普通の場所で暮らしたい!
病棟転換型居住系施設に反対し、人権を守るための緊急アピール
我が国における障害のある人たちの人権が重大な危機にさらされています。
現在、厚生労働省に設置されている「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会」では、精神科病院の病棟を居住施設に転換する「病棟転換型居住系施設」構想が議論されています。
検討会は、長期入院をしている人たちが、地域で安心した暮らしを実現するための検討が目的だったのですが、余った病棟をどう使うのかという議論にすり替えられています。病院に入院している人が帰るべき場所は、「地域」です。現在ある病棟に手を加え、看板を「施設」と架け替えてもそこは「地域」ではありません。
日本の人口は世界の2%にすぎませんが、精神科病床は世界の2割を占めています。日本に重症の精神疾患が多発しているわけはありません。1年以上の入院が20万人、10年以上の入院が7万人、諸外国なら退院している人がほとんどです。
今すべきことは、長期入院を続けている人たちが、地域に帰るための支援態勢を整えることです。病棟転換型居住系施設ができてしまえば、入院している人たちは、病院の敷地内に留まることになってしまいます。そればかりか、統合失調症の入院者が激減し、余ったベッドを認知症の人で埋めようという経営戦略の一環として、次なる社会的入院が生まれていくことが危惧されます。
我が国は、本年1月に障害者権利条約に批准しました。障害者権利条約では「他の者との平等を基礎として」という言葉が35回述べられ、第19条では、「障害者が、他の者との平等を基礎として、居住地を選択し、及びどこで誰と生活するかを選択する機会を有すること並びに特定の生活施設で生活する義務を負わないこと」としています。病棟転換型居住系施設はこれらに反し、国際的な非難をあびることになることは明らかです。さらに障害者権利条約を守らなくていいという前例をつくることにもなり、到底認めることはできません。もしもこのようなものを一旦認めてしまえば、日本の障害者や認知症の施策に多大な悪影響を及ぼすことは間違いありません。どんなに重い障害があろうと地域生活は誰にも侵すことのできない権利です。同時に家族に依存した支援のあり方を大きく変えていく必要があります。
病棟転換型居住系施設は、人権をないがしろにする「あってはならない施設」であり、日本の障害者施策、認知症施策全般の根幹を揺るがす愚策に他なりません。私たちは、この施設構想の検討をやめ、社会資源や地域サービスの構築を急ぎ、誰もが地域に普通に暮らすことができるよう強く求めます。
2014年6月26日
生活をするのは普通の場所がいい STOP! 精神科病棟転換型居住系施設!!
6.26緊急集会参加者一同