2016年9月 全国「精神病」者集団ニュース抜粋

 ごあいさつ

朝晩めっきり涼しくなりました。皆様いかがお過ごしでしょうか

相模原の大変な事件を受けてなんと厚生労働省において施設の警備及び措置入院のあり方に関しての検討会が始まりました。
新規の措置入院は1987年には2000件もなかったというのに、今や7000件に増えてきています。曖昧なまま救急として悪徳病院に実質強制入院の任意入院となっていた人たちが手続き整備のために措置の手続きがとられるようになったという側面もありましょうが、精神科医の中で自傷他害のおそれを要件としている先行的保安処分としての位置づけから精神科救急であり、早期介入早期退院でいいことなんだ、という位置づけの変換が語られ、措置に対する抵抗が少なくなったこともありましょう。例えば80年代初頭長野県の措置入院は年に一人か二人と言われていたものが2010年には170人にも増加しています。東京では全国のトップで、人口比で最低の県の17倍もの新規措置入院があります。
措置入院は乱用されていると言えましょう、しかも措置解除後も約6割が入院継続となっています。

その上厚生労働省の検討会では措置入院患者の退院後、あたかも保護観察のように監視体制を、支援の名のもとにしこうなどということが語られています。

精神医療の治安の道具化に拍車がかかっています。しかも治安のためなら金がつくというわけで、それに群がる精神保健福祉の専門職も出てくることでしょう。榎本クリニックの全面化、デイケア・ナイトケアにもっと金がつくと歓迎する部分も出てくるかもしれません。

いま全国「精神病」者集団は曲がり角に来ています。専門職団体との緊張関係を今こそ求められる時代はありません。(山本)

 

全国「精神病」者集団運営委員会の解散を求める

山本 眞理

これほど醜悪かつ不正確な文書がこっそりと出されていた。

全国「精神病」者集団運営委員数名の確認のもとに

私は3ヶ月近く経った9月3日夜に初めて見た。そもそも被後見人とされている人の大半が精神障害者であるって一体。認知症も確かに精神障害ではあるけれど、全国「精神病」者集団が組織しているわけでもない。すでに認知症当事者の組織は存在する。そもそも反対していた法律の施行に協力を申し出るとは。

 

知的障害者はどうでもいいのか、筋ジスやALSの方まで拡大されている実態あるというのに全国「精神病」者集団は今まで精神障害者の参加をと主張したことはあるが全国「精神病」者集団を売り込んだことなど一度もない。行政に認知されているってそんなに嬉しいのか。おぞましいほどの文書であり姿勢。

ここまで全国「精神病」者集団を汚し踏みにじる運営委員会の解散を求める

以下そのまま貼り付け

 

 

内閣府成年後見制度利用促進委員会事務局 御中

内閣府成年後見制度利用促進担当室 御中

 

成年後見制度利用促進会議に関する要望書 

 

日頃より障害者施策の推進に尽力をくださり、心より敬意を表します。

私たち全国「精神病」者集団は、1974年に結成した精神障害者の個人及び団体で構成される全国組織です。成年後見制度の当事者は、被後見人等であり、精神上の障害がある私たち精神障害者が大部分を占めます。当事者とは特定の問題の効果の帰属主体のことであり、成年後見制度によって行為能力を制限される問題の当事者は、主として精神障害者です。加えて、精神障害者としての主張をできる――精神障害者という集合アイデンティティを一人称として発言できる――のは、第一に精神障害者の団体であるはずです。

2016年4月、成年後見制度の利用の促進に関する法律(以下、成年後見利用促進法)が成立し、内閣府に成年後見制度利用促進会議が設置されることとなりました。貴省におかれましては、当事者である精神障害者の意見を聴く必要性を十分に認識していただきたく思っております。障害者権利条約前文(o)及び障害者権利条約第4条第3項では、障害者を代表する団体から推薦を受けた障害当事者が合議体・審議会等に構成員として参画することを締約国に求めています。全国「精神病」者集団は、日本障害フォーラムの加盟組織であることや厚生労働省のヒアリング対象団体として行政府に認知されていることからも成年後見制度利用促進会議の構成員として適格であると考えております。

つきましては、成年後見制度利用促進会議の構成員に全国「精神病」者集団から推薦を受けた精神障害当事者の委員を採用してくださいますよう、お願い申し上げます。

草 々

2016年6月9日

全国「精神病」者集団

運営委員会報告

2016年7月26日、相模原の障害者施設で前代未聞の殺人事件が発生しました。約50名の障害者を殺傷した植松聖容疑者は「障害者は生きていても仕方ない」という動機で事件を起こしたとされています。この「障害者は生きていても仕方ない」という考え方は、社会の中に根付いた障害者に対する差別意識のあらわれであると思います。その一方で植松容疑者の措置入院歴が報じられ、措置入院の解除が事件を帰結させたがごとく説いた言説が散見されるようになりました。7月28日、政府は「障害者施設における殺傷事件への対応に関する関係閣僚会議」を開催し、翌29日には、塩崎厚生労働大臣が措置入院の見直しのための有識者会議を設置することを宣言した。我々は、医療観察法のときのような一大事になりかねない緊急事態であると考えて、7月28日付で大手マスコミ各社宛に緊急声明「相模原市障害者殺傷事件に対する報道のあり方について」をだし、8月1日には、緊急声明「私たちは出口を狭くするための措置入院の見直し検討には中断を求めます!」を出しました。我々は、措置入院解除後の監視強化を阻止することを目標にし、あらゆる手段を尽くすことを確認しました。

