日本維新の会代表の差別発言に抗議します

日本維新の会代表の差別発言に抗議します

日本維新の会代表 松井一郎 殿

2019年8月5日

「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラム実行委員会
東京都世田谷区豪徳寺1-32-21スマイルホーム豪徳寺1F
電話:03-5450-2861  FAX03-5450-2862

7月30日に私達の仲間である木村英子さんとれいわ新選組のALS患者である舩後靖彦さんに対して、日本維新の会からいわれのない非難が投げかけられました。どんなに重度の障害があっても社会に出て働けるように制度を改めてほしいというお二人の求めに対して、社会参加は自己責任で行なえとこれを真っ向から否定しています。それを記者会見やSNSを通じて意図的に拡散させており、障害者への差別と社会からの排除を扇動する差別犯罪行為です。日本維新の会の代表および大阪市長、大阪府知事という公的な要職にある人間が行なった差別扇動行為であり、社会的に絶対に許されるものではありません。私達は強く抗議し、松井氏と吉村氏の謝罪と撤回を求めます

いわれのない非難とは下記の共同通信の記事がそれです。その後もツイッター上などで同様の発言が繰り返されています。発言は以下の通り。

維新代表、介助費「自己負担で」 初当選のれいわ議員に

2019730 1923 共同通信

 日本維新の会の松井一郎代表(大阪市長)は30日、参院選でれいわ新選組から初当選した木村英子氏(54)ら、重い障害のある議員2人の介助費用について「どなたにも適用できるよう制度全体を変えるならいいが、国会議員だからといって特別扱いするのは違う」と述べ、自己負担で賄うべきだとの考えを示した。市役所で語った。
松井氏は「国会議員は高額所得でスタッフも付く。政治家は個人事業主だから、事業主の責任で(費用支出に)対応すべきだ」と主張した。

松井一郎ツイート7月30

参院が当面負担って、どういう事?参議院議員のポケットマネーなら特殊事情で対応も理解できるが、税金支出ならば、国会議員という職業の障がい者だけが、その他の就労中の障がい者の皆さんと比べて、公的支援優遇となります。立法府がその場しのぎで福祉施策ルールを変えるのはおかしいでしょ!

吉村洋文大阪府知事(日本維新の会)ツイート7月31

参議院は国民の税金をなんだと思ってるんだ。打ち出の小槌か。国民に増税なのに定数も6増やすわ、参議院議員の重度障害者だけの特殊ルール作るわ、全部税金じゃないか。就労中の国民たる重度障害者のルール作った上で、それを参議院議員たる重度障害者に当てはめるのが筋でしょ。

<国会バリアフリー>介助制度ないと働けないのか 維新・松井代表が発言

201981 朝刊東京新聞

 重い障害のあるれいわ新選組の参院議員二人が、障害者が働いている間も介助を受けられるよう制度の見直しを求めていることを巡り、日本維新の会の松井一郎代表(大阪市長)は三十一日、「介助制度がないと働けないのか。違うと思う。支援を受けずに働いている人もいる」と疑問を呈した。障害者団体は「問題を理解していない」と批判している。

 松井氏は記者団の取材に、三月まで知事を務めた大阪府では「公的補助を受けずに電車通勤している全盲の職員もいた。危険だが、努力で克服していた」と話した。障害者の就労については「(介助の)公的補助がその人の収入の二倍、三倍になるなら、職業を持つこと以外で自立してもらう方が合理的ではないか」と述べ、補助の財源となる税負担と障害者の収入の「バランスを取るべきだ」と語った。

 一方で、介助が通勤や勤務の際に受けられない現行制度を見直す場合は「国会議員も一般人も公平・平等にすべきだ」とも指摘した。

 重度の障害があるNPO法人「日本障害者センター」の家平悟事務局長(48)は、松井氏の発言を「障害の状態によって必要な支援が異なることを理解していない」と強く批判。「制度を見直しても、家庭で使える介助サービスを職場でも使えるようにするだけ。財政負担が激増するわけではない」と反論した。

松井一郎ツイート8月1日

障がい者の皆さんの社会保障制度拡充の話と、年収2200万、年間経費1200万、秘書3名があてがわれる国会議員に重度の障がいのある方が選任された場合に一般の障がい者に適用されない優遇制度が必要なのか?障がい者政策とは別の話です。社会保障制度は所得の再分配によって成り立っている。

日本維新の会の認識は間違っています

日本維新の会の認識は、国会議員の重度障害者に対して一般の重度障害者には無い優遇をした参議院議運はおかしい。参議院議員の重度障害者に介助費用の税金を注ぎ込むのはおかしい。2人の重度障害者は介助費用を自己負担すべきだ。公的補助がその人の収入の二倍三倍になるなら働くべきではない、というものです。

