医療と介護総合推進法 趣旨説明と参院附帯決議

この法案趣旨説明の第一の二に述べられている基金が病棟転換居住系施設に使われる基金です。

附帯決議の一の2に触れられている基金が病棟転換居住系施設に使われようとしている基金です
赤字および下線は筆者

 

法案趣旨説明(厚生労働委員会)

 

地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案   (閣法第二三号)(衆議院送付)

 

要旨

本法律案は、地域において効率的かつ質の高い医療提供体制を構築するとともに地域包括ケアシステムを構築することを通じ、必要な医療及び介護の総合的な確保を推進するため、医療法、介護保険法等の関係法律の所要の整備等を行おうとするものであり、その主な内容は次のとおりである。

第一 地域における公的介護施設等の計画的な整備等の促進に関する法律の一部改正 一 厚生労働大臣は、地域における医療及び介護の総合確保方針を定めなければならない。 二 都道府県が、医療及び介護の総合的な確保のための事業に要する経費を支弁するため、基金を設ける場合には、国は、その財源に充てるために必要な資金の三分の二を負担するものとする。

 

第二 医療法の一部改正

一 一般病床等を有する病院又は診療所の管理者は、病床の機能区分に従い、病床の機能及び病床の機能の予定並びに入院患者に提供する医療の内容等の事項を都道府県知事に報告しなければならない。

二 都道府県は、医療計画において、将来の医療提供体制に係る地域医療構想に関する事項、地域医療構想の達成に向けた病床の機能の分化及び連携の推進に関する事項等を定めるものとする。

三 病院等の管理者は、医療事故が発生した場合には、医療事故調査・支援センターに報告しなければならない。また、病院等の管理者は、医療事故調査を行い結果を同センターに報告しなければならない。

 

第三 介護保険法の一部改正

一 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)等に係る給付対象を、厚生労働省令で定める要介護状態区分に該当する状態である者その他居宅において日常生活を営むことが困難な要介護者とする。

二 介護給付及び予防給付について、政令で定める額以上の所得を有する第一号被保険者に係る利用者負担の割合を、その費用の百分の二十とする。

三 介護予防サービスのうち介護予防訪問介護と介護予防通所介護を地域支援事業に移行し、平成二十九年三月三十一日までに、市町村は、介護予防・日常生活支援総合事業を行うものとする。

第四 施行期日  この法律は、一部を除き、公布の日から施行する。

 

 

参院附帯決議

地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案 に対する附帯決議平成二十六年六月十七日 参議院厚生労働委員会

 

政府は、公助、共助、自助が最も適切に組み合わされるよう留意しつつ、社会保障制度改革を行うとともに、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 

一、地域における公的介護施設等の計画的な整備等の促進に関する法律の一部改正について

1地域包括ケアシステムの推進に当たっては、地域の実情に十分配慮した上で、実施体制の充実及び機能の強化を図り、その実現に努めること。

2地域における医療及び介護の総合的な確保のために都道府県に設けられる基金の配分に当たっては、実効性、公正性及び透明性が十分に確保されるよう、総合確保方針を策定し、官民の公平性に留意するとともに、成果を適正に判定するための事業実施後の評価の仕組みの構築を急ぐこと。

 

二、医療法の一部改正について

1医療提供体制等について

ア病床機能の報告に当たっては、報告内容が医療機関に過度の負担とならないよう留意するとともに、地域医療構想の策定において将来における医療機能の必要量が適切に推計され、また、その実現に資するよう、都道府県に対し、適切な指針の提示や研修及び人材育成等の必要な支援を行うこと。

イ病床機能の再編に当たっては、地域において医療機関相互の協議が尊重されるとともに、保険者及び地域住民の意見が反映されるよう配慮すること。

ウ医療従事者の確保に当たっては、医師の地域又は診療科間の偏在の是正等に留意しつつ、医療需要を満たすよう適切な措置を講ずること。

エ医療従事者の勤務環境の改善については、医療従事者の離職防止及び定着促進の観点から、関係団体の意見を十分に尊重するとともに、取組が遅れている医療機関にも必要な支援がなされるよう、都道府県に対し十分な協力を行うこと。また、いわゆるチーム医療の推進を含めた医療提供体制の抜本的改革の推進に努めること。