その間、運営委員の山田悠平は、津久井やまゆり園に出向いて献花をしました。

82、民進党厚生労働部門会議において障害者団体へのヒアリングがもたれました。全国「精神病」者集団は、その期に合わせて障害者団体合同記者会見を呼びかけ、DPI日本会議、こらーるたいとう、共同連、大阪精神医療人権センター、弁護士の池原毅和さん、精神科医の中島直さん、京都府立大学研究員の長谷川唯さんの協力を得て記者会見を実施しました。結果、日本テレビ、朝日新聞、産経新聞、東京新聞、デーリー東北、弁護士.com、共同通信などで取り上げられるに至りました。

また、同日付で日本精神神経学会に対して「措置入院の見直し議論への意見書に関する申入書」を提出し、日本精神神経学会として措置入院の見直し議論に対する声明の発表を申し入れた。

84、運営委員の関口明彦と桐原尚之で厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神障害・保健課長宛「措置入院の見直し検討に関する緊急意見書」を検討チームの担当をしている占部課長補佐に直接手渡しました。

85の午前中、塩崎厚生労働大臣が記者会見をしました。塩崎大臣は「検討チームでは法改正の前に実態把握をおこなう」と、我々の「実態が明らかにされていない段階での検討は時期尚早である」という主張に応答する形で、あたかも措置入院の検討ではなく実態把握のための検討チームであると装って設置を急いだのです。同日の午前中は、運営委員の桐原がピープルファーストの小田島さん、支援者の村松さんと会談し、ピープルファーストと情報シェアと連携を強化し、共に取り組むことを確認しました。そのまま、同日にもたれた介護労働研究会主催の厚生労働省・財務省前行動に参加し、急遽、厚生労働省(障害保健福祉部企画課係長)と内閣官房(どこかの局区の室長補佐)との交渉にも参加することになりました。

8月8日、厚生労働省は「相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム」の設置を発表し、8月10日に第1回検討チームの会議を開催しました。我々は、810日付で「相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チームの設置に関する見解」をだし、検討と会議の持ち方に対して糾弾する方針を打ち出しました。8月17日、厚生労働省精神障害保健課に「相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チームに関する要望書」と題する質問状をだしました。また、同日、民進党厚生労働部門ネクスト大臣川田龍平参議院議員に検討チームの設置を受けて「相模原市の障害者支援施設における事件の対策における精神障害当事者の意見聴取に関する陳情書」を提出しました。8月28日、兵庫県の精神障害者団体の方々に「継続支援チーム」による被害の実態について聴取をしました。

これによって91、民進党内閣部門・厚生労働部門合同会議のヒアリングへの出席が決まり、運営委員の関口と桐原が出席しました。政府からは、障害保健福祉部企画課長と警察庁が出席していました。厚生労働省の説明が一通り終わると、石橋通宏参議院議員は、「当該検討チームの目的が事件の検証ならば、なんで塩崎大臣は8月21日に措置入院者等の継続支援についての意見交換のために兵庫県精神保健福祉センターを訪問したのか」旨の質問をしました。厚生労働省は「どうすれば防止できたかという観点から検証の中で先進事例についてもしっておく必要があると判断して視察した」と述べましたが、会場の議員らはそのような答弁では納得できないという態度でした。初鹿明博参議院議員は、「施設の防犯強化ではこのような特殊な事件の場合に防止することは不可能だし、また、地域とのつながりが失われる可能性があるのでするべきではない」旨と指摘し、措置入院については「そもそも思想の問題であって薬物の問題ではなく、警察が間違った判断で措置入院させたことが問題の原初である」旨の強いスタンスの意見をしました。警察庁は、「精神撹乱のため警職法に基づき通報した」と答弁したが、そもそも警察による「精神攪乱」という判断が誤っている点を再三、指摘されることになった。帰り際、阿部知子議員と内閣府障害者政策委員会に精神障害者と知的障害者がいないことの問題を話し、こうした問題を次の大臣に引き継ぐように求めました。

92日、DPI日本会議などが主導する相模原事件の実行委員会に参加しました。9月26日に院内集会とアピール行動を実施することが決まりました。これからが正念場です。引き続き、反対運動を盛り上げていきましょう。



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