全国「精神病」者集団ニュース 2004年8月号

2004年8月発行の「ニュース」抜粋です。 一般定期購読は有料(年6回程発行1年分5000円)です。(病者である会員の購読は送料も含めて無料となっております。)

全国「精神病」者集団
ニュース


= ごあいさつ =

酷暑が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

暑さの中で体調を崩している仲間が多いようです。精神病院への入院者も多くなっているようで、私自身も2週間ほど休息入院いたしました。

ニュースの発行が遅れたことお詫びいたします。

お手紙やお電話にも対応できずご迷惑をおかけしております。少し余裕を持ってお待ちいただけますようお願いいたします。

この4年間ほどの嵐のような保安処分攻撃とそしてさまざまな闘いの中で多くの仲間が傷つき倒れております。そうした中で全国「精神病」者集団も事務局員がほぼ全員倒れ、事務局が機能しない状態が続いています。

今一度初心に帰り、全国「精神病」者集団に何を期待するのか、誰のために何のために存在するのか、そしてそのために会員としては何ができるのか、そういったことを一つ一つゆっくりと討論していく必要があると痛感しております。

10ページ掲載したWNUSP総会のバイル宣言なども参考にしながら、何年かかけて討論をしていけたら一番と考えております。多くの方のご意見を募集したいと思います。手紙、ファックス、メールなどでご意見をお寄せください。

(略)

涼しくなるまで少し夏休みを取って、英気を養いましょう。

皆様お大事に。

全国「精神病」者集団の連絡先が変更となりました。お手紙ニュースなどのあて先変更をよろしく。

なお窓口の電話番号も変更しました。

★お手紙、各地のニュース、住所変更、ニュース申し込みはすべて

〒210-8799 川崎中央郵便局私書箱65号

絆社ニュース発行所

E-mail

電話 080-1036-3685

(土日以外午後1時から午後4時まで)

ファックス03-3738-8815

★会員の運営している私設ホームページ

http://www.geocities.jp/bshudan/ 携帯電話でも見られます。


北から 南から 東から 西から


(略)


障害者人権条約ってなあに その1
精神病院入院中の現金管理費徴収をめぐって

東京 山本眞理

すでにお伝えしているように、今国連で障害者権利条約制定に向けて議論が行われております。

障害者人権条約? 国連? 私たちの毎日の生活には関係ない、雲の上の話、という感覚の仲間が多いと思います。

しかしこの条約は国連の歴史でも初めて障害者の当事者団体がその作成に中心的にかかわっており、障害種別を越えた議論の過程は非常に大きな意義があります。残念ながら言葉の問題がありまた全国「精神病」者集団の資源のなさもあり、その過程を仲間と共有する翻訳能力がありません。

そこで具体的な例を障害者権利条約の思想の下で検討してみたいと思います。

私は8月2日から16日まで都内の民間精神病院の閉鎖病棟に休息入院しました。そこで前から気になっていた入院中の現金管理の手数料について大変な問題であるということ感じました。現在民間精神病院では(公立については?)入院患者の現金を預かった場合、1日当たり100円から200円の手数料を徴収しています。月にすると3000円から6000円にも上ります。

貧しい入院患者にとっては大変な金額であり、負担です。生活保護を取っている人でも月に使えるお金は2万円くらいですが、その中から3千円から6千円が取られてしまうということになります。

これには二つの問題があると考えます。

まず第一に、現金を管理する能力がない、という障害に対してどう対応するか、という問題です。

私たち障害者団体が条約に取り組む前提として障害とは何かを考える際、私たちは障害の社会モデルをとっています。障害の社会モデルは障害をその個人の問題ではなくて社会にあると考えます。目の見えない人の障害はその人個人ではなく、眼の見えない人が使いにくい用具建物などしかない社会の側こそに障害があるという考え方です。障害は障害者にあるのではなく社会にあるのです。

