全国「精神病」者集団ニュース2015年12月号抜粋

ごあいさつ

 

歳の瀬となりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。

障害者権利条約は批准されたけれど、精神障害者にとっては逆行する動きばかりが目立ちます。秘密保護法の適性調査、運転免許の制限や事故の采の重罰化、さらに後見人制度の推進強化などなど。さらに生活保護基準の切り下げや年金の切り下げが日々の暮らしを押しつぶそうとしています。さらに障害年金の更新で不支給となるおそれすらあるガイドラインが作られようとしています。

私たちの10年余りの闘いの成果である障害者権利条約が障害者を精神障害者をも含め人として認め他のものと平等に地域で当たり前に暮らすこと、そして強制入院強制医療の廃止を求めているにもかかわらず、日本では障害者権利条約はないかのごとく、精神障害者の人権侵害はあらゆる場面で強まっていると言っていいでしょう。

しかし私たちは決して諦めるわけにはいきません。反撃は始まっています。様々な形であらゆる場所で私たち「精神病」者自身が声を上げていくことそして連なっていくことが何より重要です。

私たち精神障害者も人間だ ピープルファースト! 私たち抜きに私たちのことを決めるな!

何やら慌ただしくまた物寂しい季節です。年末年始は「精神病」者にとっては魔の季節。どうかみなさまご無事でよいお歳をむかえられますように。

 

 

 

 

2015 年7月25日

WNUSP(世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワーク)共同議長ヨラーンを迎えて 講演集会の報告

全国「精神病」者集団 山本眞理

 

ヨラーンは WNUSP 第二世代ちょうど私の娘の世代になります。彼女は私たち全国「精神病」者集団が 2013 年に拷問等禁止条約委員会にパラレルレポートを出した時、同じセッションでオランダの審査もあり、彼女はオランダの審査の後に残ってジュネーブでの私たちのロビーイングを手伝ってくれた方です。

 

彼女が受けた精神病院での虐待は肌に粟が生じるようなものでした。自傷に対してむき出しの暴力で対応する。衣服を剥ぎとって裸にして縛り上げる。身体検査を局部にまで行う。まさに虐待拷問といえるものです。(全国「精神病」者集団のサイトにこの時の彼女の報告が掲載されています)

私の世代ではイギリスの仲間もこうした虐待を受けたということですし、あるいは他の国でも聞きます。日本でも少年少女の自傷に対して同じような暴力での対応がしばしば語られています。

しかしヨーロッパでしかも私の娘の世代になってもこのような暴力が行われているということ、私にはショックでした。

彼女はこれに対して賠償を求めて活動しましたが、拷問等禁止条約特別報告官がオランダに手紙をかいたりもしてくれたけれど、事態は動いていない。精神医療のやったことは免責されてしまう実態がどこの国でもオランダも含めあります。

講演では彼女の体験とやっと精神病院からでてから、自分が受けたと同様の隔離が青少年向け精神病院で行われているというのに対してキャンペーンを始めたという話。その後障害種別を超えた団体とともに闘っているが、一方で進歩的な看護のグループとともに隔離を減らして、強制入院そのものを減らしていく闘いを作っていったなどの報告がなされました。

苦痛に対して初期に対応すること、危機の拡大をさせないこと、最初の10分間の接触が一番大切などなど。しかしながらこのプロジェクトでも薬の使用については減らせていないとのことですが。

彼女が26日にも話した知的障害者の法律と精神障害者に対する法律、そして刑法保安処分の3つを対象とした改革案については、地域でのサービス拡大というよりも私宅監置さらには自宅で身体拘束が可能になるなどというとんでもない中身で2008年に発表され、しかし未だ国会にはかかっておらず、一方で障害者権利条約の批准もまだということでした。その後の彼女の報告によるとオランダの国内人権機関はヨラーンたちの働きかけも当然あったでしょうが、強制入院の廃止を政府に勧告しているそうです。

日本では政府提案の法案は閣議決定まで秘密のまま上程されてしまいますが、政府案を公表して議論喚起するというところに彼の国の民主主義の健全さを感じます。イギリスのひどい精神保健法改悪の際にも感じたことですが、提案そしてその根拠となる報告書がきちんと公開され議論がなされるところに感心します。

質疑応答の時間では参加者と強制入院の体験談を共有しました。

こもごもと語られる中身は、本当に初めてあったばかりであるにもかかわらず国際的に共通した私たちの強制入院強制医療体験であり、ヨラーンも泣き出してしまったけれど、泣くのは恥ずかしくないし、でも歴史的につい最近まで女性に選挙権だってなかったという話をしていました。

そうですかつて奴隷は人間ではなかった、女も人間ではなかった、奴隷制だって女に選挙権がないのだって合法だったんです。いま合法とされ多くの人に人権活動家にすら支持されている強制入院や強制医療も廃止され非合法化され、そして昔はなんと野蛮なことをしていたのかと語られる日は確実にきます。

障害者権利条約委員会はすべての人に法的能力があるという12条についての一般的意見を公表しています。これは治療同意能力がない自己決定能力がないしたがって強制やむなしという現行制度を全否定するものです。

さらに委員会は14条人身の自由と安全についてもガイドラインを発表し、精神の分野での一切の強制入院と強制医療、心神喪失抗弁、保安処分の廃止を宣言しています。

私の生きているうちにはその日はまだかもしれま

せんが、必ず精神保健福祉法の廃止の日が訪れることを私は改めて確信しています。

彼女のスライドおよびその他資料は全国「精神病」者集団のサイト以下に掲載中です

全国「精神病」者集団→国連人権メカニズム→2015 年7 月25 日 WNUSP 共同議長ヨラーンを招いて 講演集会資料 彼女がニューヨークの締約国会議のサイドイベントで行ったファミリーグループカンファレンス(強制に先立ちそのオルタナティブを探る仕組)についての報告もあります。

全国「精神病」者集団→国連人権メカニズム→ 2015 7 26 医療観察法廃止全国集会資料

全国「精神病」者集団→国連人権メカニズム→障害者権利条約委員会 14条ガイドライン

障害者権利条約委員会の人身の自由の14条ガイドライン 強制入院強制医療、心神喪失抗弁と保安処分の廃止を求めています

12条法的能力一般的意見邦訳

http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/rightafter/crpd_gc1_2014_article12_0519.html
インターネットをお使いでない方にはコピーを郵送します 窓口までお申し出を

 

 

 

 

 

 

1129日 医療観察法廃止全国集会 106名の参加

いろいろな集会が重なっており参加者が少ないのではとおもいましたが、この3回とも徐々に参加者が増えています。

当日は刑法学者内田博文さんの講演、医療扶助・人権ネットワークの内田明弁護士の榎本クリニックについての報告、京都の前進友の会の江端一起さんから医療観察法の対象となるかもしれない件で仲間を取り戻した報告など盛り沢山でした。

詳しい報告は次号に。

 



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