続ける任務があります。われわれは条約の履行については全体的な展望をもってみていく必要があります。それはたとえば意識の向上、モデルプログラムや法制度の開発などを含みます。これらの活動の中で、私たちの知識を共有したり、私たちの主張を展開する人たちや各国政府に共有できる基盤となる情報を提供することができるようになります。

7 この条約の各条項で、精神障害者にとっての最大の成果は何でしょうか? あるいは最大の失ったものは何でしょうか?

生活や人生のすべての局面において他のものと平等な法的能力を12条は障害者に保障しています。精神障害者にとっての最も重要な成果はこの条文です。なぜならこの条文は、差別に対して、その根源から対立する条文だからです。12条の前提は、障害者は他の人と同じ権利を持つということです。この権利とは他の人同様に過ちを犯す権利、自分自身の人格、自分自身の望み自分自身の限界を基盤として、生きそして成長するという権利です。平等な法的能力の支援モデルは、時に支援が必要なことを認めたとしても支援はその個人の意思に反してはならないことを認識しています。私たちの運動は常に「強制ならそれは治療ではない」と主張し続けてきました。

25条のd項は他のものと平等に自由なインフォームドコンセントを基盤として保健ケアが提供されねばならないとしています。この条文は私たちが治療を受け入れるあるいは拒否する際の自己決定の権利の尊重を強化します。政府は、障害を理由とした差別は許されない、同意のない治療を防止する義務を持つのです。

19条は他のものと平等に、選択によって地域で暮らす権利そしていかなるかたちであれ特定の生活様式や施設の中で生きることを強いられない権利を確立しています。行き場がないために施設で暮らしている、あるいは強制的に施設収容されている何千もの精神障害者の脱施設化を命じています。政府は地域社会で支援が得られるようにせねばならず、また障害者の地域生活の権利を実現する有効な方策を採らなければなりません

14条は他のものと平等な自由の権利を保障しています。そして自由の剥奪については非差別と合理的配慮を保障しています。このことは精神医療におけるあらゆる形態の拘禁の終末への基盤と刑事司法体制下に置かれた精神障害者に非差別の視点から問題指摘する基盤を与えてくれています。

17条は他のものと平等な身体的精神的インテグリティを尊重される権利を障害者に対して確立しています。インテグリティは精神医療ユーザー・サバイバーと他の障害者にとっては、非常に強い感動をもたらします。そして私たちはこの条文を15条の拷問からの自由とともに、強制的精神医療と有害な実験的治療に異議申し立てするために使うことができます。

8 障害者人権条約は先進的な中身であると誰もが言っていますが、あなたも同意しますか?

条約は先進的です。なぜなら今ある現実を乗り越えて、よりよいものへ向かって努力することを条約が各国政府に求めているからです。その中には法的能力の分野のようにいかなる政府によってもよい実践モデルがいまだ出されていないといった分野もあるのです。私たちは市民団体(精神医療ユーザー・サバイバーと知的障害者から)から生まれた支援された意思決定というモデルそして法制度、政策そしてプログラムにおける必要な変革を作り出すための取り組みもしています。WNUPはこの支援された意思決定というアプローチを強く主張しましたし、成功したことを大変喜んでいます。

9 条約作成過程におけるWNUSPがどんな役割を果たしたか説明してください。

2002 年メキシコ政府が招集した専門家の前段会議のときから、最初の特別委員会に向けて準備しており、WNUSPは条約の発展作成過程のすべての局面に参加しました。私たちはジェネラリストとしてもスペシャリストとしても評価を勝ち取りました。つまり法的能力の主張という差別の基盤を破壊する作業と同様に、たくさんの個別の条文についてそして条約全体を概観するのについて貢献していました。私たちの主張した文言は、精神医療ユーザー・サバイバーに関する条文だけではなくてすべての条文を通し、各草案に多く採用されました。

WNUSPは国際障害コーカス(IDC)を作り上げることに参加し、IDCが単なる手続き的調整機関であったところから、それぞれの専門分野に関連した作業の多様な局面を調整する、多様なリーダーたちとともに、IDCが条約に関する障害コミュニティの有効なスポークスマンとして活動できるところにまで発展する過程にも参加してきました。

障害者が前進し自らの人権を定義することを認めさせてきた過程をWNUSPは上手に利用できました。出発した時点では私たちはどうなることかまるでわかりませんでしたが、私たちが最も深くかかわる課題を問題化し可能な限り獲得するという原則を確信していました。最終的には期待していた以上の成功を勝ち取りました。

WNUSPは特別委員会に世界中のすべての地域から人を送り込みました。その仲間たちは今条約の履行段階における権利主張の中心に位置しています。私たちはあらゆる種類の経験をまとめ上げました。それらは人権主張そして法律の専門的な知識から、支援プログラムや精神保健体制へのオールタナティブの創造に至るまでの経験です。私たちはIDCの仲間と一緒に、特別委員会の会議中はもちろんその委員会の間も休みなく働き続けました。私たちは各国政府へのロビーイングのやり方を時には試行錯誤を重ねながら学びました。私たちの中には政府代表断の一員もおり、その人は私たちに情報を与え続け内側から交渉を続けるというかたちで私たちの活動に多大な役割を果たしました。

出席している人の多数にとっては異議があり論争を呼ぶとしかみなされない事柄を提起し続けながら、政府間の交渉過程について経験がほとんどないものが集まった集団であるにもかかわらず、総じて、私たちは驚くべき成果を挙げたといえます。私たちは連帯を強め、そして精神医療ユーザー・サバイバーの人権について各国政府や障害者を教育し、また私たち自身の主張により大きな焦点を当てさせました。この過程は生み出された条約同様に私たちの運動に大きな前進をもたらしたのです。

10 世界の精神障害者にどういう行動を呼びかけますか?条約は私たちに挑戦すべき課題を与えています。他人に条約をいかに解釈適用されるべきか定義するのを見過ごしていいのでしょうか? それとも私たち自身が批准や履行の段階において、条約の作成過程でしたように闘うべきでしょうか?

