全国「精神病」者集団ニュース 2008年8月号

2008年8月発行の「ニュース」抜粋です。 一般定期購読は有料(年6回程発行1年分5000円)です。(会員の購読は送料も含めて無料となっております。なお、一部、省略している箇所や伏せ字にしている箇所があります。これについて何かご要望などありましたらホームページ管理人まで直接お願いします)

全国「精神病」者集団

ニュース

= ごあいさつ =

最近わたしは、歴史の勉強をしています。「精神病」者弾圧の歴史のはじまりは、王族による「厄介の人間」の隔離政策でした。隔離政策はやがて西洋医学の導入とともに、精神病者監護法という隔離法制となり、いまでも精神保健福祉法や医療観察法という形で残っているわけです。これらの歴史は、徐々に「精神病=危険」という偏見になりました。

先日、精神保健福祉士協会(PSW協会)が、医療観察法の社会復帰調整官増員のための要請文を法務省に出しました。彼らの役割は、危険な人間の隔離を促進することなのでしょうか。精神保健福祉士が、精神障害者の偏見を容認していいのか疑問です。我々「精神病」者にとって、もっとも耐え難い苦痛と社会にある障害は、「偏見」ではないでしょうか。

精神保健福祉士も偏見に満ちたこころを持ち、我々の生活を脅かす障害となったことを、まぎれもなく確認することができました。

それでも、私たちは強制医療・強制入院をはじめとする強制の廃絶を成し遂げなければなりません。ぜひ、11月23日に開催するティナ、アミタ両氏のワークショップ参加と、各地での障害者権利条約のワークショップ開催をよろしくお願いします。

全国「精神病」者集団連絡先です。

★お手紙、各地のニュース、住所変更、ニュース申し込みはすべて

〒164-0011 東京都中野区中央2-39-3 絆社

E-mail hanayumari@hotmail.com

電話 050-3564-7922

(現在専従体制がとれていません。留守電の場合は以下携帯へ)

080-1036-3685(土日以外午後2時から午後5時まで)

ファックス03-3577-1680


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来年の5月から始まる「裁判員制度」について質問してみました

N.A.

2009年5月から始まる、「裁判員制度」について、弁護士、裁判所、法務省に電話とメールで問い合わせてみました。

内容は、裁判員制度で、精神・知的障害・重度の身体障害などある人も、裁判員として参加できるのかどうか、です。

まず、弁護士さんからは、「はっきりしたことは、まだ、分からないが、法務省や裁判所などに問い合わせた方が、良くわかるかもしれない」というメールでの返事がありました。また、こういうこともお話下さいました。

「難しいです。例えば障害を持つ人の裁判の場合はどうでしょうか。同じような障害を持つ人が一人でも居てくれた方が、何の障害も持たない人ばかりで裁かれるより良いと被告にならされた人は思うかもしれませんね。私の考えは、裁判を受ける人に裁判員制度を受けるかどうかの選択権を認めないといけないと思います。」とメールで返事がありました。

次に、裁判所に電話して聞いたところ、「まだ、精神・知的・重度障害者に対しての取り組みはされていないそうです。ただ、裁判員候補の名簿に載りましたという通知が来たとき、通知書の中にアンケート用紙も送付されてくるそうです。70歳以上か、体に障害があるなどをアンケート用紙に記載して、アンケート用紙を裁判所に送付すれば、参加しなくても良いそうです。また、採用される前に、裁判官3名、検察官、弁護士が同席するところで、裁判官の面接を受け、障害者であっても裁判員として適切かどうか、裁判官が判断する」そうです。

法務省に電話で問い合わせたところ、電話では、「心身に障害がある場合、職務の遂行に著しい障害がある場合に限り、裁判員になることはできない。著しい障害があるかどうか、具体的な事情を考慮して裁判所が判断する。視覚障害・聴覚障害などの障害があるというだけで、裁判員になれないということはない。裁判の遂行ができる人かどうかは、ここの事件ごとに裁判所が判断する。今のところ、特別に精神・知的障害者などが参加できないということは取り決めていない」ということでした。

