2005年5月発行の「ニュース」抜粋です。 一般定期購読は有料(年6回程発行1年分5000円)です。(会員の購読は送料も含めて無料となっております。)
全国「精神病」者集団
ニュース
= ごあいさつ =
初夏の日差しが感じられる季節となりました。皆様いかがお過ごしでしょう。
先のニュースで生活保護もなくなりかねないと書きましたが、いますぐなくなるわけではないにしろ、自民党は11月にも憲法改悪を行おうとしており、そこでは25条の否定により、生存権が否定されようとしています。その意味では生活保護の全面見直しもすでに織り込み済みとして、5月11日に審議入りした「自立支援法案」があるといっていいでしょう。改憲をなんとしても阻止しなければなりません。
精神障害者だけ特別扱いできないとして32条を撤廃しようという政府はいまだ差別的な特別扱いは続けており、精神病院の医師人数すら他の科の3分の1それ以下でも病院として認めています。さらに税金を使って厚生労働省が開いた「精神障害者の社会復帰の明日を考える会」(実は全家連の借金肩代わりの理屈付けのための会議)の委員にはなんと87年精神衛生法改悪時の警察庁警備局長新田勇氏(警備局はテロ公安の担当部局で治安対策トップです)が就任しました。こうした経歴の方の学識経験が、「精神障害者の社会復帰の明日」を考えるのに必要というのが政府の考えです。「自立支援医療」が入院に使えないのも措置入院がその代わりと政府は言います。やはり私たち精神障害者は差別的に特別扱い、治安の対象ということでしょう。
なお皆様にお願いした32条存続署名は3月11日21万人あまり集まったものを厚生労働省に提出しました。集約団体の皆様、ご協力いただいた皆様ありがとうございました。大田区鈴木さんの署名は区長に提出しようとしたところ受け取り拒否、警察まで呼んで妨害したとのことです。詳しいことはまた次号で。
(略)
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北から 南から 東から 西から
(略)
特定障害者に対する特別障害給付金制度
無年金者への救済措置として不十分ながら新しい制度が発足しました。大まかに言えば学生時代と専業主婦のときに発病した方が対象です。無年金障害者12万人のうち対象者はわずか2万4千人とのことです。
申請の翌月から支給ということで、たくさん書類をそろえる必要はあるものの、書類がそろわなくとも申請だけはできるそうです。ご自分が対象かもしれないと思う方は、病院その他のワーカー等にご相談の上、ともかく申請だけは早めにどうぞ。
申請をしなければ、この給付金はもらえません。
支給の対象となる方
(1) 平成3年3月以前に国民年金任意加入対象であった学生
(2) 昭和61年3月以前に国民年金任意加入対象であった被用者(厚生年金、共済組合等の加入者)の配偶者であって、当時、任意加入していなかった期間内に初診日(※)があり、現在、障害基礎年金1級、2級相当の障害に該当する方。ただし、65歳に達する日の前日までに当該障害状態に該当された方に限られます。
なお、障害基礎年金や障害厚生年金、障害共済年金などを受給することができる方は対象になりません。(※)初診日とは障害の原因となる傷病について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日
支給額
障害基礎年金1級に該当する方:月額5万円(2級の1.25倍)
障害基礎年金2級に該当する方:月額4万円
・支給額は、毎年度物価の変動に応じて改定されます。
・ご本人の所得によっては、支給が半額又は全額、制限される場合があります。
・給付金は、認定を受けた後、請求月の翌月分から支給されます。
請求手続きの窓口等
(1) 窓口
請求の窓口は、市役所国民年金課か各支所担当です。
(略)
何か、精神医療を改革するような行動に参加したい
千葉 K
はじめて投稿させて頂きます。
僕が、精神科に初めて受診したのは、16歳のときでした。その頃、対人恐怖がひどく、人と関わるのが苦痛で高校は、中退しました。
