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「退院促進施設」構想に反対する
政府は破綻した心神喪失者等医療観察法を廃止し、長期入院患者の退院促進に責任を持った予算をつけろ
1.現在厚生労働省が推進しようとしている病棟敷地内、「地域移行型ホーム」、「退院促進施設」構想に関して以下の観点から 強く反対する。
@従来の「入院中心主義」がもたらした、長期入院「患者」、 社会的入院「患者」の問題は厚生労働省でもみとめているにもかかわらず、それを、「病敷地内施設」で「解消」しようというのは 、脱施設化、入院中心主義から「地域への移行」にあからさま に逆行するようにしか考えられない。
Aいわゆる「社会的入院患者7万2000人問題」関していわば「同じ過ち」を、形を変えて、またもや繰り返そうとしているわけで、我々としては、到底容認できない。
2.そもそも1960年代以降の国の誤った「入院中心主義」の政策誘導がもたらした社会的入院「患者」の問題は原則的に、国が予算面も含めて、責任を持って、解消すべき問題である。
3. 国は即刻、病院敷地内「地域移行型ホーム」「退院促進施設」といった「新施設主義政策」を中止すること。すでに破綻した予防拘禁を目的とする心神喪失者医 療観察法を廃止し、障害者自立支援法を抜本的に見直し、すべての障害者が隔離収容されることなく、地域で暮らせる法制度を確立すること。
以上、3点を我々はここに強く要求する。
2006年8月4日
全国「精神病」者集団
医療観察法廃止!
心神喪失者等医療観察法の廃止を改めて訴える
私たち全国「精神病」者集団は結成以来刑法改悪=保安処分新設反対を課題のひとつとして、掲げ闘ってきた。精神衛生法そして精神保健法精神保健福祉法も 「危険な精神障害者から社会を守る」という社会防衛の視点を持ち、治安を目的として運用されてきたが、医療観察法成立までは私たちは少なくとも「違法行為 を行った精神障害者」への特別な法体制そして病棟病院新設を阻止し続けてきたのだ。
私たちの刑法改悪保安処分新設反対の主な理由は以下であった。
1 医療は患者本人の利益のためにあるべきで、社会のため、治安のための道具となってはならない。特別な治安のための施設では本人の利益を目的とした医療は行われず、そこでは医療として成り立たない。
2 精神障害者のみを「再び違法行為を行う」という理由で予防拘禁することは差別に他ならない。そうした法制度はさらに精神障害者差別を強化する。
3 「再犯のおそれ」を持って予防拘禁することは、近代刑法の罪刑法定主義の否定であり、近代刑法の原則を踏みにじるものである。
心神喪失者等医療観察法は刑法の改悪ではなく特別立法として成立したが、上記批判はそのまま当てはまるものであることは明白だ。「再犯防止」を目的に「再 犯のおそれ」を要件として精神障害者を予防拘禁する、という保安処分の本質はなんら変わっていない。またこの「再犯のおそれ」の予測が不可能なことは多く の専門家の指摘しているところだ。医療観察法の下では、精神医療・保健・福祉全体に対して、「犯罪を予測し防止する」任務がかせられる。そして法の構造 上、申し立てられた対象者は「安全であること」を証明しない限り法対象者となることになっていて、こうした差別はまた私たち「精神病」者全体にも押し付け られ、私たち「精神病」者に対しては常に「安全であること」を証明しなければ、街で暮らせないという差別がもたらされる。
いま国連で障害者の人権を確立するために障害者権利条約が制定されようとしている。そこでは当然障害者への強制入院強制医療の禁止、一切の差別が許されな い条約が来年にも国連総会で採択されようとしている。この条約下では精神保健福祉法もましてや心神喪失者等医療観察法も廃止されるべき運命にある。
私たち全国「精神病」者集団は再度反保安処分を掲げ、一切の強制入院制度、強制医療制度に反対することを宣言すると共に、心神喪失者等医療観察法廃止を訴える。
2006年5月25日
全国「精神病」者集団
更新日: 2009/03/05