また、法務省のメールでの返事は、「裁判員制度については、幅広い国民の方々の意見を裁判に反映させるということが重要だと考えています。そのため、心身に障害をお持ちの方であっても、原則として、裁判員になって頂くこととしており、障害をお持ちの方も裁判員に選ばれる可能性があります。

しかし、その方が重大な障害のために裁判員の仕事をするのに著しい支障がある場合には、裁判員となることをお願いしないこととされております。

また、裁判員の職務を行うこと自体は可能であっても、裁判員の職務を行うことで、身体上、精神上又は経済上の重大な不利益が生じる恐れがある場合には、辞退が認められる場合があり得ると考えられます。」というメールが届きました。

あと、1年後「裁判員制度」が始まりますが、皆さんは、この制度をどのようにお考えでしょうか。如何なる障害者と言え、裁判所が裁判員と認めれば、裁判所で人を裁くという重い現場に立ち会わなければならないのです。

私個人の意見としては、障害者としてではなく、一人の人間として認めてくれる裁判所の姿には有難いとも思いますが、自分が一人の人間を裁くのを目の当たりにしたときの不安や、恐怖心など考えるととても怖くて眠れそうにもありません。

しかし、同じ障害者が被告になったとき、何か他の裁判員や判事、検事、弁護士などに助言ができるような気もします。

弁護士さんの言葉ではなのですが、「難しい」と痛感させられました。皆さんは、どのように考えますか。


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書評

トリエステ精神保健局編、小山昭夫訳 『トリエステ精神保健サービスガイド』

06年4月刊 現代企画室

K.Y.

副題が「精神病院のない社会へ向かって」である。

標題の通り、イタリアのトリエステでの、精神保健局が発行した、市民向けのガイドブックである。2004年版だという。お役所が出したものだけに、あまりおもしろくない。

この中で、「トリエステ:変遷の歴史」と、巻末の訳者の「解説」が、読者には、ありがたい部分である。

トリエステの精神医療の改革を主導したのは、フランコ・バザリアであった。1971年、トリエステ病院の副院長として赴任した。そして、病院の閉鎖が1980年である。

精神医療は、病院によってでなく、地域の精神保健センターによって担われ、そのまわりに、医療サービスを行なったり、また精神病回復者に仕事を与える、社会協同組合や、ボランティア団体など、網の目のような支援組織ができあがっている。

訳者は、トリエステの経験を、そのまま日本に持ってくるのは難しい、と言う。だが、私たちとしては、少しずつでも精神医療を改善するために、トリエステの先例からも、貪欲に学び取りたい、と思う。

バザリアの改革が始まってから37年、私たちは、トリエステでの実践を知らなかった。

もっと早く紹介されて当たり前である。お役所のガイドブックだけでなく、実状のもっと詳しい紹介が待たれる。


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第51回日本病院・地域精神医学会総会が、岡山市で開催されます。岡山県、岡山市、県医師会、岡山県精神科病院協会、岡山県精神科診療所協会など地域の関係諸団体の協賛のもと、地元の精神科病院・地域医療に携わるあらゆる職種、そして当事者・家族の方々の代表で運営委員会を構成し、今準備を進めています。

総会テーマは、「新たなる序章―病地学会の立脚点を求めてー」です。運営委員会の初期の議論の中でこのテーマが決定されました。岡山の地で日本病院・地域精神医学会総会が開催されるのはこれが二度目のことです。前回は1989年(平成元年)。会場は今回と全く同じ岡山衛生会館でした。今回の総会が岡山で開催されると決まったときに、私たちが自分自身に問うたことは、この19年間の病地学会とこの19年間の岡山の精神科医療がどのような途を辿ってきたのか、ということです。病地学会は今でも、精神科医療に関わる者たちが、それぞれの思いをぶつけ合うことのできる場であり続けているのだろうか?岡山の精神科医療は、あのときに目指した「当たり前の医療」に向けて歩みを進めて来たのだろうか?