オ国民皆保険の下で行う医療事業の経営の透明性を高めるため、一定の医療法人の計算書類の公告を義務化することについて検討すること。

カ臨床研究における不正行為を排除し、臨床研究に対する国民の信頼を回復させるため、研究データの信頼性が確保される体制が整備されるよう、臨床研究中核病院の承認基準を定めること。

キ医療提供体制の政策立案から評価、見直しに至るPDCAサイクルの実効性を確保するとともに、その過程における患者、住民、保険者の参画を図ること。あわせて科学的知見に基づいた制度の設計と検証に資するため、医療政策人材の育成を推進すること。

2医療事故調査制度について

ア調査制度の対象となる医療事故が、地域及び医療機関毎に恣意的に解釈されないよう、モデル事業で明らかとなった課題を踏まえ、ガイドラインの適切な策定等を行うこと。

イ院内事故調査及び医療事故調査・支援センターの調査に大きな役割を果たす医療事故調査等支援団体については、地域間における事故調査の内容及び質の格差が生じないようにする観点からも、中立性・専門性が確保される仕組みの検討を行うこと。また、事故調査が中立性、透明性及び公正性を確保しつつ、迅速かつ適正に行われるよう努めること。ウ医療事故調査制度の運営に要する費用については、本制度が我が国の医療の質と安全性の向上に資するものであることを踏まえ、公的費用補助等も含めその確保を図るとともに、遺族からの依頼による医療事故調査・支援センターの調査費用の負担については、遺族による申請を妨げることにならないよう最大限の配慮を行うこと。

 

三、介護保険法の一部改正について

1介護予防訪問介護及び介護予防通所介護の地域支援事業への移行に当たっては、専門職によるサービス提供が相応しい利用者に対して、必要なサービスが担保されるガイドラインの策定を行った上で、利用者のサービス選択の意思を十分に尊重するとともに、地域間においてサービスの質や内容等に格差が生じないよう、市町村及び特別区に対し財源の確保を含めた必要な支援を行うこと。

2軽度の要介護者に対しては、個々の事情を勘案し、必要に応じて特別養護老人ホームへの入所が認められるよう、適切な措置を講ずること。

3いわゆる補足給付に際し、資産を勘案するに当たっては、不正申告が行われないよう、公平な運用の確保に向け、適切な措置を講ずること。

4一定以上所得者の利用者負担割合の引上げに際し、基準額を決定するに当たっては、所得に対して過大な負担とならないようにするとともに、必要なサービスの利用控えが起きないよう十分配慮すること。

5介護・障害福祉従事者の人材確保と処遇改善並びに労働環境の整備に当たっては、早期に検討を進め、財源を確保しつつ、幅広い職種を対象にして実施するよう努めること。

6介護の現場においては、要介護者個々の心身状態に応じた密度の濃い支援を適切に実施することができる有資格者による介護を行うこと。

 

四、保健師助産師看護師法の一部改正について

1指定研修機関の基準や研修内容の策定に当たっては、医療安全上必要な医療水準を確保するため、試行事業等の結果を踏まえ、医師、歯科医師、看護師等関係者の意見を十分に尊重し、適切な検討を行うとともに、制度実施後は、特定行為の内容も含め、随時必要な見直しを実施すること。

2特定行為の実施に係る研修制度については、その十分な周知に努めること。また、医師又は歯科医師の指示の下に診療の補助として医行為を行える新たな職種の創設等については、関係職種の理解を得つつ検討を行うよう努めること。

 

五、歯科衛生士法の一部改正について健康寿命延伸のために歯科衛生士が果たす役割の重要性に鑑み、歯科衛生士が歯科医師等との緊密な連携の下に適切な業務を行えるようにするとともに、歯科衛生士が活躍する就業場所についての環境の整備を図ること。

 

五、看護師等の人材確保の促進に関する法律の一部改正について看護職員の離職者の把握に当たっては、その情報の取扱いに留意するとともに、ナースセンターを通じた復職支援が適切に実施されるよう必要な体制整備を実施すること。

右決議する。

 

 



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