ニュースPDFファイルは以下からダウンロードできます
6・26『NEWS』№21(20141119)
第21号(2014年11月19日)
生活をするのは普通の場所がいい
STOP! 精神科病棟転換型居住系施設!! NEWS
発行:病棟転換型居住系施設について考える会
速報
病院敷地内にグループホームを設置できるようにするパブリックコメントが、11月17日に出されました。12月16日が意見募集の締め切り日です。
「考える会」としての取り組みについては,近日中にお伝えしたいと思います.
11.13 「考える会」2回目の院内集会開催
参加者150名緊急アピール を採択!
2014年11月13日(木)参議院議員会館において,「精神科病棟転換居住系施設について考える 院内集会 part2」が開催されました.約150名ほどの人が集まり,衆参の議員の方々も駆けつけて,応援メッセージをいただきました.
<院内集会が目指したこと>
「考える会」では,6月26日の日比谷野外音楽堂での集会以降の動きを共有すること(例えば,7月1日「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会」の取りまとめ1),8月29日に出された厚生労働省の概算要求の概要,平成26年度地域医療介護総合確保基金の内示額一覧2),社会保障審議会障害者部会で示された病院敷地内グループホームの条件など3))が1つの目的でした.そして,各地で活発に行われている地域集会などの動きを報告し合い,この問題の本質を改めて確認すること,そして,国会議員の皆さんにこの問題に関心をもっていただきたいという思いで,院内集会を開催しました.
* 1)2)3)の資料は以下のURLからダウンロードできます.(テキスト版から)
1)http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000051138.pdf
2)http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000061596.pdf
当日のあらまし…………
集会は山本眞理さん(全国「精神病」者集団)から,国際的視野で見た日本の現状を報告することから始まりました.
<基調報告>
「あなたは病棟を転換した施設に暮らしたいですか」
「考える会」を代表して長谷川利夫さん(杏林大学)が,改めてこの間の経緯と問題の本質を語りました.そして,誰のための検討会だったのか,検討会のメンバー構成について,25分の2(25人の検討会委員の中に精神障害のある人たった2人)問題を指摘しました.障害者権利条約を国連で審議する際に大事にされてきた「私たちに抜きに私たちのことを決めないで」という言葉を紹介しながら,先の検討会の「私たち」とは「医療関係者」だったのだと話しました.
さらに9月に再開された内閣府障害者政策委員会の中に,これまでは加わっていた精神障害のある人,知的障害のある人が外されていることを報告し,この国の障害者施策などの検討のあり方の問題を訴えました.さらに,「『自分が社会のどこにどんな人間として生まれ変わっても耐えられるかどうか』がその社会が公正かどうかの判断の基準である」としたアメリカの哲学者ジョン・ロールズの言葉を紹介しました.そして,「果たして病棟転換型居住系施設を容認しそこに人が住む社会が公正と言えるのか.推進しようとする人たちは、自分が我が国の障害者に生まれ変わっても同じ主張をし続けられるのか」と問いかけました.
「結論ありき」の検討会
そして,検討会に参加していた当事者委員の1人であった澤田優美子さんは,「一体感のない会議だった.医師たちが専門的な議論ばかりしていた.結論ありきの検討会だったように思う.数で押し切られた」と改めて決定のプロセスの問題を指摘しました.
<各地の取り組みから>
大阪・愛知・長野・埼玉の4つの県からの報告がありました.6.26集会でこの運動を終わらせるわけにはいかないと準備を進めていった各地域で共通しているのは,幅広い団体で集会を開催し,議会への働きかけを行っていることでした.そして,各集会では長期間にわたる精神科病院での入院を経験した人たちが,自らの体験を集会で語っています.
? 当事者の声の力 ?
愛知県の報告では,20年間の入院経験のある女性が発言の前日まで「(集会で自分の経験を話したら)また病院に入れられてしまうのではないか」と心配しつつ,当日は「B型事業所(福祉的就労の場)を利用していて,いまが一番幸せ.病院は私たちを信頼して地域に戻してほしい.病院には自由がない」と語ってくれたそうです.本人たちの話には説得力があったと報告されました.
? 家族の思い ?
埼玉県の取り組みが報告され,家族の苦悩する思いが紹介されました.
「病状が悪化したときに相談する場所がなく,家族任せの現状の中で,多くの家族が困っていること,必死に病院につなげても病院でも必要な知識を与えられなかったり,家庭内で暴力が振るわれたり,悲惨な状態におかれ,自分の力に限界を感じる家族がいること.しかし,病院内で一生を終えさせてはいけない.現状の精神科医療体制では安心して暮らせない.回復を前提とした精神科医療を求めたい.社会的自立を求めるのなら,地域の支援が必要.経営問題で考えられた今回の構想には反対」と力強く発言されました.
