日本弁護士会連合会への申し入れ

日本弁護士会連合会御中

                 全国「精神病」者集団
                  164-0011
                東京都中野区中央2―39―3
                  電話 080-1036-3685
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                  e-mail  contact@jngmdp.org

             

                  
                2009年12月26日

要請書

貴連合会の人権擁護に向けた日ごろのご活動に敬意を表します。
私ども全国「精神病」者集団は全国の「精神病」者個人団体の連合体であ
り,1974年の発足時より、刑法改悪=保安処分新設と闘ってまいりました。
ご承知のとおり、来年心神喪失者等医療観察法は5年目の見直しを迎えます。
貴連合会は法案提出時に廃案を求め精力的に活動なさいました。私たちは日弁連
のこうした活動に励まされてきました。
私たちは以下に基づき心神喪失者等医療観察法の廃止を求めております。
なおこの問題は日弁連としては刑事法制委員会の担当となっているようですが、
本来精神障害者の身体の自由侵害の人権問題として、人権擁護委員会が担当とな
るべき問題でもあり、かつ高齢者・障害者の権利に関する委員会、あるいは国連
障害者人権条約との関係では国際人権問題委員会の課題でもあるべき問題です。
これら委員会が総合して取り組む問題であることを認識していただいた上で、こ
れら委員会の合同の場で、かつ公開のもとに私たちと討論していただきたいと存
じます。

医療観察法は廃止しかない
1 立法事実がない
法務省刑事局自身が以下述べている(「重大な犯罪行為をした精神障害者の処遇
決定及び処遇システムの在り方などについて」の法務省厚生労働省合同検討会で
の手持ちメモ)
「精神障害者の犯罪は最近特に増加しているわけではない。精神障害者を危険な
存在(犯罪予備軍)と見ることは困難である。法務省の検討の結果でも精神障害
者の再犯率が高いという調査結果は出ていない。『危険性の予測』については、
誰が、どのようにして行うのか、またどの程度の確実性を持って可能なのか、理
論的・実際的に困難な課題がある」
2 精神障害者差別立法である
  精神障害者のみを他のものとは違った手続きで身体拘束することは差別に他
ならず、憲法および国連自由権規約、さらに日本政府が署名した障害者権利条約
に違反している
  現在の一般的医療水準からいえば非常識な1年から1年半という入院期間の
設定、さらに1割が長期化するという国側の宣言、人身の自由を奪う根拠のない
鑑定入院による拘禁(たとえば東京都の社会的入院の定義は1年以上である) 
これらは精神障害者差別としか言いようがない
3 医療観察法の実態はすでに破綻している
  わかっているだけですでに13名の自殺者を出している
  鑑定入院中の「鑑定」により一気に病状悪化された例も報告されている
  収容施設の不足により、本来の「手厚い人手」も保障されない施設に対象者
が拘禁されている。
4 「触法精神障害者問題」という問題はない
  本来問題にされるべきは刑事司法体制および獄中処遇の問題、と精神保健福
祉医療一般の問題である。
  多額の予算を費やす医療観察法が、これらの問題解決を遠ざけ隠蔽している。


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