今回の病地学会は、会場数を絞り、メイン会場を中心に互いに関連した4つのテーマのシンポジウムを連続して行うという構成にしました。この連続したシンポジウムの論議の中で、病地学会の立っている場所を明らかにしてゆきたい、という願いを持っています。

また、一日目、二日目ともにランチョンの時間を使って、19年間の岡山の精神科医療の流れを振り返るセミナーを企画しています。

特別講演は、全国ハンセン病療養所入所者協議会の神美知宏氏にお願いしたところ快諾を得ました。スティグマが私たちの社会で制度となったとき何をもたらしてしまうものか、精神科医療に関わる私たちにとって非常に身近なテーマです。

岡山の10月は、まだそれほど寒くはなく過ごしやすい時期です。紅葉と、瀬戸内の海の幸が皆様をお迎えいたします。何卒多くの方々がこの学会へご参加下さることを心よりお待ち致しております。

2008年2月吉日 第51回総会会長 H.S.

第51 回学会総会について

〒700-0915岡山県岡山市鹿田本町3-16岡山県精神科医療センター内

第51回 日本病院・地域精神医学会総会事務局

担当者太田順一郎

FAX086-234-2639byochi51@popmc.jp


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10月23日18時、岡山国際交流センターに集まろう!

僕らの街=岡山に日本病院・地域精神医学会がやってくる。

仲間達よ、僕らは精神障害者として前夜祭をやる。テーマは医療観察法だ。

学会に集う医者達は、病院で、地域で、僕らにどんな医療をする気だろう。医療観察法の実態である強制と管理の「医療」に反対しよう。そして僕らの求める、僕らの自由な生活を保障する医療・福祉について考え、みんなで要求していこう。

病地学会に参加する医師、そのほかの皆さんも、ぜひ、僕ら精神障害者の想いや考えを聞きにきてください。そして共に議論し、医師―患者の平等なコミュニケーションに基づく精神医療を探しましょう。

概要

主催:権利主張センター中野

(代表:関口明彦@病地学会精神医療と法委員会)

入場費500円

(すみませんが会場費がかかっているのでご協力を)

場所:岡山国際交流センター

連絡先09056957063(犬伏正好)


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なくそう!差別と拘禁の医療観察法

11/24全国集会

05年7月施行から3年有余、医療観察法は至るところで矛盾を引き起こし、既に破綻しているといって過言でない状況を迎えています。施設建設は反対運動によって政府が想定したようには進まず、同法にすら違反する応急処置が繰り返されています。微罪での適用、遠方施設入院などの人権侵害が強行され、指定入院施設の医者は“4人に1人は入院不相当”と言っています。入院施設の退院請求に対して裁判所が不許可決定を出し徒に拘禁しています。入院患者の自殺が起きるなど“医療法”が建前に過ぎないことも露になっています。政府がいかに“医療法”と言いくるめようとも、3年間の適用・運用実態は、裁判所主導で医療が保安処分体制の従属物にされていることを示しているのです。医療観察法は、憲法違反の悪法です。また政府が医療観察法と“車の両輪”として充実させると言っていた精神科医療全体は劣悪なままです。入院医療費は、一般の精神科病院の年365万円に対し医療観察法では年2200万円。精神障害者の差別と拘禁のために巨額の税金が投入されているのです。こんな不条理なことはありません。

