2011年3月10日橋本さん関口さん記者会見池原弁護士資料

差別的自由剥奪の禁止と精神医療の一般医療化

弁護士 池原 毅和

1 医療保護入院の問題事例

① 妻が夫を医療保護入院させたうえで、ほしいままにその財産を処分、入院医療費・生活費名下に多額の預金を解約隠匿

② 妻が夫を医療保護入院させ、大量の向精神薬の投与で、判断能力が障害されている状態下で、不動産取引関係書類に署名押印させ、売買代金をほしいままに取得隠匿

③ 父親が娘を医療保護入院させたうえで、両者で相続した資産について、無断で処分、共同名義で銀行ローンなどを組み共同住宅化し、家賃を取得

④ 歯科治療の結果に苦情を述べていた患者を、精神疾患として医療保護入院させ苦情を述べさせないようにする。

⑤ 精神障害の存在、判断能力の欠如などの要件を満たしていないのに、医療保護入院させ、苦情が出ると退院させて責任はないとする。

2 強制入院についての国際的基準

① 精神障害者の保護及びメンタルヘルスケア改善のための原則16

(a) その精神病のために、自己又は他人への即時の又は差し迫った危害の大きな可能性(serious likelihood)があること。
又は、
(b) 精神病が重篤でありかつ判断力が阻害されている者にあっては、この者を入院させ又は入院させ続けることができない場合には、状態の重大な悪化に至るか、又は、最も規制の少ない代替方法(the least restrictive alternative)の原則に従って精神保健施設への入院によってのみ実施し得る治療について、これを与えることが妨げられること。

② 障害者権利条約

14条1b:いかなる場合においても自由の剥奪が障害の存在により正当化されない。

3 現行法の問題点

① 精神障害だけを狙い撃ちしている点

② 他の疾患の場合には法的手当てがない点

③ 要件の曖昧さ

④ 判断能力についての理解不足

障害者権利条約12条、法的能力の平等性

支援を受けた自己決定

⑤ 判定手続の不備

原則18:無償の弁護人

独立公正な審査機関

上訴制度



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