<各団体から>
その後各団体から,DPI日本会議事務局長佐藤聡さん,全国精神保健福祉連合会(みんなネット)事務局長野村忠良さん,全国精神障害者団体連合会(ぜんせいれん)常務理事有村律子さんから,それぞれ発言をいただきました.
そして,参加者からもそれぞれの思いを語っていただき,この問題を引き続き取り組んでいくことなどを確認し合いました.
最後の締め括りは,全国精神障害者地域生活支援協議会(あみ)代表の伊澤雄一さん,伊澤さんは検討会の委員の1人として,病棟転換型居住系施設に反対を貫いてきました.
「6月26日の大集会でエネルギーをいただいたが,7月1日の検討会には力が及ばず,悔しい思いがあった.この日は集団的自衛権が閣議決定された日でもある.2004年の改革ビジョンの総括なしに新たなビジョンをつくっていくこと,検討の中心が病院の経営問題で,よりましロジックであり,何をどう出してきても経営論に立脚している以上はダメ.
障がい者制度改革推進会議総合福祉部会には,ほとんどの障害の人が構成員として網羅され,骨格提言をまとめた.今回の場合は当事者性がねじれていた.逆戻りの収容政策.隔離の色合いが強まる危険性がある」と指摘し,「社会的入所が固定化し,院内処遇が中心となり,地域支援の後退につながるのではないか」と警鐘を鳴らしました.
病棟転換型居住系施設に関する緊急アピール
昨年来、厚生労働省では「精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会」が開催され、本年3月には「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針」が告示されました。同指針のなかで引き続きの検討課題とされた地域の受け皿づくりの在り方等に係る具体的な方策について、「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策の今後の方向性」が取りまとめられました。
本取りまとめのなかでは、「地域移行のための病院資源の有効活用」という名目で、不必要となった建物設備等を居住施設にする「病棟転換型居住系施設」、グループホームを病院敷地内に設置することを容認する方向が打ち出されました。11月中には敷地内グループホームを認める省令改正のためのパブリックコメントが行われ、来年3月にはそれを認める省令改正が予定されています。
そもそも厚労省の上記検討会は、構成員25人のうち、精神障害当事者2人、家族1名、一方で医師が13名という偏った構成であり、その検討結果は十分に当事者の意見が反映されているものとは言えません。そのような検討会から導き出された取りまとめには重大な疑義があります。
精神科病院に入院している人たちが帰る場所は、地域であり、今ある精神科病院の病棟を転換してアパートなどにしてもそこは地域ではありません。同じ場所にいながら退院したことにしてしまうこの政策は、地域移行に真っ向から反することであり、この動きに私たちは強く反対し、そのような省令改正を行わないよう強く求めます。
また、この病棟転換に要する費用に消費税の増税分により創設する基金が充てられようとしています。このような施設の建築のために血税を用いるなどあってはならないことであり、決して許してはいけません。
本年は我が国の障害者権利条約の批准元年です。それにもかかわらず、本年9月に再開した障害者権利条約の監視機関である内閣府障害者政策委員会では、精神障害、知的障害の当事者委員が外されました。これはNothing About Us Without Us!(私たち抜きに私たちのことを決めないで)の精神に逆行するものです。これに厳重に抗議すると共に、速やかに従来通り当事者の意見を反映すべく当事者委員を復活させるよう強く求めます。
私たちは、我が国の過剰な精神病床を延命させるための新たな隔離施設を作り出すこの動きに強く反対し、障害があってもなくても市民として平等に地域に暮らすことができるよう強く求めます。
2014年11月13日
STOP! 病棟転換型居住系施設!! 生活をするのは普通の場所がいい
病棟転換型居住系施設について考える院内集会part 2 参加者一同
* 地域での集会・学習会の資料で本書をご利用になる場合には,10冊以上ご注文の場合には2割引き+送料でお分けできます.(50冊以上の場合には2割引き+送料無料)
ご注文は,やどかり出版まで(電話048-680-1891~1892 Fax048-680-1894)
病棟転換型居住系施設について考える会
stopbttk@yahoo.co.jp
この『速報』は、複写、転送、転載、大歓迎です。ご自由かつ積極的にご活用ください。
《連絡先》長谷川利夫(杏林大学保健学部作業療法学科)
TEL.042-691-0011(内線4534)〔携帯電話〕090-4616-5521 http://blog.goo.ne.jp/tenkansisetu