米田恵子さん 人権救済申立書

日本弁護士会 人権擁護委員会 御中

人 権 救 済 の 申 立 書

2020年1月30日

申立人ら代理人弁護士 小 笠 原 基 也

同      弁護士 佐 々 木 信 夫

同      弁護士 佐 藤  暁  子

〒192-0041 東京都八王子市

申  立  人    米 田 恵 子

〒020-0023 岩手県盛岡市内丸6-15 EST21ビル 2階

もりおか法律事務所

            上記代理人弁護士   小 笠 原 基 也
TEL 019-623-0378
FAX 019-623-0379

〒231-0007 神奈川県横浜市中区弁天通2-25-902
佐々木信夫法律事務所(送達場所)

同     弁護士  佐 々 木 信 夫
TEL 045-228-8815
FAX 045-228-8820

〒150-0001 東京都渋谷区神宮前4-3-15 東京セントラル表参道502号
ことのは総合法律事務所

同     弁護士  佐藤暁子
TEL 03-4405-5213
FAX 03-6734-0483

〒192-0015 東京都八王子市中野町2082

侵害者   医療財団法人緑雲会 多摩病院
上記病院長管理者   持田政彦

〒185-8524 東京都府中市武蔵台2-8-29

侵害者   東京都立多摩総合医療センター
上記病院長管理者   近藤泰児

〒163-8001 東京都新宿区西新宿2-8-1

侵害者        東  京  都

〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2

侵害者         国

第1 申立事件の概要

日本では精神障害者などの強制的な不妊手術(優生手術)、中絶などを許容・推奨していた旧優生保護法が存在し、1996年になってやっと廃止され、母体保護法に見直された。この旧優生保護法は、障害者を蔑視・差別する法であって、日本国憲法の人権尊重の理念には程遠く、2018年1月から同法の強制不妊手術の被害者が次々と国家賠償請求訴訟を提起しているところである。そして、2019年5月28日の仙台地裁判決では、旧優生保護法につき違憲の法律であると明言された。

このように、1996年には、旧優生保護法は実質的に廃止されたはずであるが、実際にはその後も隠然として精神障害者などに対する強制不妊手術が行われている。

このような精神病院等の暴挙に対して、不法行為責任を追及するとともに、旧優生保護法廃止後にもこのような行為が行われているにもかかわらず、監督・指導等を怠った国に対しても監督責任を追及すべきと考えている。

本件は、そのような旧優生保護法廃止後の不妊手術被害者である申立人の事例に関して、人権救済を申し立てるものである。

本件申立人である米田さんは、貧しい家庭に生まれ、波乱の人生の中にあっても家族と協力しながら生きてきた。複数の男性と婚姻歴があり、子供も7人産んだ。しかし、行政当局や児童相談所は、米田さんを性的にふしだらで育児放棄をしているなどと決めつけ、児童相談所が米田さんの新生児を預かったにもかかわらず死亡させたことで精神が不安定になっていたころ、強制的に八王子市の多摩病院に強制入院させられた。

しかも、2015年1月19日、最後の子供である苺香(いちか)を分娩した際には、説明もなく米田さんに不妊手術が実施されたのである。そしてその後、約4年も強制的に精神病院に入院させられていた事案である。

第2 人権侵害の詳細

1 申立の経緯
米田さんは、昭和52年(1977年)生まれの女性である。米田さんには現在、男の子が2人、女の子が4人いる。そのうち、長男の男の子は2020年2月に成人する。

米田さんは、2006年、その頃の夫と離婚したが、その際に長女と次女は元夫の親権に服することとなった。

米田さんは2009年くらいから北九州市を離れ、東京都八王子市に居住し始めたが、八王子に来た頃から暴力的な夫との関係で鬱傾向になりパニック障害も生じた。その頃から八王子市恩方病院に通院するようになった。その以前から米田さんは生活保護を受けていたが、同市に来た頃から子育て支援課や児童相談所から過剰な介入や監視を受けることとなった。