医療観察法の“見直し”は2010年。医療観察法で突破口を切り開いた政府は“再犯防止”を錦の御旗に更に保安処分体制の強化を狙っています。小手先での“修正”など翼賛の動きもあります。しかし実態が露になるにつれ当事者・精神医療関係者・弁護士・学者などの反対・廃止の声が急速に強まっています。「医療観察法をなくす会」も7月27日に旗揚げをしました。また政府は障害者権利条約に署名せざるをえませんでした。私たちは“見直し”作業が始まる来年に向けて、悪法の廃止をどのように勝ちとるのか?共同集会を世界の精神障害者差別に反対する仲間、全国の仲間と共に力を合わせる場として勝ち取りたいと思います。多くの皆さんのご参加を訴えます。

■心神喪失者等医療観察法(予防拘禁法)を許すな!ネットワーク

E-mail:kyodou-owner @ egroups . co.jp FAX03-3961-0212

■国立武蔵病院(精神)強制・隔離入院施設問題を考える会

TEL.FAX042-348-1127

■医療観察法をなくす会

E-mail:reboot2010-owner @ yahoogroups. jp

●日時 2008年11月24日(月・休)13時~17時

●場所 南部労政会館

●交通 JR山手線大崎駅南改札口下車徒歩3分                 

●資料代  500円

●集会内容

・連帯挨拶

ティナ・ミンコウィッツ

(アメリカ 世界精神医療ユーザー・サバイバーネ

ットワーク共同議長障害者権利条約草案作成委員)

アミタ・ダンダ

(インド 法学部教授 精神障害者)

・人権救済を申し立てた仲間の発言

・リレートーク

(当事者・議員・精神科医・弁護士・学者・労働者・市民の発言など)


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2008年7月19日

障害者権利条約12条の完全履行を目指してワークショップのご案内

全国「精神病」者集団

〒164-0011

東京都中野区中央2―39―3 絆社気付

Tel080-1036-3685 fax03-3577-1680

(土日を除く14時から17時まで)

日頃の障害者の権利保障およびすべての人への人権擁護への献身的ご活動に敬意を表します。

さてご承知のとおり、06年12月に国連は障害者権利条約を総会で採択し、08年5月3日に20カ国以上の批准を得たことで、条約は発効いたしました。日本政府も昨年9月にこの条約に署名し、批准への意思表示を行いました。

私ども全国「精神病」者集団は、世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワーク(WNUSP)の一員として、この条約の作成過程に参加して参りました。

私ども全国「精神病」者集団は1974年の結成以来、刑法保安処分反対のみならず、精神衛生法(当時)の撤廃を主張してまいりましたが、こうした主張は国際的精神障害者運動の中でも一致した意見であり、あらゆる強制の廃絶に向け条約の交渉に参加し、この主張は障害種別を超えた障害者団体およびその支援者団体の支持を受け、条約は一切の強制の廃絶を求める中身となっております。

とりわけ添付した12条は最大の獲得であり、精神障害や知的障害をもつことによって法的能力が常に疑われ、あるいは否定されて、強制医療や強制入院をもたらされる根拠が否定されたといっていいでしょう。第13条 司法へのアクセス、第14条 身体の自由及び安全、第15条 拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰からの自由、第16条 搾取、暴力及び虐待からの自由、第17条 個人のインテグリティ〔不可侵性〕の保護、第19条 自立〔自律〕した生活及び地域社会へのインクルージョン、第25条 健康(c)(d)とあいまって、強制のないもう一つ別のオールタナティブな社会への拘束力ある基準を確立したといえます。

しかしながら、あらゆる生活の側面で法的能力(権利能力と権利行使能力)が他のものと平等に認められるとしても、法的能力行使に支援が必要な場面あるいは人も存在し、さらにそうした支援を求めるための支援もまた必要です。

条約交渉の過程では後見人制度から「支援された意思決定」へのパラダイムシフトが主張され、この12条は障害者権利条約のパラダイムシフト条項であり、またこの条約のすべての条文から誰一人として排除しないために重要な条文です。

この「支援された意思決定」という概念は残念ながらまだまだ障害者団体の中でもましてや人権NGOの間でも共有されているとはいいがたい状況です。また民事についてはともかく刑事司法体制における12条の適用については条約交渉の過程でもまた現段階でも議論が深められているとはいえません。

