障害者権利条約批准にあたって全国「精神病」者集団声明

2014年1月19日

 国会で障害者権利条約批准が承認され、条約批准に向けた手続きが進められることになっている。

2002年以来10年余り全国「精神病」者集団がWNUSP(世界精神医療ユーザーサバイバーネットワーク)とともに取り組んできた、私たち障害者が作った権利条約の批准である。

この条約は障害者に対して障害のない者と違った特権を付与するものではない。今までの国連の人権諸条約が保障している人権は当然にも障害者に保障されてはいるが、それは実質的な保障を伴ってこなかった。障害者は例外扱いされることで他の者と不平等になり、様々な人権侵害と差別にさらされてきたのだ。それは条約が作成された歴史的過程の中であたかも障害者という存在はないかのごとくに扱われ、無視され続けてきたことによる。

障害者権利条約は、これら人権諸条約の保障する人権を障害のない者と平等に障害者に保障することを目的として策定された。

障害のメインストリーミングである。あらゆる場所、あらゆる制度、あらゆる法律において障害が組み込まれていくことを求めているのだ。

そして当然障害者には精神障害者も含まれている。

障害者権利条約は、障害を理由とした強制入院や強制医療制度の廃止を締約国に求めるとともに、障害者が他の者と平等にまちで暮らす権利を保障している。

条約批准に向けた国内法整備として、障害者基本法改正、障害者総合支援法の見直し、障害者差別解消法の成立がなされた。だが、いずれも条約の水準を満たすものでなく、不十分といわざるをえない。

その上、強制入院は年々増加の一途を辿り、さらに精神保健福祉法の改悪、道路交通法改悪、秘密保護法の適正調査、危険運転罪の新設と、精神障害者に対する差別はますます強化されてきている。

条約批准後2年以内に日本政府は条約の履行実態を障害者権利条約委員会に報告し、審査を受けることになる。おそらく、この審査は早くて2018年くらいに行われる。そして、その場において日本政府は、強制入院制度の撤廃を勧告されることになるだろう。

私たちは、改めて精神保健福祉法の撤廃に向け、理論的実践的進化を積み重ね、障害者権利条約の完全履行に向け闘い続けることをここに宣言する。



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