その頃、初めて、精神病院に入院しました。しかし、今思えば、それは、治療というものとは無縁な「医療の名を借りた収容所」でしかありませんでした。
退院後、何年もかかり、大検を取得。通院しながら専門学校に通学しました。
現在まで、精神科を転々。やっと現在は、信頼できるドクターの診察を受けています。
これまで、通院しても、一分以内に(僕:患者)を面倒臭そうに追い返し、僕の意見は一方的に無視して過剰な薬剤投薬を行い、利益追求の病院のロボット医師が保険点数稼ぎをするためだけに病院に操られていました。
現在は、自分の意見を聞く耳がある医者に受診して、ある程度、自分の要望に合った薬剤を処方して頂いています。今の薬の量は、かつての1/10程度の量で、今までの薬をまともに飲んでいたら、廃人になってしまうと言われました。
現在は、在宅勤務と障害年金で生活しています。
今の日本の利益のみの精神医療に激しい怒りと憤りを思いつつも、一人で孤立しているだけの現状です。そこで、当会をホームページで見つけ、僕も組織の一員として何か、精神医療を改革するような行動に参加したいと思う気持ちであります。
とにかく、現在は、社会的に完全に孤立しているので、何か建設的な目的のある集団に所属してみたいと思っていました。今まで、無目的に集まるだけで障害者独特の馴れ合いの論理だけで時間を潰すだけの集団しか所属したことがなく、そのような集団には、何ら価値や生き甲斐を見出すことはできずにいました。できれば、この集団に自分自身、積極的に参加して、同胞らと共に組織のイデオロギーを介して行動していきたいと思います。
(略)
お手紙から
沖縄 U
前略、2005年2月のニュースで、全国「精神病」者集団の組織的活動が困難であるというのを読みました。
当事者の私も、ニュースに書いてあるようなつらい経験もしてきました。それを周りの人に知ってもらいたいと必死になって訴えたこともありました。でも私が苦しめた人に対する恨みの気持ちで必死で訴えれば訴えるほど世間の人は、かえって苦しめた人のほうに見方をします。
そういうことから私が学んだのは、憎しみや恨みのような気持ちを持っていてはいつまでたっても私の訴えは周りの人に受け入れてもらえないんだということでした。それは単に精神病者の訴えだから受け入れないというより、あまりの言葉の激しさに相手の人がひいてしまうようです。
私がこの手紙を出そうと思ったのは、全国「精神病」者集団ニュースの働きをもっと続けてほしいということで、そのためにいろんな人たちの手助けを必要としているということがわかったからです。
私たちは精神病ということでつらいだけでなく、不当な扱いを受けやすい立場にあります。そしてその不当な扱いに対する怒りがこみあげてきます。でもその怒りえお怒りのまま周りの人にぶつけても何の解決も生まれないのではないかと、私は思うようになりました。
もちろん不当な扱いに甘んじるほかないとも思いません。でも怒りや憎しみをぶつけていては、周りの人の手助けは借りにくいと思います。私はこのニュースがもっと周りからの協力が得られたらニュースを続けていけるのに残念だなと思います。このニュースをはじめてみたときに私が正直に思ったことは、過激だな、でした。文面をもう少し回りの方たちにも受け入れやすいようにするとかの工夫で、協力が得られるものになってこないでしょうか。
私のこの「精神病」者集団ニュースというものがあるというのは去年、知ったばかりでした。もう14年も携わっているという山本さんには頭の下がる思いです。私たち当事者の苦しみを少しでも改善していこうと活動しておられたのだと思います。これからもこのニュースが私たち当事者の声として多くの人に読まれていくものであってほしいと思います。お手紙をしたいと思った私の気持ちが伝わりますでしょうか。生意気に思えたらごめんなさい。でもこのニュースがもっと多くの人に支援されるものであってほしいと思っています。これからもがんばってください。
2005年3月17日
(略)
どこまでも諦めない
仲間の輪を拡げて
心神喪失者等医療観察法を廃止に追い込もう!
