医療観察法国賠訴訟第9回口頭弁論期日のご報告

証人の話も聞くことなく判決となりそうとのこと

10月31日 午前10時から東京地裁615号法廷を傍聴で満杯に

以下医療観察法を許すなネットワークニュースより転送

医療観察法国賠訴訟第回口頭弁論期日のご報告

                          弁護士 内田 明  

 9月19日に行われた医療観察法国賠訴訟第9回口頭弁論期日についてご報告いたします。

【医療観察法国賠訴訟とは】

精神遅滞及び広汎性発達障害という診断を受けており、医療観察法に基づく医療の必要性がないのに、鑑定入院(医療観察法に基づく入院を決定する前の精神鑑定のための入院)として58日間にわたり精神科病院に収容された方(原告)が、2017年2月13日、国を被告として、慰謝料等の損害賠償を求めた訴訟です。主に、精神遅滞及び広汎性発達障害の医療の必要性(治療可能性など)と検察官の事件処理の遅れ(事件発生から2年経過してから医療観察法に基づく手続を開始するための審判申立を行った)が問題となっています。 

【日時】

第9回口頭弁論期日

2018年9月19日(水)10:00

東京地方裁判所615号法廷

【前回期日の内容】

1 争点整理

  裁判所は、被告(国)に対し、原告の検察官と裁判官の行為の違法性に関する主張に対して反論するよう指示していました。

2 証人申請

  原告は、前回期日において、証人として、①審判申立をした検察官、②鑑定入院命令を発した裁判官、③原告の母親を証人申請する予定であることを表明していました。そのため、これらの証人の申請書を提出することが宿題となっていました。なお、被告は、前回期日において、被告側の証人を申請する予定がないことを明らかにしました。

【提出書面】

原告:甲第28号証(原告の母親の陳述書)

   証拠申出書(証人候補者:①原告の母親、②検察官、③裁判官)

被告:準備書面(5)

【被告準備書面(5)の概要】

治療可能性(治療反応性)に関する「医療を受けさせる必要が明らかにないと認める場合」(医療観察法33条1項)という要件の解釈について、「鑑定を受けさせる必要性すらないといえるほどに明らかである」をいい(準備書面(5)2頁)、例えば、「一時的に複雑酩酊の状態に陥って、心神耗弱の状態で傷害事件を起こしたものの、現時点では、医師の診断によっても、その精神障害が完全に消失している」場合である(同2頁)などを主張しています。

【期日における主なやり取りについて】

期日において、原告は、鑑定入院に関与した検察官と裁判官、原告の母親を証人として申請しました。これに対して、被告(国)は、いずれも必要性がないと述べて証人として採用することに反対しました。裁判官は、証人の採否を次回期日に判断するとしながらも、いずれの証人についても採用に否定的な見通しを示しました。

【次回期日の日程】

第10回口頭弁論期日

2018年10月31日(水)10:10

東京地方裁判所615号法廷

【最後に】

 裁判官は証人の話を全く聞かずに判決をする方向で手続を進めようとしています。しかし、書面を読んだだけでは事実関係や問題点を正確に理解できないことも多く、事件に関与した者から話を直接聞くことで事件に対する印象が変わったり新たな視点に気付いたりすることがよくあります。上述のような裁判官の姿勢は問題であり、原告としては、次回期日において、再度、証人の採用を強く働きかける方針です。ぜひ傍聴に駆け付けていただき、応援をお願いします。

【本件に関するお問合せ】

〒160-0004 新宿区四谷3-2-2 TRビル7階 マザーシップ法律事務所

医療扶助・人権ネットワーク 事務局長弁護士 内田 明

TEL 03-5367-5142 FAX 03-5367-3742

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