2000年10月発行のニュースです。一部のみの掲載となっております。
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- 目録
ごあいさつ
- 少年法の改悪、刑法の改悪など
(略)
電気ショック療法を廃絶したい
(略)
報道のあり方
(略)
カルテ開示
(略)
SSKO
全国「精神病」者集団
ニュース
ごあいさつ
(略)
少年法の改悪に続き、巻末新聞記事にありますように、いよいよ刑法の改悪が日程に上っています。少年犯罪と言われるものが年々減少し、少年による殺人も減っているという統計には目を向けようとせず、ひたすら重罰化をもって対応しようとする少年法の改悪ですが、刑法においても重罰化を主な内容とする見直しについて予算請求がなされました。
6月号ニュースでお知らせしたように私たち「精神病」者に対する「保安処分攻撃」は強まる一方です。そして今、刑法改悪がたくらまれています。現在の保安処分攻撃が刑法上の「保安処分」となるのかあるいはあくまで精神医療の保安処分的強化を目指すのか、権力の意図はまだ不明ですが、刑罰に対しては、本人への不利益処分=国家権力の刑罰権という発想の下で、その重罰化あるいは刑法上の保安処分に抵抗することはできても、精神医療=医療=本人の利益になるよいこと、という発想の下では、私たち「精神病」者に対する精神医療の保安処分的強化にあらがうことはできません。少なくとも「本人の利益になること」を本人以外が判断し強制する体制の下では、強制医療を前提とした社会防衛のための精神医療を強化することを正当化する議論しか生まれません。
そしてよりよい福祉を、地域での医療をという声すら、地域での「精神病」者監視網強化へと動員されかねない状況が今あります。福祉・医療の充実と管理はコインの裏表です。福祉国家こそ優生思想に基づく強制不妊手術の発祥の地です。戦前の日本で「精神病」者の組織的大量虐殺がナチス体制下とは違って行われなかったのは、ひとえに福祉と精神医療の不充分さゆえであったと思います。医療にも福祉にも縁のない「精神病」者が大量に存在したので、登録そのものがなく、組織的虐殺をしたくてもできなかったのです。そして現代日本では?
(略)
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電気ショック療法を廃絶したい
佐賀 I
わたしは障害者・市民・専門家が人と情報の交差点をつくり、精神障害者も暮らしやすい街づくりをしているKという団体に所属しています。
いつも思っていることはただ一点です。それは地球上から電気ショック療法を廃絶したい。そうならなければいけない。この一つのことも共に考える仲間もいないし、共に語る仲間もいないし、共に語るものもいません。
全国の電気ショックの被害者の皆さま。この一点に絞って考えて見ませんか。
(略)
報道のあり方
福岡 I
……略……
およそ一ヶ月前、五月三日から四日の未明に起きた九州のバスジャック事件。ゴールデンウィークの初日、事件は死傷者までだす大惨事となりました。結果的には広島県警の作戦が、成功して、ちらつかせていた凶器の包丁は取り上げられ、人質となった小学一年の女の子も無事救出され、未明午前五時過ぎ、事件は解決しました。
その成り行きを見守っていたわたしは途中から嫌な予感がしていました。「もしかしたら、この犯人は精神障害者ではないだろうか。そしてまたそのことだけがさも重大事のごとく喧伝されるのではないだろうか」。予感は的中した。午前三時頃だったろうか、「犯人の少年は、精神病院から外泊中でした」と、コメントが入った。果たして、あえて、その少年が、精神病者であることを言う必要性があったのであろうか。精神病に疎い環境にある人々にとって、それは「精神病者恐ろしい」「だから精神病院に閉じこめておく必要性はある」という印象を与えたのみだったと思う。それは今盛んに法案が強化されようとしている強制移送の問題であったり、さまざまな私らが、院外で生活するにあたり不都合さを増長させるにもってこいのイメージの固定化を狙うものであったと思う。その後、少年が精神病院にいたこと、およびその前後のことがさまざまなニュースソースとなってマスコミはおもしろおかしく書き立てた。
ねらいのポイントは――精神病者は恐ろしい――我々、時々は病院に入院しながらも何とか壁のこちら側で生活している者にとっては、何とも肩身の狭い思いをさせられる。それでもわたしの住んでいる土地は四〇年前から約二〇年ほど、近くに精神病院があり、大人しい患者さんたちは、子どもたちと一緒に過ごす散歩の時間があり、地域の理解は進んでいた。そんな中を経験した人たちは、今、少なくなっていると思う。それゆえ、精神病者に大使、政府マスコミの作り上げた「恐怖心」をあおられるのである。――精神病者は恐ろしい――
話を元に戻して、果たして「犯人の少年は、精神病院から外泊中でした」という必要性はどこにあったのだろう。もしも、犯人が健常者であったならここまでマスコミは報道しなかったと思う。
このバスジャック事件は他にもいろいろな問題提起をしてくれたが、今回は「報道のあり方」を問題にしました。後日また、他の提起された問題についてもまとめたくもいます。
……後略……
カルテ開示
カルテは誰のものか、カルテを見る権利、というのは日本では長らく問題にされており、カルテ開示の法制化が求められてきました。法制化に反対している医師会は、代替案としてガイドラインをつくり、自主的にカルテ開示の方針を出しました。したがって原則として患者は自分のカルテを見ることができるようになりました。
まだまだいろいろな問題(コピー費用、例外的に開示されない場合があること、あるいは開示自体の位置づけなど)がありますが、自分の情報は自分でコントロールすること、自分に関する情報を知っておくこと、などのプライバシー権としては大きな意味があるでしょう。
(略)
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