誰もが何らかの貢献ができます。あなた自身の体験を意識向上のために話し始めてください。マスコミやあるいは文化的プログラムと共同作業をしてください。政府の中に同調してくれる味方を見つけてください。仕事を求めてください。あなた自身の知識を他の人と一緒に動かし分かち合う支援プログラムを作り出してください。新しい法を定め古い法を変えるか廃止することを手伝ってください。私たちこうした過程についてたくさんのことを学ばなければなりません。でも私たちは成し遂げられます。私たちは狂っていることを誇りにしているサバイバーであり抵抗者なのです。


世界の仲間から

「今現在精神障害者に押し付けられている無能力・無資格というステレオタイプな偏見を打ち破るのに大変な努力をして、条約は要約すべての障害者に完全な法的能力を認めた。そして現実社会で変化が生まれる以前に、想像と理念の世界で変革がおきなければならない。条約は想像の世界を再構築するために大きな支援となるだろう」

Amita Dhanda, India アミタ・ダンダ インド

「私は精神医療における強制に抵抗するために使いこなせるに十分な強い、(少なくとも今までにあった何よりもずっと強い)道具として条約に期待している。正しく履行されるならば、ユーザー・サバイバーと「精神保健体制」の力関係の歴史的不平等は破壊され、ユーザー・サバイバーは個人としても私たちの組織としても平等に力をつけていくことになるだろう。はるかによい世界へのビジョンが適切な履行により少し近づいてきている。そのためには私たちの運動が地域でも国際的にも成長し、体験を分かち合い学びあい、今まで行ってきた以上にもっと意識的な方法で社会変革に参加していくことが求められている」

Gabor Gombos, Hungary ガバー・ガボス ハンガリー

「何より重要なのは条約が後見人や非自発的治療を人権の文脈においたということである。この障害者人権条約が国連の人権憲章のひとつとされることで、このことが人権と尊厳の普遍的で高い水準の基準としてなされたことが重要である。世界中のさまざまな国で私たちの闘いにおいて道具としてそして参考にして触れるものとして条約が使えるということを国連条約となったということは意味しているのだ。私たちは後見人と非自発的治療についての国内法を変えていくにはまだまだ長い道のりを必要としている。しかし条約はこの方向への非常に重要なステップである」

Maths Jesperson, Sweden マース・ジェスパーソン スエーデン

「条約は勝利であり、世界中の精神障害者の人権を主張し保護してきたユーザー・サバイバーコミュニティーの長い苦闘の末の勝利であると考える。障害者の人権条約は他の下と平等に身体的精神的インテグリティの尊重と保護の権利をすべての障害者が持つとしている(17条)。自己決定の重要性と自分で自分自身の選択をする自由はもはや否定されることはない。次の段階は条約を精神障害者が自分自身の福利を支援するためにそして社会の平等な一員として生きるために、精神障害者とともに支援し共同作業することだと考える」

Celia Brown, USA セリア・ブラウン アメリカ

「精神障害者の人権を保護し促進する私たちの厳しい闘いにおいて新たな基盤を条約は活動家に提供している。私たちはいまや障害に基づくすべての差別を禁止する国際的人権法を手にしたのだ。この条約は私たち自身の選択をする権利も含んだ、私たち個人それぞれの自律を尊重すると断言している。条約は他のものと平等な法的能力の権利を認め、そして私たちが法的能力を行使するために必要な支援を認めている。条約はわれわれの自由への権利そして拷問、残酷で非人道的そして品位をおとしめる処遇からの自由の権利を他のものと平等に認めている。条約は私たちの身体的精神的インテグリティの尊重を他のものと平等に宣言しており、私たちがどこに住むか選択する権利を宣言し、そして特定の生活形態や施設に住む義務を否定している。さらに自由なインフォームドコンセントを基盤とした医療への権利を宣言している。私たちは他障害の人権活動家との連携を今まで以上に強固に作り上げ、世界中でこれらの条約の言葉を紙の上から現実のものへと変えていく闘いを共にするユーザー・サバイバー運動に指導者を育てていく」

Myra Kovary, USA マイラ・コバリー アメリカ

「ユーザー・サバイバーの努力によって、私たちに障害者の権利と尊厳をもたらす世界の法的枠組みを与える条約として生まれた。私たちは今や私たち自身の国で条約を有効にしていく責任がある。私たちはサバイバー(生還者)である!」

Elena Chavez, Peru エレナ・シャヴェッツ ペルー

「『ピープルファースト私たちはまず人間だ』がいまや条約により実現した。私たちはすべて人間であり、そして他の人と平等な人権を持っている。条約は強制のない、今ある世界に代わる世界を実現していくだろう。条約をつかってそして国内法体系を作り上げることで、私たちは差別と戦い、私たちの求める支援を得て地域で暮らし社会に平等に参加していく。私たちのことを私たち抜きに決めるな!」

