6・26集会速報4号

生活をするのは普通の場所がいい
STOP! 精神科病棟転換型居住系施設!!
6.26緊急集会
速報
第4号(2014年6月15日)
発行:病棟転換型居住系施設について考える会

[精神科病棟転換型居住系施設]への抗議の声、全国各地で続々

厚生労働省が強行しようとしている「病棟転換型居住系施設」に対し、全国各地で抗議の声が次々に表明されています。

6月15日
DPI日本会議
第30回DPI日本会議全国集会in静岡
精神科病院の「病棟転換型居住系施設」に反対する緊急アピール

私たちDPI日本会議は、すべての障害者の権利と地域社会における自立生活の確立を目指して活動している障害当事者団体である。
病院の敷地内で暮らすことが地域移行と言えるのであろうか。DPI日本会議は2006年~2007年にも、厚生労働省の精神科病院敷地内「退院支援施設」構想実態化を阻止すべく運動に力を注ぎ、退院支援施設への移行は「社会的入院者」の解消には繋がらないことを訴えてきた。
厚生労働省は本年3月に設置した「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会」において、精神科病院の病棟を居住系施設に転換するための協議を再び進めている。
日本は34万床もの精神科病床があり、これは人口比で全世界の4倍の精神科病床となっている。1年以上の長期入院を続けている人は20万人以上おり、地域での受け皿さえ整えば地域移行できる社会的入院が5~15万人いるとも言われている。これは、経営の都合であると検討会の場において経営側は発言している。この突出して多い精神科病床を削減し、地域移行を進めることが日本の大きな課題である。
しかし、現在検討されている「病棟転換型居住系施設」は、病院内の病棟を介護型施設、宿泊訓練、グループホームやアパート等に転換するというもので、生活の場は病院の敷地内にとどまるものである。にもかかわらず、数字上は34万床の精神科病床は削減され、地域移行が進んだと見なされる実態の伴わない見せかけの政策である。
我が国が本年批准した障害者権利条約では、第19条で「全ての障害者が他の者との平等の選択の機会を持って地域社会で生活する平等の権利を有することを認める」「特定の生活施設で生活する義務を負わない」と明記されている。「病棟転換型居住系施設」は、第19条が脱施設収容政策を求めている点と、事実上地域生活への選択ができない状況の中で進められている点から、この規定に反するものである。「病棟転換施設」問題は、障害者権利条約批准の価値を大きく損ねるものであり、精神障害者はもとより障害者全体に関わる重大問題である。真に地域移行を進めるためには、地域福祉サービスの拡充、住環境整備等の地域の社会基盤整備と、ピアサポートをはじめとする当事者エンパワメントの拡充が不可欠である。見せかけだけの地域移行ではなく、長年続けてきた大規模収容型施策から地域社会基盤整備へと政策の転換が必要である。
DPI日本会議は、障害者権利条約の理念に反する「病棟転換型居住系施設」に断固反対するとともに、地域の社会基盤整備を推し進めるように強く求める。
2014年6月15日
第30回DPI日本会議全国集会in静岡
参加者一同

6月13日
埼玉県精神障害者団体連合会
埼玉県精神障害者家族会連合会
埼玉県精神障害者地域生活支援協議会
きょうされん埼玉支部
埼玉県精神障害者社会福祉事業所運営協議会
長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に関する意見書
(厚生労働大臣、障害保健福祉部長、検討会座長 宛)

私たちは、埼玉県下で精神障害のある人たちの地域での暮らしや働くことを支えています。精神障害のある人たちは、長く福祉の対象外とされ、1987年の精神保健法施行によりようやく社会福祉事業の利用が可能になりました。2006年に障害者自立支援法(現総合支援法)が施行され、利用負担等の拭えない問題があるものの、福祉サービスが少しずつ利用できるようになりました。旧法当時の社会復帰施設、そして現法における生活訓練事業、グループホーム、相談支援事業、居宅支援事業、就労支援事業などを活用し、多くの人たちが地域での生活を実現しています。20年、30年といった長期入院を余儀なくされてきた人たちも、同じ病気を持つ仲間、支援者、そして多くの市民の人たちの支えをえながら、一市民として生活を切り拓いています。

