2018年7月29日 心神喪失者等医療観察法廃止集会 基調

以下当日基調に誤りがありました。お詫びの上訂正いたします。

  2017年7月29日に施設の元職員が19名の施設入所者を殺傷するという障害者差別 犯罪(ヘイトクライム)が起きた。

 2016年7月26日に施設の元職員が19名の施設入所者を殺傷するという障害者差別犯罪(ヘイトクライム)が起きた。

2018年7月29日 心神喪失者等医療観察法廃止集会 基調

1.医療観察法

医療観察法を廃止に

心神喪失者等医療観察法とは殺人、強盗、強姦・強制猥褻、放火、傷害、傷害致死の5罪種の犯行を犯した(傷害以外は未遂も含む)者で犯行時に心神喪失もしくは耗弱で刑務所に行かなかった精神障害者を特別な治療施設(医療観察法病棟)に隔離して特別に治療し、再び罪を犯すことのないようにするという法律だ。刑法39条により刑事責任を問えないとされた犯罪者に対して強制的に入院・通院を課すものだが、そもそも精神病だけが犯罪の原因とは言えないことや精神病を治せば犯罪をしないという前提に無理がある。

結果として、退院する前提とされる、再び罪を犯さないで地域生活を送れるという条件を満たすかどうかは不正確なので実際はもうすでに再犯の怖れがないのに閉じ込められたままになってしまう精神障害者がどうしても出てきてしまう。

まだやっていないことで自由を奪うことは許されない。また、再犯予測は不可能というのが法案審議の際に主張されていたのに強行採決で採決された、曰く付きの悪法だ。

実際問題として、刑法39条で罪を減免されて無罪となった人はそれまで数える程しかいなかったのにもかかわらず、理不尽な応報感情(きっかけとなった池田小事件では犯人は死刑)に訴えて成立した。

この法律の最大の特徴は犯罪予測に基づいて人を拘禁するので期間の定めがない点だ。つまり、強制入院を不利益処と見た場合には犯した罪との均衡は全く取れていない。刑法の応報原理は働かない。医療は無前提に本人の利益だと説明するが果たしてそうなのか。問題点は多岐にわたる。

現状では退院後最長5年の強制通院が課せられその間の再入院もある。病棟には多額の予算が投じられているので、地域にも予算をという声が挙がっている。

地域の精神医療保健福祉に予算を付けるべきはその通りだが、再犯しないで地域生活を送るといういわば治安の要請に応える形でしか予算が付かないとしたら問題だ。

こうした犯罪予測による自由の制限(予防拘禁)はあってはいけないという原点に立ち戻り、心神喪失者等医療観察法を廃止しなければならない。

2.精神保健福祉法

精神保健福祉医療を治安の道具にするな 医療観察法地域処遇にならった退院後支援を私たちは許さない

2017年7月29日2016年7月26日に施設の元職員が19名の施設入所者を殺傷するという障害者差別犯罪(ヘイトクライム)が起きた。政府はこの事件に対して、ヘイトクライムは許さないという宣言を直ちに出すどころか、障害者差別という本質を隠蔽するために、U被告が措置入院体験者であったことを取り上げて、措置入院のあり方の問題とすり替え、同年8月10日に厚生労働省内に「相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム」を立ち上げた。その検討会の報告を受けた上で安倍首相は第193回国会施政方針演説(2017年1月20日)において、事件の再発防止のために精神保健福祉法を改正し、措置入院患者の退院後の支援の充実を主張した。

法案は参議院を通過しかし衆議院解散を経て廃案とはなった。

しかしすでに事態は進行しており、審議の中で明らかになったところによると、法案成立前に宮城県、広島県、兵庫県では警察を入れた退院した方への個別支援会議が開かれており、また最近明らかになったところによると福岡市でも措置入院患者の退院に向けた個別支援会議に警察が参加している。さらに埼玉県では今年度4月1日から「法改正の準備のための施行事業」として法案通りの体制が作られ、警察との協議体および個別支援計画がたてられることになっている。

しかもガイドラインによると退院後支援の計画主体は自治体であり、本人ではない。自分を措置入院した自治体保健所が中心となって作り支援計画などどうして本人が納得できるであろうか。

長年障害者が主張してきた「共生社会」とは似て非なるものである。

私たちは医療観察法の廃案を求めるとともに、こうした精神医療保健福祉の治安の道具化を徹底批判し、差別と偏見を個人の症状ゆえと断じ、強制医療を正当化していく退院後支援なるものを許さない。