そこで全国「精神病」者集団としては11月に以下の日程で、WNUSPの共同議長であり、条約草案作業部会委員でもあったアメリカの弁護士で精神障害者のティナ・ミンコウィッツそしてインドの法律学者であり同じくWNUSPのメンバーである、「支援された自己決定」問題に関する理論的な支柱の一人であったアミタ・ダンダ教授(NALSARUniversityofLaw)を招き少人数のワークショップを開催いたします。

私どもとしてはこのワークショップを「支援された意思決定」を実現するための国内法整備あるいはそもそもこの概念の共有、そして刑事司法手続きでの問題点などを議論する出発点としたいと考えております。

各障害者団体および関連団体、そして人権NGOの方のご参加を呼びかけます。

この企画はまったく助成金も得られておりませんので、恐縮ですが、通訳費用は参加者の自己負担とさせていただきます。

≪日程等詳細≫

◆日程 08年11月22日、23日 昼休みを挟み 午前10時から午後5時まで

◆会場 松本治一郎会館三階会議室 (六本木)

◆内容(予定)

1日目 「支援された意思決定」とは何か、それに向けた法制度整備には何が必要か

2日目 刑事司法手続きにおける障害者への合理的配慮義務と「支援された意思決定」

◆参加人数 定員20名

◆参加費 2日間2万円

通訳は逐語通訳です。

大変申し訳ないのですが、聴覚障害者への情報保障は費用の関係でできません。参加ご希望の方はご自分で通訳を用意されるようお願いいたします。視覚障害者の方へは事前に電子データをお送りすることは可能です。

参加申込締切 10月1日

申し込み先 全国「精神病」者集団 担当者 山本眞理

参加ご希望の方は以下を明記した上メールでお申し込みください

お名前

所属団体(なくともかまいません)

ご住所 お電話番号

申し込み先メールアドレス。

山本眞理

メール nrk38816 @ nifty . com

参加される方はWNUSP条約履行マニュアルおよび、以下長野英子のサイトにある資料をあらかじめご一読いただけますようお願いいたします。

https://nagano.dee.cc/convention.htm


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資料

第12条 法律の前における平等な承認

1締約国は、障害のある人が、すべての場所において、法律の前に人として認められる権利を有することを再確認する。

2締約国は、障害のある人が生活のあらゆる側面において他の者との平等を基礎として法的能力を享有することを認める。

3締約国は、障害のある人がその法的能力の行使に当たり必要とする支援にアクセスすることができるようにするための適切な措置をとる。

4締約国は、国際人権法に従い、法的能力の行使に関連するすべての措置には濫用を防止するための適切かつ効果的な保護が含まれることを確保する。当該保護は、法的能力の行使に関連する措置が障害のある人の権利、意思及び選好を尊重すること、利益相反及び不当な影響を生じさせないこと、障害のある人の状況に対応し及び適合すること、可能な限り最も短い期間適用すること、並びに権限のある、独立の、かつ、公平な当局又は司法機関による定期的な審査に従うことを確保しなければならない。当該保護は、当該措置が障害のある人の権利及び利益に及ぼす影響の程度に対応したものとする。

5締約国は、この条の規定に従うことを条件として、財産の所有又は相続についての、自己の財務管理についての並びに銀行貸付、抵当その他の形態の金融上の信用への平等なアクセスについての障害のある人の平等な権利を確保するためのすべての適切かつ効果的な措置をとる。締約国は、また、障害のある人がその財産を恣意的に奪われないことを確保する。


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障害者基本法 および障害者施策のありかたについて

2008年9月11日

全国「精神病」者集団

権利主体としての障害者

障害者である前に、まず人間であることを認めること。障害者基本法の施行後5年を目途とした「障害者に関する施策の在り方についての検討」にあたっては、まず、障害者を、恩恵や医療、社会的保護の客体から権利の主体へというパラダイムシフトを踏まえて、障害者基本法および障害者施策の抜本的見直しを行うこと