Mari Yamamoto, Japan 山本眞理 日本

「精神障害者とレッテルを張られた人々をどのようにとらえ、そして処遇するかのやり方を再検討し始めるために、感激的な機会を国連条約は世界にもたらした。私たちにとっては継続的な何が役立ち(そして何が役立たないか)についての建設的討論を始めるときがきたのだ。そして私たちのエネルギー、そしてさまざまな社会資源を、研究をそして実践を強制的でないオールタナティブを開発するために集中していく時が来た。このオールタナティブは安全と危険、排除そして福祉の最小化というのではなくて、能力、インクルージョン、と可能性に焦点化したものである。このオールタナティブは政府や地域社会にコスト削減を約束するだけではなく、さらに私たちすべてのより広く包摂することを意図した地域社会を作り上げる可能性がある。」

Chris Hansen, New Zealand クリス・ハンセン ニュージーランド

「アイルランドでは、条約に書かれているように国内の法への影響を私たちは今調査研究している。すくなくともユーザーとして私たちに押されている烙印を削除する文書をついに私たちは獲得しただろうか? 条約は私たちが他の市民と違った取り扱いを受けるこうした烙印を削除するだろうか? なぜなら私たちは「違っているだけ」だから、これらの烙印を削除できるだろうか? 私たちはそう願う。条約が批准されたとき、私たちは平等な市民としての私たちの憲法上の人権を確立するために、妥協することのない闘いを組織することができる。」

John McCarthy, Ireland ジョン・マカシー アイルランド

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Moosa Salie, ムーサ・サリー

WNUSPニュース編集 WNUSP共同議長

アフリカユーザー・サバイバーネットワーク事務局


世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワークニュース

第2号 2007年2月

WNUSP第2号です。第1号と一緒にお届けします。ここでは精神医療ユーザー・サバイバーにとって重要な点を、条約全体を見通して概観します。この解説はWNUSP共同議長のティナ・ミンコウィッツによるものです。国内そして草の根の組織で条約を議論し始める会員の皆様に役立つ参考資料となることを願います。

条約本文(英文)へのリンクは以下

http://www.un.org/esa/socdev/enable/rights/convtexte.htm

障害者の人権条約精神医療ユーザー・サバイバーへの情報

障害者人権条約の下で、精神医療ユーザー・サバイバーは完全で平等な市民として扱われなければなりません。分離され不平等な「精神科の患者としての人権」という歴史はついに終わったのです。

政府は強制的な精神保健法とその運用を廃絶しなければなりません。そして自己決定を支援し尊重し、個々人それぞれが定める、それぞれが求める福利を求めるニーズに対応した個人に奉仕するサービスを政府は提供しなければなりません。狂っているものあるいは精神保健上の問題を抱えているものは合理的配慮と支援を求めています。そしてまた強制的な投薬や電気ショック、身体拘束や隔離室監禁、あるいは施設に拘禁されることなどを含んだ、あらゆる形態の暴力と虐待からの解放されることを求めています。

精神障害者は社会の一員です。このことは精神保健専門職だけではなく社会総体が責任を持つことです。そうして精神障害者はわたしたちの地域社会の一員となることができ、また回復(リカバリー)を体験できるのです。伝統的そして先住民の癒しの方法は近代精神医学や精神保健体制よりもずっと包括的なものであることがよくあります。こうした癒しの方法を私たちは支持し学んでいかなければなりません。

平等な権利と伴い精神障害者には平等な責任があり、誤った行為に対して責任をとることから逃れることはできません。もし私たちが責任を取るのに援助が必要ならば、そうした援助こそが提供されなければなりません。

以下が精神医療ユーザー・サバイバーの完全なインクルージョンと平等を支持し、私たちの自由と自己決定を制限するほうの削除を支持する条約の条項の要約です。

第1条は条約の目的の条項です。ここではすべての障害者にたいしてすべての人権と基本的自由を平等に保障しています。

第3条は条約の原則についてです。この条文は以下を含んでいます。

・自己選択の自由を含む個人の自律

・人としての多様性の一部である障害の尊重

・非差別

第4条は差別なく、すべての人権と基本的自由を障害者に保障しています。そして締約国に対しては国内法とその運用をこの条約に適応するようかえることを求めています。

第5条は障害に基づく差別を禁止し、法による平等な利益と保護を保障しています。さらに合理的配慮の提供も要求しています。

第6条は障害を持つ女性と少女について重複した差別に対して、この条約の人権と基本的自由を保障しています。

第7条は障害のある子供について彼らに関する事柄については彼ら自身の意見が考慮されなければならず、またそうした意見も含め表現の自由の権利を含む、他の子供たちと同じ権利が保障されています。

第8条は意識向上についてで、家庭内地域社会を含めすべての段階の社会において、障害者の人権尊重について促進することを政府に求め、偏見と有害な行為と闘うことを政府に求めています。

第12条は法の前で平等な人としてみなされることを宣言しています。また権利と決定を行う法的能力を保障し、さらに本人自身の意思と選択好みを尊重した意思決定をすることへの支援を保障しています。