一方で、精神科病院には、まだまだ地域での支えを必要をしている人たちがいます。
今年、1月に批准され2月に発効した「障害者の権利に関する条約(以下、「権利条約」)は、障害のある人たちが他の市民と平等の機会をもって地域社会に包容され、社会参加し、自立した生活ができるようにする措置を締約国の義務としています。これにより、精神科病院で長期に及ぶ入院を余儀なくされている人たちも地域で暮らせるよう、支援の基盤整備をいっそう進めていくことが責務とされます。私たちも「権利条約」の具体化に向け、実践を高めていくことに尽力しつつ、精神障害のある人たちのあたりまえの権利を取り戻していくことに大きな期待を膨らませています。

そうした中で、厚生労働省「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会」(以下「検討会」)において、患者が退院して不必要になった病床を「居住の場」として有効活用する議論が活発化していることに大きな疑問を抱いています。議論すべきは、病床をいかに有効活用するかではなく、地域における居住の場を確保し、地域生活を実現する支援環境をいかに整備するかです。

まずは、精神科病院に残されている人たちの状態を捉え、そうした人たちが地域移行していく道筋を検討していくことが優先ではないでしょうか。それは、入院していた病院の敷地にあるのではなく、「権利条約」という「他の者との平等」を実現すべく、同年代の人たちが暮らすような住環境で、地域生活を継続していくために必要な支援環境を充足させていくことです。グループホームや相談支援事業などの既存の事業の拡充、さらに多様な住まいのありようなど、整備を図っていくことが必要です。

以上、病床転換型居住系施設の計画を白紙にし、精神障害のある人たちの地域生活を実現する住環境の保障と福祉サービスの充足を図るよう、意見申し上げます。

6月11日
一般社団法人 精神障害者地域生活支援とうきょう会議
精神科病院の病棟を居住系施設に転換することに反対する声明

私たち「精神障害者地域生活支援とうきょう会議」(以下とうきょう会議)は、東京で精神障害者の地域生活支援に携わる支援者の団体として、精神科病院の病棟を居住系施設に転換するという政策に反対します。
精神科病院に社会的入院を余儀なくされてきた人たちの多くは、ご自分から望んで入院したわけではありません。その人たちを入院させようとしたのは、その人たちが地域社会で暮らしていくことを「問題」だと考えた本人以外の人たちです。日本では、精神障害のために生きづらさかかえて暮らす人たちは、社会の中で厄介な存在だと考えられてきました。精神科病院は、その厄介な問題を入院というかたちで棚上げしておける場所であり、今もその社会的機能は維持されたままです。
社会的入院は、私たちの社会が生み出した人権問題です。この問題に取り組むために私たちは、精神科病院に棚上げされ続けてきた問題を地域社会の中でこそ真に解決すべきものと位置づけ、いかなる病気や障害をかかえていてもその人が望む暮らしを実現できるようなコミュニティづくりを目指す必要があります。しかし、精神科病院の病棟を居住系施設に転換するという方策は、これとは真逆の指向をもつものです。この方策は、精神障害者を厄介な存在として社会から隔離してきた今までの誤った施策の流れに追従するものであり、決して認めることはできません。
私たちとうきょう会議は、厚生労働省に対して、精神科病院の病棟を居住系施設に転換する方向での議論を直ちに止め、精神障害者がいかなる病状や障害の状態にあるときでも、本人が望むかぎり地域での生活を続けるのに必要な支援の体制を実現するための政策の検討を強く求めます。