3.再犯防止・法制審

2016年12月に再犯防止推進法が制定され、2017年12月には再犯防止推進計画が閣議決定された。2017年より法務大臣の諮問により法制審議会少年法・刑事法(少。年年齢・犯罪者処遇)部会の審議も始まり今年秋にも結論が出るかもしれない。私たちは、この動きの中でも特に、社会内処遇における福祉と医療の強制に反対している。医療観察法は精神医療を治安の道具にするものであるが、今回の動きは福祉をも治安の道具にするものである。

この問題には再犯防止推進法制定時以降関心を寄せてきたが、今年4月7日の千葉・埼玉弁護士会による『法制審で語られる「社会内処遇」を考える~これって「刑罰」?福祉の「支援」が「監視」に代わる?~』に有志で参加して以降、5月6日にネットワーク学習会「治安に動員される医療と福祉」を開き、今回は全国集会のテーマとして取り上げ、黒田和代さん(社会福祉士・精神保健福祉士・NPO法人サマリア理事長)をお呼びして、『法制審の「社会内処遇」の問題点とリーガルソーシャルワークの在り方を考える』の題で講演をいただくこととなった。

私たちは医療観察法の廃止を求めているが、医療観察法に回された場合、例えば裁判を受ける権利の侵害や、拘禁機関が定まらないことも問題にしている。今回の法制審の検討においては、裁判抜きに検察官が生活上の守るべき事項を決める(条件付き起訴猶予)制度や刑の満期を超えて監視・監督する制度(仮釈放考試期間)の導入もある。再犯の危険性のなくなるまで(「人間として健全」になるまで)管理・指導しようとする動きである。医療観察法を突破口として精神障害者限定ではなく、戦前からの動きとしての保安処分を本格化しようとしている。

それに加えて、監視・指導に医療・福祉を使おうとしている。もちろん、生活保護を受けられるのに受けていないとか、障害者手帳が取れるのにとっていないとか、制度や手続きを知らないために福祉を受けていない人がいる。社会において生きるうえで困難のある人を福祉につなげること、犯罪を起こしてしまった人を含めて刑務所に入れるよりも生活していけるようにすることは重要な課題である。だが、今回の法制審の検討では、起訴されない・刑務所に行かない、ための条件として福祉や医療を利用しなければならなくなる。利用しないと言ったら刑務所に行かなくてはならないかもしれず、利用を中断したら捕まえられるかもしれない。医療・福祉労働者にとっても、サービスが脅しになり、使っているか監視して利用を止めたら通報しなくてはならないことになる。こういう体制下では医療・福祉の本人同意は実質的には強制であり、自分で望んで選択して使えるものではない。

法制審議会の内容は、来年通常国会に法案として出される可能性もあり、保安処分の拡大として今後とも動きを注視していきたい。

〇活動方針

1.予防拘禁・不定期拘禁の医療観察法を廃止しろ

精神障害者差別の医療観察法はいらない

医療観察法は憲法・障害者権利条約違反だ

医療観察法による人権侵害を許さないぞ

厚生労働省・法務省は運用実態を隠すな

2.精神保健福祉法改悪案の国会再上程阻止

措置入院強化など強制入院・強制医療を許すな

治安目的での精神医療・福祉の動員に反対する

3.社会保障や労働者の権利の切り下げによる生活破壊を許さない

4.共謀罪も秘密法も盗聴法もいらない

「再犯防止」「矯正」という名の治安管理強化を許さない

刑法・刑事訴訟法・刑事施設収用法・少年法改悪案の来年国会上程を阻止しよ

5.差別・排外主義扇動、優生思想に反対するぞ

集会にあたって 共催4者の活動経過(2017/7/23〜2018/7/29)

・心神喪失者等医療観察法をなくす会(なくす会と略称)

・認定NPO大阪精神医療人権センター(NPO大阪精神医療人権センターと略称)

・心神喪失者等医療観察法(予防拘禁法)を許すな!ネットワーク(ネットワークと略称)

・国立武蔵病院(精神)強制・隔離入院施設問題を考える会(考える会と略称)

2017年

7/23(日)4者共催「医療観察法廃止!全国集会」(南部労政会館)[講演:富田三樹生さん(精神科医)「相模原事件を考える」](89名)

7/28(金)NPO大阪精神医療人権センター大阪府精神科医療機関療養環境検討協議会

8/01(火)NPO大阪精神医療人権センター医療観察法病棟への訪問

8/06(日)NPO大阪精神医療人権センター権利擁護システム研究会

8/08(火)なくす会・ネットワーク討論会(精福法)