第14条は他のものとの平等を基盤とした自由と安全について保障しています。さらに、自由を法により剥奪される障害者に対しては、合理的配慮と平等な人権を保障し、さらに非差別の手続き(たとえば刑法において)を保障しています。

第15条は拷問と残酷で非人道的あるいは品位を貶める処遇および罰を禁止しています。これには障害者に対して行われる同意なしの医学実験も含まれています。

第16条は搾取、暴力そして虐待の禁止を宣言しています。障害者に役立つ監視プログラムを計画すること、法的に正当な場合はこれら禁止されたことを訴追すること、そして被害者のリカバリーと再統合への手段が、政府に求められています。

第17条は他のものとの平等を基盤として身体的精神的なインテグリティを保障しています。

第18条は移動の自由と居住の自由を保障しています。これは国籍の権利とたとえば出入国管理の続きの過程を利用する権利です。

第19条は他のものと平等に選択に基づき地域で暮らす権利を保障しています。これはどこに誰と住むかの選択、人の生活と選択を支援するサービスを入手の保障も含んでいます。

第23条は家族、親であること、結婚その他の関係を結ぶことを平等に保障しています。そして親権については親や子供の障害に基づいて奪われないことを保障しています。

第24条はすべての段階での統合教育の権利を保障しています。そしてすべての子供が、障害を理由として一般教育から排除されてはならないことを保障しています。

第25条は保健ケアとサービスにおいて平等を保障しています。これには自由なインフォームドコンセントの要求も含まれています。

第26条は障害者が全的完全な範囲で自らの才能を開発することができる手段を求めています。この手段の中にはピアサポートも含まれています。

第27条は職業と雇用に関して、非差別と合理的配慮を保障しています。また障害者に対して一般の労働市場がインクルーシブであることを確保するためにまた雇用の機会を拡大するために、差別をなくすための積極的方策も要求しています。

第28条は適切な生活水準と福祉と貧困をなくすプログラムを利用することを保障しています。そして貧困状態で生活している人に対してレスパイトケアも含め障害にかかわる費用を援助することも保障しています。

第29条は政治的肯定活動への参加を保障しています。これには障害者の投票権および被選挙権も含まれます。

第30条は文化活動への参加の権利を保障しています。そして個人の創造的知的潜在能力を活用することを保障し、自らの文化的アイデンティティを尊重され支援される権利を障害者に保障しています。

精神医療ユーザー・サバイバーそして私たちを代表する組織はこの条約によって以下の権利を強化されます。

第4条は条約の履行および障害者にかかわるすべての事柄について密接に障害者団体に相談することを政府に義務付けています。

第33条は政府に対して、国内において、独立した条約の履行と監視機関を作ることを求めています。監視機能は国内人権機関によってでもあるいは国内人権機関の要件を満たす独立した機関によってでも行えます。ただしこの要件はとりわけ政治的組織、すなわち政府などから独立していることが求めています。障害者団体はこの監視過程に完全に参加関与しなければなりません。

第34条から39条までと選択議定書はこの条約を監視する国際委員会の創設と責務を取り扱います。政府はこの委員会委員の候補者推薦をするように奨励されています。政府は委員会に報告をしなければならず、これらの報告を準備するに際しては障害者団体に相談しなければなりません。政府がこの選択議定書を批准すれば、人権を侵害された障害者はこの委員会に訴えることができます。委員会はまた「重大で組織的な」人権侵害については調査する権限を持ちます。この調査はもし選択議定書をその国が批准していれば、当該国を訪問したりすることも含まれます。

第32条は各国政府に対して、条約の目的を実現するために国際的な協力を拡大し行うことを求めています。そしてこの国際協力は障害者団体との連携の下になされうるのです。

第40条はこの条約の履行に関するとみなされることに関して、締約国間の会議を定めています。これは人権条約については新しい特徴で、障害者団体も含めた市民団体と政府によって情報と能力構築の定期的交換を促進することとなります。

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ニュース編集者に連絡ご希望のさいは私ムーサまでご連絡ください。アドレスは以下

moosa_salie@absamail.co.za Moosa Salie, ムーサ・サリー

WNUSPニュース編集 WNUSP共同議長

(以上邦訳は長野英子、英語原文は以下からPDFファイルをダウンロード)

http://www.enusp.org/news.htm

その他邦訳資料は以下長野英子のサイトの障害者人権条約資料

https://nagano.dee.cc/convention.htm


支援された意思決定へのパラダイムシフト

WNUSP共同議長ティナ・ミンコウッツ

支援のパラダイムとは何か?

●後見人や代理による意思決定のオールタナティブ

●障害者の排除ではなくインクルージョンを基礎とした法的能力へのアプローチであり、単一のモデルではない

●すべての人は意思をもち選択する能力がある。(脚注1)

●自律は相互依存的関係と共存しうる(脚注2)

"支援された意思決定は共同のそして相互依存的な自己決定の過程に法的な承認を与える

支援と法的能力

●障害の社会モデルは、問題は個人の中にあるのではなく、その個人が機能しうるようなやり方で対応しない社会にこそ問題があるとしている。この社会モデルは法的能力の問題にも適用される。個人に問題があるから、強制的介入や後見人で対応されるべきとされるように、個人のうちに問題があるのではない。そうではなくて本人の法的能力減失に関して強制的介入や後見人ではない別の方法で社会が対応しなければならないのだ。(脚注2)

●"支援された意思決定はひとつの例である。自己の希望を表現したり伝えたりすることに「困難」があるとすれば、解決方法は後見人ではない、何を望んでいるか表現し伝えることができる関係性と方法を開発することである。(脚注2)

支援はどのように機能するのか?

