全国「精神病」者集団ニュース 2001年6月号

2001年6月発行の「ニュース」抜粋です。 一般定期購読は有料(年6回程発行1年分5000円)です。(病者である会員の購読は送料も含めて無料となっております。)

目録

ごあいさつ

(略)

お便り

(略)

国会議員の差別発言

本の紹介
『自立生活運動と障害文化――当事者からの福祉論』

(略)

窓口入手資料

(略)

夏期カンパ要請

会計報告


全国「精神病」者集団
ニュース


ごあいさつ

さわやかな初夏の日々を楽しむことなく、この時期特有の不調に苦しんでおられる仲間も多いことと思います。皆さまいかがお過ごしでしょうか。

全国精神障害者家族会連合会(全家連)によると厚生労働省では精神保健福祉法32条見直そうと「精神障害者通院医療費公費負担の適正化のあり方に関する検討会」を昨年発足させ、第4回の検討会が、3月14日に行われたとのことです。検討されてきたのは、

  1. 創設当時は分裂病圏が中心だったが、近年それ以外の軽症患者の利用が増えている。対象の見直しが必要ではないか。
  2. 対象となる医療の範囲について、精神障害に直接起因しない症状についても公費負担の対象としている例が多く見受けられる。対象の範囲を見直すべきではないか。
  3. 精神科デイケアが90年代に入って急増しており、公費負担のなかでも大きな比重を占めている。デイケアの実施方法とその効果などについても検討すべきではないか。

などだそうです。さらに厚生労働省側は検討会に対して、所得制限の導入や負担率の見直しを提案しているとのこと。

この精神保健福祉法32条はそもそも1964年に駐日米大使ライシャワーが「精神病」者に刺された事件をきっかけに生まれたものであり、福祉的側面のみならず地域の「精神病」者管理という治安的側面をもった制度です。今世界的にも米国(米の家族会NAMIが製薬会社と手を組み推進しており、州によってはすでに導入済み)あるいはオランダで、地域における強制医療法(自宅にいても服薬や注射を強制され、それを拒否すれば強制入院させられる法律)が作られようとしています。厚生労働省と法務省の合同検討会でもこのことが報告されています。

今日本でも「デイケアや訪問看護を受け入れなければ入院」という恫喝がなされています。一方生活保護もとれず32条を使うにしても病院に通う交通費がない、という訴えすら耳にします。

強制医療拒否権はなく、一方で私たち自身が望む医療を受ける権利、通院医療機関を選ぶ権利もまた保障されていません。32条のみならず精神医療の全ての分野において私たち自身の生命にかかわることが、私たち抜きに、国家、家族、精神病院の都合で決められようとしています。

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(略)


お便り

I

集団のニュース見るたび精神病者を取り巻く環境が決して楽観できない。むしろ後退しているのを感じます。

私は年齢にも負けず今恋愛中です。

残念ながら今のところ片思いですが、この恋は成就しそうです。

私が慌てなければ。

街に行き、カップルの手をつないだところは、しゃくにさわっていましたが、今はあんなになりたいなあと思えるようになりました。

これは、病気の為恋愛さへ失い、青春はいつだったか思い出せない病者のため息です。

恋と言えど真剣勝負です。

限られたチャンスを生かさんと。

(略)


国会議員の差別発言

けん

達増議員(自由党)の差別発言に関し以下の抗議メールを送りました。詳しい報告は次号で。

5月15日(火)に国会での達増拓也議員による田中真紀子外務大臣への質問において、(田中大臣の行動は)『「精神分析」の対象となるものだ』との発言がありました。この発言は「精神病」者への偏見を反映した「精神病」者への偏見を助長するおそれの大きい発言であって、強く抗議すると同時に説明を求めます!

