2021年5月 精神障害者権利主張センター・絆ニュース抜粋

ごあいさつ

コロナ禍の下みなさまいかがお過ごしでしょうか
幸い絆の仲間では私の知る限りではコロナに感染した方はいないようですが、大阪、兵庫 東京などの広がりは今もとどまることを知りません。5 月末までに緊急事態宣言が延期されましたが、ワクチンの手配も間に合いそうもない状態ですね。もちろんワクチンとて万能ではないでしょうし、いろいろ不安があって躊躇なさる方もおられましょう。

いま絆自体は交流会への参加も増えそれぞれ各地での活動も活発化しており力づけられておりますが、コロナで様々な活動の中止や延期が重なっており、今年夏に予定されている障害者権利条約の日本政府報告書の審査もどうなるか全く予想できない状態です。ワクチン接種を条件にジュネーブでリアルの審査が入る可能性も否定はできませんが。

神出病院事件を踏まえ障害者虐待防止法の改正を障害者団体は求めており、日本障害フォーラムも私ども絆の参加している「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラムも、病院、学校、官公署を通報義務の対象として位置づける改正を求めております。

関係議員を回って訴えておりますが、今後も厚生労働省などとの交渉他問題提起を続けていく必要があろうかと思います。

15 ページの記事にあるように、時代が50 年さかのぼったような障害者バッシングが始まっております。障害者運動へのバッシングはこれからも強まると想像されます。多くの仲間の結集が今こそと考えます。また16 ページにあるようになんと神出病院には事件発覚後も新規入院があるとのこと。問題の根は深いと言わざるを得ません。
厳しい状況が続きますが、皆様くれぐれもご自愛くださいませ

障害者の介助者交通費無料化を

山本眞理

下記文書を2 年前に出しましたが、各社とも割引はできない、割引すると一般の乗客に料金を転嫁して値上げとなってしまう。国の方針が必要という対応でした。東京都もこれは差別ではない、という判断を示しましたが、障害者差別禁止法も民間事業所をも対象としていますので、今後割引の問題ではなく移動の権利の問題、障害者差別問題として提起していきたいと考えております。

今後どういう取り組みがありうるの会員の皆様とも相談してきたいと存じますので、ご協力を。

すでに日本障害フォーラムはバリアフリー化の一環として精神障害者への割引拡大を政府に申し入れしておりますが、介助者の交通費無料化は割引ではなく移動の権利、自由権の侵害として差別であるという点で、過大な負担の抗弁もかなり厳しく制限されますので、差別禁止として訴えていきたいと考えています。東京都障害者差別解消条例に基づき障害者に対する不当な差別について訴えます
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公共交通において介助者の交通費無料化がされていないのは差別です。
2019/05/03
JR 東日本/関東バス株式会社/西武バス株式会社/西武鉄道株式会社/東京急行電鉄株式会社/小田急
電鉄株式会社/京王電鉄株式会社/東京地下鉄株式会社/東京都

御中

山本眞理

現在と障害者差別解消条例の定義中の障害者のうちごく一部について介助者の無料化が行われているが、多数の障害者はその対象から外れており、介助者が移動にとって必須であっても常に2人分あるいは1・5 人分の交通費負担を強いられています。

これは障害者総合支援法によって移動支援によるガイドヘルパーが支給されているものでさえその対象とされていないという重大な差別です。

現在障害者総合支援法の移動支援は自治体によって運用の違いがありますが、少なくとも身体障害者、知的障害者、精神障害者などには支給されています。手帳を持たない障害者にも支給されている場合もあります。

しかしながらこの移動支援の利用者でも介助者の交通費は全額自己負担となります。とりわけJR や民営鉄道の場合は2 人分の交通費自己負担が生じるため、この移動支援が支給されても経済

的に利用できず、移動が困難で社会参加に重大な障壁が生じています。

健常者は移動に際し1 人分の交通費負担で移動できるのに、障害があるがゆえに2 人分あるいは1.5 人分の交通費を負担しなければならないのは明らかに障害者差別です。

これは憲法13 条の幸福追求権の否定であり、14 条の差別禁止に触れる重大な差別です。

以下具体例を述べます
医療を受ける際にコミュニケーションに困難のある障害者は日常的に支援を受けている介助者の付添が必要な場合は多くあります。病状説明や医師からの説明を理解し適切な医療保障をされるためにはガイドヘルパーの存在が必須です。

生活保護受給者の場合は本人の移送費は支給されても介助者の交通費は支給されず、適切な医療を受けることすら困難な障害者が存在します。生命に関わる場合も当然予想されます。

また知らない場所知らない人のところに行く場合に、緊張からパニックになる恐れがあり、支給を受けていなくとも友人や知り合いに頼んでガイドヘルパーを頼む場合もあります。その際の交通費も2 人分必要となります。私の友人の精神障害者はいつも会合に視覚障害者と一緒に参加しています。

知らない方は精神障害者が視覚障害者のガイドヘルパーをしているのだと思い込むかもしれませんが、実は視覚障害者の方は生まれつきの視覚障害者でほとんどガイドは不要です。しかし精神障害者の方は知らない場所知らない人達のいるところでは安全感がなく参加できないので、視覚障害者の方が精神障害者の介助をしているというのが実態なのです。