心神喪失者等医療観察法(予防拘禁法)を許すな!ネットワーク 代表 龍眼明慧
私たち、「心神喪失者等医療観察法(予防拘禁法)を許すな! ネットワーク」は、独自の学習会をすでに8回行ってきた。テーマは心神喪失者等医療観察法にとどまらず、多岐にわたっている。個人情報保護法や障害者自立支援法も当然にもとりあげてきた。さて同封の2005年5月14日の声明にあるとおり、心神喪失者等医療観察法は精神障害者を差別し人間として扱わない法律だ。許すわけにはいかない。
たとえば、障害者自立支援法案においても精神保健福祉法32条の公費負担の問題だけではなく、医療保護入院の手続き簡略化、強制入院の入り口を広げる改悪がなされようとしている。このことはあまり知られていない。
7万人以上の社会的入院は10年がかりでの解消とされてはいるが、実態は死ぬのを待つという悪質さだ。
ノーマライゼーション、施設から地域へ、といううたい文句はもう聞こえてこない。
実態は地域生活から施設へ、そこで問題を起こせば、強制入院である医療保護入院となる。そしてそんな仕打ちをした人間を殴りでもしたら、措置入院にされるか、心神喪失者等医療観察法が適用され、いつ出られるのかも分からない拘禁生活を強いられることになり、危険な「精神病」者とレッテル(スティグマ)を貼られることになる。
どちらの場合でも、精神障害者は人間ではないのだから、適当に扱えばいいという、人権無視のおせっかい(パレンスパトリエ)危険性除去(ポリスパワー)のないまぜになった具体的な行動制限である。
いくらお上におべっかを使っても落とし込まれるところは地獄だと分かれば、手をたずさえて闘うしかないという状況が生まれる。
「心神喪失者等医療観察法(予防拘禁法)を許すな!ネットワーク」にとっては願ってもないチャンスだ。深く(病院でも作られようとしている医療観察法の施設でも)、広く(働いている仲間も働いていない仲間も)、網の目を拡げ、金がなくても情報のやり取りを行い、集まっているところでは団結し、仲間を見捨てず、分断を許さず闘っていこう。
2年後くらいには障害者権利条約が、その先には障害者差別禁止法の制定がある。われわれにはテコもあれば多くの人数もある。
一人で叫ばずに声を合わせて反撃すれば、必ず勝てる。
ともに闘おう。がんばろう。
心神喪失者等医療観察法を廃止のためにできること
1.同封のネットワークの署名にご協力を
2.同封のリーフおよび14ページからの長野の原稿をビラにしたものを周囲の方に配布してください。必要部数をご請求してくだされば、送料実費はいただきますがお送りいたします。
2.都道府県および都道府県立病院にこの法律の入所施設および通院施設を引き受けないよう、また都道府県は地域処遇について保護観察所に協力しないよう申し入れをしてください。文例が必要な方にはお送りいたします。
3.地元出身の国会議員にこの法律の凍結停止、廃止を訴えてください。必要な方には申し入れ先国会議員連絡先等をお送りいたします。
4.お近くの方余裕のある方はぜひ6月12日ネットワークの集会、会議、学習会などにご参加を。ネットワークに入会してください。年会費は一口500円年4回ニュースを発行します。
「障害者自立支援法案」は入院促進・自殺促進法案
東京 長野英子
障害者自立支援法案は5月11日から衆議院厚生労働委員会で実質的な審議に入りました。順番としては衆議院の委員会で採決されたら、衆議院本会議で採決、そしてそれが参議院に送られ参議院の厚生労働委員会で審議さらに参議院本会議で採決されたら成立ということになります。
衆議院では与党議員からすら自己負担増への疑問の声も出ているくらい、めちゃくちゃな法案です。民主党山井議員は重度の人ほど負担が重くなるという人類史上いまだかつてない制度、と厳しく批判しましたが、それに対してやじった声「今は障害者福祉の時代ではない、治安の時代だ」。これは木村義雄元厚生労働副大臣の野次だったそうです。彼は厚生労働副大臣時代に日精協の医療観察法推進総決起集会に参加し、日精協政治連盟からも政治資金を受け取った人物です。私は日精協と木村氏を贈収賄で刑事告発しましたが、さらに日精協の政治資金の不記載(後に訂正)でもこのたび政治資金規正法違反で刑事告発しました。金で買われた法案といわれた医療観察法の推進派の本音を現す野次だと思います。
以下はこの間の集会等でまいているビラです。
医療と福祉二重の負担増
精神障害者で医療を不要としている人はほとんどいないというのが現実です。その意味で自立支援法の原則すべてのサービスの1割負担は、精神障害者にとっては医療と福祉の二つの場面で二重に負担増となります。
医療や福祉サービスが受けられなくなり、症状悪化・再入院・自殺・一家無理心中などを引き起こし、脱施設化・自殺防止に逆行します。
精神障害者は特別扱い
精神疾患は誰でもかかる病気、だから他の病気と同じ医療費3割負担が当然、精神障害者だけ特別扱いできない、と政府は言います。しかし法案の「自立支援医療」では精神障害者だけ入院に使えない制度なっています。現在さまざまな形で入院の際の保険外の自己負担が増えており、必要なのに、経済的理由で入院をあきらめざるをえない層が確実に増えています。その上で病状悪化、強制入院ということで医療不信や人権侵害を招いています。もちろんこれでは財政上も逆効果であり、医療費は増大します。一時的に入院が必要なときに安心して入院できる経済的保障は重要です。
精神障害者は年金制度でも差別?
