「日本透析医学会ステートメント」に対する公開質問状

2019年6月15

一般社団法人日本透析医学会
 理 事 長    中  元  秀  友  殿
 調査委員会委員長 土  谷     健  殿
 拡大倫理委員会委員 倉 野    裕  殿

大阪市北区西天満1-9-13 パークビル中之島501号 冠木克彦法律事務所気付
公立福生病院事件を考える連絡会

                                  

 2019年6月6日、私達諸団体、個人は、2019年3月7日に新聞報道された2018年8月16日透析中止による患者(44才)の死亡について、深い憂慮を表し、衆議院議員会館に集い「公立福生病院事件を考える連絡会」を結成するとともに、同死亡事件に関し、2019年5月31日付で発表された一般社団法人日本透析医学会ステートメントに対し、以下の内容の質問状をお送りします。

 貴学会は、同ステートメントを発表する立ち位置として、「あくまでも多様な価値観をもつ全ての患者さんに対して『最良の医療とケアを提供するために学術研究団体として最善の努力をすること』にあると宣言されているところ、同ステートメントで発表された「調査委員会調査および結果報告」及び「拡大倫理委員会の見解」には、上記立ち位置に反する内容が記載されていると疑わざるをえないため、以下のとおり質問いたします。なお、対象は上記死亡事故に限定します。

1.調査委員会調査及び結果報告

(1) 「持続的な体外循環が不可能と判断さ、この経緯を踏まえて、一連の透析終了の状況に至った事案ではないかと考えました。」について
a.「調査」及び「結果」報告とされているにもかかわらず、「不可能と判断され」「透析終了の状況に至った事案」と書かれている内容は、誰の判断を書いていますか。
公立福生病院の判断であればそのように記載すべきであるし、主語を明示しないのであれば貴学会の判断と解釈せざるをえませんが、それでよろしいか。

b.「体外循環が不可能」と判断されていますが、当該患者に対するカテーテル挿入による透析は可能であり、医師から提案もされています。
当該患者がそれを拒否した場合、通常の透析医療機関ではねばり強く約1時間以上もかけて透析するよう説得しますが、公立福生病院ではそのような説得はなされていませんが、その点を検討せずに「不可能」と判断されたのですか。その根拠を明らかにして下さい。

(2) 「透析終了の実際の過程で、意思確認の方法-(中略)-調査しました」と書かれていますが、調査の結果はなぜ書かれていないのですか。
公立福生病院入院後に、これまで患者遺族側からは患者本人が「透析再開」を病院側に訴えたと言っていますが、調査の結果はどうでしたか。

2.拡大倫理委員会の見解
(1) 本件福生病院の事例は、「終末期の症例とは判断できないことから、今回はあえて議論をしないこととした」となっています。
今回の事例は、貴学会のガイドラインに規定されていない事例ですから、一明白にガイドラインに違反していると誰でも判断できますが、なぜ「議論」すらしなかったのですか。

(2) 「本症例では患者さんの血液透析終了の意思固く、透析終了の真摯な意思は明らかであったとのことです」という「見解」を述べておられますが、この「明らかであった」と判断している人は誰ですか。
ここに主語がありませんので、ステートメントを発言している人が判断したと解釈せざるをえませんが、それでよろしいか。
明らかであった」という判断のときに、患者本人は明確に「透析離脱を撤回できるならしたい」と訴えた事実をご存知でしたか。
「透析終了の意思は明らか」と判断した理由についてお答え下さい。

 以上、貴学会は「自らは判断者でない」などと無責任な予防線をはりながら、上記のように明確に重要な諸点について判断をしています。貴学会は「最良の医療とケアを提供するために学術研究団体として最善の努力をする」と宣言していますから、必ず、これら質問にお答え下さい。

 本書到達2週間以内に必ずご回答下さい。

以上 

日本透析医学会ステートメント

日本透析医学会回答にならない回答

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