●支援は信頼関係を基盤とする

たとえ言語を使えない人であっても、本人は信頼関係を作り上げることはできる。

●支援は単純なのか複雑なのか? 商取引だけなのかそれとももっと包括的なものも対象とするのか?

契約にサインするときのあるいは医療ケアの決定をするときなどにおいて情報提供やコミュニケーション援助は支援の一形態である。

●本人自身の決定のスタイルや過程を忍耐強く尊重することが求められる。

ニーズの高い人への支援

●"人がしゃべらないあるいは言語以外の表現もしない場合、感情と希望をあらわすさまざまな方法がある"

●"支援提供者は、好き嫌いを示すサインに非常に注意深くなければならない"

●"支援提供者が障害を持つ個人の意思を踏みにじることが決してないように、セイフガードが確保されなければならない"(脚注3)

平等な法的能力

●障害者人権条約は障害者に生活のすべての分野における平等な法的能力を保障している(12条の2)

●後見人制度から障害者を解放し、支援パラダイムの完全な履行の方法を準備すること

●支援パラダイムは平等な法的能力の基準を履行する方法のひとつである。

●障害者は他のものと平等に法的能力を行使する権利がある。たとえば、法廷で権利主張すること、契約を結ぶこと結婚すること、医療や他のサービスに同意したり拒否したりすること、投票することなど

上記のような行為をする資格を、障害を根拠としてみとめない趣旨のいかなる法律も無効である

たとえば自由で十分に情報を与えられた上での同意の権利を侵害している精神保健法

●法的能力の行使が求められる場合は、関連する制度は障害者へのアクセシビリティの確保の義務および支援された意思決定への配慮義務がある。

●法的に能力を認めら得ることは個人の生活および障害者全体にとって広い影響がある。

個人的関係や仕事をも含むすべての生活分野において平等を促進する

選択の能力を確信することによって個人の発展を可能とする

●平等な法的能力の認知が社会的連帯の放棄を認めないことを、支援は保障する。

法的能力はそれのみで充足するという幻想とは両立しない

相互依存性に関する対話は社会総体の問題として行われなければならない。

搾取を避けるためにはより論理的で人道的なアプローチが求められている

後見人制度は上記の目的のためには役に立ってこなかったし、犠牲者を非難する結果を引き起こしている

●能力がある/無能力という二者択一のモデルに代わって、支援への伸縮のきくものさし

権利と自由を失う危険なしの、流動的ニーズにこたえられる

支援体制は完全に機能するというわけではないが、権限乱用に対するセイフガード足りうる

仮に支援の失敗があったとしても、法的無能力とされた人を分離したカテゴリーを作り出すことにて、失敗が制度化されることはない

●法的能力は社会適法的に構築されたものであり、個人に帰するものではない(脚注4)

●法的能力は法的権利と責任を持ったひととして認識することにかかわる。つまり自分で権利と責任を行使することを認められた人(権利能力プラス行為能力を持つ人)、として個人を認知するのだ。

●認識・知覚・身体的能力、コミュニケーションや関係を作る能力によって構築される法的能力は、障害に基づいた差別となる。

●支援パラダイムは与えられた法体系において自己決定者として、能力鑑定とはかかわりなく法的能力を構築する。

●性差別撤廃条約15条は法的能力について初めて明白に述べている

女性と男性間の平等を保障 障害を持つ女性に適用 性差別撤廃条約委員会は15条のもとで、欠格を認める法律とともに、女性の法的能力行使の障害となる経済的社会的要素についても宣言している

このことは障害者人権条約の下でも同様の懸念として取り上げられるべきである

たとえば、第三者が障害者を意思決定者として受け入れることを躊躇することなど

●法の前でいかなる場合も人として認知される(世界人権宣言6条と自由権規約16条)

●障害者権利条約12条は子供の法的能力の発展を示唆している

障害を持つ子供への適用と、障害者人権条約7条3項および3条(h)を再確認する

関連する人権と価値

●自立生活運動

"自律は自力でそこに行くことを意味するのではなく、私自身がどこに行くかを決めることを意味している"

●人権の枠組みの相互補完性

すべての人権の相互関係性

経済的、社会的そして文化的権利の実現は自由な自己の発展に必要である(世界人権宣言22条)

●フェミニズムと女性の人権

関係性の平等は自律と相互の同意による

自己決定

●"決定権をすべて失ったとみなされる代わりに、私が何を求めているか決めることを認められ、個人として尊重された"(脚注5)

●"支援についての私の理解は私の言うことを私の支援者がきちんと聞くこと。支援者が私のことを理解するために時間をさき、私の選択を私が理解することを手伝ってくれること。そうすることで支援者は私自身の望みを満たすことを援助する。"(脚注5)

自己表現

●"あらゆる道具や手段を準備してすら、チャーリー(訳注:愚か者)は一人では自分の選択を表現できない。私たちは常に彼が何を望んでいるかわかるわけではない。決定は常にかんぺきではない。しかし彼がどこに住むか、彼が何をしたいかの決定をなすに当たって私たちは彼を支援することを一緒にすることはできる"(脚注5)

