内閣総理大臣野田佳彦殿
厚生労働大臣小宮山洋子殿
2012年2月9日
障害者自立支援法違憲訴訟原告団全国弁護団
薬害肝炎全国原告団・弁護団
ハンセン病違憲国家賠償訴訟全国弁護団連絡会
原爆症認定集団訴訟全国弁護団連絡会
全国生存権訴訟弁護団
全国B型肝炎訴訟弁護団
中国「残留孤児」国家賠償訴訟弁護団全国連絡会
東京HlV訴訟弁護団
大阪HlV訴訟弁護団
ノー・モア・ミナマタ国賠等請求訴訟弁護団
ノーモア・ミナマタ国賠等請求訴訟東京弁護団
ノーモア・ミナマタ国賠等請求訴訟近畿弁護団
薬害イレツサ訴訟統一弁護団
国は、2010年1月7日、障害者自立支援法違憲訴訟原告団。弁護団との間で「基本合意」を交わし、「2013年8月までに障害者自立支援法を廃止し新たな総合福祉法制を実施する」旨確約した。同合意は、同年4月21日までに全国14カ所の地方裁判所で成立した訴訟上の和解においても、重ねて国によって確認されている。
この基本合意で約束した新たな総合福祉法制定のため、内閣総理大臣を本部長とする障がい者制度改革推進本部が設置され、障がい者制度改箪推進会議で精力的な議論が尽くされ、2011年8月30日、同総合福祉部会は「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言一新法の制定を目指して一」(「骨格提言」)をまとめた。今通常国会に上程予定の新法の制定を、全国の障がいのある当事者が心待ちにしている。
ところが.本年1月24日付「内閣提出予定法律案等件名・要旨調」の記載は「障害者自立支援法等の一部を改正する法律案(仮称)」であって、「法廃止」でも新法の上程でもなく、2月8日の総合福祉部会において、その実態は一部改正に過ぎず、「骨格提言」とは全く異なるものであることが明らかになった。これは、法を廃止し障害者の意見を踏まえた新法をつくるという基本合意の根幹に反するものであって、明らかな約束違反である。
また、国は、薬害肝炎全国原告団・弁護団との間において締結した基本合意に基づいて設置した「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」が取りまとめた「薬害再発防止のための医薬品行政等の見直しについて(最終提言)」に基づき、2010年6月18日、全国原告団・弁護団と厚生労働大臣との定期協議において、厚生労働省から独立して医薬品行政を監視・評価できる第三者組織を創設するための法案を2012年の通常国会に提出する旨確約している。
しかし、薬事法改正法案は検討中の法案とされ、今国会提出予定法案には含まれていない。これは、基本合意実現のために重ねられた協議の席上における厚生労働大臣の確約に反する行為であり、まさに基本合意そのものをないがしろにするものである。
国が訴訟上の和解で確認した基本合意を反故にする先例を見過ごすならば、今後、社会保障・薬害のみならずあらゆる政策分野の集団訴訟における基本合意が軽んじられることになり、和解による解決を妨げ、ひいては国民の司法への信頼をも失うことにもなりかねず、その悪影響は計り知れない。
基本合意は、政権や政治情勢の変動如何に関わらず国家として遵守すべき法的文書であり、訴訟上の和解の中心をなすものであることを、国は改めて銘記すべきである。
我々は、障害者自立支援法違憲訴訟全国弁護団・原告団の呼びかけに連帯し、民主社会の基本ルールに抵触するあるまじき暴挙というべき今回の国の態度に怒りをもち、共同して、ここに抗議の意思を表明するものである。
以上
集団訴訟と基本合意メモ
薬害HIV訴訟
平成8年3月29日東京地裁及び大阪地裁にてそれぞれ和解成立以後毎年厚生労働大臣との交渉、中央運営協議会、各地域における三者協職等、定期的な協議が重ねられている。
東京訴訟原告(被害者)数837名弁護団員数34名
大阪訴訟第一次和解原告患者71名、弁護団実働約30名
名称::東京HIV訴訟弁護団
大阪H1V訴訟弁護団
ハンセン病違憲国賠訴訟
平成13年7月23日国(坂口厚生労働大臣)とハンセン病違憲国賠訴訟全国原告団協議会との基本合意書
現在でも定期協議は続けられている。
原告当事者数(回復者数)
東日本1191名瀬戸内772名西日本2160名
名称: らい予防法違憲国賠訴訟東日本弁護団
らい予防法違憲国賠訴訟瀬戸内弁護団
らい予防法違憲国賠訴訟西日本弁護団
中国残留孤児訴訟
平成19年11月28日の与野党合意の議員立法による「改正中国残留邦人支援法」成立を受け、取り下げにより終了。
全国の孤児約2500名の9割近い2211名が原告となって、終戦時から今日まで遺棄してきた国の責任を問う訴訟。15地区に原告団・弁護団か結成された。
名称: 中国「残留孤児」国家賠償訴訟弁護団全国連絡会
薬害肝炎
平成20年1月15日和解基本合意書
全国原告団・弁護団は、国(舛添厚生労働大臣)との間で和解基本合意書の調印
原告1930名24支部含めて29弁護団 係属裁判所数14
名称: 「薬害肝炎全国原告団・弁護団」
原爆症認定集団訴訟
平成21年8月6日麻生内閣総理大臣と日本原水爆被害者団体協議会との「原爆症認定集団訴訟の終結に関する基本方針に係る確認書」締結
障害者自立支援法違憲訴訟 名称: 「障害者自立支援法違憲訴訟原告団弁護団」
平成22年1月7日付基本合意、東京地裁4月21日付訴訟上の和解等14地裁での訴訟上の和解
原告:71名弁護団約170名
生存存権母子加算訴訟 名称:「全国生存権訴訟原告団・弁護団」
平成22年10月1日付、全国生存権訴詮原告団・弁護団と国(厚生労働省)との母子加算訴訟に関する基本合意
原告:100名以上弁護団100名以上
水俣病
平成23年3月25日ノーモア・ミナマタ国家賠償請求訴訟原告団・弁護団と国の熊本地裁での和解成立(東京地裁24日、大阪地裁28日)
名称: 「ノーモア・ミナマタ国賠等請求訴訟弁護団」(熊本)
「ノーモア・ミナマタ国賠等請求訴訟東京弁護団」
「ノーモア・ミナマタ国賠等請求訴訟大阪弁護団」
原告数2992名
B型肝炎訴訟
平成23年6月28日付、基本合意締結
原告2634名
弁護団約300名
共同抗議声明記者会見に関するマスコミ向けメモ
会見参加者
「原爆症認定集団訴訟,全国弁護団連絡会」
事務局長弁護士宮原哲朗(てつろう)
「薬害肝炎全国原告団・弁護団」
薬害肝炎東京原告団代表浅倉美津子(みつこ)
薬害肝炎全国弁護団代表弁護士鈴木利廣(としひろ)
「B型肝炎訴訟」
東京弁護団事務局長弁護士菅俊治(すがしゅんじ)
「障害者自立支援法違憲訴訟原告団・弁護団」
原告秋保(あきやす)喜美子、大谷真之(おおたにまさゆき)、家平悟(さとる)・五十嵐良(りょう) 原告新井育代補佐人新井たかね
弁護団事務局長藤岡毅(つよし)、青木佳史(よしふみ》、紅山綾香(あやか)長岡健太郎