この考え方で現金を管理する能力がない、という障害を考えれば、それは入院患者に障害があるのではなくて、精神病院のシステムあるいは大きく精神保健システムそして社会に現金を管理する能力障害があるということになります。

条約草案9条では人はすべてどんな障害があろうと法律上の能力があるということがかかれてあります。つまりどんな障害があっても自分のお金を自分で自由に使えなければならない、ということです。仮に現金を管理する力がないあるいは一時的に能力が落ちているということがあったとしても、それを支援するシステムさえあれば、誰でも自分のお金を自由に使えることになります。成年後見法では本人に代わって後見人が判断し決定することになりますが、そうではなくて、本人自身の自己決定そして管理能力を支援するシステムが必要なのです。これが私たち障害者団体の主張であり、それが草案に反映しています。(注 これについては国連の第3回特別委員会のさいに平行して開かれた国際障害者同盟のサイドイベントで報告された、カナダの知的障害者の支援団体のレポート邦訳があります。後見人制度の廃絶と具体的な意思決定支援システムの提案です。必要な方にはコピー代送料実費でお送りいたします。会員外の方は翻訳料がかかっていますので若干のカンパをお願いします)。

入院患者も精神障害者としてその障害が社会の側にあるとすれば、社会の障害を除去するためにどういう支援を用意していくかが問題となります。本人が選べる選択肢もなしに、一律に現金を預かるというやり方は根本的に間違っており障害者差別です。それぞれの入院患者に合わせた、現金管理能力を支える援助が個別に本人と共に計画され、提供されなければなりません。そしてそうした援助こそが退院後の生活へと結びつくのです。

第2にそうした支援には当然費用がかかりますが、その費用を誰が負担すべきか、という問題があります。

この現金管理料が生まれた背景には悪徳精神病院告発のたびに入院患者からの預かり金が横領されていた事態が明らかになったことに対し、国が精神病院に対して、入院患者の預かり金を適正に個別に管理し、その帳簿を本人に明らかにできるよう指導したという歴史があります。

これに対して精神病院側は入院患者本人または保護者と契約書を交わし、現金を預かり、そしてその管理料を本人あるいは保護者から徴収するという対応をしました。

障害者が必要な援助に関してその費用を障害者あるいは保護者から取るという結果になったわけです。たとえていえば身体障害者に介護者が必要としても、その介護者を雇う金は身体障害者や家族が払え、払えないやつは一切介護保障しない、ということと同じです。現実には身体障害者に対しての介護保障は本人および家族に金がなければ税金で支払われています。また一部の障害者施設で現金管理をしているところでも、その管理料を施設入居者から取っているところはないそうです。

障害の社会モデルの考え方から言えば、社会の障害は当然社会総体として除去すべきでありその責任は行政にあります。

ところが精神病院入院患者に対しては生活保護受給者であろうが、どんなに貧しかろうが、一律に現金管理料が徴収されています。これこそ精神障害者差別です。

私たちに必要な援助は身体障害者同様に公費で保障されなければなりません。

長い間私たち精神障害者は障害者の仲間に入れてもらえず、私たちの障害はあげて精神病という疾病にありその個人に原因があるととらえられてきました。それゆえに私たちはひたすら精神科医はじめ専門職の指導と管理の下で個人の障害の除去の努力を強いられてきたのです。これが障害の医学モデルです。

こうした医学モデルから私たちを解放し障害種別を越えて私たちの権利を守る条約を制定していこうとするのが、私たちWNUSPおよび国際障害者同盟そして障害者NGOの立場です。国内でも障害者フォーラム(JDF)準備会として障害種別を越えた初めてといっていい共闘関係が生まれています。今回の条約制定過程で、私たち精神障害者が排除されることなく、同じ障害者として団結して闘っていることの意義は非常に大きいといわなければなりません。

