全国「精神病」者集団ニュース 2017年3月号抜粋

ごあいさつ

三種の手続きには時間かかりますが、次号からは三種を使って「絆社ニュース」として発行することになります。しかし実質は全国「精神病」者集団ニュースです。障定協や他障害者団体にご迷惑かけないための苦肉の策で、運営委員会との話し合いが付けばいつかは解決すると信じておりますが。なお前号はVol.44No.1 2018年1月 となっていますが、これは誤りです正しくはVol.43 No.1 2017年1月 です。お詫びの上訂正いたします。

「絆社ニュース」の1ページ朝日新聞記事にあるように、今回の精神保健福祉法改正案は恐るべきもので、一旦措置になったら、一生追い掛け回されるというものです。確固たる信念をもって犯罪を企てる患者=確信犯や政治犯に対応するとしている一方入院中に薬物使用が判明しても警察に通報義務が生じることになります。人格障害者を一生隔離あるいは管理していこうという精神医療の政治利用あるいは治安の道具としていこうということが明確になっています。公然と相模原事件再発防止のための改正だといわれているわけですから。 都道府県政令指定都市には警察も入った関係者で作られる「精神障害者支援地域協議会」が作られその下部組織として個別ケースの計画を作成する措置入院を決める都道府県や政令指定市が患者の入院中から本人や家族を交えた調整会議(個別ケース検討会議)が設置され、退院後の支援計画を造ることを義務付けられます。これは障害者総合支援法の退院支援事業が本人の申請によるものとは違い、調整会議には本人の出席は必須ではなく強制的に作られます。こうした計画は本人ぬきにされることになりますし、退院後は転居しても個人情報が転居先に送られることになります。まさに現代の治安維持法保護観察処分です。病気になって措置入院になったというだけで、罪を犯した人以上に一生監視されるという恐るべき体制です。そうなったら全ての医療福祉を拒否しなければ逃れられず、対象となった人はさらに孤立し病状悪化していくのは火を見るより明らかです。精神保健福祉法案は与野党対立法案ではないとのことで、参議院先議となり、早ければ3月末には国会で議論が始まります。ほとんど注目されていない実態があり国会議員の皆様に問題意識をもってもらうのはかなり大変です。弁護士会や精神科医の学会などもまだ動いていません。山本は2月27日に参議院議員会館で以下ビラ配布しました。

精神保健福祉法改正案は逆効果のみ_ページ_1

 

 

 

UPR(普遍的・定期的レビュー)

政府報告に関する意見交換会参加申込書兼意見書

1.            障害者権利条約の完全履行とりわけ精神障害者を取り残さない履行について

2.            勧告16および86について

 

日本は障害者権利条約を批准したが、精神障害者および知的障害者は取り残され、条約に逆行した法制度が新設あるいは継続、強化され続けている

以下の点についての説明を報告してほしい

1 障害者権利条約33条の求める国内監視機関については、政府は障害者政策委員会を国内監視機関としているが、パリ原則に基づく国内人権機関も不在のまま、政府からの独立性もなく、また知的障害者・精神障害者団体の代表あるいは個人も構成員の中に存在していない。

2 批准以降、秘密保護法の適性調査に精神疾患を名指しで明記し医師の守秘義務開示を迫っていること、知的障害者や精神障害者が対象となっている成年後見人制度について、利用制限や代替方法の開発ではなく、利用促進法が成立したこと、さらに精神保健福祉法を改悪し、より強制入院である医療保護入院をしやすくしまた措置入院退院後の監視体制と個人情報の自治体間での共有を終生強制していること。これらは明らかに障害者差別の強化であり障害者権利条約の有効な履行に逆行している

3 世界に類のない長期かつ大量の精神病院入院患者について、政府は1年以上の長期入院患者の6割が「重度かつ慢性」という個人の属性により長期化しており、退院困難とし、今後の障害福祉計画の国の指針においても残り4割の人を基準に地域支援の数値目標を立てるとしている。これは明らかに障害者権利条約19条および25条に反しているといわざるをえない。何故日本にだけそうした病気のある人が大量に存在するのか、さらに2025年においても10万床内外の長期の療養病床を維持する理由は