責任

●"自分で何の責任も持たないほうがたやすいかもしれません。でも私たちそれぞれは自由を求め、独立と自己決定を望んでいると確信しています。私たちの魂は誇りと自由を求めているのです"(脚注5)

解放

●"何年間も、彼らをよく知っている人たちですら、彼らが自分自身でいかなる決定もできないと信じていた。私たちは彼らに安全な環境において本物の人として向き合い彼らに話しかけ始めた。驚くべき結果が生まれた。私と一緒に施設にいた人々、自分自身の決定をいまだかつてしたことがなかったことを私が知っている人々が、いまや、自分たちは何を好むかについて話している。彼らは自分たちが何を好まないかについても話している。彼らは彼ら自身の声を発見した。たとえかれらの多くがコミュニケーションに言語を使わないとしても"(脚注5)

支援の例

●家族と友人の支援ネットワーク

●パーソナルオンブズパーソン(PO-スコーネ)

●地域社会の責任

●パーソナルアシスタンス

●ピアサポート

●事前の計画作り

●個々人を補完する支援

情報そしてコミュニケーション、行政および法体系、あらゆる種類のサービスへのアクセシビリティ手段

家族を基盤としたネットワーク

●家族は成員の一人をめぐる支援ネットワークを作り出せる(脚注6)

●家族は有給のスタッフよりもボランティアの優位を信じること

●家族は宗教的共同体のようなより広い共同体から支援を引き出せる

●家族は高い水準の支援ニーズのある人々への支援を開発してきた

●ネットワークは以下の点で有利である。すなわちさまざまな種類のケアをする個人を巻き込むことで、本人の望みを通訳することを唯一の人に頼ってしまう事態を最小化できる。

●ネットワークは支援された自己決定に特化される。人は他の目的については他の支援者を持つことになる。

●ネットワークは緊密な信頼関係を基盤としており、そこにおいて人は安全で効果的に自分の望みを表現できる。

●例 しゃべらずに車椅子を利用している若い男性の支援ネットワークは家に帰るたびに彼がドアに近づくことに気づいた。彼の支援ネットワークは彼が自分自身のアパートの部屋がほしいということを理解した、そして彼に部屋が持てるよう支援を始めた。

本人にとっては一人で部屋を借りることは経済的に無理だったので、彼らはルームメイト候補を彼に紹介した。しかし一人はテレビでオペラを見るのが大好きで一方はこれが大嫌いだったので、うまくはいかなかった。私が聞いたときには、このルームメイト探しは続いていた。

パーソナルオンブズパーソン(PO-スコーネ)

●精神障害者で高い支援ニーズを持つものに合わせて開発された

"完全に彼ら自身の象徴的な世界に住んでおり、自分のアパートの部屋に立てこもって暮らしていたり、路上で野宿して暮らしている"人たち

●人が要求するまでは一切行動できない

●接触し、コミュニケーションをとり、関係性を作り上げ、最初は対話から始まり委任を取るという、関係性モデルに基づき、機能する

●精神医療ユーザー・サバイバー組織によって実行されているサービス

●スエーデン政府によって予算がつけられている

●POの任務はサービスを望む人からの「委任」を取る。

記録は一切つけられず、すべての書類はクライエントが所持する

事務所はなく、官僚的な署名を求める書類もない

●POは権利擁護の技術をもつとともに、あらゆる関心事心配事についてかたることができなければならない

もっとも執拗な心配事や関心事は実際的なことというよりもむしろ関係性あるいは実存的な事柄であることが多い

・「なぜ私は生きていなければならないのか? なぜ私の人生は精神科の患者の人生となってしまったのか? 変化の望みはあるのか?」

●このサービスは10年間成功裡に続けられている。

●人は自分の権利を主張した以上はそれに答えなければならないので、初期の費用は増加する

●人々がもはやPOを必要としなくなるので最終的なコストは低減する

●「支援された意思決定」すなわち行政当局、精神医療、家族そしてサービス体制から独立し、POは人を無力にすることに対抗して、要求を表現し、他人に支配されることなしにあるいはわずらわしい条件を押し付けられることなしに支援を受けることを人に認める

地域社会の責任

●地域社会の絆が強いところでは適切な手段

●すべての成員の福利に地域社会が責任を取るべきであり、また障害者の支援に向け連帯を広げるべき

障害者が平等なパートナーであることそして障害者が実際に使っている生きるためのノウハウが尊重されること、この二つが確保されることが必要

●こうした地域社会の任務は中央政府によって予算がつけられなければならない

パーソナルアシスタンス

●パーソナルアシスタンスは支援された意思決定のために利用できる

たとえば、言語や字を書くことに障害がある人のために書類の読み書きを援助する

知覚障害がある人に、周囲の情報を提供する

信頼された場合は選択肢について議論する

ピアサポート

●ピアサポートは障害を持って暮らすことについての障害者総体の知識を開発する

●生の体験と個人の選択を尊重する

●階層的でなく上下の区別がない場 共同の場で自己をエンパワーメントする場を提供する

●自立生活運動、権利主張、精神医療ユーザー・サバイバー運動、女性障害者ネットワークで利用されている

事前計画を立てること

●保健ケアあるいは他の文脈でも使うことができる、たとえば子供の後見についてなど

●困難を予測する人にそれに準備することを認める

希望を伝えることを助ける、権利擁護者を指名しておく

とられるべきあるいは避けるべき特定の対処法を指定しておく

●精神医療ユーザー・サバイバーは危機の際に何が起こるか自分で管理するために事前計画を利用してきた

個人の選択に合わせた

心的外傷の経験の情報を与える

●危機的状態になると法的に無能力とされてしまうという文脈の中で開発されてきた

●平等な法的能力が求められている、現在、事前計画は支援された意思決定のひとつの形態として、より自由に安全に、使うことができる

アクセシビリティ手段

●個々人に合わせた支援のため補助として体系的なアクセシビリティの手段

●たとえば 保健ケア提供者は本人に自分の通訳を用意させ支払いさせるのではなく手話通訳者を準備すべきである

(障害者人権条約25条、9条、21条)

