医療観察法国賠訴訟第8回口頭弁論期日

第8回口頭弁論期日
2018年7月11日(水)13:10
東京地方裁判所615号法廷

医療観察法国賠訴訟第7回口頭弁論期日のご報告

【医療観察法国賠訴訟とは】
精神遅滞及び広汎性発達障害という診断を受けており、医療観察法に基づく医療の必要性がないのに、鑑定入院(医療観察法に基づく入院を決定する前の精神鑑定のための入院)として58日間にわたり精神科病院に収容された方(原告)が、2017年2月13日、国を被告として、慰謝料等の損害賠償を求めた訴訟です。主に、精神遅滞及び広汎性発達障害の医療の必要性(治療可能性など)と検察官の事件処理の遅れ(事件発生から2年経過してから医療観察法に基づく手続を開始するための審判申立を行った)が問題となっています。

【日時】
第7回口頭弁論期日
2018年5月23日(水)10:00
東京地方裁判所615号法廷

【前回期日のやり取り】
裁判所は、国家賠償法1条1項における違法性判断基準として職務行為基準説に立った場合には、治療可能性を欠くことが直ちに国家賠償法上の違法に繋がるわけではなく、当時、検察官や裁判官がどのような資料に基づいて判断を行ったかが問題であることを指摘し、被告に対し、審判申立や鑑定入院命令の判断の際に根拠とした資料の提示を指示しました。

【提出書面】
原告:なし
被告:平成30年5月9日付準備書面(4)

【今後の手続の流れ】
被告国は、準備書面(3)において、「検察官の審判申立時に原告の精神障害の内容が特定されていたわけではない」などという主張をしていたわけですが、そのように検察官や裁判官が判断をした根拠が準備書面(4)により特定されました。ただし、被告の指摘する証拠には、原告の診断名として広汎性発達障害と精神遅滞の記載しかなく、被告国の「精神障害の内容が特定されていたわけではない」(つまり鑑定入院しなければ原告の精神障害の内容がわからない)という主張を裏付けるような記載はありません。この点について、次回までに原告が反論することになりました。
また、訴訟手続としても終盤にさしかかってきたので、原告の方で立証計画(証人尋問の予定など)を検討することとなりました。

【次回期日】
第8回口頭弁論期日
2018年7月11日(水)13:10
東京地方裁判所615号法廷

【参考:平成30年5月9日付準備書面(4)の概要】
「本件検察官が本件申立ての基礎とした資料は,基本的には本件申立ての時点で検察官が入手していた全証拠資料であるが,原告が主張する点[注:治療反応性]について検察官が判断の資料とした主なものを挙げるとすれば,診断要点書(甲第5号証),精神衛生診断書(甲第6号証)及び小児総合医療センターの回答書(甲第24号証の1ないし3)である。」
※ 甲5「診断要点書」は、担当検察官が作成した、検察官が嘱託医に原告の診断を求める理由が記載された書面。
※ 甲6「精神衛生診断書」は、診断要点書(甲5)を受けて、検察庁の嘱託医が作成した、原告に関する診断結果を記載した書面。
※ 甲24の3「捜査事項照会回答書」は、警察からの「病名」や「病状の変化(改善等)」に関する質問に対し、原告の主治医が回答した書面。

【本件に関するお問合せ】
〒160-0004 新宿区四谷3-2-2 TRビル7階 マザーシップ法律事務所
医療扶助・人権ネットワーク 事務局長弁護士 内田 明
TEL 03-5367-5142 FAX 03-5367-3742

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