医療観察法国賠訴訟判決期日と報告集会のお知らせ

ついに結審!判決は3月27日!

医療扶助・人権ネットワーク

【判決期日と報告集会のお知らせ】
医療観察法国賠訴訟の判決が2019年3月27日(水)13時10分(東京地方裁判所615号法廷)に予定されていますので、傍聴をよろしくお願いします。判決後に場所を移動して、14時15分(14時開場)からTKP虎ノ門駅前カンファレンスセンター・ミーティングルーム1A(裁判所から徒歩約10分)において、報告集会を行います。判決の内容のご報告と分析を行いますので、ぜひこちらもご参加ください。

報告集会会場地図はこちら

【医療観察法国賠訴訟とは】
精神遅滞及び広汎性発達障害という診断を受けており、医療観察法に基づく医療の必要性がないのに、鑑定入院(医療観察法に基づく入院を決定する前の精神鑑定のための入院)として58日間にわたり精神科病院に収容された方(原告)が、2017年2月13日、国を被告として、慰謝料等の損害賠償を求めた訴訟です。主に、精神遅滞及び広汎性発達障害の医療の必要性(治療可能性など)と検察官の事件処理の遅れ(事件発生から2年経過してから医療観察法に基づく手続を開始するための審判申立を行った)が問題となっています。

【日時】
第12回口頭弁論期日
2019年1月23日(水)15:00
東京地方裁判所615号法廷

【前回期日の内容のおさらい】
前回期日において、原告の母親の証人申請は「尋問の必要性がない」という理由により却下されました。ただ、却下の主な理由は、原告の母親が予定している証言内容について、国が反対尋問を行う意向がないことが理由でした(つまり、国が原告の母親の証言内容を争わないので、裁判所は、原告の母親が作成した陳述書という書面の内容をそのまま証拠として採用することができる。)。それでも、裁判官に事件関係者の証言を直接聞いてもらうことは重要であると考え、原告側が原告の母親の意見陳述を求めたところ、裁判所がこれを認め、本日の期日で20分間の意見陳述が実施されることになりました。

【提出書面】
原告:最終準備書面 ※ 原告のこれまでの主張をまとめたものです。
被告:なし ※ 被告は最終準備書面を提出しませんでした、

【手続の内容】
原告の母親が法定において約20分間にわたり意見書を読み上げた後、全ての審理手続が終了したとして、結審となりました。判決期日は、3月27日(水)13時30分に指定されました。

【今後の予定】
① 判決期日
2019年3月27日(水)13:10
東京地方裁判所615号法廷
② 報告集会 14:15開始(14時開場)
TKP虎ノ門駅前カンファレンスセンター・ミーティングルーム1A

【最終準備書面(冒頭部分のみ)】
第1 はじめに
医療観察法は、適切な医療等を行うことによって、対象者の社会復帰を促進することを目的とした手続きであって、罰を与えることを目的としたものではない。したがって、時効にかからない限りいつ手続きを行ってもよい、というものではなく、医療は時々刻々と変わる病状・体調に応じて適時・適切になされるべきものであることから、本法の手続きも速やかになされる必要がある。
他方、警察は、「個人の生命、身体及び財産の保護に任」ずることをもってその責務とし(警察法2条1項)、その責務の遂行に当つては、「いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあつてはならない」(同条2項)とされている。また、検察官は、対象者を含む「公益の代表者として他の法令がその権限に属させた事務を行う」(検察庁法4条)こととされており、医療の専門家でないにもかかわらず、医療観察法の申立権限を独占し専権とされている(同法上の裁判体のように精神保健審判員との合議制でもない)。このような捜査機関の職責に鑑みれば、医療観察法の対象になりうると判明した場合には、対象者の社会復帰の促進という本法の目的に沿って適切に申立権限を行使するために、速やかに必要な捜査を行い、真摯に医療関係者の意見を調査することも職責に含まれており、そのような調査・検討をふまえて医療が必要な者については直ちに医療観察法の申立てを行うことが求められているといえる。
しかるに、原告は、対象行為を行ってから2年以上も経過して医療観察法の申立てがなされ、それまでの間、規則正しく勤務しグループホームや実家で静かに過ごしていたにもかかわらず、その社会生活の平穏が突然害された。また、それだけでなく、医療行為によって病状(精神障害)が改善する余地がないのに、つまり治療反応性(可能性)がないにもかかわらず、無意味に鑑定入院命令が発せられ、58日間も精神科病院に強制収容されたために、自己のスタイル・ルールに従った規則正しい生活を好む原告の生活態様は大きく乱され、原告はその障害特性ゆえにとくに人一倍甚大な精神的苦痛を受けた。退院後約4年になろうとする現時点においてもその影響は残っており、医療観察法によって原告の社会復帰は阻害されたのである。
本件訴訟は、そのような医療観察法によって社会復帰を阻害された原告が、その責任を被告に対し問うものである。
(「第2」以下省略)

【本件に関するお問合せ】
〒160-0004 東京都新宿区四谷3-2-2TRビル7階
マザーシップ法律事務所
医療扶助・人権ネットワーク 事務局長弁護士 内田 明
TEL 03-5367-5142
FAX 03-5367-3742

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