4 新規措置入院について、都道府県により極端な人口比での差があるのはなぜか、また本来措置鑑定は2人の精神保健指定医による二重チェックのはずであるが、同時に2人が診察することが向上化している都道府県があるが、これを認めている理由は

5 措置入院医療保護入院とも増え続けているがその理由は。身体拘束隔離が増え続けているがその理由は。なんと身体拘束の14%が任意入院患者になされているがそれはなぜか、とりわけ北海道では44%が任意入院になされている。

6 障害者の施設および精神病院、学校での虐待事例が多数報道されているが、未だに障害者虐待防止法の改正が行われていないのはなぜか

 

今年11月に行われる国連人権理事会の政府報告書審査に向けた3月に開かれる政府とNGOの意見交換会に向けての意見交換会に全国「精神病」者集団として山本が出席することとし、上記の意見書を出すことにしました。パラレルレポート締め切りは3月末です。短いものでもいいから出し続けることが重要ということで頑張っております。しかしこの仕事国連人権プログラムへのインプット引き継いでくれる方いないかしら、英語ができる方どなたかよろしくお願い致します。

 

 


赤堀政夫さんの近況

                                                                                           神奈川赤堀さんとともに闘う会 ニュースより

赤堀さんは昨年五月十八日、八十七歳の誕生日を迎えました。そして十月九日には故郷の島田市で、島田事件対策協議会の人たちが中心になって米寿の祝いが開かれました。当日は島田市の「帯祭り」の日で、赤堀さんはお祭りも楽しんできました。今年の年賀状は、その時の写真です。また赤堀さんの昨年一年間の生活については、お世話係の島谷直子さんの通信を読んで頂けたらと思います。

 

皆さん、赤堀さんは、お元気ですので、ご安心ください。

とはいえ、今年の10月末に肺炎になってしまいました。1年前の11月にも肺炎になって、その時はとてもたいへんでした。2年続きの肺炎です。熱が下がらないので、毎日、病院に駆け込み、とても心配しましたが、幸い、1週間の入院で済みました。

5月18日、赤堀さんは、87蟻になりました。10月9日に、故郷の島田市で、島田事件対策協議会の皆さんが中心になって、米寿のお祝いの会を開いてくださいました。仙台や東京からも、お祝いにかけつけてくださったので、赤堀さんは、懐かしい皆さんに、ずいぶん久しぶりに会うことができて、とても喜んでいらっしゃいました。

赤堀さんは、昨年の12月23日から、小規模多機能型施設を利用しています。肺炎のあと、独り暮らしは、なにかと危ないので、高齢者施設を利用しながら、ときどき、自宅での生活をしています。赤堀さんが自宅に戻るときには、介護者が宿泊しているので、赤堀さんが、独りきりになることはありません。

小規模多機能型施設では、他の高齢者の方がた(10人に満たない)と一緒に、体操をしたり、歌を歌ったり、身体を動かす機会が多いので、赤堀さんの心身の機能を維持するうえで、よい選択だったと思います。昨年、肺炎になったときには、老健で、車イスからのリハビリを経て、高齢者施設に移りました。現在の歩行状態は、入院する以前よりもいいぐらいです。

ときどき、赤堀さんは、私たちを驚かせます。今日も、風が強く、赤堀さんの帽子が風で吹き飛ばされたとき、なんと、赤堀さんは、その帽子を追いかけて、走っているのです。吹き飛ばされた帽子を追いかけて、追いついて、拾いました。長い手紙を書くこともできます。家にゴキブリが出たときには、赤堀さんにお願いして、退治してもらっています。

自宅に戻ったときには、テレビをみてのんびりしています。昨年の年末は、退院はできたものの、自宅で過ごすことができませんでした。今年の年末年始は、自宅で、おせち料理を食べて過ごせます。

来年が、赤堀さんにとって、よい年になりますように!

2016年12月 お世話係島谷直子

 



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