精神病院入院患者に対する現金管理料徴収問題を障害者条約の視点から考えて見ましたが、現実にこの問題は非常に大きな問題ですので、即急に国及び地方自治体への働きかけが必要と考えます。協力者を募り今後この問題の解決に向け闘っていきたいと考えております。具体的対応としては現金管理というより本人の意思決定を支えるサービスに関しての専任の外部の組織職員が各病院に配置される(=障害者権利擁護官)などというやり方がベストかななどと考えておりますが、とりあえずは現金管理料の公費負担でしょうか? 皆様のご意見を募ります。


WNUSP(世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワーク)総会の報告

東京 山本眞理

先にお知らせしたように全国「精神病」者集団の参加している世界精神医療ユーザー・サバイバーネットワーク(WNUSP)の総会が7月17日から21日までデンマークで開かれました。日本からは私も含め3名の「精神病」者と私の介護者が参加しました。

報告書は改めて制作いたしますが、とりあえずのご報告をさせていただきます。

参加者は50カ国あまりから約200名。さまざまな刺激的な出会いや議論が繰り広げられました。

山本は引き続きアジア太平洋地区選出のWNUSP理事となりました。ほかにはインドから理事会互選ということで理事が選出されましたが、私の再任も実はアジア太平洋地区の運動の弱さのためでもありますので、今後この地区でどういう運動を作っていくかが大きな課題です。

総会で採択されたバイル宣言をご紹介します。

バイル宣言

2004年7月21日 WNUSP総会決議

お互いにどのように付き合っていくのかについての提案

私たちは全ての組織で以下のようにすべきである:

*建設的で、誰をもが友好的に迎え入れられる、魅力ある雰囲気を作り上げよう。

他の人のすべての意見を尊重し、他人に対して本人にとって何がいいことかを決定しようとせず、そしてお互いに個人の創造的な能力を高めるために支えあっていこう

*組織運営にあたっては、透明性、よい運営と財政上の責任を重視しよう。

*出身、性、年齢、障害、貧富、宗教あるいは性的指向にかかわらず、少数者を積極的に包摂しすべての差別と闘おう。

*お互いに忍耐強くなろう。レッテルや感情的問題、肉体的問題の後ろに隠れているその人全体を見るよう努力しよう。他者を裁かないよう努力しよう。

*代表を選ぶ際は彼らの経験を考慮して慎重に選ぼう。そして自分自身やほかの仲間が燃え尽きて組織を去ってしまうことを避けよう。

*精神医療に代わる別のやり方を作り上げようとするすべての人々の業績を評価すると同様に、良心的に社会精神医学的治療を改善しようと努力するすべての人の業績を評価しよう。そして私たちはいかなる形であれ精神保健上の問題理解への一面的なアプローチに抵抗しよう。

*無報酬のボランティアの仕事を尊重しよう。そして私たちは膨大で複雑な任務に直面しているのだから、有給の職の必要性を認識し同時に支援者・協力者を求めていこう。

*民主的社会において市民として平等の私たちの権利が尊重され、私たちの影響下でユーザー/クライアント/サバイバー/回復しつつある人のために社会精神医学的サービスが作られるよう要求しよう。

訳 長野英子

原文は以下に掲載中

http://www.enusp.org/congresses/vejle/declaration.htm

セルフヘルプグループの倫理的基準を議論する分科会からの提案による宣言です。

こなれた日本語になっておりませんが、私たち日本の運動にとっても、参考になる内容であると思います。

なお総会旅費カンパは19万円集まり、期日と金額の問題があって日本人参加者の希望がなかったため、全額発展途上国からの参加費用カンパとしてWNUSPにカンパしました。ご協力いただいた多くの皆様に感謝いたします。


集会案内

~ひとりじゃなかったい in九州~

大会テーマ:当事者による当事者のための活動

1.事業名 全国精神障害者交流事業

2.大会名

第8回 NPO法人全国精神障害者団体連合会 福岡大会

3.開催期日

平成16年9月3日(金)~9月4日(金)

4.会 場 福岡国際会議場

(懇親会福岡国際会議場隣接・福岡サンパレスホテル)

