病棟転換居住系施設反対 長野の仲間の取り組み

長野県では、病棟転換居住系施設を作らせないために、県知事宛と県議会宛の請願署名運動が始まりました
締め切りは9月16日
送付先は
380-0928
長野市若里7-1-7
長野県社会福祉総合センター2階
NPO法人ポプラの会

長野県民以外でも署名できるそうです

以下呼びかけ文

長野県民の皆様へ
『自分らしく地域社会の中で暮らしたい』
―精神科病棟転換型居住系施設は要りませんー

ご存知ですか?
世界の精神科病床の約 5 分の 1 に当たる 35 万床が日本にあり、約 32 万人の方々が入院をし ています。そのうち 1 年以上入院している方は約 20 万人、さらに 10 年以上の入院者は約 7 万人もいます。日本だけに精神障がい者が多いわけではありません。入院治療の必要性が薄いにも かかわらず、入院者をめぐる社会的諸事情により退院ができない「社会的入院」といわれる状況の方々が異常に多い結果です。これは国による長期の隔離・収容政策によるものです。また、日本では、精神科病院のほぼ 9 割が民間経営になっていることも特徴です。
国は、2004 年に「精神保健医療福祉の改革ビジョン」の中で「入院医療中心から地域生活中 心へ」をうたいましたが、現在まで地域移行は遅々として進んでいません。その背景には、いつまでも家族に依存した福祉施策、精神科医療改善の遅れ、生活や就労の場及び所得などの保障 施策の不備、地域社会の中で支援する人材育成の遅れなどがあります。
厚生労働省で昨年来開かれてきた「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会」は、本年 7 月 1 日、退院を促し病床を削減するため、作り過ぎた精神科病床を居住 施設に転換することを容認する報告書をまとめました。しかも先の国会で成立した「地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律」の中の「新たな財政支援制度」の基金 904億円(消費税増税分で設けられた基金)の対象事業に、「病床転換型居住系施設」の費用がす でに盛り込まれています。いくら条件を付しても、病院経営のために、空いた病棟を「有効活用」して、病院の敷地内に退院させる構想は、病院側の論理であり、患者不在、当事者不在です。長期入院者がそのまま病院内に留まり続け、さらに退院意欲や機会を失い、地域で暮らすことが困 難になることが強く懸念されます。
障害者権利条約 19 条には 「障害者が、他の者との平等を基礎として、居住地を選択し、及びどこで誰と生活するかを選択する機会を有すること並びに特定の生活施設で生活する義務を負 わない」 とあり、いくら条件を整えようと、当たり前の社会生活から遠く隔たっており、「病床転換型居住系施設」はとうてい容認することはできません。

今、私たちが皆さんにご理解いただきたいこと

私たちは、精神障がい当事者、家族、地域移行(退院促進)及び地域生活の支援者、そして一般 市民です。今回の問題に対して、それぞれの立場からお伝えしたいと思います。

<当事者>
精神障がい者もひとりの人間です。地域で人間らしく暮らす自由と権利を奪わないで!
大堀 尚美 私は、人間として生まれてきたからには、管理される場所で暮らし続け一生を終えたくありませ ん。適切な治療を受けた後は、地域で待っていてくれる人や家族のもとへ戻り、鍵のかけられな い、管理されない自由のある場所で暮らしたいのです。私は今、数回の入院から退院して、地域 で暮らせる幸せを感じています。大空の下で胸いっぱいに息をするとき、生きていることを実感し ます。行きたい場所を決め、会いたい人に、会いたいときに会って話すことができたとき、自由で いることの幸せを実感します。入院している人たちは、そんな当たり前の暮らしを、諦めざるを得 ない状況に置かれているのです。
精神疾患は誰でもなりうる病気です。例えば、うつ病は日本人の 5 人に1人が罹患しています。 でも、人々の支援や医療・福祉等によって克服し社会参加もできます。退院して地域で暮らせる はずの仲間たちが一日も早く病院内の施設から解放され、夢と希望をもって生きることができるようにお力を貸してください。

