2019年3月 精神障害者権利主張センター・絆ニュース 抜粋

ごあいさつ

 春が来ました。この季節特有の体調不良に苦しむ仲間も多いことと存じます。
皆さまいかがお過ごしでしょうか。

 中医学で春愁というように万物が生殖に向かって盛り上がるこの季節、病人や体の弱いものはこの盛り上がりについていけず体調を崩しがちです。皆さまどうかご無理なさらず養生を。
旧優生保護法における強制不妊手術問題が、被害者の勇気ある裁判提起により注目を浴びております。一方で制度始まって以来40年余りの障害者雇用枠水増し問題は中央官庁のみならず地方自治体、国会、はては司法にまで及んでおります。

 この2つの問題は、日本において障害者は生まれてはいけない、職場に存在してはならない、という苛烈な障害者排除の思想、優生思想を現していると言えましょう。

 障害者権利条約を批准はしたものの、強制入院も身体拘束も増え続け、個別病院の630調査の個票も非開示となる、後見人制度利用促進、などなど条約に逆行する政策がつぎつぎととられています。精神保健福祉法改悪は廃案となったものの、地域では医療観察法の地域処遇と同じ精神障害者への管理監視が、「退院後支援」と称して警察も参加して強化され続けています。

 しかし私たちは生き延びるための闘いをやめるわけにはいきません。反撃は各地でそして様々な形で広がっています。

 国連への取り組みとしては昨年11月に恣意的拘禁作業部会が、東京の措置入院について恣意的であり、直ちに釈放と賠償を求める意見を出しています。昨年5月についで2例目となっています。65歳問題や介助保障に取り組む会員も各地におります。生活保護問題についても同様です。多くの仲間とともに、ゆっくりとしかし確実に私たちは進んでまいりましょう。

多くの方にカンパや会費をいただき、ありがとうございました。当面ニュース発行のめどが付きました。

精神障害者権利主張センター絆、二月交流会、特別席。中野お茶の間寄席

富岡太郎乃助

 店のオーナーが牛丼の売れ行きが落ち込んだので、魚肉ソーセージを牛丼として売るという大胆な決断をした。店員達は職を失うことを恐れたので、この計画に協力することを決断した。しかし問題は明らかに客が「これは牛丼ではない」と言い出すことである。

「メニューには和牛高級牛丼と書きましょう」と店員達が提案した。現場の提案を聞き、「これまでの牛丼は安かろう、不味かろう、と言われてきた。これからは客の声も取り入れて和牛高級路線で売る。それも値上げして行くぞ!」とオーナーは強気だ。「ですが魚肉ソーセージをどうやって和牛高級牛丼として売り出すんですか?」と店員の組合のリーダーが言った。

 「サクラの客を使う。これからはお客さま参加型の牛丼屋に転換していこうじゃないか」とオーナーは強気だ。さて、実際にやってみると多数の客は首をかしげた。「これは牛丼ですか?味が魚肉のようですけど」と客は言った。しかし隣のサクラの客は「さすが高級は味が違う!」と言ったし、店員も「何しろ外国の肉じゃないですからね❤」と自慢気に言った。多数の客は首をかしげて「私の味覚が衰えたのかなあ?」と高齢化した自分を疑った。すると店のオーナーがハッキリと断言した。「十人いれば十人の味覚がある。みんな違って当たり前の社会が来たのである」。

 さてアルバイトの一人は大学院で博士論文を書いた。「労使してサクラ以外の客をカモにする研究」なる題名だった。そのアルバイトは大学の準教授になり、日本の学会が商売用に読み「多様性を尊重した共生社会」を日本に作った。新しい時代が来た。その時代に反対するグループのメンバーは「僕は革命家ではありません」という背中の貼り紙をして、街中を歩く。和牛高級牛丼を魚肉ソーセージと言ったらヤバそうな時代になり、教授に逆らうことは「共生してない」とネットで非難された。みんなは内心は「魚肉だよ」と思っている。


 現在、先に日本精神衛生会への申し入れで、ご案内したように日本精神神経学会もそして地域の様々な精神保健福祉団体、クリニック精神病院、日精協上げて、「精神保健にもっと金を」というスローガンのもとで大同団結のようです。「する側」は総動員体制といっていいでしょう、隙間産業のいわゆる「触法精神障害者」対策・再犯防止対策によって資金を得ていく善意の団体もたくさんありましょう。

法務省と厚生労働省一体となった攻撃が始まっています。私たち精神障害者の頭越しで「する側」の総動員体制は障害者権利条約も憲法さえ踏みにじった攻撃となっています。

 しかし私たちの懐は障害年金カット、生活保護カットとますます厳しくなっています。

 かつて全国「精神病」者集団が主張し続けてきた「私たちの懐に入る金を」という主張を今も言い続けなければならない、などという話の感想として上記感想文が投稿されました。(山本)

編集後記より

 市川市で65歳問題に取り組む方の行政交渉が始まります。市川市はなんと障害者福祉の申請を受理すらしないという対応を続けています。応援したいという方は窓口までお知らせください。

 精神保健福祉法改悪案審議の中で国連障害者の権利特別報告者に法案批判の手紙を出してほしいと山本がメールしたところ昨年1月に健康の権利特別報告者と健康の権利特別報告者の連名で日本政府に書簡を出し返事も来ていることが公開されています。政府回答は例によって障害者権利条約は障害以外の理由例えば危険性などの要件があれば、強制入院を認めているというとんでもですが、障害の権利特別報告者の秘書のアルベルトと知り合いになれたのは意味あったでしょう。彼はペルーの改革の立役者の一人です。日弁連は来年ペルー調査に行くという話もあります。

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