5.参加者対象 特に資格は問いません。

6.参加予定人員 1,200名

「大会実行委員会から一言」

NPO法人全国精神障害者団体連合会は、「一人ぼっちの仲間をなくそう」というテーマのもと精神障害者の生活と権利を守り、豊かに発展させていくことを通じて精神障害者の人間的尊厳の回復と白立にむけ活動することを目的として設立され、これまで7回の全国大会が開催されました。

今回の福岡大会は九州の当事者たちが力をあわせ、精神障害者九州ネットワーク(九州の精神障害者のネットワーク組織)も共催し開催されます。

全国の当事者が集い、日頃考えていることや悩んでいることを提起し合い、交流し共有することで精神障害者が明日に生きる勇気と知恵を得、さらに各精神障害者が市民としての意識の向上を図り、その存在を地域にアピールすることで理解を求め、回復者の社会復帰の活動を活発化することなどのため、分科会、懇親会、及び講演会(シンポジュウムを含め)などを開催するものです。

つきましては、ご多忙中恐れ入りますが、皆様のご参加のほどよろしくお願いいたします。

お問い合せ先

第8回NPO法人全精連

福岡大会実行委員会事務局

〒815-0082 福岡市南区大楠1-35-17

*毎週火・金曜13:00~17:00に実行委員が待機しておりますので、お電話の場合、この時間内にご連絡願います。

「NPO法人全国精神障害者連合会(全精連)」とは、精神障害者の家族会の全国組織が「全国精神障害者家族会連合会(全家連)」とあるように、精神障害者の当事者会の全国組織です。


第47回日本病院・地域精神医学会総会

テーマ「つなぐ」

結ぶ手かよう心人と人との暮らしづくり

日程 2004年10月1日(金)から2日(土)

場所 神戸国際会議場

参加費(事前登録/当日参加)

会員7000円/8000円 非会員8000円/9000円 学生・当事者・家族2000円

お問い合わせ

事務局

〒651-1242
兵庫県神戸市北区山田町上谷上登り尾3
兵庫県立光風病院内
http://www.knt.co.jp/ec/2004/byochi-kobe/

10月1日午前中の「訪問サービス」の分科会では山本眞理が「ホームヘルパー制度の問題点 利用者の立場から」を発表します。また10月2日午後2時からの交流コーナーでは「心神喪失者等医療観察法を撤廃へ」というテーマで討論が行われます。お近くの方はぜひご参加を。


夏季カンパ要請

空を見上げるとすでに秋の雲となっておりますが、相変わらず酷暑が続いております。皆様いかがお過ごしでしょうか。

たびたびのお願いで恐縮ですが、夏季カンパのお願いです。下記の会計報告にありますように、全国「精神病」者集団会計は前年度やっと黒字に転換いたしましたが、すでに残金も10万を切っております。WNUSPの活動のおかげもあり、二つの財団から、人権条約関連とWNUSP総会報告書発行事業として91万円の助成金を頂きましたが、これはニュース発行等の日常活動には使えない性格の資金であり、今後のニュース発行のためにも多くの方のご協力を訴えます。同封の振替用紙でカンパをお振込みいただけますようお願いします。

すでに早々とカンパを頂いた方、そして会員の「精神病」者の皆様にも機械的に振替用紙を同封しておりますが、事務能力の限界としてお許しください。全国「精神病」者集団ニュースは会員の「精神病」者の皆様各地患者会には無料でお送りしております。振替用紙は請求書ではありませんので、「精神病」者の皆様はご無理なさいませんように。

余裕のおありの方は「精神病」者以外の有料読者を拡大していただけると助かります。有料読者は現在100名ほどですが、これが200名となると全国「精神病」者集団の経常会計は健全会計となります。ご協力いただけます方は見本誌をお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。

カンパ振込先

郵便振替口座
口座名義 絆社ニュース発行所
口座番号 00130-8-409131


(略)