強制医療・強制入院の廃絶

私たち精神障害者は日本国内のみならず世界中あらゆるところで、人としての基本的人権を否定され、社会から排除され隔離拘禁され続けてきた。障害者は人として認められず、他の人と同様の自由と人権を認められてこなかったが、さらに精神障害者は人としての自由と尊厳を国権、法制度により、差別的に奪われ続けてきた。

しかし、障害者権利条約は強制の廃絶を明確に位置づけた。今後の批准を踏まえて、精神保健福祉法・医療観察法をはじめとする、強制を合法化している法制度の廃絶が求められている。

時限立法としての地域移行の時限立法

精神科病棟の社会的入院患者をはじめとする隔離収容状態にある障害者が数十万人といる。他の者との平等を基礎とした地域生活の、移行措置のため、介護保障や住居提供及び斡旋、または生活保障・保護等の所得保障制度の充実を図り、隔離状態からの開放が、同時に放置となることを避けなければならない。

障害者総合福祉法制定

障害者総合福祉法を制定し、権利としての地域生活の確立を保障し、本人の意志に基づく自立生活を実現できるようにする。

障害者団体の参加

障害者参加ではなく障害者団体の参加とし、より多くの声を集約した『障害者としての意見』こそが、必要とされている。

中央障害者施策推進協議会及び地方障害者施策推進協議会の構成員として、障害者団体の明確な位置づけが必要である。また、障害者基本計画には、障害者団体の参加を必須とする必要がある。

成年後見制度の削除(第20条)

障害者基本法第20条では、成年後見制度も利益権利保護に必要な制度とされている。しかし、障害者権利条約では全ての者に法的能力を認めることとなっている。今後、障害者権利条約が批准されることを踏まえて、成年後見制度の部分を削除する方針で進めていく必要がある。後見人による決定から、支援された自己決定へのパラダイムシフトを踏まえ、本人の権利主張を支える法制度(パーソナルアシスタンスやパーソナルオンブズマン等)を求める。

障害者週間

障害者基本法第七条三項には、障害者週間が位置づけられており、「国及び地方公共団体は、障害者週間の趣旨にふさわしい事業を実施するよう努めなければならない」と規定されているが、これに対しては障害者団体によるものや、障害者団体の参加が必要とされている。

以上


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心神喪失者等医療観察法廃止のために

共に活動されるよう訴えます。

2005年から施行されている心神喪失者等医療観察法が2010年に見直される予定です。

この医療観察法は、当初、露骨な精神障害者の保安処分として政府によって提案されたものですが、強い批判をうけたために急遽与党によって対象要件等についての修正がなされ、2003年の国会で強行採決されました。

この法律が施行されて3年を経過しております。私たちが心配したようにさまざまな問題が起こっています。この法律は対象者の医療と社会復帰を目指すものとの装いのもとに、実際には再犯予防のために精神障害者をいたずらに隔離し、社会復帰を妨げるものになっています。

実際、審判においては医療の必要性や社会復帰のための手だてだけではなく、再犯の危険性に着目して処遇が決定されています。そのため、鑑定入院期間中にすでに急性期を過ぎ、入院治療が必要でなくなっている対象者をあらためて指定入院医療機関に入院させることが少なくありません。入院処遇となった対象者は、医療観察法患者という烙印、生活の場から遠く離れた指定入院医療機関への入院による社会復帰の困難性、さらに帰る地域での受け皿不足という三重の壁によって、不当で長期の強制入院を余儀なくされます。

地域に戻ってからも医療的・福祉的配慮よりも、犯罪者として保護観察所による精神保健観察が優先され、保安的管理にさらされ続けます。

すでに保安処分施設を持つ諸外国におけると同様に、医療観察法が存在する限り、このような問題は避けることができません。近い将来、指定入院医療機関は多数の長期収容者を抱え、荒廃した収容所と化すことが心配されます。