裏面にあるように年金制度においてとりわけ厚生年金において、精神障害者は他障害に比べ1級と認定されることが少なく、また1級の年金受給者の割合も年々低くなっています。この実態の中で自己負担増は納得できません。財政状況しだいで、障害の程度の認定が左右されているのが実態です。自立支援法における審査基準でも「精神障害者は手も足も動く、耳も目も使える」ということでほとんどのサービスが使えなくなる可能性が高いのです。ショートステイも現行国基準および自立支援法案では一人暮らしの精神障害者は使えません。
入院もできずショートステイもできず、ヘルパーも使えず、病状悪化の挙句、自殺や強制入院という最悪の事態も予想できます。長期的には財政的にもむしろ負担が増大します。
「障害者自立支援法案」廃案!医療観察法廃止!
「金がない」の一言で障害者に自己負担増・サービス減を強いる自立支援法のかたわらで、私たち精神障害者を差別的に予防拘禁する、心神喪失者医療観察法に対しては今年度予算だけでも110億円が費やされようとしています。政府の計画通り24箇所の施設が作られれば、現在の精神保健予算の半分近く400億円以上が毎年費やされることになります。誰もいらない医療観察法のための、32条を撤廃し精神障害者にその費用を支払わせる方針を私たちは決して許しません。
別紙1
精神障害者所得問題について
精神障害者の所得保障の中心は障害年金と生活保護です。障害年金は厚生年金と国民年金が中心でこれは、精神科の初診の時にどちらの保険に加入していたかで、申請する制度が違います。以前はこの二つの制度は、別々に運用されていましたが、1986年に同じ制度になり、1級と2級については、認定基準も共通のものを使うようになりました。今回、この制度について調べたところ、保険制度としては問題がある事がわかりました。
(以下、略)
ちょっと待て! 心神喪失者等医療観察法 6・12の集い
「心神喪失者等医療観察法」の施行期限は今年7月です。国は当初この法に基づく強制・隔離入院施設を全国で24箇所程度建設するとしていました。しかしこの4月段階で建設着工に至ったのは東京都小平市にある国立精神・神経センター武蔵病院(国立武蔵病院)、岩手県の花巻病院、富山県の北陸病院の3箇所だけです。しかも、国は3月中としていた政省令も出せず、鑑定入院期間中のガイドラインも日弁連の反対で策定できていません。この法が矛盾だらけの精神障害者差別の悪法であることが実証されたということに他なりません。
新法の破綻状況を作り出してきたのは、法案成立以降も施行阻止を掲げた高い続けてきた全国のさまざまな反対闘争です。それでも国は「遅れることになれば一大不祥事」と、今国会に法「改正」案を提出する、あるいは政省令「見直し」の荒業を使うなどして、何が何でも7月施行を強行しようとしています。
施行を許さない! まずは凍結・停止を!の声を上げていきたいと思います。多くの皆さんのご参加を要請いたします。
日時 6月12日(日)13時から16時半
場所 国分寺労政会館 電話 042-323-8511
交通 JR中央線国分寺駅
南口下車徒歩5分
内容
●基調報告 心神喪失者等医療観察法を廃止へ
龍眼 (心神喪失者等医療観察法を許すな!ネットワーク)
●特別報告 武蔵病院に拘禁施設は作らせない
「国立武蔵病院(精神)強制隔離入院施設問題を考える会
●講演 障害者差別の現在を考える
石毛えい子さん(衆議院議員)
発言 地域・全国の仲間、精神医療従事者、労働組合など
会場費 300円
主催 国立武蔵病院強制・隔離入院施設問題を考える会
小平市学園西町1-26-43 市民自治こだいら内
精神障害の自立を考える会気付
心神喪失者等医療観察法(予防拘禁法)を許すな!ネットワーク
目黒郵便局止め
電話 kyodou-owner@egroup.co.jp
(略)