<地域生活支援者>
長期入院の経験談を聞いてください

太田 廣美

    ○入院生活では与えられた食事だったが、今は好きなものを買ったり、ホームのメニューを要望 できたりするので食事を楽しむことができる。仕事に行かない日は、友人と一緒に買い物に 出かけ、外食をしたり自由に行動できたりするのが嬉しい。病院では 10 人部屋で、気を遣っ て生活していた。今は、ホームのひとり部屋で自分の好きな時に寝たり起きたり出来、のんび りできるのがなによりいい。(入院経験 40 年 女性 74 歳)

 

    ○病院では看護師さんに希望を言い、看護師さんから医師にきいてもらい許可が出てから外出 し、外出先から帰ると何か持っていないかチェックを受けた。グループホームではいつでも出 かけられ、買ってきた食べ物は部屋へ持っていってもいいし、食べることもできる。入院中は趣味活動ができないが、グループホームでは部屋にミシンを持ち込んで洋服が作れたりする。(入退院繰り返し 30 年 女性 76 歳)

 

    ○グループホームではボランティアさんが来て、きれいな押し花で飾るものを作ったり、編み物(アクリルタワシ)を教えてもらったり、2 週間に1度移動図書館で絵本などを借りて読んでいる と心がなごむ。花に水をくれたり、散歩もいい。また、グループホームのメンバー会は司会や 記録を決めてやる。自分は記録をしたことがある。計画を立てたり、話し合ったりすることが楽 しい。風呂掃除やごみ出しもあるが、一緒にやってくれる仲間がいるのでできる。(入院経験20 年 女性 63 歳)

 

        ○風呂は一人でゆっくり入れる。入るのも自由でこんな良い所はない。病院では 12 人がイモ洗 い状態で入っていた。30 分間で入って、男性と交代になった。グループホームでは、怒られ ることがない。病院では喧嘩したり、お金遣いが荒かったり問題を起こせば、閉     鎖病棟に入れ られてしまうので、1 日ベッドで静かにして過ごしていた。(入院経験 43 年 女性 71 歳)

住む場と必要な支援が受けられれば、地域で「自分らしい生活」を送れます。長期入院されていた方もグループホームやアパートなどでいきいきと生活されています。
長野市で 20 年以上精神障がい者の地域生活を支援してきて、当事者の皆さんの「地域で暮らしたい」思いをしっかり受け止め、「退院してよかった」の声を出来る限り多くの人に届け、偏見や 無理解の壁を少しでも取り払うことが何より大切だと実感しています。

<市民の立場から>
1億人の断念と希望

戸崎 公恵

8年前、「7万人の断念と希望」というタイトルで精神障害当事者の取材記事を雑誌に掲載した。 当時恥ずかしいことに「社会的入院」という言葉すら知らなかった。取材させてもらった当事者会「ポプラの会」とは今も交流し、個人的な関係も深まった。当事者同士の結婚も見守った。二人は ルンルンの時もあれば、体調を崩す時もあった。それは障害の有無にかかわらず当たり前の生 活に他ならない。
「病棟転換型居住系施設」の事を知ったのは、今年1月の新聞社説だった。長期入院している 人達が本来送るはずの社会生活が前提になく、病院経営に焦点を当てた論説に不快感が残っ た。「どう死ぬかではなく、どう生きるかでしょ」と友人でもある当事者の言葉にハッとした。民意不 在でどんどん法律が変えられていく中、各々がどう生きたいのか「1億人の断念と希望」がこの施 設反対運動にかかっている。