全国「精神病」者集団のホームページ(私設)管理人
佐藤健二

(略)


本の紹介

長野英子

全国「精神病」者集団の闘争の歴史について書きました。

『自立生活運動と障害文化――当事者からの福祉論』

全国自立生活センター協議会編・発行
現代書館発売
3500円プラス税

身体障害者が中心の自立生活センター協議会の本ですので、身体障害者の文章が中心です。資料年表も身体障害者が中心ですが、「精神病」者としては長野英子と全精連の加藤真規子さんの二人が書いています。

個人の聞き書きの部分は身体障害者がほとんどで「精神病」者はいませんが、それぞれの長い闘いの歴史はこの国の障害者解放運動の歴史として参考になります。

(略)


窓口入手資料

  • 精神科医による山上晧批判論文
  • 法務省厚生労働省合同検討会 第1回議事録

インターネットでも厚生労働省のホームページで読めます。
http://www.mhlw.go.jp/search/mhlwj/mhlw/shingi/0101/txt/s0129-2.txt


(略)


夏期カンパ要請

日頃の会員の皆さまのご協力および支援の皆さまのご支援に感謝いたします。

厚生労働省法務省の精神医療総体の保安処分に向けた再編への合同検討会も始まり、私たち「精神病」者を窒息させていく攻撃が強まっています。また精神医療の現場でも強制入院や強制医療だけではなく、入院拒否や強制退院に見られるような医療拒否によって命を奪われる仲間の例が後を絶ちません。

この現状の中で私たち全国「精神病」者集団は、今後も反保安処分、もっとも排除された仲間とこそ結びつくことをめざし日常的な活動を継続していかなければなりません。一人一人の会員の命を守る活動を基本に据え、今後もさまざまな形の救援の闘いを進めていかなければなりません。

同時に圧倒的な保安処分攻撃に対する闘いにも立ち上がっていかなければなりません。

しかしながら全国「精神病」者集団は会計報告にありますように、慢性的な赤字に苦しんでおり、このままではニュース発行すらおぼつかない状態です。ニュースは仲間の絆であり命綱です。ニュース発行や手紙電話の交流をとぎれさせるわけには参りません。事務所の撤去による赤字財政の解消を考えていますが、事務局員の不調によりその具体化さえままならないのが今の全国「精神病」者集団の実態です。

全国「精神病」者集団の事務局員はもちろん無給、交通費その他活動費は全て手弁当です。経済的逼迫の中で現在事務局員は全員倒れています。会計の赤字分はすべて「精神病」者の一会員からの借金です。この会員もよそから借金をして全国「精神病」者集団に貸している状態です。

リストラ、介護保険の導入やら年金の削減といった厳しい状況で皆さまもさまざまな形で苦しんでおられることと存じます。そうした中でカンパのお願いをするのは大変申し訳ありませんが、どうか全国「精神病」者集団存続のためにカンパにご協力くださいませ。

なおニュース購読料や資料代の請求書(郵便振替用紙は請求書ではありません。「精神病」者会員はニュース購読料も会費も無料ですのでご心配なく。振替用紙はカンパを下さる方への便宜のために全員の同封しております)が入っていた方はどうかニュース購読料、および資料代をお振り込みいただけますようお願いいたします。

全国「精神病」者集団の財政はニュース購読料とカンパのみに頼っております。皆さまの中で余裕のおありの方はどうか健常者の有料購読者をご紹介いただけますようお願いいたします。窓口に申し出ていただければ、ニュース呼びかけビラと見本誌をお送りいたします。なにとぞよろしくお願いいたします。あと40名の有料購読者が増えれば、全国「精神病」者集団の赤字は解消いたします。

2001年6月

カンパ振込先

郵便振替口座 00130-8-409131
口座名義 絆社ニュース発行所


会計報告

2000年4月1日~2001年3月31日

収入

ニュース代 134,400円

カンパ 86,730円

夏カンパ 308,658円

資料代その他 144,337円

冬カンパ 264,900円

分会分担金 30,000円

利子 12 円

支出

印刷費 8,758円

家賃 720,000円

水道代 17,580円

光熱費電話代 38,978円

事務所契約更新料 120,000円

通信費 108,053円

文具 4,026円

その他 (預かり本代金他) 57,270円

障定協分担金 14,142円

計 969,037円
計 1,088,807円

今年度の収支 -119,770円
前年度より繰り越し -270,345円
来年度に繰り越し -390,115円