2012年9月12日、四女の琉花(るか)ちゃんが生まれたが、同女は同年12月に検査入院し、翌2013年1月7日に退院した。米田さんは、同日、病院に琉花ちゃんを迎えに行き、主治医から同女に何も異常がない旨の話を聞いていた。しかし、その後すぐに児童相談所の担当者が来て、米田さんが毎日見舞いに来なかったというだけの理由で、琉花ちゃんを強引に連れ去った。

同月20日午前9時すぎに、児童相談所の橋場氏と乳児院関係者5人くらいが米田さん宅を訪問した。彼らの言うには、琉花ちゃんは早朝に東京医科大学八王子医療センターに救急搬送され、同日午前7時台に死亡したとのことだった。米田さんはなぜすぐに連絡してくれなかったのか問うたところ、児童相談所が言うには、米田さんが寝ているかと思ったから連絡しなかったと説明した。死亡の理由は乳児突然死とのことであった。

このように米田さんの四女が児童相談所の下で死亡したにもかかわらず、未だに児童相談所は何の責任も果たしていない。

2015年1月19日、米田さんはNICUがあるので東京都立多摩総合医療センターで五女の苺花(いちか)ちゃんを帝王切開で分娩した。その際に米田さんが認識しないままに不妊手術が施行された。この手術は米田さんがいないところで、米田さんの妹が訳も分からずに同意させられたということである。病院の言うにはその手術の理由は、母体に危険があるとのことである。

そして、苺花ちゃんは、2015年1月の退院の際に、児童相談所に連れ去られたのである。

そうするうちに、更に米田さんが病気だからとか、児童虐待者だからなどいわれて、2015年9月には三女の彩花(あやか)ちゃんを母子分離させられたのである。

米田さんは、琉花ちゃんを死亡させられ、苺花ちゃんを連れ去られ、加えて彩花ちゃんまで連れ去られ、完全に打ちのめされた。米田さんは精神的に不安定になり、行政や児童相談所に抵抗していたところ、2016年2月10日、精神安定剤をオーバードーズしたことで多摩病院に医療保護入院となった。その入院の同意者は米田さんの妹である。

それ以来、ほとんど治療らしい治療は行われないままに拘禁が続けられ、やっと2020年1月6日に同病院を退院することができたのである。

2 病院及び監督者としての国及び自治体の責任
多摩病院はさしたる理由もなく、ほとんど医学的適応もないのに、約4年間にわたって米田さんを強制入院によって拘禁し続けた。このことは不法に人身の自由を奪う行為であって、刑事上では監禁罪に該当し、民事上では不法行為責任、債務不履行責任を免れない。

東京都立多摩総合医療センターは、旧優生保護法廃止後であるにかかわらず、米田さん本人の同意もなく不妊手術を実施した。このことは著しい人権侵害であって、刑事上では傷害罪に該当し、民事上の損害賠償責任を免れない。

また、国はこのような事実上強制的な不妊手術などが行われることのないように、医療・福祉の従事者に対して徹底的に意識改革のための教育を行うとともに、事実上の強制不妊手術が行われていないかどうかを調査・監督することができ、また、そうするべきであったにもかかわらず、何も対応せずに放置してきた。このことは、国に損害賠償責任を生じさせるものである。

更には、自治体は、適切に児童相談所、生活保護などの運営がなされるように監督する義務があるにもかかわらず、預かった米田さんの乳児を死亡させ、挙句の果てにはなんら医学的適応のない米田さんの強制入院を傍観しておきながら、何らの刑事上、民事上の責任を果たそうとしない。自治体はこれらにかんして損害賠償責任がある。

第3 事件に関する要望

このような侵害者らの暴挙に対し、至急貴委員会におかれては、病院等及び自治体、国に対して立ち入り調査するなどし、必要なヒアリングをし、更にカルテ等必要書類の精査をお願いしたい。

なお、米田さんは、多摩病院に対し、診療録等の開示請求をようとしたが、同病院はカルテ謄写基本料が1万円であり、加えてコピー1枚500円などと述べ、実質的に個人情報保護法で義務付けられている自己情報の開示請求権も侵害している。

事態は重大で急を要するものである。

以上

添  付  資  料

委任状 3通

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