●司法へのアクセスについてはアクセシビリティ手段が法の執行、法廷そして監獄体制において要求される

(障害人権条約13条、14条、9条、21条)

●アクセシビリティは障害者に有効にサービス提供するためにサービス提供者と一般的な公共サービスに関連する公務員が訓練を受けることを求めている。(障害者人権条約4条 i)

●体系的なアクセシビリティ保障はそれだけで十分な場合もあるが、個人にふさわしい特別の支援体制を必要とする人も多いだろう

支援における共通の要素

●草の根の主導権による、小さな規模のもの たとえばコミュニティや家族のレベル

●サービスの利用者の選択に基づき、利用者によって運営され、利用者に対して説明責任を取ること

●さまざまな分離された任務を持つ援助に限られることがなく、緊密な関係性を基盤としたものであることが多い

多様な要素

●異なった支援の類型において異なって求められる配慮についての多様な因子

家族を基盤とした支援体制の尊重は必要であるが、同時に、本人の望まない家族関与は避けられることが保証される必要がある

支援者の信頼性は確保される必要がある、同時に個人のプライバシーや支援関係の守秘義務については犯されないことが必要

●いかなる環境であれ、支援を選ぶ決定をするにあたって自由と安全は根本的であり、最も重要な価値である。

他の要素

●ジェンダーと障害 法的能力に関しては相互に関係する差別がある

無能力と受動的役割を期待されていることの克服

性とリプロダクティブの権利を含む自律

ひとつの選択肢として単一のジェンダー向けへの支援体制を提供されること

●文化的な能力 人種的、宗教上、言語そして性的志向について多様性を持った支援者を確保する必要

●今現在ある資源に基づき、多様な支援モデルを開発すること。すなわち現行社会のつよみと価値に基づきそして障害者の多様なニーズに配慮すること

●先住民の障害者

先住民の意思決定過程は共同的でありすでに支援された意思決定の価値を反映しているかもしれない

そうした意思決定過程において他のものと平等に障害者が対応されることを確保する

●今ある支援の類型は特定の国で、障害者に特定した部分について開発されてきた

●こうした支援を一般化し共通の要素を抽象することも可能であるかもしれない、しかし唯一の類型を「よい実践」とする必要はない

●障害種別を越え、地域を越えた対話が多様な文脈における適切なモデルを探索するためにもとめられているだろう

いかに履行されるか

●包括的な法の改正が必要。なぜならいろいろな法律のひとつ以上の条項に無能力という条文が埋め込まれているだろうから

(障害者人権条約4条1項)

●支援の枠組みを作り上げるための、積極的肯定的なポジティブ方法、対応

(障害者人権条約12条3項と4項)

ひとつのモデルに支援を狭めないために柔軟性を維持すること

●条約の履行と監視において、障害者団体との密接な相談と参加(障害者人権条約4条の3項と33条)

障害をもたらす法律を特定すること、法制度と政策の枠組みを作り上げることそして支援の多様な形態を開発し評価するための、障害者団体のリーダーシップと参加

●情報、アイデアそして体験を共有するための、障害者団体、政府、他のNGO そして地域社会間の国際協力(障害者人権条約32条)

積極的肯定的ポジティブな方策

●ポジティブな方策に関する義務(障害者人権条約12条3項と4項)は平等な法的能力の基準の下で解釈されなければならない

12条4項は人の権利、意思、そして好みの尊重を求めており、これは平等な法的能力にふれている

法的能力行使について書かれているこれらの方策は代理制度ではなくて支援パラダイムのもとでのみ機能する。

権限の乱用を避けるセイフガード

●セイフガードは障害者を過剰に保護してはならない

●支援は説明責任と忠誠を本質的義務とした信託関係である

●厳密な調査が一定の状況では求められる

CACLは支援者に対して公式の説明責任を求める場合として以下の状況を特定している。

人の意思と好みを伝達するあるいは通訳する場合

財産の管理をする場合

●POスコーネは官僚制度および行政の関与が障害となりうる特定の人々のニーズを満たすためにプライバシーと守秘義務を優先している。

●CACLは、支援が本人の意思と好みを尊重することそして利害の対立と不当な影響から逃れられていることを確保するために外部審査の提供を求めている

一方でこうした審査は目的に反しているようにも見える。こうした審査は支援関係介入回避のニーズに反する可能性もある

こうした審査は不満を表明する機会として以外は提供されるべきではなく、また人の意思と好みの通訳に関係する支援に限られるべきである。

●信託関係における搾取と権限乱用を避けるための方策は支援された自己決定についても適用される

●障害者は司法へのアクセスを障害者人権条約13条で保障されている。これには法的手続きへの有効な参加への援助と配慮も含まれている

●あらゆる障害者に対するあらゆる形態の暴力、搾取および虐待の禁止に関しての義務が障害者人権条約16条で包括的に宣言されている

虐待を予防する教育、法の執行、保護するためのサービス、被害者に対するリカバリーと再統合サービス、そして障害者のための監視プログラムを計画することなどを含む

すべてのこうした方策は個人の尊厳と自律を尊重しなければならないということは障害者人権条約3条(原則)で確保されている。

支援へのアクセスの提供

●支援はほとんどの場合インフォーマルな形で行われることになろう、そして障害者、その家族、友人そして地域社会、ピアサポートネットワークさらにそれと協力するグループや組織によって開発されることとなろう

