障害者権利条約批准は可能か? 国連障害者の権利条約推進議員連盟の皆様へ訴える

2012年11月6日

全国「精神病」者集団

 

国連障害者権利条約の批准は現状で可能でしょうか?

障害があろうとなかろうと他のものと平等な人権保障を求めた障害者権利条約の批准に向け、障害者制度改革推進会議他様々な努力が重ねられてきました。しかしながら、現状では障害者権利条約批准は不可能であると言わざるを得ません。

端的な理由を以下3点あげます

1 障害者は他のものと平等に、どこで誰とすむか選択して地域生活の権利を享受できるか 地域での住宅保障や介助支援保障がなされているか

長らく指摘されてきた施設や精神病院に長期に隔離収容されている人々の地域移行について、残念ながら逆行する制度設計と運用が横行しています。

施設や病院の敷地内のグループホーム設置の進行 地方分権により国の規制が外れ、各地の条例で施設敷地内にグループホームが作られようとしています。これは明らかな隔離収容の恒久化であり、到底認めることはできません。まさに条約に違反した状況です。

 

2 後見人制度の運用実態そしてその根本的問題点が放置されていること

障害者権利条約は明白に代理人による代行決定を否定しており、後見人制度は根本的に問い直されなければなりません。障害者の意思を踏みにじり、隔離収容に利している後見人の運用実態があり、これらを根本的に是正する必要があります。これらの問題を放置したまま後見人制度普及が進められていることは重大な条約違反状況です。

障害者に法的能力およびその行使能力がないという前提に基づいて強制医療や強制入院制度が放置されていることも問題です。

 

3 障害者権利条約は強制入院および強制医療を禁止しています。すでに障害者政策改革推進会議は強制入院制度のあり方について検討を求めたところですが、厚生労働省はこの要請を無視し、ひたすら保護者制度の廃止にのみ問題を歪少化し、強制入院の要件緩和の方向すら出しています。また一方で長期の精神病院入院患者については医師および看護について他科の人員配置基準より低くていいとした差別的な基準をただすどころか、差別的低水準以下ですら病棟と認めるという差別強化の方針を明らかにしています(厚生労働省「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム」及び「精神科医療の機能分化と質の向上等に関する検討会」報告)。これは病棟を施設として公認し、治療の場から生活の場として公認していくという許すことのできない差別であり、長期入院患者さんの病棟を終末施設化し、死亡退院を持って問題解決しようとするジェノサイト政策といえます。

障害者差別禁止法制定どころか、公然とした精神障害者差別が政策化されようとしているのです

 

すでに、障害者権利条約の国連委員会は各国の報告書の審査を進めており、ペルー政府や中国政府の審査において、委員会は条約に基づき、明確に強制入院制度の廃止、強制医療の廃止、そして後見人制度の廃止を求めていることを付言しておきます。



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