まず、根本的に維新が障害者福祉を何も分かっていない問題です。2人の重度障害者は日常的に24時間介助を受けています。そうしないと命が保てないからです。それが国会議員になることによって通勤と仕事中は公的介助を利用できなくなるということが問題だったのです。今回の措置によりその間の介助が公的に保証されることになった訳です。だから、多少の変動はあるかもしれませんが、在宅で受けていた介助が国会でも受けられるようになったということなのです。吉村氏の主張するような、今までかからなかった介助費用が新たに大幅にかかる、税金が注がれるというのは、根本的な認識不足です。

一般の障害者と国会議員の重度障害者を対立させるような妄言について

木村さんも舩後さんも一切特別扱いを求めたことはありません。仕事中と通勤に公的介助が受けられないという厚労省の告示(※)を改めることが2人の一貫した要求です。それが叶わないということが明らかになった後でも、「制度を変えるために登院する」と決意を述べられています。一般の障害者にも適用できるように制度の壁に突破口が開かれたのです。

厚労省告示523「重度訪問介護の中で居宅における入浴、排せつ又は食事の介護等及び外出(通勤、営業活動等の経済活動にかかわる外出、通年かつ長期にわたる外出及び社会通念上適当でない外出を除く。以下この第2、第3及び第4において同じ。)時における移動中の介護を行った場合」

2は、重度訪問介護であり、第3は、同行援護であり、第4は行動援護です。

国会議員特権だから自己負担すべきという主張について

国会議員の所得は議員活動に必要なお金なのでは無いのですか。もし贅沢な生活をするための特権であるというならば、維新の議員がまず身を切る改革で返上すべきだと思いますが、その様な例は聞いたことがありません。何故、重度障害者だと他の国会議員よりも大幅に活動費を少なくするのでしょうか。それこそ重大な差別ではないのでしょうか。

松井氏の言う大阪府職員の視覚障害者のこと

松井氏自らが府知事をしていた時に、府職員の視覚障害者が危険な状態で出勤していることを認識しながら、合理的配慮をしなかったと自認しています。松井氏木村さんふなごさんも危険な目に合えば良いと主張するのでしょうか。合理的配慮をしなかったことは障害者差別解消法に地方自治体の長として違反したことを証明するものです。自慢する話しにしてしまっていることは無知を自慢しているだけです。

障害は自己責任ではありません

 障害は個人の中にあるものではなく、社会が作り出すものです。「障害を取り除く」ことは、個人が努力したり訓練したりすることではなく、社会が変わらねばなりません。障害者の自立とは介助を受けながら主体的に生きていくことです。就労も地域自立生活の選択肢の一つです。就労=自立ではありません。どんな重度の障害者であっても自由に社会に参加する地域自立生活が保障されなければなりません。働くことその一形態として本人が望む時には保障されなかればなりません。重度障害者が地域自立生活をするのには特別な支援が必要なように、就労にも特別な支援が必要です。障害は社会的なものですから介助も公的に保障されなければなりません。維新の会の主張する「自己責任論」は根本的な差別思想です。

維新の会の主張は障害者差別で

 維新の会は国会、または議員活動で「どのような職業であろうと就労中にも、重度訪問介護をはじめとする公的介助制度を適用せよ」と主張したことがあったでしょうか。松井氏、吉村氏の主張は、障害者総合支援法で障害者福祉の第一義的な責任を市町村に置いていることからすると、首長として全くふさわしくない不見識であり、資質の問われることです。そして大阪府、大阪市内で、もちろん日本全体や世界中にも、介助を受けつつ社会活動をしてきた障害者があり、その活動によって障害者の状況を改善してきたことの完全なる否定です。

 障害者権利条約の第二条は、言葉の定義をしていますが、その中に次のような規定があります。

「『障害に基づく差別』とは、障害に基づくあらゆる区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のあらゆる分野において、他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を認識し、享有し、又は行使することを害し、又は妨げる目的又は効果を有するものをいう。障害に基づく差別には、あらゆる形態の差別(合理的配慮の否定を含む。)を含む。」

 松井氏、吉村氏の言動は、まさにぴったり当てはまります。

維新の会が言いたいことは何なのでしょうか

維新の会の主張と「障害者福祉予算が善良なドイツ国民の肩にのしかかっている」という主張に類似点を感じることは、自然なことではないでしょうか。維新のツイートに対するリツイートは障害者に税金を使うなという様な劣情であふれています維新の会がそのような扇動を行っているからです。言うまでもなく後者はナチスドイツの障害者30万人の大量虐殺である『T4作戦』のスローガンです。

また、2人の重度障害者国会議員の勝ち取った介助が「議員特権」であると言うような主張は、マイノリティーが勝ち取った諸権利を「在日特権」だと主張する在特会と何等かわるところがありません。

私達、『骨格提言』の完全実現を求める大フォーラム実行委員会は、重度障害者が生きる権利を拡大することに対立させる妄言を行なった、日本維新の会の松井一郎氏、吉村洋文氏の明確な謝罪と撤回を求めます。

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