●政府は多様な種類の支援体制の開発を奨励する役割を果たし、また支援を必要としているかもしれない人に支援へのアクセスを援助する役割も果たしうる。

セミナーや地域社会のフォーラム、資金援助そして障害者団体の主導権を支援する政策などを通して、積極的なプロモーションを行うこともこうした方策に含まれるであろう。

●「支援を求めるための支援」

支援を求める人によってあるいは支援を提供する人によって関係性は始められる。

アウトリーチは政策の枠組みの中で総合的な仕組みとなるべきである。

●体系的なアクセスへの方策調整

●法改正の調整

●暫定的な支援

CACLは、地域社会の中でネットワークを開発するのを手伝う間、個人を暫定的に支援するための、パブリックファシリテーター組織を提案している。

現行法

●障害者人権条約が要求している支援パラダイムを完全に履行している政府は存在しない

●現行のモデルは障害者人権条約の義務と比較検討されなければならない

●スエーデンは完全な権限を持つ後見人を廃止して、障害者への支援体制を設けたそして「最後の選択肢」として部分的な後見人制度を残した。

・メンターあるいは「よき人」

・裁判所による指定

・家族からあるいは専門職と地域社会の成員から募集した人を指定

・支援を受けることを本人が同意した場合にのみ動く

・サービスに支払いがされる・受託者あるいは「forvaltare」

・後見人に似た権限しかし投票権は維持する

・受託者の権威のもとで一定の事柄については行為を制限される他のサービス、パーソナルアシスタント、エスコートそしてコンタクトパーソンも提供される

●スエーデンの体制についての議論

この体制は障害者の法的能力を他の人と平等にするというのではなく、法的能力と無能力の違いを維持している。

受託者という選択肢が存在することは、個人の人権と自由を尊重するというよりむしろ、個人の同意があるときにのみメンターが行動できるという義務についても権限の疑問の余地を残している。

裁判所によってメンターが指名されるというのはわずらわしく個人が支援を拒否できるか否かが不明確である

個人の代理に関する同意

●いくつかの国あるいは連邦国の州では個人は、裁判所指名の代理の意思決定者を持つ代わりに、代理するものを指名することを認めている(脚注7)

これはいくらか本人がコントロールできる余地があるが、依然として本質的に無能力のパラダイムと強制の下にある

アシスタンス体制

●ラテンアメリカのいくつかの国では無能力に関して二つの体勢がある。完全な後見人とアシスタンスの二つ

アシスタンスとは本人の承認に加え行動する際にはアシスタントについて本人の承認を必要とすることを意味する

これはサポートパラダイムと同様であるが、同意に基づくというよりむしろ強制された相互依存性といえる。

子供と法的能力

●すべての法体系において法的能力は年齢で制限されている

●子供には法的能力の発展可能性がある

年齢と成熟度に応じて、意見表明権が与えられる(子供の権利条約12条)

障害者人権条約は支援パラダイムを子供にも適用している。

すなわち意見表明権は年齢に及び成熟度に応じて考慮され認められており、また障害および年齢に応じた、この権利を実現するためのアシスタンスが認められている。(障害者権利条約7条3項)

結論

●支援パラダイムへのそして社会と障害者にとって支援パラダイムが何を意味するかについての完全な探求に向け、各国内および国際的な、共同研究が求められているといえよう。

●支援パラダイムは障害者に平等な人権を保障するインクルーシブな社会を創造していくために必要かつ論理的なステップである。

●個人として発達のためには危険を冒す必要があるので、全世界の社会は障害者も包摂したすべての人のために自己決定と連帯を支持し保護主義を捨て去らなければならない。


脚注

1 CACL 後見人制度への代替案作業部会報告書

(訳注:長野のサイトに掲載中 邦訳パンフ(500円プラス送料)も発売中)

2 PO-スコーネと支援された自己決定

(訳注:長野のサイトに掲載中 コピー必要な方は実費でお送りいたします)

3 法的能力に関する国際障害コーカスのビラ

4 法的能力に関する主張メモ

5 障害に関する特別報告間により専門家文書

6 「セルフアドボカシーとインクルージョン」(2005年8月)のプログラムにおける発言

7 「自己決定、自律、後見人制度に対する代替策」 知的障害者の人権

8ベネゼイラの法律における法的能力に関する討論

http://www.monografias.com/trabajos17/personas-juridicas/personas-juridicas.shtml

アルゼンチンの法律における法的能力に関する討論

http://html.rincondelvago.com/capacidad-juridica.html

上記邦訳は長野英子 英語原文は以下に掲載中

https://nagano.dee.cc/tinalegal.htm


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