9/13(水)ネットワーク医療観察法国賠訴訟第3回口頭弁論傍聴

9/22(金)NPO大阪精神医療人権センター大阪府精神科医療機関療養環境検討協議会

9/25(月)ネットワーク「戦争・治安・改憲NO!総行動実行委員会霞ヶ関デモ」

9/28(木)「考える会通信」No.39発行

9/30(土)NPO大阪精神医療人権センター個別相談活動ボランティア養成講座

10/20(金)「人権センターニュース」No.137発行

NPO大阪精神医療人権センター権利擁護システム研究会

10/21(土)「ネットワーク・ニュース」No.46発行

10/22(日)考える会連続学習会No.23[講師:山田真さん、浜野撤二さん「原発事故から6年半−福島の今、そして避難者は」]

10/28(土)ネットワーク連続学習会No.28[講師:尾上浩二さん「我が事丸ごと地域共生社会を考える−共生社会を考える二つの道」]

NPO大阪精神医療人権センター上映会・講演会「精神病院のない社会」

11/01(水)NPO大阪精神医療人権センター医療観察法病棟への訪問

11/15(水)ネットワーク医療観察法国賠訴訟第4回口頭弁論傍聴

11/18(土)NPO大阪精神医療人権センター設立32周年記念講演会「『人間の尊厳』から『共生入院』を考える」、意見書「〜精神科病院に入院中の人々のための権利擁護システムの構築を求め、日本精神科病院協会によるアドボケーターガイトラインに反対する〜」

11/20(月)ネットワーク八幡山駅頭ビラまき

11/24(金)NPO大阪精神医療人権センター大阪府精神科医療機関療養環境検討協議会

11/26(日)ネットワーク第14回総会

4者共催「医療観察法廃止!全国集会」(高井戸地域区民センター)[講演:池原毅和さん「障害者権利条約が求める精神医療福祉のあり方とそれに逆行する日本の精神医療福祉」]

12/02(土)NPO大阪精神医療人権センター個別相談活動ボランティア養成講座

12/17(日)NPO大阪精神医療人権センター権利擁護システム研究会

12/20(水)「人権センターニュース」No.138発行

2018年

1/17(水)ネットワーク医療観察法国賠訴訟第5回口頭弁論傍聴

1/20(土)「ネットワーク・ニュース」No.47発行

1/22(月)NPO大阪精神医療人権センター医療観察法病棟への訪問

1/26(金)NPO大阪精神医療人権センター大阪府精神科医療機関療養環境検討協議会

2/02(金)ネットワーク「戦争・治安・改憲NO!総行動実行委員会討論集会」

2/07(水)NPO大阪精神医療人権センター院内シンポジウム「精神科病院に入院中の人々のための権利擁護の実現に向けて」

2/11(日)NPO大阪精神医療人権センター権利擁護システム研究会

2/24(土)NPO大阪精神医療人権センター個別相談活動ボランティア養成講座

3/01(木)ネットワーク精福法「改正」再提出阻止署名提出行動(138団体195名)

3/12(月)ネットワーク「戦争・治安・改憲NO!総行動実行委員会霞ヶ関デモ」

3/14(水)ネットワーク医療観察法国賠訴訟第6回口頭弁論傍聴

3/16(金)NPO大阪精神医療人権センター大阪府精神科医療機関療養環境検討協議会

3/24(土)なくす会討論会(医療観察法の現状)

3/30(金)NPO大阪精神医療人権センター医療観察法病棟への訪問

4/12(木)「考える会通信」No.40発行

5/06(日)ネットワーク連続学習会No.29[提起:後閑一博さん、山中雅子さん「治安に動員される医療と福祉」]

5/13(日)考える会連続学習会No.24「『ある青年の死』を観て、わたしにもこんな経験が」

5/23(水)ネットワーク医療観察法国賠訴訟第7回口頭弁論傍聴

5/26(土)NPO大阪精神医療人権センター総会記念パネルディスカッション「精神科病院における医療保護入院について」

6/10(日)主催4者討論会(7/29全国集会基調検討)

6/16(土)「ネットワーク・ニュース」No.48発行

7/04(水)ネットワーク八幡山駅頭ビラまき

7/11(水)ネットワーク医療観察法国賠訴訟第8回口頭弁論傍聴

7/29(日)4者共催「医療観察法廃止!全国集会」(中野区産業振興センター)[講演:黒田和代さん「法制審の『社会内処遇』の問題点とリーガルソーシャルワークの在り方を考える」]

*毎月の例会は割愛

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