6月14日
一般社団法人 地域ネットワーク多摩(ちたま)
声明文

わが国は本年1月20日に『障害者権利条約』を批准し、国連加盟国中139番目の締約国となりました。本条約は市民が当たり前に有している様々な権利を、障害をもった方がたも当然享受することができるということを基本理念としています。
しかし現在、精神保健医療福祉の分野には、『精神科病棟転換型居住系施設』の施策課を進める動きがあります。これは精神科病院経営者らがていきしているもので、病棟を丸ごと生活(居住)施設に切り替え、そこに移ったら退院したとみなすことで、多すぎる病床や隔離処遇への国際的な批判をかわすとともに、病院の経営安定をはかるというものです。
精神科病院に入院している人が帰るべき場所は、「地域」「街」です。現在ある病棟に手を加え、それを「施設」としてもそこは「地域」「街」ではありません。そして先の障害者権利条約は、「特定の生活様式(施設)で生活する義務を負わない権利」を強く唱えています。
私たちは、「病院から地域へ」という精神保健医療福祉の方向性をさらに進展させ、医療と福祉の共同による生活支援の促進を通じて、市民一人一人が、真に地域での暮らしが成り立つ社会の実現を強く求めています。
よって精神科病院に入院している人々を引き続き病院にとどめるような施策に対し、ここに反対の意を表明する次第です。
以上
2014年6月14日
第4回 ちたま精神保健医療フォーラム
参加者一同

※地域ネットワーク多摩(略称、ちたま)は、多摩地区の国分寺市、府中市、立川市、国立市を中心とした精神医療保健福祉関係者による集まりです。この声明文は、6月14日に開催された「ちたま精神保健医療福祉フォーラム」(主催:地域ネットワーク多摩、後援:地域精神保健福祉機構=コンボ)で表明されたものです。

「病棟転換型居住系施設」を検討している人たちは誰?

長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会
構成員名簿

○ 伊澤 雄一  特定非営利活動法人全国精神障害者地域生活支援協議会代表
○ 伊藤 弘人  独立行政法人国立精神・神経医療研究センター社会精神保健研究部長
伊豫 雅臣  千葉大学大学院医学研究院精神医学教授
○ 岩上 洋一  特定非営利活動法人じりつ代表理事
荻原 喜茂  一般社団法人日本作業療法士協会常務理事・事務局長
○ 柏木 一惠  公益社団法人日本精神保健福祉士協会会長
河﨑 建人  公益社団法人日本精神科病院協会副会長
吉川 隆博  一般社団法人日本精神科看護協会業務執行理事
○ 倉橋 俊至  全国保健所長会副会長
佐藤 茂樹  日本総合病院精神医学会監事
澤田 優美子 日本社会事業大学大学院社会福祉学研究科博士後期課程
田川 精二  公益社団法人日本精神神経診療所協会理事
田邉 等   全国精神保健福祉センター長会会長
近森 正幸  社会医療法人近森会近森病院院長
○ 千葉 潜   医療法人青仁会青南病院院長
中板 育美  公益社団法人日本看護協会常任理事
中島 豊爾  公益社団法人全国自治体病院協議会副会長
長野 敏宏  特定非営利活動法人ハートin ハートなんぐん市場理事
○ 野沢 和弘  毎日新聞論説委員
○ 葉梨 之紀  公益社団法人日本医師会常任理事
◎○ 樋口 輝彦  独立行政法人国立精神・神経医療研究センター総長
平田 豊明  千葉県精神科医療センター長
○ 広田 和子  精神医療サバイバー
○ 山本 輝之  成城大学法学部教授
○ 良田 かおり 公益社団法人全国精神保健福祉会連合会理事
(五十音順、敬称略。◎は座長、○は作業チーム構成員)

そもそも、構成に問題はないですか?

構成員は全部で25名
その内訳は、医師 13名 ← 突出! 委員の過半数を占めます。日本精神科病院協会幹部も複数。
精神保健福祉士 3名
看護師 2名
精神障害当事者 2名 ← 明らかに少なすぎるでしょ!
家族 1名      ← 障害当事者と家族をあわせても、たった3名。内閣府の障害者政策委員会とは、ずいぶん違います。
作業療法士 1名
新聞社論説委員 1名
保健学研究者 1名
法律学者 1名

病棟転換型居住系施設について考える会
stopbttk@yahoo.co.jp



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