【声明】命に甲乙をつける臓器移植法改「正」に反対する

== 【声明】 ==

命に甲乙をつける臓器移植法改「正」に反対する

我々は、今年で結成35周年を向かえる、「精神病」者個人・団体による、「精神病」者の全国組織です。
国会で臓器移植法改正案が4つ提出され、5月27日には、衆院厚生労働委員会で臓器移植法改正案についての一括審議が行われました。これは、
臓器移植法改正の実質的な審議入りを意味しているのだと思います。
 臓器移植法は、人の命に甲乙を付け、甲は生きる権利を持ち、乙は死んでも構わない命として、体温があり脈拍がある体から、
医師の診断による「死」を根拠に臓器を摘出するというものです。いわゆるA案であれば、半強制的に上記の摘出が行われるわけであり、
D案であっても、結果的には充分に考える猶予もなく、家族同意などによって半強制的に摘出手術が行われる危険性があります。
 多くの場合、甲の側に立って議論され、医師の職域開拓としても役立てられます。但し、我々「精神病」者のような、乙側の生命は、
甲と医師の職域のために、生きる可能性を失うことになるのです。
自由権規約第1条第2項、第6条第1項には、生命の固有の権利と生存について規定され、第7条には、
自由な同意のない医学的実験を禁止しています。障害者権利条約には、第10条に生命固有の権利を位置づけ、障害者の命が、優生思想に基づき、
いらない命として、必要とされる者のために命を奪われることを禁止しています。現在、
各省庁は障害者権利条約批准に向けて国内法整備をしております。今回の臓器移植法改正案は確立した人権法規を後退させるものであり、
完全に批准を遅らせるものです。今後は、障害者権利条約第4条第3項に基づき、
殺される側の生命の意見を充分反映させた法制度体系にパラダイムシフトしていくことが求められます。
 我々は生きることを選択し、意識が極限の状態にあっても、医療と支援(支援された意思決定を含む)をうけて、
自立生活をする権利を求めます。これら権利を侵害する、臓器移植法改正案には、真っ向から反対します。
2009年5月29日
全国「精神病」者集団  



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