さらに、医療観察法制定時の国会審議で課題とされた「車の両輪」の一方の車輪「精神医療の改革」は進んでいません。医療観察法が精神医療保健福祉向上の「突破口」になるどころか、その貧しさは増すばかりで地域で暮らす人たちへの支援すらおよそ十分なものとは言えず、また社会的入院の解消も遅々として進んでいません。

これ以外にもこの法律を廃止すべき根拠は多岐にわたります。

それにもかかわらず、法の見直しに当たって、治療可能性のない者へと対象者を広げようとする意見も出はじめています。この法律が存在する限り、予防拘禁的な方向への法「改正」の動きが強まる危険性が常にあります。

こうした現状の下で医療観察法がさらに改悪されることはなんとしても食い止めなければなりませんし、医療観察法を廃止しなければならないと私たちは考えています。できるだけ多くの方に、廃止に向けて行動をともにしていただくことを呼びかけます。

2008年 7月27日

心神喪失者等医療観察法をなくす会

〒113-0033東京都文京区本郷3-18-11 TYビル302

東京アドヴォカシー法律事務所 気付

E-MAIL:reboot2010-owner@yahoogroups.jp

現会員一覧( 2008年8月31日現在)

(略)

〔◎事務局長、○事務局 □当面運営に携わるメンバー

趣旨に賛同いただける方は、ぜひ会員になってください。
会員申し込み方法
●  郵便局に備え付けの青い用紙の「払い込み取扱票」からお申し込みできます。

● 1口1000円からお願いいたします。カンパもお待ちしております。

●      & nbsp; お名前、連絡先としてメールアドレス(あるいはFAX)もお忘れなくご記入下さい。集会などがあるときにはお知らせをいたします。また、メーリングリストにも参加できます。

● 会員としてお名前、所属、肩書、都道府県等を公開可能な方は、通信欄に、所属等をご記入いただき、公開可とお書き下さい。

● 郵便振替 口座番号 00130-3-357697

加入者名 医療観察法をなくす会


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パンフ紹介

本邦初もしかして世界初?

イタリア保安処分体験者の手記邦訳パンフ

「強制的介入と法的能力剥奪に関する当事者の物語り」

2006年7月

障害者人権条約策定のためのWNUSPロビーイング資料より抜粋

著者 トリスタノ・ジョナサン・アモネ

A4判 16ページ

カンパ 200円(送料80円)

すべての人に法的な能力とその行使能力を認め、精神鑑定や能力鑑定を許さない、という主張を国際障害者団体のネットワーク国際障害コーカスは行い、国連ロビーイング活動を行ってきた。

この主張の中心となった世界精神医療ユーザーサバイバーネットワーク(WNUSP)は活動の中でさまざま文書を出してきたが、この原文冊子は、現実に法的能力を否定され、人権を奪われ強制にさらされた世界各地からの仲間の証言集である。本冊子はその中から一人のイタリア保安処分対象者の証言を邦訳したもの。

イタリアトリエステ、バザーリア法、精神科病院の解体、といった宣伝が日本に伝えられていますが、保安処分対象者自身の声は本邦初の報告ではないでしょうか。

医療観察法5年後の見直しに向けモニタリング研究が発足していますが、それはあくまで、処遇する側の一方的な評価の資料収集による検証に過ぎません。

される側、そして当事者の証言収集と体験報告こそを私たち全国「精神病」者集団そして医療観察法解体に向けた闘いの任務であると考えます。

そのためには、トリスタノ・ジョナサン・アモネも発言しているように、再弾圧再拘禁を許さない人権擁護システムと救援活動が求められています。

医療観察法対象者のみならずすべての「精神病」者が人権主張できる体制作りこそ私たちの闘いの目的だと考えます。


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