<支援専門職>
長野県の精神保健福祉関係者、支援者、家族のみなさまへ
宗利 勝之(相談支援専門員、精神保健福祉士)
「なぜ精神障がい者だけが、退院しても病院で暮らさなければならないのか」という疑 問が頭に浮かんでは消えることを繰り返しています。初めて「病棟転換型居住系施設」推 進の話を聴いた時には、何かの悪い冗談かと思いました。そして、「まさかこんなバカげた方針が採用されるはずはない」と我が国の精神保健福祉関係者の良識を信じていたのです。
私は 7 年半、国・県の事業で東信地域の退院支援をコーディネーターとして取り組んで きました。2004 年に「条件が整えば退院可能な 7 万人の地域移行を実現する」と決めたことは、国による精神障がい当事者に対する社会的入院解消の約束だったはずです。病棟転換型居住系施設が実現するということは、「10 年たって地域社会に精神障がい者の居場所 はないと」と断言するようなものです。確かに、まだまだ取り組みが進んでいないにせよ、あきらめていいものでしょうか。私は、これ以上、当事者の気持ちを踏みにじるような取り組みには加担できません。私だけでなく、県内の精神保健福祉関係者の中には、同じよ うな思いを抱いている人が少なくないはずです。ご家族も、病院に居てくれれば安心という思いと、引き取るのは無理だけど本音では地域社会で当たり前の生活をさせてあげたいという思いが葛藤しているものと思います。これまで精神障がい者は抑圧された状況で、 満たされない思いを抱きながらも、自ら声を上げることがありませんでした。しかし今回は、反対を表現しています。私たち精神保健福祉関係者や家族も一緒になって支援者として声を上げる必要があります。この様な施策を受け入れてしまえば、今後県内の精神保健福祉関係者は、治療や福祉の専門職として、身近な社会生活の応援者として、信頼を失い、当事者に二度と受け入れてもらえなくなるでしょう。精神保健福祉の関係者は、誰よりも 当事者の意見に耳を傾け、反対の声に応えていかねば、その存在価値を永久に失ってしま うことでしょう。

この機会に、県内の私たち精神保健福祉の関係者と障がい当事者、家族がしっかりした見識を持って、「受け入れられないものは受け入れられない」と意思を表明し、誰もが生き る場となる地域社会を創り上げるため、さらに力を結集していきましょう。
どうか「長野県に病棟転換型居住系施設はいらない」と伝える活動に共鳴してください。

<当事者の会>
私たちの運動にご理解とご協力をお願いします

山本 悦夫(NPO法人ポプラの会)

私は、最高7年間の入院生活を余儀なくされた一人です。9回の入退院を繰り返しまし た。気が付いたら両親が亡くなり姉と二人きりになってしまい、帰るところがなく、その ままでは社会的入院になるところでした。でも現在の私は、退院して結婚もし、社会的使 命を持った事業を運営しています。毎日、充実した日々を送っています。ですから、精神 科の患者に対しても一般病棟と同じように、治療が済めば「退院」に結び付けてください。 病院内で非人間的な一生を終えるのではなく、地域社会の中で普通に暮らしたいと思うの は当たり前の願いです。今回の様な退院患者を病院の敷地内に押しとどめる様な施策は、 精神障がい者への差別です。
私にとって精神科病院は辛かった。社会から遮断された密室の世界。お金のない人は指 をくわえている世界、いつの間にか非人間的な扱いに慣れてしまう世界、こんな精神科病 院に風穴を開けてほしいのです。
私は長野県に精神科病棟転換型居住系施設を作ることに反対です。長野県では長野県民 に生まれてきて良かったと思えるような政策を展開してほしいのです。県民の皆さん、こ の運動を応援してください。

「精神科病棟転換型居住系施設」ではなく、総合的、地域移行施策の充実を 長野県は、2007 年より、国に先駆けて精神障害者退院支援コーディネーター設置等事業を実 施し、精神科入院者の退院促進、地域移行に積極的に取り組み、実績を積み重ねてきています。
「退院してよかった!」という多くの声が聞かれます。 行政には、病院敷地内の居住施設へ退院するのではなく、その人の望む地域生活の実現に向け、地域の福祉サービスや在宅医療の充実を財政面、制度面から後押ししていただきたいと 思います。長野県では「精神科病棟転換型居住系施設」の試行事業を行わず、総合的な地域移行施策を当事者はじめ、家族・関係者の声を反映させ充実させていただきたいと願っています。

呼びかけ文署名用紙PDFファイルはこちらからダウンロード



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