これほど精神障害者の社会参加にはガイドヘルパーは必須です。

その他難病等で移動支援が必要でも、それさえ保障されず自費でヘルパーを雇いあるは無報酬でお願いしても、2 人分の交通費も負担している方もおられます。

以下即急に検討されこの差別を解消されることを各位に訴えます。

6月末日までにご返答いただけますようお願いいたします。
1 障害者の介助者の交通費無料化導入に向けて直ちに検討すること
2 介助者交通費無料化についてどういう形で運用するべきか、我々と話し合うこと

以上

参考文献
*介護者割引の説明義務違反事件
2009 年9 月30 日 東京高裁 判決文より
「判例時報」2059 号(2010 年1月21日号68頁~)、「判例タイムズ」1309 号(2010 年1月1日号・98~102 頁、「賃金と社会保障」1513 号(2010 年5月上旬号・4~31 頁)
「思うに、人が社会生活を営むうえにおいて、用務のため、あるいは見聞を広めるため、移動することの重要性は多言を要しないところである。その意味で、移動の自由の保障は、憲法13条の一内容というべきものと解するのが相当である。ところが、身体障害者は、健常者と異なり、程度の差こそあるものの移動の自由が損なわれている。
したがって、身体障害者にとっての移動の自由は、健常者と同様に、場合によれば健常者より以上に、その自立を図り、生活圏を拡大し、社会経済活動への参加を促進するという観点からは、大きな意義があるというべきであり、身体障害者に対し移動の自由を保障することはその福祉増進に資するものとして、政策的に支援することが求められるのである(身体障害者福祉法3条)。
…中略…
憲法13条の趣旨から身体障害者についても移動の自由が保障されるべきであり、運賃割引制度にはその経済的負担を軽減することにより、移動の自由を保障するという実質的な意義がある。」
*『精神障害者の支援・介助とは? 私たちの求める支援・介助』
東京都の障害者差別解消条例の委員会にあっせんを申し入れたところ以下のような回答が来ています。差別に当たらないという回答です
障害者差別禁止法の批判としては差別であるかないかを一方的に決められてしまい、差別糾弾権が否定されるというのがありましたが、まさにそういう対応とも言えましょう。
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山本眞理さま
東京都障害者権利擁護センターです。
お問合せいただいた件につきまして確認させていただきました。
以下、御回答いたします。
「添付の障害者が介護者の交通費負担しなければならない状態について、障害者差別解消条例の合理的配慮義務提供違反」に当たるか否かですが、
内閣府において、以下のとおり定めております。
「<障害者割引>
Q 障害者割引について、身体障害者と知的障害者には適用され、精神障害者には適用されない場合には、不当な差別的取扱いとなるのでしょうか。
A 障害者割引は、障害者を障害者でない者と比べて優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)となりますので、一部の障害種別のみを対象にしたものであっても、不当な差別的取扱いには当たりません。ただし、正当な理由なく障害種別によって取扱いに差が生じることは望ましくありませんので、精神障害者に対する割引への理解と協力を得て、より多くの事業者で取組が広がっていくことが期待されます。」
(内閣府ホームページ「合理的配慮の提供等事例集」より引用。)

合理的配慮の提供等事例集:障害者制度改革担当室 – 内閣府

全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合う共生社会の実現のためには、合理的配慮の提供をはじめ、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「障害者差別解消法」という。)で求められる取組やその考え方が、幅広く社会に浸透することが重要です。 …


以上の理由から、恐縮ではございますが、都において障害者差別の案件として対応はできかねます。
しかしながら、上記の内閣府の回答や山本様の御指摘のとおり、障害種別関係なく対応がなされるのが望ましいことですので、当部署としましては、引き続き、障害者差別解消法及び東京都障害者差別解消条例に基づき、
障害者理解の普及啓発を進めていきます。
どうぞよろしくお願いします。
<お問合せ先>
●東京都障害者権利擁護センター
更に割引の問題ではない、差別問題であると追求したところ以下
―――――――――――――――――――――――――――
東京都障害者権利擁護センターです。
返信を拝読させていただきました。
障害者割引の問題ではなく、移動に介助が必要な障害者への合理的配慮義務として、介助者の交通費無料化を求めているとのことですが、山本様も御理解されているかとは思いますが、介助者の交通費は、障害当事者の交通費に付随して発生する費用です。障害当事者なくして介助者の交通費が発生することはありません。

そのため、現在、各鉄道会社では、各社が制定している障害者割引制度等の中で、障害種別や状態に応じて、介助者に対する割引も行われています。

その中で、精神障害の方に対する制度は、他障害種別に比べて、充実していない部分はあるかと思いますが、「介助者の交通費を無料化」するためには、各鉄道会社において障害者割引制度等を見直しをしていただき、障害者割引の対象者を拡充させ、障害当事者の交通費の負担を軽減させることが必要と思われます。

そして、そのような制度を充実すること自体は、内閣府からの回答にあるとおり、障害者を障害者でない者と比べて優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)となります。

そのため、合理的配慮の提供義務に関する問題とはなりません。
どうぞよろしくお願いいたします。
<お問合せ先>
●東京都障害者権利擁護センター

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