8月9日夜全国「精神病」者集団ニュース発送しました。ところが重大ミス。名簿の数より発送数が4名分不足。今週中に届かなかった方はご連絡を。ご連絡次第発送いたします。ご迷惑をおかけし申し訳ありません。山本眞理
ごあいさつ
酷暑が続きます。また相模原事件1周年ということでのメディア報道その他のために体調を崩しておられる方も多いようです。皆様いかがお過ごしでしょうか。
情報遮断で体調を維持している方もおられるとは存じますが、一方であまりに情報がいきわたっていないことも感じております。そのあたりの塩梅が難しいところではありますが。
健康の権利の特別報告者の報告、そしてWHOもまた障害者権利条約は一切の強制入院と強制医療の廃止を求めていること認識しています。ただ限界としては即時廃止という立場をとってはいませんが、方向性は明確。
健康の権利の特別報告者の路線で、精神障害者団体に限らずあらゆる市民団体が、貧困をなくし、差別、暴力とりわけ女性への暴力の廃止に向けて社会政策を見直すこと、障害の有無と無関係に子どもの施設収容も障害者の施設収容入院も廃止に向けた取り組みを始められることを願っております。
7月13日に恐るべきことに再審請求中の方に対する処刑が行われました。歴史上二度目の暴挙です。今現在OECD諸国で死刑制度を維持しているのは日本、韓国、アメリカの一部の州、韓国は20年間執行がなく実質廃止国です。アメリカでも世論調査で死刑廃止と存置が半ばしたと伝えられています。
いつまで日本は死刑制度にしがみつくのか、2020年までの廃止という声明を日弁連も公にしましたが。
9月合宿を経て、ゆっくりであれ全国「精神病」者集団の再生に向け歩みが始められることを祈っております。
9月合宿の報告は次号で致します。
精神保健福祉法改悪について
継続審議は決まりましたが
山本眞理
9,10ページの新聞記事にあるように、精神保健福祉法改悪案は継続審議となりました。
しかし継続審議であり、法律に従った見直しの年でもありますので、政府厚生労働省はメンツにかけても法案成立を目指すことは確かでしょう。政局の動き次第という側面もあろうかとは思いますが、与党が3分の2を占めるという状況を改めて確認しておかねばなりません。障害者権利条約に真っ向から逆行している動きです。法改悪案の問題点は以下です
1 そもそも法案がでてきたのは相模原事件であり、その再発防止のためとされた。これは安倍首相の施政方針演説でも明らかであり、参議院の審議の中で法案説明文書から、相模原事件の再発防止が削られたとはいえ、6月26日の社会保障審議会障害者部会に厚生労働省が出した資料においては、やはり相模原事件の再発防止策の一つとして精神保健福祉法改正があげられている。
すなわち相模原事件は精神保健福祉法の改正で防止できる、逆に言えば事件の再発防止に向けては措置入院制度を見直すことが必要ということであり。あたかも措置入院体験者は危険な犯罪を起こすおそれのある人物であるという精神障害者差別をまさにあおっています。さらに「支援の充実」という名目で退院後も支援なり医療なりを継続し紐つけておかないと措置入院体験者は危ないという偏見もあります。もちろんこれらは全て根拠がなく、そもそも相模原事件については措置入院制度を充実していれば防げたなどという根拠は何も証明されていません。検討チームの報告書もそれを証明していません。
法案提出の動機そのものが差別であり、まさに政府による精神障害者に対するヘイトクライムです。
2 措置入院退院後の「支援」とは
法案では措置解除までに退院後支援計画を病院側が自治体に作られる「精神障害者支援地域協議会」が協議の上作ることになっており、この計画作成に本人の参加や本人の同意は保障されていません。本人抜き本人が嫌と言っても計画が作られ、しかもこの協議会には警察が参加することになっています。
そしてこの計画はたとえ転居しても次々とその転居先の自治体に引き継がれることになっています。
警察に一旦入った個人情報は一生削除されることはありません。データベース化されて終生つきまといかねません。
恐るべき地域監視体制のもとにおかれることになります。
今この法案を廃案に追い込まないと、精神医療保健福祉は治安の道具に変質し、利用したくとも利用できない体制となってしまいます。
相模原事件の原因をあたかも精神障害であるかのようなでっちあげから始まった精神障害者差別に基づいたこの法案は白紙撤回しかありえません。
この法の支援協議会の運営は国がガイドラインを作るとはしているもののガイドラインには拘束力がなく、実質は都道府県および政令指定都市に運用が任されることになります。
新聞記事にみられるように各自治体の間でも温度差があります。国会での審議への働きかけ同様、各地で、自治体に働きかける活動が必要となります。
今考えているのは各自治体に要請文を送るとともにそれを各地の仲間で活用して自治体への働きかけをしていただくということです。
こんな法案では精神障害者の利益どころか、精神障害者差別を煽り、むしろ精神障害者を精神保健福祉から遠ざけることになりかねない、我が自治体としては協力できない、という自治体が多く出れば、国会での審議にも影響を与えられますし、政府に対しても圧力となります。
この方針についてご意見のある方は窓口まで会員賛助会員問わずご意見の集中を。
全国「精神病」者集団としての要請ができるかどうかはわかりませんが、何らかの動きを作っていきたいと考えております。
各地の仲間に行動を呼びかけます。